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「ケルティック・クリスマス」は、毎冬行われている音楽イベント。スタートしたのは1998年。以来4半世紀以上に渡り開催され、文字通り日本の冬の風物詩となっている。2020年からのコロナ禍では数年間開催が見送られていたが、昨年見事復活を遂げ、初めて開催した東海市芸術劇場の公演は満員の好評ぶりだった。そして今回は、アイルランド音楽史上最も美しく聖なる声との呼び声も高い、アヌーナが来日する。

簡単に彼らの経歴と魅力を紹介しよう。 アヌーナは、アイルランドはダブリンを拠点に世界的に活躍する男女混声合唱団。「母国の音楽を現代に甦らせる」というコンセプトのもと、彼の地の生まれの作曲家でありグループの柱でもあるマイケル・マクグリンによって1987に結成された。これまでに8回来日している。

彼等の魅力は、その一貫したコンセプトが明確に伝わる音楽性だ。古楽が盛んだった中世アイルランドの唄、聖歌、民衆に親しまれてきた大衆歌。そして群を抜いて美しいオリジナル曲。 母なる大地、アイルランドの「うたの古層」を丁寧に、深く掘り起こしつつも、現代を生きる私たちにも伝わる様にビルドアップする。今も昔も私たちにある「声」でだその繊細な仕事の精度は、ただ聴くだけで伝わってくる。


深く鮮やかな感動と共に。 地を這う様な男声部、天使の様に清らかな女声部。そこにはアイルランドの血と骨が、困難な時代を潜り抜けてきた民衆の光と影がある。古いうたには、唄や音楽が経済の対価ではなく、ただひたすらに神と繋がる為の、誰かと繋がる為の"ほんとうのうた"だけが持つ根っこがある様に感じる。



母国の音楽の蘇生と刷新を軸とした活動の一方で、他国の文化、他ジャンルとの融合など、意欲的な試みも行っている。以下がこれまでの主な企画だ。

・2017年 Bunkamuraオーチャードホールにて日本の能とアヌーナのコーラスを融合させた「ケルティック 能『鷹姫』」を行い、各方面から高く評価された。
・2017年 人気ゲーム「ゼノギアス・オリジナル・サウンドトラック Revival Disc」及び「ゼノブレイド2」のサントラに参加。2018年4月「ゼノギアス20周年記念コンサート」にゲスト出演。
・2022年 ゲーム『クロノ・クロス:ラジカル・ドリーマーズ エディション』『ゼノブレイド3』の音楽にアヌーナのシンガーが参加。
・2023年 ゲーム『ベヨネッタ オリジンズ: セレッサと迷子の悪魔』のテーマ・ソングをアヌーナのリーダー、マイケル・マクグリンの娘ローレン・マクグリンが歌唱。
・2024年 アニメ「ダンジョン飯」のサウンドトラックにアシュリン&ローレン・マクグリン姉妹が参加。

どうだろうか。これで普段アイルランド音楽に馴染みのない方々にも親近感が湧くのではないだろうか。


現代の経済社会にいいように伝わり、変わってしまった聖なる歌とは確実に違う"内なる強さ"を宿した歌を歌う人たちアヌーナ。この混迷を極める時代に、彼らの聖なる幻想的な声に触れることは、とても有意義なことなのではないだろうか。この機会に是非聴いてみて頂きたい。

◎Text/鬼頭黎樹

11/24 SUNDAY【チケット発売中】
ケルティック・クリスマス 2024
アヌーナ 来日公演

◼️会場/愛知 東海市芸術劇場 大ホール
◼️開演/16:00
◼️料金(税込)/ 一般 ¥4,000 小中高生¥1,000
◼️お問合せ/東海市芸術劇場事務室 TEL.0562-38-7030(9:00~20:00 休館日を除く)
※東海市芸術劇場ホームページはこちらから
※アヌーナ来日公演2024サイトはこちらから

◯関連イベント開催!!
11/9 SATURDAY 【入場無料】
『アヌーナ~ケルティック・クリスマス2024』関連トーク・イベント
プレトーク 『ケルト、その音楽と文化、そしてアヌーナ』

◼️会場/愛知 東海市芸術劇場 多目的ホール
◼️開演/15:00
◼️料金(税込)/無料(要入場整理券 全席指定)
◼️お問合せ/東海市芸術劇場事務室 TEL.0562-38-7030(9:00~20:00 休館日を除く)
※入場整理券は劇場3階事務室で配布中。(先着順)
※未就学児入場不可
※東海市芸術劇場ホームページはこちらから


