HOME > MEGLOG【編集日記】 > <試写レポート!>マイク・ミルズ監督待望のコラボ第2弾!自身の経験からインスパイアされた映画『カモンカモン』

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ドキュメンタリー映画や身近な出来事を題材とした映画を生み出しているマイク・ミルズ監督と、SNSなどで多く考察され話題となった新感覚ホラー映画『ミッドサマー』などを手がけた映画製作・配給会社A24 が第1弾の『20センチュリー・ウーマン』に続いて、待望のコラボ第2弾『カモンカモン』を完成させた。本作の主演は、アメコミ映画史上最強のヴィランとも呼ばれる『ジョーカー』を演じ、アカデミー賞主演男優賞を受賞したホアキン・フェニックス。悪のカリスマ『ジョーカー』の狂気的なイメージとは180度かけ離れた、不器用ながらも、だんだんと相手を理解していく心優しい役どころを熱演している。


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物語はNYでシングルライフを送りながら、子供たちへのインタビューを仕事としているラジオジャーナリスト・ジョニー(ホアキン・フェニックス)がLAに住む妹から頼まれ、数日間9歳の甥・ジェシー(ウディ・ノーマン)の面倒を見ることから始まる。本作の着想は監督が、妻である映画作家でアーティストのミランダ・ジュライとの間に生まれた子ども・ホッパーをお風呂に入れている時に得たという。実際にミルズ自身が子育てをしていく中で経験した、さまざまな“想定外の出来事”にインスパイアされたストーリーで、ぶつかり合いながらも、お互いに理解し歩み寄ろうとする二人の姿は、両親との間で自分も経験したことあるようなどこか共感できる内容だ。
しかし、シングルライフのジョニーはジェシーと“叔父と甥”の関係であり、突然経験したことのない“子育て”という生活に放り込まれてしまう。他人でもなく親子でもない『叔父と甥』という設定にしたのは、何も知らない主人公が一夜にして、子育ての厳しさを思いっきり味わえる方法だったからだ。監督は「ジョニーは親が学ぶべきすべてのことを学ばなければならなくなる。それも早急にね。」「父親になると、自分は何に対しても初心者であり、物事の変化についていくのに精一杯だと感じることがある。これは、その混乱を再現する方法だった。子育ては起きていることに対して、いつも準備ができていない状態なんだよ。これは生物学的な親にならなければ経験できないことではない」と語っている。

物語の舞台となっているのは、ロサンゼルス・ニューヨーク・デトロイト・ニューオリンズの4都市。東、西、南、北の各都市が1つずつピックアップされているのも魅力の一つ。時系列で撮影された本作はジョニーが住んでいるアパート以外、ほとんどのロケ地は実際に生活が営まれている場所で行われており、よりリアルな世界観が生み出されているが映し出されるのはすべてモノクロ映像だ。「白黒にした理由はすごくたくさんある。まずここで僕が語っている物語は、すごくありふれたことだと思うんだよね。子供をお風呂に入れて、一緒に寝て、ご飯食べるというものだからね。だけど白黒にすることで、その日常風景から切り離されて、これは”物語”なんだ、ということをまず提示できると思った。」と監督は答えている。

また、本作はラジオジャーナリスト・ジョニーを演じているホアキン・フェニックスが、ロケ地である4都市に住んでいる9~14歳の子どもたちへ、実際にインタビューしているドキュメンタリータッチのシーンが組み込まれているのも特徴的だ。“自分たちが住んでいる街について、現在の生活について、世界について、そして未来について”率直に語っている彼らの“生の声”は生々しくもパワフル。なかなか聞くことがない彼らの思いや考えは、ハッとさせられることや、改めて考えさせられることも多い。このインタビューシーンはジョニーとジェシー2人の物語とも呼応していて、“すべての大人は子供と彼らの未来に責任がある”という強いメッセージを発している。

マイク・ミルズ監督と映画製作・配給会社A24、そしてアカデミー賞主演男優賞を受賞したホアキン・フェニックスがタッグを組んだ映画『カモン カモン』は4月22日(金)から、TOHOシネマズ 梅田ほか全国でロードショー予定。

◎Text/関谷佐和子(クエストルーム)

4/22 FRIDAY〜【大阪・TOHO シネマズ梅田、名古屋・伏見ミリオン座  他全国ロードショー】
映画「カモン カモン」
■監督・脚本:マイク・ミルズ
■出演:ホアキン・フェニックス、ウディ・ノーマン、ギャビー・ホフマン、モリー・ウェブスター、ジャブーキー・ヤング=ホワイト
■音楽: アーロン・デスナー、ブライス・デスナー(ザ・ナショナル)
■配給・宣伝: ハピネットファントム・スタジオ