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真夏の夜の文楽 西宮えびす神社にて上演いたします。西宮神社に在する百太夫神社、文楽の源流・傀儡子ゆかりの社、重の井の仕える身と母性愛が錯綜する心情を、人間国宝・吉田和生が巧みに遣う文楽公演。

1751年(寛延4)大坂竹本座にて初演。大名家の乳母・重の井は思いがけず幼い息子の三吉と再会しますが、結局二人は離れ離れに。乳母としての立場と母としての母性愛に挟まれ、葛藤する重の井。劇の後半、意に反して三吉から去っていく場面では、三吉の演技と共に重の井の心の揺れ動きが見どころです。

第五回 西宮・伝統芸能の夕べ 
文楽「恋女房染分手綱」重の井子別れの段
人形遣い 人間国宝 吉田和生

〇第1部 トーク
登壇者/
人形遣い人間国宝 吉田 和生
西宮市長 石井 登志郎
西宮神社宮司 吉井 良昭
司会進行 橘高 邦子

〇第2部 文楽「恋女房染分手綱」重の井子別れの段
出演/人形浄瑠璃文楽座
太夫/豊竹 藤太夫
三味線/鶴澤 燕三
人形/
重の井 吉田 和生
三吉 吉田 和馬
その他 吉田 簑紫郎 桐竹 勘次郎 桐竹 勘介 吉田 和登 桐竹 勘吉

■日時/2025年8月24日(日) 18時30分開演 18時開場
■会場/西宮神社 拝殿前特設舞台
〒662-0974 兵庫県西宮市社家町1-17
阪神西宮駅下車、えびす口より徒歩約5分
※雨天の場合は西宮神社会館(A席購入者のみ)にて開催

【前売りチケット発売中】
全席指定・中学生以上
A席:6500円
B席:5500円
※当日は各1000円増
※前売り券完売の場合は当日券の販売はございません。
※雨天の場合、A席購入者は西宮神社会館にて開催。
※B席購入者は払い戻し、又は2025年度西宮能楽堂公演料金に充当。

【チケット料金 振込先】
三井住友銀行 甲子園口支店 普通 3936119 一般財団法人 日本伝統芸術文化財団

【チケットお申込み・お問合せ】
西宮能楽堂:0798-48-5570(10:00〜17:00)


主催・企画制作/一般財団法人 日本伝統芸術文化財団
協力/西宮神社 一般社団法人にしのみや観光協会 関西舞台株式会社 一般社団法人戎座人形芝居館 
後援/西宮市 兵庫県 公益社団法人ひょうご観光本部 公益財団法人兵庫県芸術文化協会 78.7HzさくらFM 西宮市教育委員会 株式会社ベイ・コミュニケーションズ
協賛(五十音順)/大関株式会社 加藤産業株式会社 株式会社尼崎パイプ製作所 株式会社ヤマサ環境エンジニアリング かんき株式会社 松竹梅酒造株式会社 ネッツトヨタゾナ神戸株式会社 阪神低温株式会社 阪神電気鉄道株式会社 阪神米穀株式会社



★来場者プレゼント付き★ 手ぬぐい、団扇、甘酒



★今回はこちらの公演を抽選でA席ペア2名様1組をご招待いたします★
ご希望の方はご希望の方は住所・氏名・年齢・ご連絡先、と共に、
「西宮・伝統芸能の夕べ 文楽公演」希望と明記の上、
当ホームページの「CONTACT」よりご応募ください。
応募〆切は8/8(金)深夜24:00メール到着分まで。
抽選のうえ、ご当選者の方には別途メールにてご連絡を申しあげます。

※チケットプレゼントに関するお問合せは当ホームページのみで承ります。
西宮能楽堂への問い合わせはお控えくださいませ。


8月30日(土)・31日(日)の2日間、大阪市中央公会堂で行われる「中之島文楽2025」。今年は公演回数を1回増やし、3回に。現在開催中の大阪・関西万博を契機に、国内外の方々に広く文楽の魅力を広げたいと、近松門左衛門の名作『曽根崎心中』を題材に、講談、現代美術とのコラボレーションで上演する。

