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2004年急逝した小説家中島らも。
その破天荒な人生と、彼独自の世界観が反映された作品群は、今読んでも色褪せることなく、彼の死後も世代を超えて愛読され続けている。
そんな彼が亡くなる直前に書き上げた最期の短編小説が『DECO-CHIN』だ。
ミュージシャンの道に挫折し、カウンターカルチャー誌の副編集長となった主人公が、あるバンドとの出会いによって自らの肉体改造をもって覚醒する愛の物語。
4月26日(土)より K’sシネマほか全国順次公開


監督・脚本は、ロック魂をテーマに数々の映画作品を世に送り出してきた島田角栄。
自ら聖書(バイブル)と語る原作の映像化に際して、監督曰く“街のごちゃごちゃしたところをフォーカスして切り取りたかった” 高円寺、中野、早稲田を舞台に選んだ。
主人公の松本には初の野外ワンマンとなる17周年記念公演『アーバンギャルドの昭和百年・野音戦争』を成功させたアーバンギャルドのリードヴォーカル松永天馬、他、
永岡佑、古市コータロー(THE COLLECTORS)、小林雅之(JUN SKY WALKER(S))、仲野茂(アナーキー)、お笑い芸人のゆってぃNYチーズケーキTOKYO FRIDAY NIGHT、鳥居みゆき、マツモトクラブ等ジャンルを超えた出演陣が顔を揃えた。


【ストーリー】
ミュージシャンの道をあきらめインプラント、スピリットタン等カウンターカルチャーを扱う音楽誌「OPSY」の編集者として毎日を送る松本は、ある日、社長命令で
プロダクションからの売り込みバンド「The PEACH BOYS」のワンマンライブに足を運ぶ。しかし、そのあまりの酷さに編集者としての人生を「なんという徒労だ」
と愚痴り絶望する。そんなライブ終演後、店長の五百鬼頭が一つのバンドを紹介する。告知もせず突然登場した世界でも稀有なバンド「THE COLLECTED FREAKS」
との衝撃の出会いだった。
そして松本は”自分を愛するために“ある決断をする・・・・・・


『デコチン DECO-CHIN』
松永天馬(アーバンギャルド) 
永岡 佑  中田彩葉
古市コータロー(THE COLLECTORS) 小林雅之(JUN SKY WALKER(S)) 仲野茂(アナーキー) マツモトクラブ
プリティ太田 ゆってぃNYチーズケーキTOKYO FRIDAY NIGHT 鳥居みゆき
原作:中島らも「DECO-CHIN」(集英社文庫刊「君はフィクション」所収)
主題歌 「ナルシスト」 松永天馬
監督・脚本/島田角栄
プロデューサー/林哲次 撮影/笠真吾 美術/山本宗 VFX/奇志戒聖 録音/内田達也 照明/松田章吾
特殊造形/ゾンビストック 音楽監督/RYU智秀 宣材写真&デザイン/松蔭浩之 
配給/フリック 製作/TOブックス R15+
2025年/日本映画/91分/ヴィスタサイズ/ステレオ
(C)2025中島らも/集英社・TOブックス 映倫 124661

『デコチン DECO-CHIN』公式HP


飯森範親マエストロと日本センチュリー交響楽団が10年にわたり取り組んできたハイドンの交響曲全曲演奏と録音プロジェクト「ハイドンマラソン」の最終公演が3月21日(金)に開催されます。
公演を目前に控えた先日、飯森範親マエストロと楽団員から副首席コントラバス奏者の内藤謙一が記者会見に臨みました。


冒頭、飯森マエストロは「間もなくようやく完結できるということで嬉しく思っています。
前楽団長をはじめ、楽団メンバー1人1人の力がなかったら成し得なかったプロジェクトだったと思います。」と感慨深い面持ちで話しました。
内藤氏は、「ソリストで出演した公演の3曲を除いて全て、演奏してきました。他のオーケストラの楽団員でハイドンの交響曲全曲を弾いた人は他にいないのでは?(笑)。全部やることが大きな意味があったと思う。楽譜をみて当時のことや楽器のことを調べたりマエストロと相談したりして、つまらなく見えていた楽譜が面白く見えてきたりして演奏にアイデアが生まれてくる瞬間を何回も経験できたのが楽しかったです。」と、達成感溢れる言葉で語りました。


ハイドンの楽譜はシンプルでそのまま演奏すると単調に陥りがちな部分もあるところを、マエストロ自らのアイデアでフレージングや強弱など細かく楽譜に書き込みしたものを楽団員が演奏する手法をとり、さらにチェンバロを毎回入れることで表現の幅が広がり、飯森&センチュリーのハイドンならではの独自の演奏スタイルを追求してきました。
「このハイドンマラソンは、センチュリーにとっても自分自身にとっても大きなプロジェクトでした。音楽家にとって難しい作曲家だけれども、このような挑戦をさせてくれたセンチュリーに感謝しています、大変なことも多くありましたが、首席指揮者としての11年間、一生忘れることができないものとなりました。」とマエストロの感謝の言葉が印象的な会見となりました。


