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「え!あの作品が見られるの?」と小躍りするファンがたくさん存在しそうな公演がやってくる。その名も『DEATH WONDERLAND(デスワンダーランド)』。これは、劇団壱劇屋が2023年の年末に劇団15周年を記念して公演した3部作のひとつ。爆笑と困惑さえ覚えるカオスな世界観、すべてを見終えた時に沸き起こる感激と感動!そんな作品が、6月13日(金)、14日(土)に神戸朝日ホールで再演されることになった。今回は先日開かれた記者会見の様子をレポート。



劇団壱劇屋とは?
劇団壱劇屋とは、関西を中心に活動をするエンターテイメント集団。2008年に高校演劇の全国大会出場メンバーで結成され、座長である大熊隆太郎氏の作・演出作品は、観客参加型のライブステージが大きな特徴だ。そのなかでも、特に伝説と化しているのが今回再演される『DEATH WONDERLAND(デスワンダーランド)』。リアリストで無神論者のシゲオの人生が早送りされ、老衰で息絶える。その後、黄泉の国=デスワンダーランドで目覚めたシゲオの前に、どストライクな女性が現れ、彼を導いていく。その先に、行き別れた父母やさまざまな人や思い出などが現れて…奇想天外な「あの世」で、愛を取り戻せるのか??と言う物語。
2023年の年末に東京支部との合同公演で開催した短編三部作の1つで、ラップで会話を繰り広げながら、インパクトのある衣装と共に観客を困惑させながらも、最後には愛を感じさせる壮大でアバンギャルドな作品だ。

会見には、座長であり、本作品の作演出そして一部音楽も担当する大熊隆太郎、劇団員の湯浅春枝、河原岳史、吉迫綺音。また、客演として、匿名劇壇に所属する石畑達哉、のほか、中村るみ、寺井竜哉が登壇した。


●神戸朝日ホールでの上演に『DEATH WONDERLAND』を選んだ理由は…
大熊「劇団15周年記念としてこの作品をやった時に、手応えや達成感を感じたんです。ひとつブレイクスルーした新しい作品になったなと。時間制限もあり、肉をそいで骨で上演したみたいな感じになってしまったので、もっとおいしく調理して、完全版をやりたいという悔いもあったんです。衣装のインパクトもあるし、年末の高揚感もあってか、お客さんから笑いが起きたり歌やラップに自然と拍手が起こったり、こんなに盛り上がるんですか!?と思うほど、盛り上がったんです。もちろん、衣装については賛否の「否」の部分もあったんですが(苦笑)、お客さまはもちろん、関係者からも大変お褒めの言葉をいただきました。だからいつかまたもう一度やりたいなと思っていたところに、今回神戸朝日ホールさんから何か一緒にやりましょうと。神戸朝日ホールの劇場は、どちらかというと音楽ホールなんですね。客席もとても近く、反響もきれいで。演目では、歌やラップも非常も多いので、その特徴を生かした作品になるのではないかと思い、恐る恐る『DEATH WONDERLANDはいかがでしょうか』と聞くと、快諾いただいたので、上演することになりました」と話した。

前回よりもさらに濃く!ストレートにダイレクトに愛を叫ぶ!それがお客さんにも突き刺さる

さらに、大熊は、「最初に作ったときに、本当はやりたかったネタや、キャラクターと主人公の関係性などをもっと深掘りすればよかったなと思うことがいろいろあった」と振り返る。「ドライなシゲオが生前の人間関係のなかで理屈だけでなく、もっと人間的な部分や愛を知っていき、再び人として生まれ変われるような物語。その辺りをもっと濃くしていきたいなと思います。バカバカしい感じで物語は進むんですけども、最終的に主人公がラップでストレートに愛を叫ぶ。お客さんはダイレクトにそれをぶつけられるので、ある意味おおざっぱで暴力的なんですが、その分、思い切り強い球で大きな感情をぶつけられることになる。だから、みなさんの心に刺さったようで、あんなにゲラゲラわらってたのに、最後は泣いたという方が多かったですね。今から本番にぶち上げる気満々なので、早く神戸でやりたいです」と、これまでよりもっと深い作品になることを解説した。

