2026年10月13日 花、音楽、舞踊で甦る、三島由紀夫の美の世界
三島由紀夫の命日「三島忌」の直後、愛知で特別な舞台が幕を開ける。文学を起点に、花、日本舞踊、ヴァイオリン、ピアノが交錯。三島と縁深い名古屋西川流も参加し、その美学と生涯を現代の舞台芸術として描き出す。
1970年11月25日、45歳でその生涯を閉じた三島由紀夫。没後半世紀を超えた今も、小説、戯曲、評論など膨大な作品群と、その鮮烈な生き方は人々を惹きつけ続けている。三島忌直後の11月28日、愛知県芸術劇場コンサートホールで開催される「THE DAY OF MISHIMA―花と音楽・舞踊の宴―」は、そんな三島の世界を、文学そのものではなく、花、音楽、舞踊という異なる芸術によって立ち上げようとする意欲的な公演だ。
幕開けは、華道石田流四代家元・石田巳賀による「花の儀」。G20愛知・名古屋外務大臣会合の装花を担当し、フランスでもいけばなのデモンストレーションを行うなど、古典を礎に現代アートや異分野とのコラボレーションにも取り組んできた石田が、花を生ける所作そのものによって舞台空間を創り出す。
続く第一章は、ヴァイオリニスト・川井郁子による新制作版モノオペラ『美徳のよろめき』。三島が1957年に発表した同名小説を題材に、川井自身が台本・演出・音楽を手がけ、ヴァイオリンと語りで、許されぬ恋に身を委ねる女性の愛と官能、葛藤を描く。川井は国内外で活躍する一方、作曲や舞台制作にも活動を広げ、近年は和洋混合オーケストラ「響」を結成。2023年にはニューヨーク・リンカーンセンターで公演を行うなど、音楽・演出・物語を融合させた独自の舞台表現を追求している。本公演では三島文学に潜む危うく濃密な美を音楽へと変換する。
第二章では、ピアニスト・滑川真希と、西川流四世家元・西川千雅が共演。フィリップ・グラスが映画『Mishima: A Life in Four Chapters』のために作曲した『MISHIMA』を、ピアノと日本舞踊によって描き出す。ウィーンを拠点に世界で活躍する滑川は、フィリップ・グラス作品の第一人者として知られ、グラスが彼女のために作曲した作品の世界初演も手がけてきた。『MISHIMA』のピアノ・ソロ版も録音しており、今回、その研ぎ澄まされた演奏と日本舞踊との出会いから、新たな「MISHIMA」が生まれる。
舞うのは西川流四世家元・西川千雅。国内外で日本舞踊の舞台に立つ一方、「名古屋をどりNEO」をはじめ、伝統を現代へつなぐ新たな舞台づくりにも精力的に取り組んでいる。本公演では西川が演出・振付も担当。グラスの音楽に呼応する身体によって、三島自身の生涯や内面、美への執着を描き出す。ここには「名古屋で三島を描く」ことの意味もある。西川流二世家元・西川鯉三郎は、戦後に「名古屋をどり」を創設し、日本舞踊に演劇性を取り入れた新作舞踊劇を次々と発表。その創作には川端康成、有吉佐和子、木下順二らとともに三島由紀夫も参加した。文学者と舞踊家が手を携え、新たな舞台表現を生み出した歴史が、名古屋にはある。
その系譜を継ぐ西川千雅の舞と、三島の生涯を音楽化したグラスを知り尽くす滑川真希のピアノ。そこに川井郁子が『美徳のよろめき』から描く愛と官能、石田巳賀の花が重なる。文学を「読む」のではなく、音で聴き、舞で見つめ、花とともに感じる――。三島由紀夫という巨大な表現者を、異なるジャンルで活躍する表現者たちが、それぞれの方法で照らし出す。三島と名古屋を結ぶ記憶を受け継ぎながら、現代の舞台芸術として新たに立ち上がる、一夜限りの「MISHIMA」である。
<プログラム>
◎花の儀
出演/華道石田流 四代家元・石田巳賀
◎第一章 :新制作版 川井郁子プロデュース組曲『美徳のよろめき』
台本・演出・音楽/川井郁子
出演/川井郁子(ヴァイオリン&語り)、松永裕平(ピアノ)、鈴木崇朗(バンドネオン)、齋藤順(コントラバス)予定
◎第二章 :『日本舞踊とピアノ演奏の饗宴』
演奏曲/フィリップ・グラス『MISHIMA』 (編曲/マイケル・リースマン))
演出・振付・舞踊/西川千雅
ピアノ/滑川真希
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11/28 SATURDAY【10/17(土)〜チケット一般発売】
「THE DAY OF MISHIMA―花と音楽・舞踊の宴―」
■会場/愛知県芸術劇場 コンサートホール
■開演/18:00(開場17:00)※終演20:00予定
■料金(税込)/全席指定 ¥6,500、ペア ¥12,000 ※特製プログラム付
■お問合せ/ミュージックステーション TEL.052-734-3461(平日11:00〜18:00)
■チケット購入は 公演ホームページ から
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2026年10月06日 舞台『僕らの時代じゃない』取材会レポート
再演不可能!2026年の「今」を描き出す舞台を見逃すな!
