2026年07月07日 愛知公演の開催迫る!『虹のかけら〜もうひとりのジュディ』会見レポート
戸田恵子だからここまでできる! 三谷幸喜構成・演出の一人舞台
◎撮影/阿久津知宏
2026年6月の東京公演を皮切りに全国上演がスタートした戸田恵子の一人舞台『虹のかけら〜もうひとりのジュディ』(三谷幸喜構成・演出)が、7月16日(木)・17日(金)、刈谷市にやってくる。2018年が初演のこの作品は、そもそも戸田が還暦記念として自ら三谷幸喜に書き下ろしを依頼して誕生したもの。ところが、4日間の公演は即完売で観られなかったファンが多く翌年2度目に挑戦。それが関係者の目に止まり、音楽の殿堂ニューヨーク・カーネギー・ワイル・リサイタルホールでの上演へとつながって、日本公演とともに2024年に3度目の上演を果たし、今回、凱旋公演のような形としての4度目の上演となったのである。
思いがけず回数と年数を重ねることとなった作品は、まさしく円熟味を増している。描かれているのは、映画「オズの魔法使」のドロシー役でその才能を世界中に知らしめ、「若草のころ」、フレッド・アステアと共演した「イースターパレード」など、ハリウッドのミュージカル大作で輝き続けたジュディ・ガーランドの生涯だ。が、戸田が演じるのはガーランドではない。彼女の専属代役兼付き人であったジュディ・シルバーマンという“もうひとりのジュディ”の日記を通してその姿が語られるのである。戸田自身も「演じていないのにジュディ・ガーランド像が浮かび上がってくる」と、この仕掛けを思いついた三谷に脱帽。また、それを可能にしているのが、戸田の声の使い分けにあることも付け加えておかなければならないだろう。戸田の日記の朗読に、若き日から最期を迎えるまでのジュディ・ガーランドをはじめ、映画監督や彼女の夫など登場人物たちが見事に色濃く立ち上がってくる。
◎撮影/阿久津知宏
もちろん戸田の力が発揮されるのは語りだけではない。映画「オズの魔法使」でドロシーに扮したガーランドが歌った「Over the Rainbow(虹の彼方に)」など、数々の名曲を歌い踊り、ちょっとした小道具を加えて歌の主人公になってみたりしながら、まさしくガーランドを彷彿とさせるエンターティナーぶりを見せる。演奏しているミュージシャンが時折そこに加わるのもユニークなところ。戸田自身の語りとしてそのときのガーランドやシルバーマンの状況を説明する場面でも、音でその場所の風景を表現したり、登場人物の扮装をしたり、戸田の歌や語りに楽器や台詞で掛け合ったり。みんなで盛り上げていくことで、ちょっとコミカルでチャーミングな戸田の姿も増幅していくことになる。
三谷は「『踊れ艦隊のレディたち』(1986年)で初めて戸田さんのお芝居を観て大ファンになった」と言うだけあって、戸田の魅力のすべてを知り尽くし、ここに注ぎ込んでいる。戸田のほうもまたそれに応えて、芝居に、語りに、歌に、踊りにノンストップで挑み、「体力が心配」と言いながらも、実に軽やかに舞台上を跳ねる。それを支えるスタッフも紹介しておきたい。音楽監督ならびにピアノ演奏は三谷作品で音楽を担ってきた荻野清子、振付・ステージングは本間憲一、ドラム演奏はBUN Imai、ベース演奏は鈴木陽子。最高の作り手が集まって届けてくれるエンターテインメント。最高に楽しい時間になることは間違いない。
◎Text/大内弓子
◎撮影/阿久津知宏
7/16THURSDAY・17FRIDAY【チケット発売中】
虹のかけら 〜もうひとりのジュディ
◾️会場/刈谷市総合文化センター アイリス 大ホール
◾️開演/7月16日(木)19:00 7月17日(金)13:00
◾️料金(税込)/全席指定¥8,800
◾️お問合せ/キョードー東海 TEL.052-972-7466
(月〜金 12:00〜18:00 土 10:00〜13:00 日祝日休み)
◾️チケット購入はこちら
*未就学児入場不可
2026年05月12日 『走る本屋と星降る島』 制作発表&公開稽古レポート
上質の演劇作品を創作し続ける兵庫県立ピッコロ劇団の85回目の公演となる今作では、地元劇作家、伊地知克介と、劇団員である岡田力が演出にと、タッグを組んだ新作書き下ろし作品となる。
制作発表会見には、作家・演出家のご両人に加え、主演の菅原ゆうき、木下鮎美が加わり、今作への思いを語った。
