HOME > MEGLOG【編集日記】 > <オフィシャルインタビュー公開!>ウィントン・マルサリスが3月にセプテットで来日ツアー開催! 

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©Piper Ferguson


数多くのグラミー賞を受賞し、現代最高のジャズ・トランペット・プレイヤーであるウィントン・マルサリスが、2023年3月に東京と大阪で、来日コンサートを開催。4年ぶりの来日に先駆けてインタビューを行った。

【オフィシャルインタビュー】
2019年5月のウィントン・マルサリスの来日公演には本当に驚き、感銘を覚えた。それは、これぞジャズという技巧と創造的野心が渦巻くものであったからだ。その実演は達者な奏者を擁する5人編成=クインテットでなされたが、ウィントンのお眼鏡にかなった腕利き奏者たちが一丸となった表現の聴き応えのあることと言ったなら。キレキレのアンサンブル部と雄弁なソロが渾然一体となって聴き手に押し寄せる醍醐味と快感は、まさに選ばれたジャズ・アーティストだけが送り出せるものだった。1980年初頭に鳴り物入りでデビューして以降、すっとジャズ界の前線に位置し、シーンをリードしてきた実力と矜持が、そこには横溢。彼は名実ともに、ジャズ・セレブであることをまっとうしていた。一行は綺麗にスーツを着こなし、その佇まいもまた良し。気品、そしてその奥に渦巻く獰猛とも言える即興精神発露のあり方に、ジャズの凄さを実感するのはあまりに容易だった。
そして、うれしかったのは、そんなウィントンの久しぶりの演奏に触れた観客の歓声だった。それはまさに、ずっと彼のコンサートを待ち望み、その期待を超える熱演を受けて熱い反応が湧き上がるというもの。それを受けてウィントン自身も、自分は日本のファンから公演を待ち望まれてきたと実感できたのではなかったか。

「この前の日本でのコンサートは、とても良い雰囲気に包まれ、昔から知っている多くの素晴らしいミュージシャンにも会えました。日本の人々や文化にはいつも深い親近感を抱きます。日本で演奏することができ、また日本の皆さんと強い関係を持てることは常に光栄に思います」(引用する発言は、昨年12月にメールで取ったものだ)

ところで、前回の公演を見て痛感させられたのはずっと第一線を歩んできた彼がまったく疲弊することなく、今のアコースティック・ジャズをアグレッシヴに創造していたことだ。かような、唯一無二の精力的な活動を支えているものはなんなのだろう。

「両親や兄弟と常に音楽に囲まれて育ったことですね。また、ニューオーリンズの偉大な音楽の伝統、ディジー・ガレスピーやジェリー・マリガンなどの巨匠たちやマーカス・ロバーツやカルロス・エンリケスなどの同世代のアーティスト、さらにはジョー・ブロックやショーン・メイソン(ともにピアノ)などのまだあまり知られていない若手まで多くの素晴らしいジャズ・ミュージシャンと演奏する機会を得ていることなどが挙げられます。また、ジャズ・アット・リンカーン・センター(ウィントンが音楽監督を務めるニューヨークの総合的なジャズ機構/施設)や世界各国/各界のジャズ愛好家から多大なる支援を長年に渡って受け続けられていることも、今の私を導き支えてくれています」 

ときに、Covid-19のパンデミックはすべての人に大きな陰を投げかけた。ウィントンも、それは例外ではない。彼はニューオーリンズのジャズ表現/教育の第一人者として名高い父親のエリス・マルサリスを、新型コロナで2020年に失ってもいる。

「もちろん、パンデミックは個人的にも大きな喪失でした。しかしながら、ジャズという音楽の重要性やジャズの癒しの力を新たに確認することもできました。今後はより高いレベルに到達するために、私は邁進しますよ」