11月に豊橋で上演される新作舞台『僕らの時代じゃない』。開幕を前に、作・演出の三浦大輔、出演者の森田剛、鈴木杏、峯田和伸の4人による取材会が行われた。その模様をレポートする。
「この時代、このタイミングでしか上演できない台本。内容的に再演もできないと思います」
1996年の演劇ユニット『ポツドール』旗揚げから30年。数々の舞台や映画で欲望、嫉妬、残酷さ、心の弱さといった人間の本質と葛藤を赤裸々なほどリアルに描き続けてきた三浦は、最新作に込めた思いをこんな強い言葉で表現した。
森田剛、鈴木杏、峯田和伸。数多くの舞台で鮮烈な演技と個性を見せてきた3人は今回が初共演。三浦と縁の深い峯田以外の森田、鈴木は三浦作品に初参加だが、「ステージに立っているだけで惹きつけられる、3人のいい意味で凸凹したバランスがいい。キャスティングはすごくうまくいったと思う」と、三浦はこの配役に自信と手応えを語る。
舞台はとある居酒屋。高校時代の同級生の結婚式に出席し、久々に再会した40代と思われる3人。売れない自主映画の監督で、実質バイト暮らしの菅原(森田)。俳優をあきらめ結婚したが別居、一人で子どもを育てている保育士の里美(鈴木)。バンド活動に挫折し、故郷に戻って会社員をしながら母の介護をしている今井(峯田)。
同級生だが、特別仲が良かったわけではない。状況は一見、TV番組『ボクらの時代』のようだが、語り合われるのは決して懐かしい思い出話ではなく、40代となったそれぞれの人生や「世間」「時代」への思い。鈴木によれば「セリフでは現在の話しかしないので、ほっこりしたところはないですね。大体3人でバトって(バトルして)ます」。
三浦が舞台を居酒屋に設定したのは、「コンプラがない空間」だからだという。日々大量の情報が溢れるSNS。多様性とコンプライアンスに縛られる現代社会。だが居酒屋で直接顔を合わせた3人の間では、今後の関係を気にすることなく言いたい本音をぶつけ合える。40代の3人それぞれが抱える悩みや思いが交錯していく中から、なぜこの3人がここに集まったのか、物語の核心が浮かび上がってくる。
「40代は、時代の古い価値観と新しい価値観の狭間で考えが揺らいだこともあったが、50代になった今は、社会の制度や仕組みがどんなに変わっても人間の根本的な欲求は変わらないと思っている」。時代によって描く角度を変えながら人間の本質を見つめてきた三浦が、「一般の人」の目線から、2026年の「今」を舞台に映し出す。
書かれたセリフは、演者たちの心にも響いている。森田はセリフの中に「こういうこと俺も思っていたのかも」と感じる瞬間があると言う。峯田もSNS社会への違和感を持つ今井を演じて「語っているのが自分なのか今井なのか、錯覚することがある」と語る。
「舞台上で延々続くのは言葉を使った殴り合い。普段から思っているけど大声では言えないことを言っていたり、自分に鏡を突きつけられているような気になる作品。でも
この3人だったら乗り越えられるな、って言う安心感もすごくある」と鈴木。
「今というタイミングで、生の舞台で見ていただくことでしか味わえない感覚の作品になった自負はあります。演劇は終われば無くなってしまうので、ぜひ劇場へ!」三浦がそう語る、2026年の「今」だからこそ生まれた再演不可の会話劇。舞台上の3人が繰り広げる言葉の殴り合いは果たしてどんな結末を迎えるのか。ぜひ劇場の客席で確かめてほしい。
◎Text/藤井真也
11/7 SATURDAY・8 SUNDAY【チケット発売中】
「僕らの時代じゃない」
◾️会場/穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール
◾️開演/11月7日(土)12:00、17:00 11月8日(日)12:00
◾️料金(税込)/全席指定¥11,500
◾️お問合せ/東海テレビ放送 事業部 TEL.052-954-107(平日10:00〜17:00)
*チケット購入はこちらから
2026年08月24日 リーディングドラマ『すぐ死ぬんだから』会見レポート
リーディングドラマ『すぐ死ぬんだから』で長野博が描く、年齢を重ねることの豊かさ