── ピッコロ劇団の本公演への作品を書かれるのは初めてとのことですが、今作への意気込みなどお聞かせください
伊地知克介:2年前まで新聞記者として演劇には関わっていました。劇作家としてのデビューは15年ほどになり、ピッコロ劇団さんとも短い作品(オフシアター作品)などでご一緒していましたが、今作は大きな会場での本公演作品に選んで頂いて、素直に嬉しいですね。
今作では滅び行くもの、無くなりつつあるモノと、異界の存在というモチーフの中で、人と人のコミュニケーション、あるいはコミュニティを考えるというテーマで創作しました。もちろん子どもさんから演劇ファンまで鑑賞される本公演作品ですから、リアルなドラマツルギーにファンタジー要素も盛り込んで、エンターテイメントとして楽しんで頂ける内容になっています。
地元にいる作家として密に劇団に関わっていけますし、演出家、役者の方々とのコミュニケーションをとって、よりよい作品に丁寧に向き合えるというのは刺激的で楽しいです。
── 役者としてピッコロ劇団で活躍される岡田力さんによる演出というのも今作の見どころですが、どんな作品を目指されていますか?
岡田力:演出を担当させて頂くのは今作で3作目となります。過去の2作はいずれもオフシアター公演での短い作品でしたので、初の本公演での演出にワクワクしています。
今作の伊地知さんの提示されたテーマは、まさに今、我々の社会が抱える問題そのものなんだと思っています。世界情勢がめまぐるしく変化していく中で、消えゆくモノ、失われるモノ、われわれの生活の中でも大きなところから小さなところまで多岐にわたっています。その象徴としての「本屋」というモチーフを中心に、さまざまなコミュニティ、人間界ではない存在が絡んでいくファンタジーです。
また演出としては、舞台美術も大きな役割を持つ演者のひとつなので、今回相当こだわった美術に挑戦していて、きっとみなさんに驚いてもらえると思います。
気心の知れた伊地知さんが常に稽古に来て下さるので、密度の濃い演出でよりよい作品に仕上げていきたいですね。
── 主演をつとめられる菅原さんにとって今作の役どころへの手ごたえなどありますか?
菅原ゆうき:僕はいつもクセのある人物を演じることが多いのですが、今作の主人公である海坂という男は実直で超マジメな男の役で、そこはやりがいを感じています。また、コミュニケーションやコミュニティという問いかけが、この作品の大きなテーマだと思っています。
作家の伊地知さんも頻繁に稽古に立ち会ってくださいますし、いつもご一緒している岡田さんの演出ですから安心して臨んでいます。なんといっても座組の雰囲気が今回は最高に良い環境です。いつもの菅原ではない新しい挑戦が出来ていると思っています。
── 少し風変わりの役どころとなる今作への思いを木下さんからもお願いします。
木下鮎美:私の役は、舞台となる島からみれば完全な部外者であるアメリカの文化人類学者という面白い役です。文化も育った環境も違いすぎるスーザンという存在は演じ甲斐のある挑戦です。この脚本のテーマであるコミュニケーションって、人それぞれが持っている“恐れ”みたいなモノが本質なんじゃないかと感じています。自分の立ち位置と相手との距離を恐れながら受け渡していくというような。今はそういう微妙な感情を試行錯誤しながら創っていく作業ですね。脚本の伊地知さん、そして演出の岡田さんが常に側にいてくださる環境の中での稽古なので心強いです。
観客の皆さんには、そういった部分に注目して欲しいのはありますが、何より劇場に居ながら離島に旅していただいているような感覚を味わっていいただけると思います。ご期待ください。
会見後、稽古場に場所を移しての公開稽古が設けられた。主演の菅原、そしてそれに絡む木下の台詞ひとつひとつに岡田の細かな演出が施されて、みるみる新たな関係性が構築されていく様子は、ピッコロ劇団特有の阿吽の呼吸の成せる技だと感じた。
今作は中学生のための“わくわくステージ”や遠く赤穂市での出張公演も予定されている。伊地知克介とピッコロ劇団員の息の合った新作に大いに期待したい。
取材・文 石原卓
ピッコロ劇団 第85回公演
『走る本屋と星降る島』
作/伊地知克介 演出/岡田力(ピッコロ劇団)