2005年に愛知県で開催された国際芸術音楽祭への参加を機に、作曲家の伊藤美由紀により結成された現代音楽プロジェクトが「ニンフェアール」。2014年第10回公演『東洋と西洋の絃』では第14回佐治敬三賞を受賞、昨年の第19回公演では名古屋市民芸術祭特別賞「クリエイティブ企画賞」を受賞するなど、華々しくも着実に実績を積み重ねてきた。今年は結成20周年にして第20回の記念公演が予定されている。


上段:アンサンブル・ホリゾンテ
下段右から:澤田幸江(ヴァイオリン)、伊藤美由紀、今井智景


ニンフェアールは公演ごとに様々な企画を打ち出し、テクノロジーの利用や映像作家とのコラボレーション、文学をテーマとしたコンサートなど、独自の音楽性を追求してきた。そして結成20周年となる今年度のニンフェアール公演は、ドイツのアンサンブル・ホリゾンテとのコラボレーションコンサートとなる。アンサンブル・ホリゾンテはデトモルト(ドイツ)を拠点に、デュオから16人編成まで多様な編成で、現代音楽の演奏を中心に活動する音楽集団。この公演では、2021年にリリースされ、伊藤の曲も収録された彼らのアルバム『自然をめぐる対話』のレパートリーとともに、伊藤、今井智景それぞれによる20周年記念のための新作も披露される。演奏はアンサンブル・ホリゾンテのほか、愛知県出身でニンフェアール公演ではお馴染みの澤田幸江(ヴァイオリン)が出演。アンサンブル・ホリゾンテとの共演、今井の新作ではヴァイオリンソロも聴かせてくれる。また、アンサンブルの代表であるイェルク=ペーター・ミットマン(指揮・作曲・オーボエ)の作品も彼自身の指揮で演奏されるほか、ミットマンによるトークもあるとのことで、作品への理解がより深まることだろう。聴きごたえのある20周年記念公演となりそうだ。

<ニンフェアール主宰・伊藤美由紀からのメッセージ>
ニンフェアール公演は、2005年に第1回公演を始めてから今年で20周年となります。今回はその記念として、ドイツのアンサンブル・ホリゾンテと愛知県を中心に活躍されるヴァイオリンの澤田幸江さんを迎えてのスペシャルな公演を企画します。 今回のテーマ、「自然をめぐる対話」は、2021年にリリースされたアンサンブルのCDのタイトルからです。プログラム内容は、CD収録作品と本公演のために書いた私と今井智景さんの新作を含みます。 今回、私の作品も2曲演奏してくださいます。ヨーロッパで彼らに度々再演していただいておりCD収録されているフルート、ヴィオラ、ハープによる《月の位相》と、ギフチョウからのインスピレーションで書いたアンサンブルの為の新作《スプリング・エフェメラル》(春の妖精)の2曲です。その他、初演となる今井智景さんの新作は澤田幸江さんのヴァイオリンソロで、アンサンブルの指揮者でもあるイェルク=ペーター・ミットマンの作品も披露され盛り沢山な内容となっています。 実は、アンサンブル・ホリゾンテの日本ツアーは、コロナの時期に予定されていて延期となっていました。遂に実現となる日本ツアー!名古屋公演はニンフェアールとのコラボレーション公演でお届けします。たくさんの方に聴いていただければと願っております!
(伊藤美由紀・作曲)

<コンサートチラシ>

また、関連イベントとしてアンサンブル・メンバーによる公開レッスンも予定されており受講生を募集中。初心者からプロまで受講可能ですのでこの機会に是非ご参加下さい。

<公開レッスン募集要項>

10/20 SUNDAY 【チケット発売中】
ニンフェアール第20回公演「自然をめぐる対話」
〜アンサンブル・ホリゾンテと澤田幸江(ヴァイオリン)を迎えて〜

◎出演:アンサンブル・ホリゾンテ、澤田幸江(ヴァイオリン)
    伊藤美由紀(作曲)、今井智景(作曲)、イェルク=ペーター・ミットマン(指揮・作曲)
◼️会場/愛知県芸術劇場大リハーサル室
◼️開演/16:00
◼️料金(税込)/全席自由 一般 ¥3,000、学生 ¥2,000(当日各500円増)
*学生料金は25歳以下対象(要証明書)
◼️お問合せ・チケット予約/mail:nympheart@yahoo.co.jp
◼️公演ホームページはこちらから



「ふぉ~ゆ~」の越岡裕貴をはじめ、寺西拓人、吉高志音、遥海らが出演する「RUN TO YOU」が全国に先駆けて名古屋で幕を開ける。同作は韓国発、HIPHOPが全編を彩る異色のミュージカル。登場人物たちはラップで心情を語り、クラブシーンのような盛り上がりとともに物語が展開していく。今回初めて日本人キャスト、日本語版で上演されるにあたり、初日前夜に行われた公開リハーサルの様子をレポートします!

