HOME > MEGLOG【編集日記】 > <チケットプレゼントあり!>又吉直樹が語る!大エルミタージュ美術館展の見どころ。

MEGLOG

ルカス・クラーナハ《林檎の木の下の聖母子》 1530年頃 (c)The State Hermitage Museum, St Petersburg, 2017-18

これから秋にかけ、東海エリアは話題のアート展の開催ラッシュ。中でも必見なのが、愛知県美術館で開幕中の「大エルミタージュ美術館展 オールドマスター 西洋絵画の巨匠たち」です。ロシア最大の国立美術館・エルミタージュ美術館の1万7千点にも及ぶ絵画コレクションの中から選りすぐった名画を一挙公開。この春、東京でも大盛況を博しました。

女帝エカテリーナ2世をはじめ歴代皇帝が集めに集めたエルミタージュのコレクション。中でもオールドマスターの作品群は、その中核をなしています。オールドマスターとは16世紀〜18世紀にかけてヨーロッパで活躍した美術の巨匠たちのこと。ティツィアーノ、クラーナハ、レンブラント、ルーベンス、ヴァン・ダイク、ヴァトー、ブーシェなど美術史を彩る画家たちの作品群から厳選したものが一堂に集められたのが今回の展示の目玉です。西洋絵画の王道中の王道を実際に見ることができる貴重な機会は逃せません!閉幕直前の9月頃には混雑するかもしれませんから、ぜひ早い時期に出かけてみてください。


開幕を前に、同展のオフィシャルサポーター、そして音声ガイドのスペシャル・ナビゲーターを務める又吉直樹さんが来名。展覧会の楽しみ方や文学と美術の共通点などを独自の視点で語ってくれました。ちなみに、本展の展示作品の中で又吉さんが好きな絵画のひとつが、フランス・スネイデルスの「鳥のコンサート」だそうです。「世界中から集まった鳥たちが勝手な曲を歌い、その騒ぎを真ん中のフクロウがまとめようとしている。そんな風に見え、どことなく現代にも通じると思いました。」という又吉さん。あなたは、どんな感想を持つのか…会場で実物を見て自身の感覚に向き合ってみるのも面白いと思いますよ。

<又吉直樹 Special Interview>
エルミタージュ美術館のあるサンクトペテルブルクは、僕の好きなドストエフスキーの小説「罪と罰」の舞台です。僕が抱いていた街のイメージは、主人公の青年ラスコーリニコフの心情に似通った、退廃的でお酒の臭いが充満していそうな灰色の世界でしたが、実際に出かけてみるととても美しいところでした。出かける前と後では印象が全く変わりました。ドストエフスキーが住んでいたアパートに掲げられた石碑には「ドストエフスキーは人間の脆さについてしっかり考える機会を与えてくれた」という意味の言葉が書かれていたんです。ドストエフスキーという作家をそんな風に捉えているロシアの凄さ、また文学や芸術と人々との距離の近さを感じられて嬉しかったですね。

今回、音声ガイドを担当するにあたって心がけたのは、芸術作品にはいろんな楽しみ方があることを伝えたいということ。知識を詰め込んで自分の感覚を置き去りにしてしまうような鑑賞ではなく、基本的な背景だけ押さえて、あとは自分の感覚で観るのが一番楽しいと思うんです。サンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館で、レオナルド・ダ・ヴィンチが聖母子像を描いた二つの作品を観ました。若い頃に描いたものと、もう少し年を経てから描いたものなんですが、後者の聖母子像は本当に美しいんですよ。若い頃の作品は人間に近いタッチで描かれていて、今にも動き出しそうな雰囲気があるんです。同じ人が描いているのにそれだけ変化が出るというか、同じ構図でも切り取る瞬間が違うんやなと思ったりして。そんな視点を持つと、世の中もいろいろ見えると思うんですよね。そんな風に、僕なりに気づいたことを言えたらいいなと思いながらナレーションをさせてもらいました。もうちょっとふざけたら良かったかなとも思いますけど(笑)。

太宰治が「芸術嫌い」というエッセイの中で「風車が悪魔に見えた時には、ためらわず悪魔の描写をなすべきであります。また風車が、やはり風車以外のものには見えなかった時は、そのまま風車の描写をするがよい。」と書いています。それは、文学でも絵画でも同じこと。エルミタージュ美術館の作品群を見て、自分の感覚を導入して表現することから逃げないようにしようと強く思いましたし、励まされました。

今回の展覧会を端的に表現するなら「共演」。素晴らしい画家たちの作品が一堂に集結した共演でもあり、美術館という空間を表現者と鑑賞者が共に作るという共同作業でもあると思います。ぜひ美術館に足を運んで、共演を楽しんでください。


フランス・スネイデルス《鳥のコンサート》 1630年代-1640年代 (c)The State Hermitage Museum, St Petersburg, 2017-18

<チケットプレゼント>
「大エルミタージュ美術館展に、抽選で5組10名様をご招待いたします!
ご希望の方は住所・年齢・ご職業・ご連絡先と共に、「大エルミタージュ美術館展希望」と明記の上、当ホームページの「CONTACT」よりメールにてご応募ください。
応募〆切は7/29(土)深夜24:00メール到着分までです。当選者の方には別途ご連絡申し上げます。ぜひご応募ください。圧倒的な美術体験が待っています!

<展覧会情報>
〜9/18 MONDAY・HOLIDAY 【開催中】 
「大エルミタージュ美術館展 オールドマスター 西洋絵画の巨匠たち」
■ 会場/愛知県美術館
■ 時間/10:00〜18:00(金曜日は20:00まで・入場は閉館30分前まで)
■ 料金(税込)/当日 一般¥1,600 高大生¥1,300 中学生以下無料
■ お問合せ/中京テレビ放送 事業局 TEL.052-588-4466(平日9:30〜17:30)
※会期中の毎週月曜日(8/14、9/18は開館)