■日時/2026年5月29日(金) 18:30/30日(土)13:00/31日(日)13:00
6月6日(土) 13:00 ★/7日(日) 13:00 ★
※開場は各回 開演の30分前
★…音声ガイドサービスあり
視覚に障害のある方の鑑賞をサポートする音声ガイドサービスをご用意します。(無料・要申込)
申込締切5月30日(土) TEL:06-6426-1940 ピッコロシアター
■上演時間/約90分(休憩なし)予定
■会場/ピッコロシアター大ホール
■料金/一般¥3,500 大学・専門学校生 \2,500 高校生以下 ¥2,000
※未就学児の入場はご遠慮ください。
お問合せ/兵庫県立ピッコロ劇団 06-6426-8088(9:00-21:00 月曜休)
公式サイト/https://piccolo-theater.jp/
2026年03月26日 映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』舞台挨拶レポート
日本のパンクロックを生み出したムーブメント「東京ロッカーズ」を描いた快作!映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』がまもなく全国公開!
(C)2026映画「ストリート・キングダム」製作委員会
映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』が明日3/27(金)に全国公開される。1970年代後半に日本でパンクロックを生み出したムーブメント「東京ロッカーズ」の姿を、当時彼らのカメラマン兼マネージャーであった写真家・地引雄一の自伝的エッセイを原作に、映画「アイデン&ティティ」の監督・田口トモロヲと脚本家・宮藤官九郎が再びタッグを組んだ青春音楽映画。公開に先立ち、2/27(金)に名古屋・センチュリーシネマでの先行上映会ではトークショーが開催され、田口トモロヲ監督と名古屋のパンクロックシーンの重鎮、the原爆オナニーズ のTAYLOWさんが登壇した。
田口監督とTAYLOWさんは旧知の仲。監督は、自身のバンド“ばちかぶり”が原爆オナニーズと共演したことがあると明かし、当時のチラシを見せると、TAYLOWさんはチラシを大切に保管していた監督に「すごく嬉しかった」と気持ちを伝えた。2人の出会いはTALOWさんから監督への連絡から始まったという。1985年に原爆オナニーズがファーストアルバムをリリースするタイミングで、渋谷「屋根裏」でライブをやることになり、“ばちかぶり”に声をかけたのだと。
TAYLOWさんは『東京ロッカーズ』と直接関わりを持っていた。『東京ロッカーズ』のムーブメントが始まった頃、東京に遊びに行き「今度、京大西部講堂でライブをやるよ」と聞かされ、そのライブに足を運びメンバーたちと連絡先を交換して仲良くなったのだと。「そうやって直接繋がっていくのが当たり前の時代でしたね。まだその頃は一人のパンク好きにーちゃんでした。」と語る。
田口監督は「東京ロッカーズ」の世代よりは若干若い。「みんな年上で憧れの存在。怖い人も多かった時代で(笑)。その中でも原作者の地引雄一さんは、フラットでジェントルでした。地引さんが私をこのシーンに入りやすくしてくれて、その背中を見ながらバンド活動を始めたという感じです」と振り返る。
(C)2026映画「ストリート・キングダム」製作委員会
TAYLOWさんは、劇中に出てくるイベントにスタッフとして参加していたという事実が明かされると「THE STAR CLUBというバンドの東京マネージャーを務めていたので、「あ、俺ここの背中あたりにいたよね」というシーンがいっぱいありました。」と語る。田口監督は感無量な面持ちで「こんな平和な日をTAYLOWさんと迎えられるなら、映画に出てもらいたかったな!あの頃はみんな怒っていましたから(笑)」と気持ちを吐露すると、TAYLOWさんも「みんなやさぐれていた。怖いことだらけだったんでしょうけど、何故か上から目線で年上の人とも話していて、でも結構平気だったりした」と振り返った。
