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 先日は兄弟ピアノデュオのレ・フレールに取材をしました。場所は所属事務所のある神奈川県逗子市で、ということで前日の東京での取材後、横浜に宿泊して行ってまいりました。
 逗子は鎌倉の南隣り。横浜から意外と近く、JR横須賀線でおよそ30分の位置にあります。それよりも、海無し県に育った私にとっては、横浜~鎌倉~湘南なんて場所は憧れを通り越して畏敬の念さえ抱く土地柄です。事務所は古い一軒家だと伺っていたものの、レ・フレールのお二人からイメージするに、さぞかしオシャレな事務所だろうとお邪魔してみれば、、、古い一軒家でした。私が大学時代に住んでいた、西荻窪の風呂なし・共同トイレの部屋にも似た風情。俄然親近感が沸いてまいります。
 取材場所に通されると、そこには座布団とちゃぶ台。まさに私の弟が住んでいた東小金井の部屋と瓜二つです。話を伺えば、このちゃぶ台で打ち合わせやミーティングをいつも行っているとのこと。レ・フレールがデビュー以来、このちゃぶ台を挟んで色々な話し合いが行われきたわけです。ちゃぶ台ミーティング、略して「ちゃぶミー」としてファンの間でも知られているそうです。
 レ・フレールのお二人への取材もこのちゃぶ台を挟んで行いました。こうしてアーティストの方の知られざる背景を知ると、人間性がうかがい知れる分だけ好感が沸いてくるし、深く知りたくなります。
 今回の取材は力みすぎて、正直なところ上手に話を伺えませんでした。得てして個人的に好きだったり、思い入れがある方に対して程、取材となると空回りしがち(私は)なんですが、これからもレ・フレールと、お二人を支える事務所の方々を追いかけていこうと思います。
 音楽を含め、芸術作品とその制作者の人間性というのは、しばしば議論のテーマになるところです。ただレ・フレールのコンサートに来ているお客様の顔を見てみると、みんなライブを楽しみにしていて、そして心から楽しんでいるのがよく分かります。これは楽曲やパフォーマンスの良さだけでなく、彼らの人柄に因るところも大きいんじゃないかと、ちゃぶ台を眺めながら思ったわけです。
(FUKUMURA)


2013年01月17日 舞台「阿修羅のごとく」


向田邦子。その名前を目にすると、少しドキドキします。
数々のヒット作、名作を量産した売れっ子ドラマ脚本家、エッセイの名手、そして直木賞作家。
美人でお洒落、グルメで料理上手、骨董や書画を愛し、南青山のマンションで猫と暮らすー。
仕事の功績はもちろん、そのスタイリッシュで自立したライフスタイルは女性たちの憧れの的で、
没後30年以上を経た現在も女性誌などでたびたび取り上げられるほどです。
そんな彼女の最高傑作といわれるのが「阿修羅のごとく」。
'79年にNHKドラマとして放送されて以来、映画、舞台にもなっているので、ご覧になったことがある方も多いと思います。
一見、平凡な家族。でも、それぞれが秘密を抱え、お互いへの嫉妬心や猜疑心を隠し持っている。
そんなどうしようもない人間の業を四姉妹それぞれの生き方を軸にえぐり出す、ある意味でとても怖い作品です。
テレビドラマで四姉妹を演じたのは、加藤治子、八千草薫、いしだあゆみ、風吹ジュン。それぞれが、とにかくまぁ魅力的です。(私はリアルタイムでは見ていません、念のため…)特に、潔癖なオールドミスの三女を演じたいしだあゆみ。無愛想で不器用、意地っ張りで生き方下手な女性の内に秘められた心根の優しさや純情、硬質な色気と可愛らしさを巧みに表現し、とても魅力的でした。

この2月、名鉄ホールで新たに舞台版「阿修羅のごとく」が上演されるそうです。四姉妹は、浅野温子、荻野目慶子、高岡早紀、奥菜恵。そしてドラマの鍵となる母親に、加賀まりこ。なんという豪華な顔ぶれ!羅列される文字すら匂い立つようではありませんか。
浅野さん、荻野目さん、加賀さんは、’11年に舞台「8人の女たち」でも共演しています。名古屋公演を観ましたが、素晴らしかった…。G2の独創的な演出が、豪華女優陣の“バトル”感を際立たせていたのも印象的でした。
今回の「阿修羅のごとく」は、上演台本、演出ともに女性です。ひと癖もふた癖もある女優たちを、どう料理するのか。また、板の上で女優たちはどう化けるのか。想像しただけで興奮します。個人的には、三女を演じる高岡早紀に大注目。そして、あの向田ドラマが舞台でどのように甦るのかにも、興味津々です。ファンはもちろん、向田さんを知らない若い人にも、ぜひ観て欲しいと思います。
作家が評価されるべきは、やはり作品だと思うから。
(INABA)