●出演者として、役柄や出演が決まった時の気持ちは?
湯浅春枝「劇団壱劇屋に所属してもはや古株になり、作中で貫録のある配役をもらうようになりまして、私は『神様』というすごく仰々しい役を演じます。一人だけ主人公のシゲオと関わりのない役柄なのですが、前回演じた時から今まで培ってきたことに加え、新たな学ぶもプラスして総まとめとしてよい『神様』を演じられたらいいなと楽しみにしています」

河原岳史「劇団員の河原です。初演では僕は出ていなかったのですが、チラシを見ていただいてもわかる通り、この作品、基本的に男性はパンツ一丁なんですね。で、体を絞るぞと決めまして、72kgから現在63kg、マイナス9kgほど減っております。なんとか、60kg、体脂肪率10%を切るアスリート体形にして、よいパフォーマンスができるようしっかり作品に挑もうと思っています」

吉迫綺音「劇団員の吉迫です。初演の時、創作段階がすごく楽しくて、稽古も上演時間もあっと言う間にすぎてしまったので、もっとやりたかったなと言う思いが残りました。が、今回再演のお話がきてすごくうれしかったです。私はウサギの人形と常に一緒に登場しているモントという役。ラップのパートも初演よりももっと攻めて向き合いたいですし、新しくなったメンバーでさらに内容が濃くなりパフォーマンスが増えるのも楽しみ。がんばりたいです」

石畑達哉「匿名劇壇に所属しております石畑です。客演として、参加させていただきます。今回の役はなんとシゲオの母「おふくろ」。配役をラインでおくってくださったんですが「え?おふくろ?」とまずは驚きが(笑)。初演を拝見しているんですが、あの盛り上がっていた作品に参加するということがとても喜ばしいことです。そして、みなさん体がとても絞れている点で、そこに一抹の不安が...(笑)はい、僕もできるだけ仕上げるぞ、ということで、ここから頑張らなければと。とても楽しい作品になると思うので、お客さんにとにかく楽しんで帰っていただけたらなと思います」

中村るみ「私はこの作品を実際に客席から拝見していまして、初めて見たときに、めちゃくちゃ笑って泣いていた人の1人でした。初回は主人公を演じた半田慈登君の退団公演だったというのもあり、劇団員からの半田君への愛や東京班と大阪班の愛、劇団員から大熊さんの作品への熱量という愛といった、物語のなかにある愛以外の部分にも愛も感じて、涙が止まらなくなりました。なので、今回大熊さんからオファーをいただいたとき、企画書を見る前に『出ます!』と返事をしたくらい。今回客演として、作品の力に少しでもなれるようがんばりたいです」

寺井竜哉「オファーをいただいて周りの俳優たちに『今度、DEATH WONDERLANDにでんねん』と言ったら、『え?あの?あれに出るの!?』みたいな。俳優陣がざわつくくらいの作品なんだなと、めっちゃ楽しみです。パンツになる覚悟も…」

●客演のキャスティング、決め手は?
大熊「初演メンバーが5人いますが、新しく参加するのが4人ですね。半田はすでに別の道に進んでいたのですが、この役は彼のために作ったものでもあったので、何度も口説いて、話をして、出てくれることになりました。ほかのみなさんは、若手ではなく、肉体のパッションと演技のスキルを兼ね備えた同世代をキャスティングしています」

●劇団員の中で、今回の再演はどんな気持ち?
湯浅「捨てるのがもったいない部分、私たちは『トロ』と呼んでいるんですが、そこをザクザクと切り落としていった初演だったので、いつか完全版をやりたいよねと話していました。だから、今回は時間制限もないし、やりたいことが出来るぞと聞いたときにテンションがありましたね。大熊さんの作る歌やラップが好みなので、音響の良いホールでやらせていただけるとなれば、私もお客さんとなって聞きたいし、見たいし拍手もしたい!と思ってしまいました。もはやこの作品の出演者でありながらファンみたいな気持ちです」

河原「初演でかなり削られたのが、僕の演じる『ふるさと』だったそう。劇団壱劇屋の作品は、俳優からキャラを当て書きするので、俳優のパーソナルな部分が組み込まれる場面が多いのですが、元々演じていた桑田君と言う劇団員が、愛嬌モンスターみたいな人で。だから僕は僕なりの『ふるさと』を演じたいなと思っていますし、初演で削られてしまった桑田君の無念の思いが成就するよう、しっかり演じなければと思います」