当時はどれくらい『東京ロッカーズ』が話題になったのか、その問いに監督は「メジャーにならないとダメという価値観の時代でした。『東京ロッカーズ』はその中で、既成概念を壊して新しいシーンを作っていこうとしていたんです。彼らは音楽シーンの中で辺境というか、崖っぷちに咲いた花のように孤高の存在。だからこそ格好いい。ライブに集まるファンも20人入ったら『やった!』という世界。ギャラが1,000円を超えたらパンクスは大喜び(笑)」と、リアルな様子も垣間見られた。
(C)2026映画「ストリート・キングダム」製作委員会
映画がどれくらい当時の様子を再現できているかとTAYLOWさんが問われると「新宿ロフトの様子は『俺、この辺にいた!』というシーンがいっぱいありました。スタッフが苦労しているところを色々手伝っていましたから。」と。田口監督は「当時は、今のライブなどにはない特有の緊張感や緊迫感がありました。ステージに立つバンドにも、『これをやらなければ死んでしまう』というような切迫感があったんです。そこは嘘をつけない部分だなと思いました。当時のライブハウスはほとんど現存していないから、その様子を緻密にセットで再現してもらったんです。その中に入った瞬間、僕は鳥肌が立ちましたね。」とアイデン&ティティから組んでいる映画美術にも自画自賛した。TAYLOWさんから「新宿ロフトと渋谷「屋根裏」は、当時のバンドマンにとって一番出たい憧れの場所ですから。その再現度は『胸キュン』レベルです。」語ると、田口監督は「原爆オナニーズのTAYLOWさんが『胸キュン』という言葉を使う時代になったんだということに、今俺はそこに『胸キュン』になりました」と感慨深げだった。
(C)2026映画「ストリート・キングダム」製作委員会
最後に田口監督は、「日本ではロック・フェスが盛んに行われていて、ビジネスとしても成功しているわけです。でも、その『最初の一歩』を築いた人たちについて全く知られていないことに愕然として。フェスやインディーズという方法論はこの人たちから始まっているんです。色々あって制作に11年かかったわけですが、こんなすごい人たちがいたんだということを「これでも食らえっ!」という気持ちで発射させてもらうので、皆さんは自由に観て感じてくれたらいいと思います。とこのトークを結んだ。
映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』は2026年3月27日(金)より名古屋市・ミッドランドスクエアシネマ、センチュリーシネマほかで全国公開。
映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』
3月27日(金)より名古屋市・ミッドランドスクエアシネマ、センチュリーシネマほかにて全国公開
公式サイトはこちら
監督:田口トモロヲ 脚本:宮藤官九郎
原作:地引雄一「ストリート・キングダム」
音楽:大友良英
キャスト:峯田和伸、若葉竜也、吉岡里帆
配給:ハピネットファントム・スタジオ
2026年03月24日 日本未公開作品を含む台湾映画3作品の特集上映
「台湾Filmake——映画に恋した3 つの人生——」
『紅い服の少女』、Netflix『模仿犯』など数々の話題作を世に送り出してきた
制作会社の初期作品『台湾ハリウッド』ほか、見逃し厳禁の3 作品が公開
大阪十三のシアターセブンにて上映!
3作品に共通するのは、“映画を作る人々”の物語を描いた映画であること。
青春時代を映画制作とともに駆け抜けた人々、超低予算の作品制作で一発逆転を狙う人々、そして関わった映画と自分自身が重なっていく経験をする人々——スクリーンの裏側で、不思議な出来事が作り手たちに巻き起こる。
本特集では、台湾映画史に残る大ヒットホラー『紅い服の少女』や、Netflix非英語ドラマ部門で世界2位を記録した「模仿犯」を手がけた“グリーナー・グラス”の初期作品に加え、台湾BLドラマ『奇蹟』で注目を集めたカイ・シュー出演作、さらに台湾ニューシネマの巨匠ホウ・シャオシェンのもとで長年美術監督を務めてきたホアン・ウェンインの長編初監督作を上映。『超低予算ムービー大作戦』は日本初公開、『台湾ハリウッド』『めぐる面影、今、祖父に会う』はいずれも日本では鑑賞機会の限られていた作品であり、劇場で観られる貴重な機会となる。
映画の作り手たちが映画、現実に人生を動かされていく、「事実は映画より奇なり」な台湾映画ファン必見の3作品をお見逃しなく!