上演構成は「観音めぐり」と「生玉社前の段」を講談で、「天満屋の段」と「天神森の段」を文楽で披露する。普段ほとんど上演されない「観音めぐり」を取り入ることで、作品全体の物語性を丁寧に紹介。また、現代美術家の谷原菜摘子の絵画をプロジェクションマッピングで舞台に投影、ライブカメラによる人形や太夫、三味線のクローズアップ映像をスクリーンに投影するなど、視覚的に楽しめる演出も用意している。加えて、講談による解説的な語りや、出演者による幕前トークも実施予定。終演後には出演者とのフォトセッションも行い、司会をラジオ大阪アナウンサーの藤川貴央がつとめる。


「中之島文楽2025」に向けて文楽、講談、現代美術の観点から意気込みを語った。

太夫の竹本織太夫は「天満屋の段」を勤めるのは4回目という。「最初にお役をつけていただいたのがこの「中之島文楽」でしたが、コロナ禍で上演できませんでした。今年はその時と同じメンバーで「天満屋の段」をつとめることができ、大変幸せでございます」。

三味線の鶴澤燕三は「「天神森の段」は道行と言いながら道行じゃないねんと師匠に言われました。これは心中場、そのつもりでやれと。「義経千本桜」道行初音旅とか「忠臣蔵」の道行のように派手にギャンギャンやってはいけないという指導をいただきました。今回も玉男さんの徳兵衛と一輔くんのお初で、とてもいい「天神森」になるのではないか、僕も頑張ろうという気になっております。どうぞよろしくお願いいたします」と挨拶した。

人形遣いの吉田玉男は先代に思いを馳せながら、こう話した。「皆さんご存知の通り『曽根崎心中』は本当に名作でございます。先代玉男が1136回という上演記録を持っていまして、これはもう絶対に抜かれないなと思うぐらいのギネス級の記録です。僕は昭和28年生まれなのですが、師匠が徳兵衛を遣ったのは昭和30年、僕が2歳の時でした。入門して57年、今、71歳になるんですけども、それぐらい公演をずっとやっておりますので、足、左を師匠のもとで修行させていただいて、いろいろ覚えました。その思いがあって、今回もこうして『曽根崎心中』の徳兵衛をやらせていただくというのは本当に嬉しいです。プロジェクションマッピングもいろいろ効果があると思います。どうぞよろしくお願いします」。

人形遣い吉田一輔は、「以前も「中之島文楽」で玉男兄さんと道行をやらせていただきました。僕が初めてお初を遣ったのが2015年、10年前になるのですが、鑑賞教室でつとめさせていただきました。それから、いろんなところで玉男兄さんとやらせていただき、経験を積ませていただきまして、「中之島文楽2025」の後の9月の本公演でもお初をつとめさせてもらいます。何度もやって、より良いものに仕上げていくというこが私たちのつとめだと思っております。「中之島文楽2025」でも、文楽と講談と現代美術がひとつになって、さらに良いものを作れたらいいなと思っております」と意気込んだ。

講談師・旭堂南海は、2年前にも「中之島文楽」に出演。今回また参加できることを「非常に嬉しい限り」と、こう続ける。「『曽根崎心中』という近松門左衛門先生のお話を講釈で読むことができるというのは、光栄至極でございます。近松は、若い時には講釈師だったという、これは史実とされてございます。そこから座付き作者へと移っていくのですが、『曽根崎心中』は非常にシンプルなお話の筋ですから、本当に素人の考えではありますが、多分に講釈的なところが匂いとしてあるんじゃないだろうかと思うんです。ただ、「観音めぐり」は、最近はなかなか文楽の上演にはかなわないそうで、それを今回、講釈でやりなさいと言われました。なので、「大坂三十三ヶ所めぐり」のお寺や神社を一生懸命、覚えようと思っております。また、今回は講談で「生玉社前の段」を読ませてもらいます。「生玉社前の段」には、お初と徳兵衛が心中する全ての原因、要素、理由が含まれてございますので、私の講談がなければ成り立たないという、そういうことでございます(笑)。嫌でも聞いてもらわなければならないという重要な立ち位置にありますので、一生懸命頑張ります。どうぞよろしくお願いいたします」。