ハイドンマラソン最終公演は、日本センチュリー合唱団とのモーツァルトを交え、ハイドン交響曲 第104番「ロンドン」で華やかに幕を閉じます。
また、コンサートと合わせて地道に続けてきたライブ録音のCD「ハイドン交響曲集」は現在Vol.28まで発売されており、こちらも完結まであとわずかとなっています。

Text: 前田聡子(日本センチュリー交響楽団)



ハイドンマラソンHM.38 <ファイナル>
2025年3月21日(金)19:00開演(18:00開場)
■会場/ザ・シンフォニーホール
■指揮/飯森 範親 
■合唱/日本センチュリー合唱団
■管弦楽/日本センチュリー交響楽団
ハイドン/交響曲 第84番 変ホ長調 Hob. I:84
モーツァルト/アヴェ・ヴェルム・コルプス K.618
モーツァルト/レクイエム ニ短調 K.626より 「ラクリモザ」
ハイドン/交響曲 第104番 ニ長調 Hob. I:104 「ロンドン」
■料金/A5,000円 B:4,000円 【チケット発売中】
■お問い合わせ/センチュリー・チケットサービス TEL 06-6848-3311(平日10:00-18:00)


いま演劇界を疾走する万能グローブ ガラパゴスダイナモスと、ゴジゲン主宰の松居大悟、そしてミュージシャンの小山田壮平がタッグを組んだ群像コメディ劇がやって来る!福岡愛をキーワードに斬新な演出と演技で魅せる群像コメディドラマ。新時代の演劇シーンを見逃すワケにはいかない!




劇団『万能グローブ ガラパゴスダイナモス』主宰の椎木樹人が『見上げんな!』大阪公演のPRのため来阪。今作では劇団『万能グローブ ガラパゴスダイナモス』(以下ガラパ)の役者陣に加え、福岡にゆかりが深い全国区の客演俳優を集めるもの。そしてガラパの座付作家:川口大樹のオリジナル脚本を演出するキーマンに東京で劇団ゴジゲンを主宰する松居大悟を迎えて、音楽をミュージシャンの小山田壮平が書き下ろすという、稀有なる注目の舞台となる。

椎木率いる『ガラパ』は、福岡で2005年に旗揚げ。ちょうど創設20周年を迎える節目の年となる。椎木自身、幼い頃から舞台に興味を抱き、高校での演劇部への入部が役者キャリアのスタートだったという。福岡を中心に演劇活動を続けつつ、全国公演も精力的に行ってきた。
演出を担当する松居大悟と椎木は同い年で、高校生までともに福岡市で育った。ただ社会に出るまでは特に交流はなかったという。そんなふたりは、京都の劇団『ヨーロッパ企画』に衝撃を受け、東京と福岡でお互いが別々の劇団を立ち上げていた。
今作は、ガラパ(川口&椎木)、ゴジゲン(松居)、小山田壮平が、故郷の福岡で
新劇場(福岡市民ホール 中ホール)のオープニング公演として共同で作り上げるもの。

「福岡っておもしろい街なんです。新しモノ好きというか、劇団立上げ当時は、福岡出身というだけでウケていた時代でもありました。東京志向というより、福岡という土地の潜在的なパワーを全国の人に伝えたい、また福岡にも東京や関西のような小劇場ムーブメントを起こしたい」という気持ちで、福岡を本拠地とするこだわりは今後も変わらないという。
「今作は福岡を皮切りに、大阪、東京と巡演しますが、日本を代表する三都市それぞれの土地で作品が変化していくんじゃないかと僕たちも期待しています。」
作品は駆け出しの映像作家三月(みづき)を取り巻く物語。故郷福岡からオファーが来た仕事は解散寸前のおじさんバンドのMV制作という風変わりな仕事……。地方と都会とが交錯して全編が博多弁で繰り広げられる群像コメディドラマに仕上がった。

「ガラパはコメディドラマが売りなのですが、笑いを前面に押し出すイメージだけが先に来ると、関西のお客様に対して自らハードルを上げてしまうことになる…ので注意しています(笑)。笑いの質には神経質だけど、一度、懐に入れてもらえれば、とことん楽しんでくださるのも関西のお客様の印象です。」
今注目のクリエーターが福岡というキーワードでつながった見逃せない公演となりそうだ。