物語の軸となるのはクラブで下働きするジェミン(越岡)、スチャン(寺西)、ジョンフン(吉高)の3人が結成したHIPHOPグループ「ストリートライフ」の成功と挫折。彼らはそれぞれ家族や恋人への想いも抱えながら、スターへの階段を駆け上がる。クラブシーンを背景にしたミュージカルらしく、時には観客を巻き込みながら舞台は目まぐるしく展開。圧倒的なスピード感とエネルギーで劇世界が突き動かされていく。

全編ラップ尽くしだが、曲調にはバリエーションがあって飽きない。また、ジェミンの恋人セヒ(遥海)が歌い上げるシーンも印象に残る。そんな中、DJ OZMAがカバーしたことでも知られる劇中主題歌「RUN TO YOU」が始まるとステージは最高潮に……! 一方でHIPHOP満載ゆえダンスもふんだん。気づけば越岡、寺西、吉高の3人は踊りっぱなしなんてシーンも多く、底なしのパワーに驚かされる。そして何より、登場する若者たちの叫びには現代人の誰もが共感しうる葛藤があり、HIPHOPの原点にも通じるのではないかと思わされた。


事前の囲み取材で越岡たちキャストが口々に「難しいこと抜きで一緒に盛り上がって楽しんでほしい」と言っていたとおり、ミラーボールがくるくる回り、照明がまばゆいほど光り輝くステージは、確かにクラブとミュージカルのハイブリッド。観客はそのノリに身をゆだねるだけでいい。それでいて人の情をくすぐるところもあり、越岡は冗談っぽく「男兄弟がいなかったので、兄弟ができたみたいでうれしかった」と稽古を振り返っていたが、ジェミン、スチャン、ジョンフンが3兄弟のように見えてきて、何か愛しい感情に包まれるから不思議だ。他に、お笑い芸人で俳優としても活躍するなだぎ武がレコード会社の悪徳社長役をユーモアも交えて怪演。越岡は「それぞれの生き様やパッションを見てもらえる」という言葉で取材を締めた。

ミュージカル「RUN TO YOU」は名古屋を皮切りに大阪、東京を巡演。アクリルスタンドほかオリジナルグッズも充実しているので、ぜひ会場へ!

◎Interview&Text/小島祐未子

8/31 SATURDAY・9/1 SUNDAY【チケット発売中】
ミュージカル「RUN TO YOU」
■会場/ウインクあいち大ホール
■開演/8月31日(土)13:00 9月1日(日)12:00・16:30
■料金(税込)/全席指定 SS席¥12,000 S席¥11,000
■お問合せ/中京テレビクリエイション TEL.052-588-4477
※その他公演地の情報は公式サイトから
※未就学児入場不可


ブラジル・ポピュラー音楽界を代表する巨星、ジルベルト・ジルが ”アケリ・アブラッソ・ジャパンツアー2024”で16年ぶりの来日を果たします。そして公演初日は京都で開催の「KYOTOPHONIE 2024 AUTUMN」への出演となる。ジルのワールドツアー50周年となる今回の来日、 祝祭感溢れる最高のステージを体感しよう!


ジルベルト・ジルは現在82歳。近しい世代のブラジル音楽家には、バイーア連邦大学の同窓生でもあったカエターノ・ヴェローゾ、先頃エスペランサ・スポルティングとのコラボ作品を出したミルトン・ナシメント、作家でもあるシコ・ブアルキがいる。ちなみに欧米に視点を移せば、ポール・マッカートニー、キャロル・キング、ブライアン・ウィルソン等がいる。

彼のキャリアを簡単に辿ろう。 生まれはブラジルは北東部バイーア州。数々のお祭音楽/土着的音楽を生み出してきたブラジル音楽的にも非常に重要な地域だ。彼はここで幼少期から最初はアコーディオンに興味を示し演奏を始める様になる。彼の音楽やキャリアの中にアコーディオンを使ったブラジル北東部音楽作品や土着的で祝祭感に満ちた曲が多いのは、この様な環境で育まれた故だろう。

その後ジョアン・ジルベルトの登場と、ビートルズを始めとする欧米のロックにも大きな影響を受けながら、進化したブラジル音楽であり運動である「トロピカリア」を提示。その後それは現代美術/映像/舞台等垣根を超えた一大ムーヴメントになるが、あまりの過激さ故に監視対象となり逮捕される。その後2年半ロンドンに亡命するが、そこでも沢山の異国の音楽に積極的に近づいてゆく。そして自分が如何にブラジル的な人間かを考えたのだろう、帰国後はアフリカ系ブラジル人としての自分の肯定を軸としつつ、様々な音楽家との出会いを嬉々としながら自分のアンテナに引っかかった音楽に飛び込んでゆく。