プロジェクションマッピングのみならず、ポスターやチラシなどの宣伝ツールも手掛ける谷原菜摘子は、『曽根崎心中』は画家として一度は挑戦したいテーマの一つといい、今回の取り組みは「望外の喜び」と心情を明かす。「ポスターの中に『曽根崎心中』の恐ろしさと美しさをできるだけ凝縮しました。若い男女を取り巻いている渦のようなものが、後に心中する二人を結びつける帯を表しています。この帯は手前に行くにつれて鳥に変化しているのですが、手前は比翼の鳥。あの世でも一緒にいられるようにという男女の深い契りを表しています。奥にありますのは人魂なのですが、この人魂は目にもなっていまして、男性と女性の目をそれぞれ描いています。プロジェクションマッピング用の作品でもいろいろなものを描かせていただけるのですが、人形浄瑠璃の世界、講談、これらのものを新しい形で魅力的にお届けできるようを粉骨砕身、描かせていただきます」。

今年は、9月の国立文楽劇場での本公演に加えて地方公演でも上演と、さまざまな形の『曽根崎心中』が見られる1年とあって、文楽ファンはもちろん、文楽を見たことがないという人にとっても文楽や『曽根崎心中』の魅力に触れらる絶好のチャンスだ。

また、「中之島文楽」では昨年より、語りの現代語訳の字幕も取り入れ、字幕やアプリ、音声ガイドなど多言語、多視点での鑑賞サポートを完備している。文楽の間口をぐっと広げつつ、文楽×講談×現代美術という「中之島文楽」ならではのコラボレーションで、唯一無二の『曽根崎心中』を楽しませてくれる。

◎Text:岩本和子


8/30 SATURDAY、31 SUNDAY
人形浄瑠璃 文楽 × 講談 × 現代美術プロジェクションマッピング
中之島文楽2025「曽根崎心中」 近松門左衛門=作

【主な出演者】
■太 夫/豊竹藤太夫、竹本織太夫
■三味線/鶴澤燕三、鶴澤藤蔵、
■人 形/吉田玉男(人間国宝)、吉田一輔
■囃 子/望月太明藏社中
■講 談/旭堂南海
■美 術/谷原菜摘子

【配役】
~天満屋の段~
竹本 織太夫
鶴澤 藤蔵

天満屋お初 吉田 一輔
遊女    吉田 玉誉
遊女    吉田 簑太郎
手代徳兵衛 吉田 玉男
油屋九平次 吉田 玉佳
天満屋亭主 吉田 玉勢
女中 お玉  桐竹 紋秀

~天神森の段~
野澤松之助 脚色・作曲/澤村龍之介 振付

お初  豊竹 藤太夫
徳兵衛 豊竹 芳穂太夫
    竹本 咲寿太夫
    鶴澤 燕三
    野澤 勝平
    鶴澤 清馗

天満屋お初 吉田 一輔
手代徳兵衛 吉田 玉男

囃子 望月太明藏社中

【7月26日(土)チケット発売】
■会場/大阪市中央公会堂1階大集会室
■開演/8月30日(土)13:00、17:00 31日(日)13:00
■料金(税込)/全席指定 一般\2,500 当日¥3,000
高校生以下 前売¥500、当日¥700(当日要学生証)
■お問い合わせ/一般社団法人アーツインテグレート06-6372-6707(平日10:00~17:30)
※未就学児入場不可

▼中之島文楽WEBサイト
https://www.osakabunraku.jp/service05.html


フェニーチェ堺での独演会でお馴染みの桂かい枝が、満を持しての英語落語会。英語ならではの笑いを凝縮して披露。

NHKワールドテレビ「RAKUGO NIPPON」の出演や世界最大の芸術賞「エジンバラ・フェスティバル・フリンジ」での英語落語で5つ星を獲得するなど、英語落語の第一人者となった桂かい枝が、万博Yearのこの夏、英語落語会を開催。桂かい枝のもうひとつの芸を堪能いただけるチャンスだ。



堺といえば、もともと世界に開かれた国際都市だった歴史があります。その地で初めての英語落語会をやらせて頂くので気合いが入っております。
初めて落語に触れるお客さんや、お子さまにも楽しんでいただけるような趣向で臨みます。教科書にも載っている「動物園」「いらち俥」という有名な演目を、日本人のどの世代の方にも笑って頂ける内容で考えています。共演ではスウェーデン人の三遊亭好青年さんによる「寿限無」「時そば」を演じて頂き、また海外公演でご一緒してきたラッキー舞さんの太神楽とバラエティ豊かに楽しんで頂きます。

---フェニーチェ堺さんでは多くの方が落語会をされていますが、会場が良いのですか?