万能グローブ ガラパゴスダイナモス×ゴジゲン×小山田壮平
『見上げんな!』大阪公演
◼️会場/近鉄アート館(大阪市阿倍野区〔あべのハルカス近鉄本店〕ウィング館8F)
◼️日時/
4月17日(木)19時開演 ★アフターイベント:小山田壮平ミニライブ
4月18日(金)14時開演 ★アフターイベント:トークショー/ゲスト:野田裕貴(梅棒)
4月18日(金)19時開演 ★アフターイベント:トークショー/ゲスト:大歳倫弘(ヨーロッパ企画) 
4月19日(土)13時開演 
4月19日(土)18時開演 ★アフターイベント:ガラパ名物 生コメンタリー
4月20日(日)13時開演
◼️料金:中央前列指定席7,000円、一般指定席6,000円、U-25席(25歳以下限定)3,500円
◼️チケット/チケットぴあ、ローソンチケット、イープラス、カンフェティにて発売中
◼️お問い合わせ/キョードーインフォメーション 0570-200-888


毎夜シャンパンを浴び、きらびやかな世界を謳歌していた歌舞伎町のNo.1ホスト(中山優馬)が、いきなり汗と土まみれの農業の世界に飛び込む。歌とダンスと生バンド演奏で送る、異色の「農業系」コメディミュージカルのゲネプロ風景をレポートする。


中山優馬が事務所退所後の初舞台で演じるのは歌舞伎町No.1ホスト・ジュンこと手島広夢。不摂生による栄養失調で倒れた広夢は、元・伝説の歌舞伎町ホスト(小出恵介)が営む養鶏農家で働きながら「食と命の大切さ」を学んでいく――。
こう書くと、いま流行りのスローライフ物語っぽいが、農家の人たちが何気なくする日常会話は「この前、屠殺場でとりっこ(鶏)が逃げてさあ」となかなかにシビアでリアル。生バンドの演奏で明るくポップに歌う「YO!KEY!(養鶏)」には、当たり前に食べている肉や野菜をつくる人たちの熱い思いがほとばしる。
食材が私たちの口に入るまでに、誰がどんな思いで働いているのか。「いのちをいただく」とはどういうことなのか。ギラッギラのピンクスーツに身を包んだ中山優馬が、戸惑いつつも変化していく青年の心情を丁寧に演じている。


初めは「俺は絶対に農業なんかやらねぇ!」と息巻きつつも、ひよこから大きく育てて出荷するころにはたっぷりと情が湧いてしまう。いつしかインスタの写真はシャンパンからニワトリに。愛の対象は姫(ホストクラブの客)から雛鳥へと心変わり。ふてくされ顔からだんだんと笑顔に変わっていく中山がチャーミングだからこそ、「顔も知らないたくさんの人たちに美味しいと言ってもらいたい」というセリフに切なさが込み上げる。
本作は「塚田農場」などの飲食店を運営する米山久氏の著書「ありきたりじゃない新・外食」を基にしたオリジナル作品で、農家のビジネスや流通ルートにまつわるきびしい現実も赤裸々に描かれる。生産者と消費者の間で「中抜き」する組織も登場して、昨今の米の値上がり問題にも通じるアンタッチャブルな世界に切り込んでいる。2014年の初演から11年ぶりの公演だというのに、「農家の叫び」はいまも変わらないのだ。新たな販売ルートを開拓するために農家が一致団結する姿には「がんばれ!」とこちらも食べて応援したくなった。
はてさて、歌舞伎町No.1ホストはどのような選択をするのか。奥深いテーマを扱ってはいるが、コメディ要素が盛りだくさんな演出で、エンターテインメント作品として十分楽しめる。ラストは「日本の田舎からブロードウェイに飛んじゃった?!」と驚くほど華やかなショータイムで締め括り、明るく楽しい気持ちで劇場を出た。


記者会見では主要キャスト5人が登壇。中山は役作りのためにホストクラブに体験入店し、実際に接客もしたという。「これまでのホストのイメージがガラッと変わりました。とても人情味や信念のある人たちだと感じました。お客様を楽しませたいという思いはホストも俳優も同じかもしれない」と話した。
「みなさんが普段食べている食材がどうやってできているのか、改めて考え直すきっかけになる作品です。『いただきます』という言葉に込められた感謝の気持ちを大切に演じています。『食農育』というテーマをロックな音楽にのせて届ける、歌ありダンスあり、笑いに溢れた舞台になっているので、ぜひ劇場に見に来てください!」(中山)

◎Interview&Text/北島あや


2025年3月15日(土)、16日(日)
農業系★Rock Musical「いただきます!~歌舞伎町伝説~」
■出演者/中山優馬、小出恵介、Dream Ami、古謝那伊留、シルビア・グラブ 他
■会場/大阪国際交流センター 大ホール
■料金(税込み)/全席指定 一般11,000円
※未就学児入場不可
■お問い合わせ/いただきます!公演事務局(クリエイティブワンズ内)TEL 06-6356-6788(平日10:00~17:00)