内館牧子の同名小説を、大地真央と長野博の二人で届けるリーディングドラマ『すぐ死ぬんだから』。初めてリーディングドラマに挑む長野に、大地との再共演や作品の魅力、作品を通して伝えたい思いなどを聞いた。
――今回、リーディングドラマは初挑戦になるそうですね。
朗読劇は初めてですが、今回は歌がありますし、楽しそうだなと思いました。
――大地真央さんとは、2019年の『クイーン・エリザベス』以来の共演です。
はい。その時はエリザベスの恋人役で出演させていただきました。今回は旦那さん役ということで、相方のような役でご一緒させていただくのですが、大地さんは何年たっても変わらないですね。
――今回は夫婦役だけでなく、さまざまな人物を演じられるそうですね。
はい。夫婦でありながら、全く違う関係性の役を演じます。
――台本を読んで、どんなところに面白さを感じましたか。
軽快で、くすっと笑っちゃうようなユーモアがあって、また、「あ、この線につながるんだ」という伏線が随所に散りばめてあるので、本当に面白い本だと思います。『すぐ死ぬんだから』というタイトルも、一見、ネガティブに感じるかもしれませんが、「まだまだやれることあるじゃない。これからだよ」とポジティブに受け止めてもらいたいと思います。
――作品のテーマにもつながりますが、長野さんにとって「年を重ねる」とはどういう感覚ですか?
人生の厚みが増していく、経験を積んでいくというような感覚がありますね。あとは、年をとっても新しいことに出会えるのはすごく新鮮だし、それによってまた人生が豊かになると思います。
――80代の男性をはじめ、年齢も性別も違う人物を演じることも大きな挑戦ですね。80代を演じるのは初めてですか。
初めてですね。その役を普通の舞台でやれば、メイクをして、かつらもかぶるかもしれないですけども、今回はリーディングなので、声の表現がメインになると思います。あとはお客さんに想像していただきたいと思います。
――長野さんと同世代の方にはもちろん、若い世代にも届く作品でしょうか。
はい、年齢を問わないと思います。若い方がご覧になっても、「年を重ねても、まだまだ楽しいことがあるんだな」とか、「いろんなことができるんだな」というメッセージ性を感じ取ってもらえると思います。もちろん、僕と一緒に年を重ねてきてくださった同世代の方にも、これからを生きていく上で、チャレンジできることはいろいろある。「まだ楽しそうだな」と思ってもらえるような作品ではないかと思います。
◎Interview&Text/岩本和子
10/17 SATURDAY・10/18 SUNDAY【チケット発売中】
■リーディングドラマ「すぐ死ぬんだから」
■会場/サンケイホールブリーゼ
■開演/10月17日(土)13:00・17:00、18日(日)13:00
■料金(税込)/全席指定¥9,500
■お問い合わせ/サンライズプロモーション TEL.0570-00-3337(平日12:00~15:00)
2026年07月07日 愛知公演の開催迫る!『虹のかけら〜もうひとりのジュディ』会見レポート
戸田恵子だからここまでできる! 三谷幸喜構成・演出の一人舞台
◎撮影/阿久津知宏
2026年6月の東京公演を皮切りに全国上演がスタートした戸田恵子の一人舞台『虹のかけら〜もうひとりのジュディ』(三谷幸喜構成・演出)が、7月16日(木)・17日(金)、刈谷市にやってくる。2018年が初演のこの作品は、そもそも戸田が還暦記念として自ら三谷幸喜に書き下ろしを依頼して誕生したもの。ところが、4日間の公演は即完売で観られなかったファンが多く翌年2度目に挑戦。それが関係者の目に止まり、音楽の殿堂ニューヨーク・カーネギー・ワイル・リサイタルホールでの上演へとつながって、日本公演とともに2024年に3度目の上演を果たし、今回、凱旋公演のような形としての4度目の上演となったのである。