お客様との目線がちょうど良くて、客席との一体感の生まれる良いホールなんです。お客様も落語家の表情や仕草をしっかり楽しんで頂けるんだと思います。それと、日々、クラシックコンサートやオペラを楽しんでおられるお客様の文化度も高いのでやり甲斐もありますね。

----97年からライフワークとして実践されてきた英語落語は、時代が変わってきている感覚はありますか?

英語落語を演じ始めて、もう30年近くになりますが、ずっと一緒に英語で落語をやって来た桂三輝(サンシャイン)という仲間は、米国のブロードウェイや英国のウェストエンドでのロングランで公演を成功させていたりして、ようやく世界的にRAKUGO SHOWが認知されてきたなという時代の変化は感じます。和食や日本酒と同じく世界の人にRAKUGOという芸能を知って頂けるようになったなと思いますね。

---日本語で演じられる落語と、英語でのRAKUGOは、どのあたりに違いがあるんでしょうか?

日本の芸能は”間の芸”とよくいわれます。落語も一緒で”間”を大切にしますが、英語での話芸となると“押しの強い芸”となります。とにかく前に前に出るような演出になりますね。ですから落語とRAKUGOには違いがあります。今回はそのどちらも行ったり来たりしながら楽しんで頂けるようにと工夫しています。

---共演されるおふたりのことを教えてください。

三遊亭好青年さんは、スウェーデン人ですから、日本語、英語、スウェーデン語という三カ国語で落語をされるんですが、とにかく日本の落語という話芸に惚れ込んだ面白い方です。今回はすべて英語で、有名な「寿限無」と「時そば」を演じていただきます。
ラッキー舞さんは、ご一緒に海外公演も多い方で、やはり曲芸というわかりやすい芸ですからお客様にはウケますね。最高に楽しんでいただけると思いますよ。

----かい枝さんが演じられる「動物園」「いらち俥」という噺はどんなものですか?

どちらも落語の素晴らしい古典ですが、今では英語で演じることが多くなった、私にとって定番の噺です。やはり英語なので、細かい部分の演出は、細かくアレンジをしています。毎回英語ネイティブの方の意見を取り入れて完成した二席です。そのあたりは旧くからの落語ファンにも楽しんでいただけるんじゃないかと思います。

---いろんな楽しみ方が出来そうな落語会になりそうですね。

落語が初めての方、ゴリゴリの落語ファンの方、あるいは英語が苦手な人も英語好きな人も、みなさんに楽しんでいただける一日にしたいと思っております。若い方のためのUNDER25でのチケットもありますので、どうぞご家族みなさんで楽しんでください。お待ちしております。

◎Interview & Text/石原卓



8/2 SATURDAY【チケット発売中】
桂かい枝 英語落語会
■会場/フェニーチェ堺 小ホール
■開演/15:00
■料金(税込)/全席指定¥3.000 U-25 ¥2,000
■お問い合わせ/フェニーチェ堺 072-223-1000 (9:00~20:00)

~主な演目~
■桂かい枝
1. 落語の解説(What’s Rakugo?)
2. 小噺10連発(Short Stories)
3. 動物園(The Zoo)
4. いらち俥(A Man In A Hurry)

■ 三遊亭好青年
1. 寿限無(Jyu Ge Mu)
2. 時そば(Time Noodle)

■ ラッキー舞
1. 太神楽(Daikagura)


「ストリートファイター」「バイオハザード」「モンスターハンター」などの人気シリーズを開発してきたゲームメーカー「カプコン」の優れたクリエイションをひもとく展覧会が名古屋市美術館で開幕した。ここでは初日前日に行われた内覧会の様子をレポートします!