「ケルティック・クリスマス」は、毎冬行われている音楽イベント。スタートしたのは1998年。以来4半世紀以上に渡り開催され、文字通り日本の冬の風物詩となっている。2020年からのコロナ禍では数年間開催が見送られていたが、昨年見事復活を遂げ、初めて開催した東海市芸術劇場の公演は満員の好評ぶりだった。そして今回は、アイルランド音楽史上最も美しく聖なる声との呼び声も高い、アヌーナが来日する。

簡単に彼らの経歴と魅力を紹介しよう。 アヌーナは、アイルランドはダブリンを拠点に世界的に活躍する男女混声合唱団。「母国の音楽を現代に甦らせる」というコンセプトのもと、彼の地の生まれの作曲家でありグループの柱でもあるマイケル・マクグリンによって1987に結成された。これまでに8回来日している。

彼等の魅力は、その一貫したコンセプトが明確に伝わる音楽性だ。古楽が盛んだった中世アイルランドの唄、聖歌、民衆に親しまれてきた大衆歌。そして群を抜いて美しいオリジナル曲。 母なる大地、アイルランドの「うたの古層」を丁寧に、深く掘り起こしつつも、現代を生きる私たちにも伝わる様にビルドアップする。今も昔も私たちにある「声」でだその繊細な仕事の精度は、ただ聴くだけで伝わってくる。


深く鮮やかな感動と共に。 地を這う様な男声部、天使の様に清らかな女声部。そこにはアイルランドの血と骨が、困難な時代を潜り抜けてきた民衆の光と影がある。古いうたには、唄や音楽が経済の対価ではなく、ただひたすらに神と繋がる為の、誰かと繋がる為の"ほんとうのうた"だけが持つ根っこがある様に感じる。



母国の音楽の蘇生と刷新を軸とした活動の一方で、他国の文化、他ジャンルとの融合など、意欲的な試みも行っている。以下がこれまでの主な企画だ。

・2017年 Bunkamuraオーチャードホールにて日本の能とアヌーナのコーラスを融合させた「ケルティック 能『鷹姫』」を行い、各方面から高く評価された。
・2017年 人気ゲーム「ゼノギアス・オリジナル・サウンドトラック Revival Disc」及び「ゼノブレイド2」のサントラに参加。2018年4月「ゼノギアス20周年記念コンサート」にゲスト出演。
・2022年 ゲーム『クロノ・クロス:ラジカル・ドリーマーズ エディション』『ゼノブレイド3』の音楽にアヌーナのシンガーが参加。
・2023年 ゲーム『ベヨネッタ オリジンズ: セレッサと迷子の悪魔』のテーマ・ソングをアヌーナのリーダー、マイケル・マクグリンの娘ローレン・マクグリンが歌唱。
・2024年 アニメ「ダンジョン飯」のサウンドトラックにアシュリン&ローレン・マクグリン姉妹が参加。

どうだろうか。これで普段アイルランド音楽に馴染みのない方々にも親近感が湧くのではないだろうか。


現代の経済社会にいいように伝わり、変わってしまった聖なる歌とは確実に違う"内なる強さ"を宿した歌を歌う人たちアヌーナ。この混迷を極める時代に、彼らの聖なる幻想的な声に触れることは、とても有意義なことなのではないだろうか。この機会に是非聴いてみて頂きたい。

◎Text/鬼頭黎樹

11/24 SUNDAY【チケット発売中】
ケルティック・クリスマス 2024
アヌーナ 来日公演

◼️会場/愛知 東海市芸術劇場 大ホール
◼️開演/16:00
◼️料金(税込)/ 一般 ¥4,000 小中高生¥1,000
◼️お問合せ/東海市芸術劇場事務室 TEL.0562-38-7030(9:00~20:00 休館日を除く)
※東海市芸術劇場ホームページはこちらから
※アヌーナ来日公演2024サイトはこちらから

◯関連イベント開催!!
11/9 SATURDAY 【入場無料】
『アヌーナ~ケルティック・クリスマス2024』関連トーク・イベント
プレトーク 『ケルト、その音楽と文化、そしてアヌーナ』

◼️会場/愛知 東海市芸術劇場 多目的ホール
◼️開演/15:00
◼️料金(税込)/無料(要入場整理券 全席指定)
◼️お問合せ/東海市芸術劇場事務室 TEL.0562-38-7030(9:00~20:00 休館日を除く)
※入場整理券は劇場3階事務室で配布中。(先着順)
※未就学児入場不可
※東海市芸術劇場ホームページはこちらから