台湾ハリウッド
『台湾ハリウッド』
——1960年代、台湾語映画の黄金時代。“台湾のハリウッド”と呼ばれた温泉街・北投には、映画に人生を賭けた人々の青春があった。若手監督のシャオ・リーショウが、台湾で活躍する日本人監督の北村豊晴とタッグを組み、その日々を笑いと涙たっぷりに描くロマンスコメディ。第15回台北映画祭・脚本賞受賞作。
STORY
入院中の祖父を見舞いに来た孫。脚本家だった祖父は、女優だった祖母との出会いを彼女に語り始める……。
時代は遡り、1960年代。台湾の北投で売れっ子脚本家の劉奇生(ラン・ジェンロン)は、自身が脚本を執筆した映画の初公開を迎え、宣伝に協力させられ劇場へ。そこで、満員の劇場に入れず、登壇するスターに会いたい一心で潜り込もうとする美月(アンバー・アン)に偶然遭遇し……。
CAST&STAFF
監督:シャオ・リーショウ、北村豊晴 出演:ラン・ジェンロン、アン・シンヤ、ワン・ボージエ
2013年/台湾/シネスコ/5.1ch/124分/台湾語、中国語/原題:阿嬤的夢中情人
©2012 All rights reserved.
超低予算ムービー大作戦
『超低予算ムービー大作戦』
ある有名映画会社の撮影中に、監督が謎の失踪を遂げる…!?広告界の奇才リー・ヨウチアオの最新作。ある低予算映画の制作過程でバカバカしくて奇妙な事態が次々と巻き起こる、ジェットコースター・コメディ。台湾発のBLドラマ『奇蹟』に出演し注目を集めたカイ・シュー、『カップルズ』出演のタン・ツォンシェンほか個性豊かなキャストがドタバタ劇を繰り広げる。
STORY
新作映画のため、プロデューサー(タン・ツォンシェン)は監督探しに奔走する。しかし、超低予算の企画を引き受ける監督は誰ひとりいない。藁をもすがる思いで採用したのは、自ら志願してきた怪しげな新人監督(カイ・シュー)。企画、出資元からの無理難題、そして撮影現場。スタッフたちは、予算の壁に翻弄されながら映画づくりに挑むことになるが……。
CAST&STAFF
監督:リー・ヨウチアオ 出演:カイ・シュー、タン・ツォンシェン、マリオ
2024年/台湾/シネスコ/5.1ch/98分/中国語/原題:導演你有病
©2024 All Rights Reserved.
めぐる面影、今、祖父に会う
『めぐる面影、今、祖父に会う』
台湾ニューシネマの巨匠、ホウ・シャオシェンと長年タッグを組んできたホアン・ウェンインの長編初監督作品。プロデューサーをホウ・シャオシェンが務める。父の介護のため実家に戻ったアートディレクターが、故郷で過ごすうち、日本の統治時代を生きた祖父に思いを馳せていく、家族ドラマ。台湾ドラマ版「イタズラなKiss」のアリエル・リン、ヒロインが惹かれていく建築士、そして祖父役をヴィック・チョウが演じる。
STORY
映画美術の仕事に携わるフーユェ(アリエル・リン)は、体調を崩した父を支えるため、撮影現場を一時的に離れ、故郷へ戻る。父の介護のため故郷で過ごすうち、そして撮影セット制作のため、連絡を取った建築士(ヴィック・チョウ)と語り合うなかで、彼女の心は祖父が生きた時間へと、重なっていく——。
CAST&STAFF
<めぐる面影、今、祖父に会う>
監督:ホアン・ウェンイン 出演:アリエル・リン、ヴィック・チョウ 特別出演:イーサン・ルアン プロデューサー:ホウ・シャオシェン
2023年/台湾/ビスタ/5.1ch/129分/台湾語、中国語、日本語/原題:車頂上的玄天上帝
©2023 All rights reserved.