全体は3つの主要パート+ボーナスステージ&ファイナルラウンドで構成されている。会場に入るとまず人気キャラクターたちのアニメーションが来場者をお出迎え。気分もアガる! ラウンド1「カプコンゲームクロニクル」ではゲーム業界の雄カプコンという企業の歴史、主要タイトルのキャラクターに関する開発資料、歴代タイトルのパッケージに採用されたイラストの原画や発売当時のポスターなどが展示され、この企画が美術館で開催されていることにも理解が深まる。


ポスター、パッケージ展示©️CAPCOM

ラウンド2「テクノロジーとアイデアの進化」に移ると、「新旧 波動拳の作り方」と題して「ストリートファイターⅡ」と「ストリートファイター6」を比較するなど、さらにファン垂涎のコーナーが目白押し。また本展は鑑賞するだけでなく体験型の展示も多いのが魅力で、「フェイシャルトラッキングミラー」のコーナーでは鏡のようなモニターの前に座ると、そこに映るキャラクターが来場者に合わせて表情を変化させる。これがリアルタイムで連動するから面白い。


フェイシャルトラッキングミラー©️CAPCOM

後半に進むと他にも、ゲーム開発に欠かせない技術を気軽に疑似体験できる「モーションキャプチャーミラー」があり、全身で楽しめるだけに子どもも大人もハマりそう。さらにドット絵を制作体験できる「カプコンピクセルラボ」にも思わず熱くなる!


モーションキャプチャーミラー©️CAPCOM

ラウンド3「ファンタジーとリアリティ」でもプロジェクションマッピングなどの技術が間近で見られ、ゲーム開発の発展はテクノロジーの進化とともにあることが実感できる。株式会社カプコンのプロデューサ・牧野泰之さんも会見で述べていたとおり、最新のデジタル技術を駆使したゲーム開発の裏側を知ることは、ゲームファンやその道を志す人に限らず、さまざまな分野のクリエイターにも大きな刺激や学びとなるはず。開発者たちのインタビュー映像などもあるので、何かを生み出すことへの情熱や喜びを感じてほしい。


プロジェクションマッピング©️CAPCOM

なお、展覧会グッズも充実。名古屋会場から追加された新作もあるので要チェック!

◎Interview&Text/小島祐未子

7/5 SATURDAY~9/7 SUNDAY【チケット発売中】
大カプコン展―世界を魅了するゲームクリエイション
■会場/名古屋市美術館
■開館時間/9:30~17:00
※金曜日は20時まで。入場は閉館30分前まで。
■休館日/毎週月曜日、7月22日(火)
※7月21日(月)、8月11日(月)は開館。
■料金(税込)/当日 一般¥2,500 当日高大生¥1,800 当日小中生¥500
■お問合せ/事務局 TEL.052-955-6791(開館日9:30~17:00 ※金曜日~20:00)
*チケット購入はこちら


日本センチュリー交響楽団 第291回 定期演奏会にて指揮をつとめるデルヤナ・ラザロワ。日本初来日の彼女に今の心境や、今回の演目について話を聞いた。


©Marco Borggreve

―― 今回が初来日とお聞きしました。まずは自己紹介をお願いします。

デルヤナ・ラザロワと申します。指揮者であり、ヴァイオリニストでもあります。ブルガリア生まれですが、現在はスイスのチューリッヒに住んでいます。

―― 日本について、あるいは日本のクラシックマーケットについてどんなイメージを持たれていますか。

物心ついた頃からずっと日本を訪れることを夢見てきました。訪日が決まり、夢が叶いました。この美しい国を訪れ、日本センチュリー交響楽団と読売日本交響楽団という2つの素晴らしいオーケストラと共演する機会をいただけたことは、この上なく光栄なことです。音楽という共通の言語を通して演奏家の方々と出会い、心を通わせることを心待ちにしています。日本について考えるとき、いつも思い浮かべるイメージは、息を呑むほど美しい満開の桜です。象徴的で、穏やかで、深い洞察を与えてくれます。

―― 今シーズン、日本センチュリー交響楽団の定期演奏会では、音楽監督の久石譲の意向で、プログラムにベートーヴェンの交響曲と、1950年以降の現代音楽を取り上げることがルールとなっています。その事について感想を聞かせてください。