吉迫「初演でやった時は、やりたい放題やったという感覚が強かったんですが、再演となると、あの公共のホールでこんなにもパンチの強い作品を!いいんですか?と言う気持ちが大きかったですね(笑)私は兵庫県出身なので、地元で公演できるのはやっぱりうれしいですし、神戸のみなさんにこれを受け容れてもらえるか?とワクワクどきどきしています」

●客演の皆さんに聞く「劇団一撃屋とは?」
石畑「所属する『匿名劇団』からすると先輩でありライバルですね。ノンバーバルや体を動かすことなどを強みとしてやってらっしゃったので、毛色の違う劇団ですが、意欲的な作品を打ち出していきたいライバル同士と言う印象でしたね。初演は僕もめちゃくちゃ楽しみました。2023年の年末に質の良いエンタメを浴びたなと」

中村「劇団員全員が一つの劇をつくるためにそれぞれの役割を日夜こなし続けているという印象です。大熊さんの持つ世界観を全員で全力で表現していく。大熊さんも普段なら欠点だと思われちゃいそうなところを「おもろいなぁ」と言ってみんなに見せて行こうとする愛がすごい。それを体現したのが『DEATH WONDERLAND』なんだなと思っています」

寺井「僕の勝手な印象ですけど、みなさん普段は物静かなんですが、いざとなると、とんでもないフィジカルモンスター!肉体のキレに驚いて、それがすごいキャップでカッコイイです。大熊さんの頭の中がまだ僕はちょっとわからないんですよ。でも、みなさんは、大熊さんが『あんな感じで』というとすぐに動き出す。それに追いつけるようがんばります!」


劇場に来たからこそ楽しめる、そんな体験を作っていきたい!

最後に大熊は、公演に対するメッセージを語った。
「今回、ホールを劇団にも使ってほしいという観点から劇団壱劇屋を選んでいただいたことがとてもうれしいですし、期待に応えられるようめっちゃ頑張ろうと思っています。今は劇場に行かなくても動画などいろいろな手段で楽しめる時代になっていますが、それでもわざわざ劇場に来てくださったからこそ『すごかったな、面白かったな』と言ってもらえる体験を作って、みなさんに持って帰っていただきたいです。そして、『そういえばあの公演、変やったけどめちゃおぼえてるわ』と言っていただけるように、ホールに行った甲斐のある公演を神戸朝日ホールから発信していきたいと思っています。ぜひお越しください!」

生で観るからこそ記憶に残る、インパクト大のカオスな舞台をぜひ体験しに行こう。

取材・文:田村のりこ


「DEATH WONDERLAND」
■会場:神戸朝日ホール
■日時:6月13日(金)開演 19:00、14日(土)開演 12:00/17:00
■全席指定:一般 4,000円、25歳以下 2,500円(公演当日は身分証明書をお持ちください)
 ※未就学児童入場不可 
■お問い合わせ:神戸朝日ホールTEL. 078-333-6540(10:00~17:00)
■チケット発売中
神戸朝日ホールオンラインチケット
https://www.kobe-asahihall.jp/ticket/
フェスティバルホールチケットセンター
TEL. 06-6231-2221(10:00~18:00)


2004年急逝した小説家中島らも。
その破天荒な人生と、彼独自の世界観が反映された作品群は、今読んでも色褪せることなく、彼の死後も世代を超えて愛読され続けている。
そんな彼が亡くなる直前に書き上げた最期の短編小説が『DECO-CHIN』だ。
ミュージシャンの道に挫折し、カウンターカルチャー誌の副編集長となった主人公が、あるバンドとの出会いによって自らの肉体改造をもって覚醒する愛の物語。
4月26日(土)より K’sシネマほか全国順次公開


監督・脚本は、ロック魂をテーマに数々の映画作品を世に送り出してきた島田角栄。
自ら聖書(バイブル)と語る原作の映像化に際して、監督曰く“街のごちゃごちゃしたところをフォーカスして切り取りたかった” 高円寺、中野、早稲田を舞台に選んだ。
主人公の松本には初の野外ワンマンとなる17周年記念公演『アーバンギャルドの昭和百年・野音戦争』を成功させたアーバンギャルドのリードヴォーカル松永天馬、他、
永岡佑、古市コータロー(THE COLLECTORS)、小林雅之(JUN SKY WALKER(S))、仲野茂(アナーキー)、お笑い芸人のゆってぃNYチーズケーキTOKYO FRIDAY NIGHT、鳥居みゆき、マツモトクラブ等ジャンルを超えた出演陣が顔を揃えた。