思いがけず回数と年数を重ねることとなった作品は、まさしく円熟味を増している。描かれているのは、映画「オズの魔法使」のドロシー役でその才能を世界中に知らしめ、「若草のころ」、フレッド・アステアと共演した「イースターパレード」など、ハリウッドのミュージカル大作で輝き続けたジュディ・ガーランドの生涯だ。が、戸田が演じるのはガーランドではない。彼女の専属代役兼付き人であったジュディ・シルバーマンという“もうひとりのジュディ”の日記を通してその姿が語られるのである。戸田自身も「演じていないのにジュディ・ガーランド像が浮かび上がってくる」と、この仕掛けを思いついた三谷に脱帽。また、それを可能にしているのが、戸田の声の使い分けにあることも付け加えておかなければならないだろう。戸田の日記の朗読に、若き日から最期を迎えるまでのジュディ・ガーランドをはじめ、映画監督や彼女の夫など登場人物たちが見事に色濃く立ち上がってくる。
◎撮影/阿久津知宏
もちろん戸田の力が発揮されるのは語りだけではない。映画「オズの魔法使」でドロシーに扮したガーランドが歌った「Over the Rainbow(虹の彼方に)」など、数々の名曲を歌い踊り、ちょっとした小道具を加えて歌の主人公になってみたりしながら、まさしくガーランドを彷彿とさせるエンターティナーぶりを見せる。演奏しているミュージシャンが時折そこに加わるのもユニークなところ。戸田自身の語りとしてそのときのガーランドやシルバーマンの状況を説明する場面でも、音でその場所の風景を表現したり、登場人物の扮装をしたり、戸田の歌や語りに楽器や台詞で掛け合ったり。みんなで盛り上げていくことで、ちょっとコミカルでチャーミングな戸田の姿も増幅していくことになる。
三谷は「『踊れ艦隊のレディたち』(1986年)で初めて戸田さんのお芝居を観て大ファンになった」と言うだけあって、戸田の魅力のすべてを知り尽くし、ここに注ぎ込んでいる。戸田のほうもまたそれに応えて、芝居に、語りに、歌に、踊りにノンストップで挑み、「体力が心配」と言いながらも、実に軽やかに舞台上を跳ねる。それを支えるスタッフも紹介しておきたい。音楽監督ならびにピアノ演奏は三谷作品で音楽を担ってきた荻野清子、振付・ステージングは本間憲一、ドラム演奏はBUN Imai、ベース演奏は鈴木陽子。最高の作り手が集まって届けてくれるエンターテインメント。最高に楽しい時間になることは間違いない。
◎Text/大内弓子
◎撮影/阿久津知宏
7/16THURSDAY・17FRIDAY【チケット発売中】
虹のかけら 〜もうひとりのジュディ
◾️会場/刈谷市総合文化センター アイリス 大ホール
◾️開演/7月16日(木)19:00 7月17日(金)13:00
◾️料金(税込)/全席指定¥8,800
◾️お問合せ/キョードー東海 TEL.052-972-7466
(月〜金 12:00〜18:00 土 10:00〜13:00 日祝日休み)
◾️チケット購入はこちら
*未就学児入場不可
2026年05月12日 『走る本屋と星降る島』 制作発表&公開稽古レポート
上質の演劇作品を創作し続ける兵庫県立ピッコロ劇団の85回目の公演となる今作では、地元劇作家、伊地知克介と、劇団員である岡田力が演出にと、タッグを組んだ新作書き下ろし作品となる。
制作発表会見には、作家・演出家のご両人に加え、主演の菅原ゆうき、木下鮎美が加わり、今作への思いを語った。
── ピッコロ劇団の本公演への作品を書かれるのは初めてとのことですが、今作への意気込みなどお聞かせください
伊地知克介:2年前まで新聞記者として演劇には関わっていました。劇作家としてのデビューは15年ほどになり、ピッコロ劇団さんとも短い作品(オフシアター作品)などでご一緒していましたが、今作は大きな会場での本公演作品に選んで頂いて、素直に嬉しいですね。
今作では滅び行くもの、無くなりつつあるモノと、異界の存在というモチーフの中で、人と人のコミュニケーション、あるいはコミュニティを考えるというテーマで創作しました。もちろん子どもさんから演劇ファンまで鑑賞される本公演作品ですから、リアルなドラマツルギーにファンタジー要素も盛り込んで、エンターテイメントとして楽しんで頂ける内容になっています。
地元にいる作家として密に劇団に関わっていけますし、演出家、役者の方々とのコミュニケーションをとって、よりよい作品に丁寧に向き合えるというのは刺激的で楽しいです。
── 役者としてピッコロ劇団で活躍される岡田力さんによる演出というのも今作の見どころですが、どんな作品を目指されていますか?