<公演情報>
2/9 SATURDAY 2/10 SUNDAY チケット発売中
「阿修羅のごとく 」
◎原作/向田邦子 ◎上演台本/瀬戸山美咲 ◎演出/松本祐子
◎ 出演/浅野温子、荻野目慶子、高岡早紀、奥菜恵/林隆三、加賀まりこ ほか
■会場/名鉄ホール ■開演/2月9日(土)13:00、17:30、10日(日)13:00
■料金/全席指定¥9,800
■お問合せ/キョードー東海 TEL.052-972-7466(月〜土 10:00〜19:00)
※未就学児入場不可



 1/14(祝)に開催された「青春のグラフィティ コンサート 2013」を観てきました。往年の名曲はどれも素晴らしく、それぞれに思い出深く聴けたのですが、ことさらムッシュかまやつさんのパフォーマンスは異彩を放っていました。
 内容は、ご自身が影響を受けた音楽、ジャズやカントリー&ウェスタン、ロカビリー、ロックといった変遷を自身の演奏と歌唱でなぞり、スパイダースとソロの代表曲も織り交ぜるいうラインナップ。驚くのは、スパイダースやソロの曲が少しも色褪せて聞こえないということ。楽曲そのものの魅力も、もちろん理由のひとつでしょう。でもそれ以上に、ムッシュ本人が今も相変わらずロックし続けているからだと感じました。それは演奏にも表れていて、ムッシュのオリジナルコード(!)を駆使したギター演奏は、ときに原曲よりも洗練された仕上がりを見せます。昔を懐かしんで歌っているわけではなく、今の人に向けて今の形で歌い上げ、本人が心底それを楽しんでいる。しかも気負いがない。 
 「未だ現役」、「74才とは思えない」というような、安っぽい年齢のものさしはムッシュにとってはナンセンス。「74才、だからなんなの?いいじゃん」というほうが、むしろしっくりくる。誰しも必ず年をとるし、しわもできれば贅肉もつく。でも、スピリットまで朽ちてしまえば、もはやアーティストではなくなります。見た目の若さを自慢する老人は見ていて辛いもの。けれど、相応に年をとりながらも気負いなくロックし続けるムッシュは、いつまでも見ていたい存在です。

(FUKUMURA)


2012年11月28日 Ms.OOJAさん取材


来年3/17(日)に四日市市文化会館でコンサートを予定している、Ms.OOJAさんに取材しました。

地元四日市での公演を、とても楽しみにしているMs.OOJAさん。音楽活動を始めたのも四日市からで、その後名古屋に拠点を移してインディーズシーンで活躍します。昨年遂にメジャーデビューを果たし、今の活躍に至る訳ですが、とてもちゃんとしていらっしゃいます。たぶんインディーズでの経験も裏付けになっていると思いますが、大人です。自分の音楽に責任を持って取り組んでいる。そんな印象を持ちました。頑張って欲しいです!

(FUKUMURA)

<公演情報>
2013 3/17 (SUNDAY)
「Ms.OOJA TADAIMA LIVE in YOKKAICHI」
会場/四日市市文化会館
開演/19:00
料金/全席指定 ¥4,000(税込)
お問合せ/四日市市まちづくり振興事業団 059-354-4501





雨の土曜日、ナディアパークにて指揮者・井村誠貴さんの取材。

大阪音楽大学在学中よりオペラ指揮者として研鑽を積み、
現在までにレパートリーは50演目を超えるなど、その地位を確立している井村さん。
国内主要オーケストラやオペラ管弦楽団での客演はもちろん、
近年はミュージカルにも活動の場を広げ、「マイ・フェアレディ」「レ・ミゼラブル」「キャバレー」などのロングラン公演全国ツアーを成功させています。

そんな華麗なる経歴を持つ気鋭の指揮者にオペレッタの話を聞くー。
これが緊張せずにいられるでしょうか。
しかし、ご本人にお目にかかりお話が進むにつれて、そんな心配は吹き飛びました。
オペレッタの魅力、天才作曲家ヨハン・シュトラウスの当時の売れっ子ぶりなどなど、
クラシック音楽に詳しくない私にもわかりやすくお話しくださる井村さん。
その気さくで軽妙な語り口にぐいぐい引き込まれ、どんどん前のめりになっていきました。
取材が終わる頃には井村さんが振る「こうもり序曲」を早く聴きたい衝動に駆られ、
取り急ぎiPodで別の指揮者のバージョンを流しながら帰路についた次第です。
ああ、早く生のオケで聴きたい!(もちろん、序曲だけでなく全編楽しみです!)

井村誠貴さんのインタビューは、MEG1月号に掲載予定です。

<公演情報>
’13 2/22 FRIDAY〜24 SUNDAY
名古屋市文化振興事業団2013年企画公演
「オペレッタ こうもり」
■ 会場/名古屋市青少年文化センター アートピアホール
■ 開演/2月22日(金)18:30、23日(土)24日(日)11:00、16:00
■ 料金/S¥5,000(1F) A¥4,000(2F)
■ お問合せ/名古屋市文化振興事業団 TEL.052-249-9387

(INABA)