2026年5月2日(土)より
大阪十三 シアターセブンにて上映 シアターセブンHPコチラ
2026年03月02日 映画『道行き』舞台挨拶レポート
第28回PFFプロデュース作品『道行き』
劇場公開大阪初日舞台挨拶に中尾広道監督と人間国宝・桐竹勘十郎が登壇
2026年2月27日(金)人形浄瑠璃の人形遣いで人間国宝の三世桐竹勘十郎初がはじめて映画出演をすることで話題の映画『道行き』。大阪の劇場公開初日の終演後に舞台監督の中尾広道と桐竹勘十郎を迎えて舞台挨拶が行われた。
会場内は映画ファンはもちろん、多くの文楽ファンを加えて超満員で作品上映の興奮冷めやらぬ間に舞台挨拶が始まった。
まず、監督、脚本、編集の中尾広道監督が登壇。「いつも怒られているので、今日は僕は喋らないようにがんばります」と会場の笑いを誘った後に、人形浄瑠璃の至宝、三世桐竹勘十郎が登壇。
司会による今作がPFF(ぴあフィルムフェスティバル)のスカラシップ作品として制作された経緯と共に中尾監督の私小説映画であるということ、また主演の渡辺大知氏以外はプロの役者を使わず、桐竹さんほか、現地の住民の方、そして物語のモチーフとなった人物だけで撮影された経緯が話された。
話題は今作で最も重要な役どころをこなした桐竹勘十郎氏に向けられる。
長年のキャリアを持つ人形浄瑠璃の人形遣いが映画に出演となった感想を司会者が聞くと、「もう、最初はほんとに緊張していました。人形浄瑠璃は太夫さんという台詞を、節を付けて語る方によって物語が進行します。われわれ人形遣いはそれに合わせて人形の所作を作っていく芸能で、自分自ら演技や台詞を話すのですから、どうしたものかと臨みました」と桐竹。
常に人形を通して演じているという経験が、今作の素晴らしい演技につながったと評する司会者にかぶせて、「この映画は時間という空間を、主人公や桐竹さんが行ったり来たりする映像世界を目指した制作で、撮影地の奈良県御所市に現存する古民家の現代にはなくなってしまった隙間を利用した撮影手法の中で、その間をしっかり意識して芝居をこなしてしまう桐竹さんは流石だと思った」と中尾監督。
加えて桐竹が、「家で台詞を何度も練習して撮影に臨むんですが、監督はすべてオッケーで、映画ってもっと演技指導とかされるのかなと思っていたので意外でした。そういう意味では自然体で撮影できたと思う」と述べた。
「奈良県御所市に僕が移り住んで、今の日本から消えつつある、日常の“間”を大切に映像化しようとしていて、そういう意味では人形浄瑠璃で人形に情感を付けていく桐竹さんの演技のセンスには大きな信頼感があった」と中尾監督が回想する。
2015年、『船』で、ぴあフィルムフェスティバル/PFFアワード入選を皮切りに、同グランプリ、フィルマドリッド最優秀賞受賞(スペイン)など各賞に選ばれ、現在、再注目の中尾監督が、人間国宝・桐竹勘十郎の新たな才を引き出したといえる。
映画を逸れて、話題は桐竹による人形浄瑠璃のこぼれ話など、文楽ファンにも貴重な時間となった舞台挨拶となった。
ふとすると、日常の忙しさで忘れてしまいそうな日本のソウル(魂)を、中尾監督の優しい視点と、多くの人形浄瑠璃作品で、人形に命を吹きかけ続けた桐竹勘十郎の好演によって覚醒させてくれる映画。この目まぐるしい時代にこそ観ておくべき作品だ。
取材・文 石原卓
第28回PFFプロデュース作品
『道行き』
監督・脚本・編集/中尾広道
<出演者>
渡辺大知、桐竹勘十郎、細馬宏通、田村塁希、大塚まさじ、
上田隆平、梅本 修、清水弘樹、中井将一郎、中山和美、ちょび
テアトル梅田、シネ・リーブル神戸にて上映中
奈良や京都でも順次上映予定
上映日程は下記公式サイトにてご確認ください
映画『道行き』公式サイト