岡田力:演出を担当させて頂くのは今作で3作目となります。過去の2作はいずれもオフシアター公演での短い作品でしたので、初の本公演での演出にワクワクしています。
今作の伊地知さんの提示されたテーマは、まさに今、我々の社会が抱える問題そのものなんだと思っています。世界情勢がめまぐるしく変化していく中で、消えゆくモノ、失われるモノ、われわれの生活の中でも大きなところから小さなところまで多岐にわたっています。その象徴としての「本屋」というモチーフを中心に、さまざまなコミュニティ、人間界ではない存在が絡んでいくファンタジーです。
また演出としては、舞台美術も大きな役割を持つ演者のひとつなので、今回相当こだわった美術に挑戦していて、きっとみなさんに驚いてもらえると思います。
気心の知れた伊地知さんが常に稽古に来て下さるので、密度の濃い演出でよりよい作品に仕上げていきたいですね。
── 主演をつとめられる菅原さんにとって今作の役どころへの手ごたえなどありますか?
菅原ゆうき:僕はいつもクセのある人物を演じることが多いのですが、今作の主人公である海坂という男は実直で超マジメな男の役で、そこはやりがいを感じています。また、コミュニケーションやコミュニティという問いかけが、この作品の大きなテーマだと思っています。
作家の伊地知さんも頻繁に稽古に立ち会ってくださいますし、いつもご一緒している岡田さんの演出ですから安心して臨んでいます。なんといっても座組の雰囲気が今回は最高に良い環境です。いつもの菅原ではない新しい挑戦が出来ていると思っています。
── 少し風変わりの役どころとなる今作への思いを木下さんからもお願いします。
木下鮎美:私の役は、舞台となる島からみれば完全な部外者であるアメリカの文化人類学者という面白い役です。文化も育った環境も違いすぎるスーザンという存在は演じ甲斐のある挑戦です。この脚本のテーマであるコミュニケーションって、人それぞれが持っている“恐れ”みたいなモノが本質なんじゃないかと感じています。自分の立ち位置と相手との距離を恐れながら受け渡していくというような。今はそういう微妙な感情を試行錯誤しながら創っていく作業ですね。脚本の伊地知さん、そして演出の岡田さんが常に側にいてくださる環境の中での稽古なので心強いです。
観客の皆さんには、そういった部分に注目して欲しいのはありますが、何より劇場に居ながら離島に旅していただいているような感覚を味わっていいただけると思います。ご期待ください。
会見後、稽古場に場所を移しての公開稽古が設けられた。主演の菅原、そしてそれに絡む木下の台詞ひとつひとつに岡田の細かな演出が施されて、みるみる新たな関係性が構築されていく様子は、ピッコロ劇団特有の阿吽の呼吸の成せる技だと感じた。
今作は中学生のための“わくわくステージ”や遠く赤穂市での出張公演も予定されている。伊地知克介とピッコロ劇団員の息の合った新作に大いに期待したい。
取材・文 石原卓
ピッコロ劇団 第85回公演
『走る本屋と星降る島』
作/伊地知克介 演出/岡田力(ピッコロ劇団)
■日時/2026年5月29日(金) 18:30/30日(土)13:00/31日(日)13:00
6月6日(土) 13:00 ★/7日(日) 13:00 ★
※開場は各回 開演の30分前
★…音声ガイドサービスあり
視覚に障害のある方の鑑賞をサポートする音声ガイドサービスをご用意します。(無料・要申込)
申込締切5月30日(土) TEL:06-6426-1940 ピッコロシアター
■上演時間/約90分(休憩なし)予定
■会場/ピッコロシアター大ホール
■料金/一般¥3,500 大学・専門学校生 \2,500 高校生以下 ¥2,000
※未就学児の入場はご遠慮ください。
お問合せ/兵庫県立ピッコロ劇団 06-6426-8088(9:00-21:00 月曜休)
公式サイト/https://piccolo-theater.jp/