クラシック音楽の伝統と現代世界をつなぐという発想は、深淵な意味を持ち、深く美しいものであると感じます。私はあらゆるコンサートで現代音楽が演奏されるべきだと心から信じています。現代音楽こそが、私たちの時代を語り、現代の世界を映し出す音楽なのですから。

―― ベートーヴェンについて、ラザロワさんの思いを聞かせてください。交響曲の中で、第4番についての聴き所を教えてください。

この交響曲を愛する理由はたくさんあります!私にとってかけがえのない作品であり、まさに傑作です。大阪の聴衆の皆様と分かち合えることを大変嬉しく思っています。ベートーヴェンの交響曲の中でも「古典派」とされることが多いこの曲は、その構成は伝統にしっかりと根ざしており、交響曲第3番「英雄」や交響曲第5番「運命」で聴かれるような大胆な革新とは異なります。しかし、こうした古典的な枠内でも、ベートーヴェンはこの形式を完璧に掌握し、最もむだのない手段を用いて鮮やかな音楽的情景を描き、心を揺さぶる物語を語る並外れた才能を発揮しています。この交響曲は、後世の作曲家たちにインスピレーションを与え、不朽の遺産として残されています。例えば、冒頭部分を例に挙げてみましょう。マーラーの交響曲第1番の冒頭に、この曲の響きを感じずにはいられないでしょう。

―― キャロライン・ショウのことも、今回取り上げられる作品のことも、日本ではあまり知られていません。この曲をとりあげられた理由と、聴き所を教えてください。

この作品は色彩豊かで個性豊かな作品です。弦楽器のみで作曲されたにもかかわらず、作曲家によるテクスチャーと古典的な形式を巧みに用いた想像力豊かな演奏が、真に卓越した作品となっています。構成とコンセプトはハイドンの弦楽四重奏曲作品77-2のメヌエットに着想を得ていますが、結果的に全く新しい作品となっています。独創的な技法と繊細な効果によって、この音楽は私たちを全く新しい、美しく独特な音の世界へと誘います。

―― 1曲目でラヴェルの組曲「クープランの墓」を取り上げられます。この曲の聴き所と、今回のプログラムをこの曲から始められた思いをお聞かせください。

形式とスタイルの両面で過去を反映した、もう一つの作品をご紹介します。プログラムに予定されている3つの作品には、繊細な繋がりがあります。それぞれが当時の音楽史のトレンドを背景にしながらも、同時に新鮮な何かを提示し、聴き手に新たな感情と音楽の平面を解き放ちます。多くの点で、この曲は木管楽器のための協奏曲のように感じられ、豊かな美しいソロが木管楽器の音色を際立たせています。組曲の各楽章がそれぞれ独特の個性を持っているため、私のお気に入りの1つです。新古典主義の伝統に根ざしながらも、ラヴェル特有の音がはっきりと響き渡ります。特に絶妙な不協和音の瞬間は、彼の作曲の才能だけでなく、オーケストレーションにおける並外れた才能も際立たせています。

―― 日本でコンサートの指揮以外で、やりたいことや、行きたいところを教えてください。

日本で過ごす時間を最大限に使って、できる限り多くの場所を探索したり美術館を訪れたり景色の良いハイキングに出かけたりするつもりです。そしてもちろん、噂に聞いていた素晴らしい料理を堪能します。

―― 最後に、ファンのみなさんへメッセージをお願いします。

皆さんにお会いして、この美しい音楽を分かち合えることを心から楽しみにしています。今回がこの素晴らしい日本を、これからも何度も訪れるための始まりとなることを願っています。これこそが、まさに夢見てきたこと。これから何が起こるのか今から待ちきれません!

◎Interview&Text/磯島浩彰


■公演情報
第291回 定期演奏会
2025年07月25日(金) 19:00開演(18:00開場)
ザ・シンフォニーホール
S 10,000円(特典付)A 7,000円 B 5,500円 C 4,000円 D 3,000円
指揮:デルヤナ・ラザロワ
ラヴェル:組曲「クープランの墓」 (管弦楽版)
C. ショウ:アントラクト
ベートーヴェン:交響曲 第4番 変ロ長調 作品60

■チケット予約
センチュリー・チケットサービス
TEL 06-6848-3311(平日10:00-18:00)
ネット予約(24時間)
https://yyk1.ka-ruku.com/jcso-s/showList