【ストーリー】
ミュージシャンの道をあきらめインプラント、スピリットタン等カウンターカルチャーを扱う音楽誌「OPSY」の編集者として毎日を送る松本は、ある日、社長命令で
プロダクションからの売り込みバンド「The PEACH BOYS」のワンマンライブに足を運ぶ。しかし、そのあまりの酷さに編集者としての人生を「なんという徒労だ」
と愚痴り絶望する。そんなライブ終演後、店長の五百鬼頭が一つのバンドを紹介する。告知もせず突然登場した世界でも稀有なバンド「THE COLLECTED FREAKS」
との衝撃の出会いだった。
そして松本は”自分を愛するために“ある決断をする・・・・・・


『デコチン DECO-CHIN』
松永天馬(アーバンギャルド) 
永岡 佑  中田彩葉
古市コータロー(THE COLLECTORS) 小林雅之(JUN SKY WALKER(S)) 仲野茂(アナーキー) マツモトクラブ
プリティ太田 ゆってぃNYチーズケーキTOKYO FRIDAY NIGHT 鳥居みゆき
原作:中島らも「DECO-CHIN」(集英社文庫刊「君はフィクション」所収)
主題歌 「ナルシスト」 松永天馬
監督・脚本/島田角栄
プロデューサー/林哲次 撮影/笠真吾 美術/山本宗 VFX/奇志戒聖 録音/内田達也 照明/松田章吾
特殊造形/ゾンビストック 音楽監督/RYU智秀 宣材写真&デザイン/松蔭浩之 
配給/フリック 製作/TOブックス R15+
2025年/日本映画/91分/ヴィスタサイズ/ステレオ
(C)2025中島らも/集英社・TOブックス 映倫 124661

『デコチン DECO-CHIN』公式HP


飯森範親マエストロと日本センチュリー交響楽団が10年にわたり取り組んできたハイドンの交響曲全曲演奏と録音プロジェクト「ハイドンマラソン」の最終公演が3月21日(金)に開催されます。
公演を目前に控えた先日、飯森範親マエストロと楽団員から副首席コントラバス奏者の内藤謙一が記者会見に臨みました。


冒頭、飯森マエストロは「間もなくようやく完結できるということで嬉しく思っています。
前楽団長をはじめ、楽団メンバー1人1人の力がなかったら成し得なかったプロジェクトだったと思います。」と感慨深い面持ちで話しました。
内藤氏は、「ソリストで出演した公演の3曲を除いて全て、演奏してきました。他のオーケストラの楽団員でハイドンの交響曲全曲を弾いた人は他にいないのでは?(笑)。全部やることが大きな意味があったと思う。楽譜をみて当時のことや楽器のことを調べたりマエストロと相談したりして、つまらなく見えていた楽譜が面白く見えてきたりして演奏にアイデアが生まれてくる瞬間を何回も経験できたのが楽しかったです。」と、達成感溢れる言葉で語りました。


ハイドンの楽譜はシンプルでそのまま演奏すると単調に陥りがちな部分もあるところを、マエストロ自らのアイデアでフレージングや強弱など細かく楽譜に書き込みしたものを楽団員が演奏する手法をとり、さらにチェンバロを毎回入れることで表現の幅が広がり、飯森&センチュリーのハイドンならではの独自の演奏スタイルを追求してきました。
「このハイドンマラソンは、センチュリーにとっても自分自身にとっても大きなプロジェクトでした。音楽家にとって難しい作曲家だけれども、このような挑戦をさせてくれたセンチュリーに感謝しています、大変なことも多くありましたが、首席指揮者としての11年間、一生忘れることができないものとなりました。」とマエストロの感謝の言葉が印象的な会見となりました。


ハイドンマラソン最終公演は、日本センチュリー合唱団とのモーツァルトを交え、ハイドン交響曲 第104番「ロンドン」で華やかに幕を閉じます。
また、コンサートと合わせて地道に続けてきたライブ録音のCD「ハイドン交響曲集」は現在Vol.28まで発売されており、こちらも完結まであとわずかとなっています。

Text: 前田聡子(日本センチュリー交響楽団)