ボサノヴァ、ロック、ソウル、レゲエ、アフリカ音楽、幼少期に慣れ親しんだ故郷バイーアひいてはブラジル北東部の田舎音楽。 彼にとってそれらは全て等価値の生きた音楽なのだ。だからこれらのどこに接近していようとジルベルトはジルベルトなのだ。その理由に、どのアルバムのどこを取っても彼はいつだって嬉しそうではないか。米国の黒人音楽家、タジ・マハールがそうであるように。

幼少期に戯れる様に触れた北東部のお祭り音楽に音楽の楽しさを、ジョアン・ジルベルトの心鎮める様なボサノヴァの中に宿るサンバの精神を。同世代の欧米のロックに抗うカッコ良さを発見した彼は、その後何十年間経った60歳を超えた時、いよいよ政治家としても一歩踏み出す。 母国ブラジルへの深い想いを足跡として残さんばかりに。

2003年から2008年の約5年間、ブラジル政府の文化大臣として就任。音楽家としての活動も平行しながらだ。そう言えば、退任直後の名古屋セントラルパークでの無料ライブは素晴らしかった!活き活きとしていた。 退任後は隠遁するどころか、益々音楽活動は活発になる。ここ10年だと盟友カエターノ・ヴェローゾとのライブ・アルバム『Two Friends,One Century of Music』、整った爽やかなサウンドが心地良い『OK OK OK』、ジョアン・ジルベルトへのトリビュート作『Gilbertos Samba』、現代バレエ団への提供作『GIL』が素晴らしいので、是非一度聴いてみて頂きたい。

今回の来日公演は、ジルの息子、娘、孫娘からなる4人編成のファミリーバンドを引き連れての来日公演。キャリア60年の中に刻まれた、過酷だったが生きてきた喜びに満ち溢れた彼の人生。様々な要素が平等に混ざり合い、共に前に進んでいくことが如何に楽しいことか。家族だけのリラックスしたステージで、ジルはきっとそれを見せてくれることだろう。

◎Text/鬼頭黎樹(songs records)

9/26THURSDAY【チケット発売中】
KYOTOPHONIE 2024 - GILBERTO GIL “アケリ・アブラッソ・ジャパンツアー2024”

◼️会場 /京都市・ ロームシアター京都 メインホール
◼️時間/開場 18:00  開演 19:00
◼️料金(税込)/VIP¥20,000 SS¥15,000 S¥12,000 A¥8,000 B¥5,000
◼️お問合せ/KYOTOPHONIE事務局 TEL 075-708-7108/ 受付時間:平日12:00-16:00
※未就学児入場不可 ※車椅子席あり。(KYOTOPHONIE事務局にお問合せください)
※B席は4階、階段のみのアクセスとなります。
◼️プレイガイド/e+
◼️オフィシャルWEB



演劇、映像とフィールドを選ばない活動を続ける十一二十三率いるエンターテイメント セルフキートンが、旗揚げ28周年記念祭りとして、演劇ユニット「演劇チームずむ」が声優として活躍する原えりこを客演に迎えての公演が決定。



全11公演を、ヲタク女子のファンタジーコメディ「憧れの異邦人」、読めない男の奮闘記「夢のチャンス到来」ジャッキー・チェンあるあるのアクションコメディ「ゴールデン8ベストのライバル」そして主宰である原えりこのトークライブと、内容てんこもりの4演目が公演ごとに繰り広げられる。また各公演にスペシャルゲストも登場する豪華な舞台になりそうだ。今回、メインの客演を務める原えりこは、タツノコプロの名作アニメ、タイムボカンシリーズの「逆転イッパツマン」で、ヒロイン放夢ラン役で声優デビュー、その後、司会、ナレーター、ミュージカル出演と活動の場を広げ続けるレジェンド。「演劇チームずむ」とのコラボレーションがどんなものになるのか期待が膨らむ。
最終日9/1にはエンターテイメント セルフキートンプロデュースも上映される。福島県猪苗代町の非公認“ご当地怪獣”「大怪獣イナワシロン」や、そのメイキングドキュメンタリーとして制作された感動的なエピソード満載の特撮奮戦記、「おじさん達の、初めての特撮」の上映も予定されている。


8/30 FRIDAY ~ 9/1 SUNDAY
エンターテインメント セルフキートン旗揚げ28周年記念祭り
演劇チームずむwith声優 原えりこ

■時間/8/30 19:30、8/31 15:00、19:00 9/1 13:30、17:00
■会場/インディペンデントシアター1st.
■料金/前売3000円、当日3500円、前売2ステージ通し 5000円、
当日2ステージ通し 6000円、高校生以下通し 4000円、
最終日のトークライブのみ 前売 2000円、当日2,500円、
高校生以下1500円(学生証提示)
※受付は各開演時間の45分前
■WEBチケット予約 CoRICH舞台芸術
https://ticket.corich.jp/apply/322310/001/