さて、今回のウィントンの来日公演は、クインテットによる前回のコンサートからさらに奏者を加えた7人編成=セプテットで行われる。「今回はセプテットで訪れる予定です。ニューオーリンズの音楽からコンテンポラリー・ジャズまでいろんな演奏ができるので、気に入っている編成なんです」と、彼はそのセプテットを説明する。
そのメンバーは前回の来日公演にも加わったジャズ・アット・リンカーン・センター・オーケストラの中枢にいるピアノのダン・ニマーとダブル・ベースのカルロス・エンリケスにくわえ、渡辺貞夫や渡辺香津美の公演で来日したこともある辣腕ドラマーのオベド・カルヴェールが同行。そして、ウィントンとともにフロントをなす管楽器奏者はテナー・サックスのアブディアス・アルメンテロスとトロンボーンのクリス・クレンショー、そしてアルト・サックス奏者のクリス・ルイスという選ばれた精鋭だ。

「とても優秀なメンバーをバンドに揃えています。私が作った『The Democracy! Suite』を演奏する予定です。他にもいろいろな曲を演奏しますし、私もとても楽しみでしょうがありません」

ウィントンが具体的に名前を出した『The Democracy! Suite』(Blue Engine、2020年)はジャズ・アット・リンカーン・センター・セプテット名義で録音したアルバムで、リズム・セクションは来日メンバーと同一だ。コロナ禍のなかじっくり作られた楽曲が収められており、その表題にあるように民主主義を尊重し希望を託した、力強く陽性にスウィングする一作だ。
真摯に現況を見据え、大志とともにジャズの力を謳歌する。そして、そこにはニューオーリンズ・ジャズ期から脈々と積み重ねられてきた豊穣な伝統と今を呼吸する清新さのマジカルな交錯が横たわる。そうした内実をウィントン・マルサリスは様々な角度や作法で提示し、ジャズのあるべき姿やその本質を鮮やかに見せてくれるはずだ。

●ウィントン・マルサリス(トランペット) プロフィール
1961年、ジャズ発祥の地であるルイジアナ州ニューオーリンズに生まれる。父親はジャズ教育にも力を注いだ同地のゴッドファーザー的存在であるピアニストのエリス・マルサリス。サックス奏者の兄ブランフォードをはじめ兄弟たちもジャズの道に進むという音楽一家に育ち、ウィントンはジュリアード音楽院在学中に大御所アート・ブレイキーのバンドに抜擢された。そして、弱冠19歳で『ウィントン・マルサリスの肖像』でデビューし、以後クラシックの作品も含め80作近いアルバムを発表し、グラミー賞も多部門にわたり獲得している。1996年にはNYの芸術総合施設であるリンカーン・センターのジャズ部門の芸術監督に就任し、その活動はより多彩かつ活発となり、また20世紀最良の米国音楽様式であるジャズを大局的見地のもと扱うようになった。そんな彼は現在米国ジャズ界の際たる実力者であり、セレブリティであるのは疑いがない。

ウィントン・マルサリス・セプテット in Japan 2023
〈東京・新宿文化センター 大ホール〉
日時:2023年3月23日(木)  18:30開演 / 17:30開場 ※小曽根真、中村健吾ゲスト出演
2023年3月24日(金)  18:30開演 / 17:30開場
料金:SS席 18,000円/ S席 12,000円/ A席 8,000円/ B席 6,000円/ U-20 3,000円
〈東京・サントリーホール〉
日時:2023年3月25日(土)  15:00開演 / 14:00開場
料金:SS席 18,000円/ S席 12,000円/ A席 8,000円/ P席 8,000円/ B席 6,000円/ U-20 3,000円
〈大阪・フェスティバルホール〉
日時:2023年3月27日(月)  19:00開演 / 18:00開場
料金:SS席 17,000円/ S席 11,000円/ A席 7,000円/ B席 5,000円/ U-20 3,000円

※出演者情報、チケット情報などは公式サイトをご確認ください。
【主催・制作・招聘】サンライズプロモーション東京
【お問合せ】サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(平日12:00-15:00)
【公式ページ】wynton-marsalis-japan.srptokyo.com
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