ハイドンマラソンHM.38 <ファイナル>
2025年3月21日(金)19:00開演(18:00開場)
■会場/ザ・シンフォニーホール
■指揮/飯森 範親 
■合唱/日本センチュリー合唱団
■管弦楽/日本センチュリー交響楽団
ハイドン/交響曲 第84番 変ホ長調 Hob. I:84
モーツァルト/アヴェ・ヴェルム・コルプス K.618
モーツァルト/レクイエム ニ短調 K.626より 「ラクリモザ」
ハイドン/交響曲 第104番 ニ長調 Hob. I:104 「ロンドン」
■料金/A5,000円 B:4,000円 【チケット発売中】
■お問い合わせ/センチュリー・チケットサービス TEL 06-6848-3311(平日10:00-18:00)


いま演劇界を疾走する万能グローブ ガラパゴスダイナモスと、ゴジゲン主宰の松居大悟、そしてミュージシャンの小山田壮平がタッグを組んだ群像コメディ劇がやって来る!福岡愛をキーワードに斬新な演出と演技で魅せる群像コメディドラマ。新時代の演劇シーンを見逃すワケにはいかない!




劇団『万能グローブ ガラパゴスダイナモス』主宰の椎木樹人が『見上げんな!』大阪公演のPRのため来阪。今作では劇団『万能グローブ ガラパゴスダイナモス』(以下ガラパ)の役者陣に加え、福岡にゆかりが深い全国区の客演俳優を集めるもの。そしてガラパの座付作家:川口大樹のオリジナル脚本を演出するキーマンに東京で劇団ゴジゲンを主宰する松居大悟を迎えて、音楽をミュージシャンの小山田壮平が書き下ろすという、稀有なる注目の舞台となる。

椎木率いる『ガラパ』は、福岡で2005年に旗揚げ。ちょうど創設20周年を迎える節目の年となる。椎木自身、幼い頃から舞台に興味を抱き、高校での演劇部への入部が役者キャリアのスタートだったという。福岡を中心に演劇活動を続けつつ、全国公演も精力的に行ってきた。
演出を担当する松居大悟と椎木は同い年で、高校生までともに福岡市で育った。ただ社会に出るまでは特に交流はなかったという。そんなふたりは、京都の劇団『ヨーロッパ企画』に衝撃を受け、東京と福岡でお互いが別々の劇団を立ち上げていた。
今作は、ガラパ(川口&椎木)、ゴジゲン(松居)、小山田壮平が、故郷の福岡で
新劇場(福岡市民ホール 中ホール)のオープニング公演として共同で作り上げるもの。

「福岡っておもしろい街なんです。新しモノ好きというか、劇団立上げ当時は、福岡出身というだけでウケていた時代でもありました。東京志向というより、福岡という土地の潜在的なパワーを全国の人に伝えたい、また福岡にも東京や関西のような小劇場ムーブメントを起こしたい」という気持ちで、福岡を本拠地とするこだわりは今後も変わらないという。
「今作は福岡を皮切りに、大阪、東京と巡演しますが、日本を代表する三都市それぞれの土地で作品が変化していくんじゃないかと僕たちも期待しています。」
作品は駆け出しの映像作家三月(みづき)を取り巻く物語。故郷福岡からオファーが来た仕事は解散寸前のおじさんバンドのMV制作という風変わりな仕事……。地方と都会とが交錯して全編が博多弁で繰り広げられる群像コメディドラマに仕上がった。

「ガラパはコメディドラマが売りなのですが、笑いを前面に押し出すイメージだけが先に来ると、関西のお客様に対して自らハードルを上げてしまうことになる…ので注意しています(笑)。笑いの質には神経質だけど、一度、懐に入れてもらえれば、とことん楽しんでくださるのも関西のお客様の印象です。」
今注目のクリエーターが福岡というキーワードでつながった見逃せない公演となりそうだ。

万能グローブ ガラパゴスダイナモス×ゴジゲン×小山田壮平
『見上げんな!』大阪公演
◼️会場/近鉄アート館(大阪市阿倍野区〔あべのハルカス近鉄本店〕ウィング館8F)
◼️日時/
4月17日(木)19時開演 ★アフターイベント:小山田壮平ミニライブ
4月18日(金)14時開演 ★アフターイベント:トークショー/ゲスト:野田裕貴(梅棒)
4月18日(金)19時開演 ★アフターイベント:トークショー/ゲスト:大歳倫弘(ヨーロッパ企画) 
4月19日(土)13時開演 
4月19日(土)18時開演 ★アフターイベント:ガラパ名物 生コメンタリー
4月20日(日)13時開演
◼️料金:中央前列指定席7,000円、一般指定席6,000円、U-25席(25歳以下限定)3,500円
◼️チケット/チケットぴあ、ローソンチケット、イープラス、カンフェティにて発売中
◼️お問い合わせ/キョードーインフォメーション 0570-200-888


毎夜シャンパンを浴び、きらびやかな世界を謳歌していた歌舞伎町のNo.1ホスト(中山優馬)が、いきなり汗と土まみれの農業の世界に飛び込む。歌とダンスと生バンド演奏で送る、異色の「農業系」コメディミュージカルのゲネプロ風景をレポートする。


中山優馬が事務所退所後の初舞台で演じるのは歌舞伎町No.1ホスト・ジュンこと手島広夢。不摂生による栄養失調で倒れた広夢は、元・伝説の歌舞伎町ホスト(小出恵介)が営む養鶏農家で働きながら「食と命の大切さ」を学んでいく――。
こう書くと、いま流行りのスローライフ物語っぽいが、農家の人たちが何気なくする日常会話は「この前、屠殺場でとりっこ(鶏)が逃げてさあ」となかなかにシビアでリアル。生バンドの演奏で明るくポップに歌う「YO!KEY!(養鶏)」には、当たり前に食べている肉や野菜をつくる人たちの熱い思いがほとばしる。
食材が私たちの口に入るまでに、誰がどんな思いで働いているのか。「いのちをいただく」とはどういうことなのか。ギラッギラのピンクスーツに身を包んだ中山優馬が、戸惑いつつも変化していく青年の心情を丁寧に演じている。


初めは「俺は絶対に農業なんかやらねぇ!」と息巻きつつも、ひよこから大きく育てて出荷するころにはたっぷりと情が湧いてしまう。いつしかインスタの写真はシャンパンからニワトリに。愛の対象は姫(ホストクラブの客)から雛鳥へと心変わり。ふてくされ顔からだんだんと笑顔に変わっていく中山がチャーミングだからこそ、「顔も知らないたくさんの人たちに美味しいと言ってもらいたい」というセリフに切なさが込み上げる。
本作は「塚田農場」などの飲食店を運営する米山久氏の著書「ありきたりじゃない新・外食」を基にしたオリジナル作品で、農家のビジネスや流通ルートにまつわるきびしい現実も赤裸々に描かれる。生産者と消費者の間で「中抜き」する組織も登場して、昨今の米の値上がり問題にも通じるアンタッチャブルな世界に切り込んでいる。2014年の初演から11年ぶりの公演だというのに、「農家の叫び」はいまも変わらないのだ。新たな販売ルートを開拓するために農家が一致団結する姿には「がんばれ!」とこちらも食べて応援したくなった。
はてさて、歌舞伎町No.1ホストはどのような選択をするのか。奥深いテーマを扱ってはいるが、コメディ要素が盛りだくさんな演出で、エンターテインメント作品として十分楽しめる。ラストは「日本の田舎からブロードウェイに飛んじゃった?!」と驚くほど華やかなショータイムで締め括り、明るく楽しい気持ちで劇場を出た。


記者会見では主要キャスト5人が登壇。中山は役作りのためにホストクラブに体験入店し、実際に接客もしたという。「これまでのホストのイメージがガラッと変わりました。とても人情味や信念のある人たちだと感じました。お客様を楽しませたいという思いはホストも俳優も同じかもしれない」と話した。
「みなさんが普段食べている食材がどうやってできているのか、改めて考え直すきっかけになる作品です。『いただきます』という言葉に込められた感謝の気持ちを大切に演じています。『食農育』というテーマをロックな音楽にのせて届ける、歌ありダンスあり、笑いに溢れた舞台になっているので、ぜひ劇場に見に来てください!」(中山)

◎Interview&Text/北島あや


2025年3月15日(土)、16日(日)
農業系★Rock Musical「いただきます!~歌舞伎町伝説~」
■出演者/中山優馬、小出恵介、Dream Ami、古謝那伊留、シルビア・グラブ 他
■会場/大阪国際交流センター 大ホール
■料金(税込み)/全席指定 一般11,000円
※未就学児入場不可
■お問い合わせ/いただきます!公演事務局(クリエイティブワンズ内)TEL 06-6356-6788(平日10:00~17:00)