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「東芝グランドコンサート」38回目となる今年は、1925年の創立以来、欧州のオーケストラを牽引する名門楽団として、世界の名だたるトップアーティストたちと共演を重ねてきたデンマーク国立交響楽団が、2016年シーズンより首席指揮者を務めるファビオ・ルイージに率いられて初来日。3/14の名古屋公演では、同国の国民的作曲家ニールセンのオペラ作品《仮面舞踏会》の序曲とメイン・プログラムであるチャイコフスキーの交響曲第5番が先ず目を惹くが、日本のクラシック・シーンをリードするピアニスト、横山幸雄を迎えたベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番《皇帝》も今回の目玉だ。

横山は2011年のデビュー20周年記念コンサートで、チャイコフスキー、ラヴェル、ラフマニノフの協奏曲を一晩で演奏し、満場の喝采を博して高評価を確立。その後、2013年から生誕250周年(2020年)に向けて《ベートーヴェン・プラス》というシリーズを自ら立ち上げ、“楽聖”の作品に取り込んでいるところである。

《皇帝》は数々の傑作を生み出していた中期に書かれた、ベートーヴェン最後のピアノ協奏曲。恐らくこれ以降は耳の具合が悪化して、オーケストラと渡り合うような曲を書くのは難しかったのだと思います。でも、4番までアンサンブルの要素が強かったピアノが、ここでは完全にソロ楽器として前面に出てきていることからも、このジャンルにとってひとつの到達点であることは間違いない。後世のロマン派の作曲家によるピアノ協奏曲に与えた影響はとても大きいのではないでしょうか


2010年にポーランド政府より、世界で100名の芸術家に贈られる「ショパン・パスポート」を授与され、同年には「ショパン・ピアノ・ソロ全166曲コンサート」を行いギネス世界記録に認定。今年の5月には、ピアノ作品以外も含めた全240曲を3日間で一気に演奏する公演を企画するなど、ショパンのスペシャリストとしても知られるが…

1990年のショパン国際コンクール入賞で本格的にデビューして以来、ピアニストとしてショパンの比重が高かったけれど、ある時期から自分の中でベートーヴェン熱が目覚めて、今では二人を軸足に活動を考えるようになった。20代の終わりに短期集中型で取り組んだ後に少しブランクがあったが、40代になって改めて長い期間をかけてじっくりと向き合っているところです。以前は現代的なショパンと違って古い時代に生きた人だというイメージだったが、最近ではとても彼を身近に感じる。特に《皇帝》は小学生の頃に、家のLPレコードで何度も聴いていた想い入れのある作品。ルイージ氏もデンマーク国立交響楽団とも共演するのは今回が初めてですが、ワクワクしますね。実は日本公演の前にコペンハーゲンでショパンの協奏曲をご一緒することになっていて、それも楽しみです

TOKYO FM「横山幸雄のピアノでめぐり逢い」のパーソナリティを務め、東京と京都でレストランを経営し音楽と旬の食をプロデュースするなどその活動は多岐にわたる。今年からは名古屋を訪れる頻度も増えるとか…

4月から名古屋芸術大学の客員教授を務めることになりました。今まで東京から京都に直行していましたが、これからは名古屋も大きな拠点になりそうです。先ずは3月のコンサートでお会いしましょう!様々な要素を持ちあわせた非の打ち所のないトップクラスのワインにも例えられる《皇帝》をご堪能下さい

取材・文:東端哲也


3/14 THURSDAY
東芝グランドコンサート2019
ファビオ・ルイージ指揮 デンマーク国立交響楽団
横山幸雄(ピアノ)

チケット発売中
■会場/愛知県芸術劇場 コンサートホール
■開演/18:45
■料金(税込)/全席指定S¥14,000 A¥11,000 B¥9,000 C¥7,000 D¥5,000
■お問合せ/東海テレビ放送 事業部 TEL.052-954-1107(平日10:00〜18:00)
※未就学児入場不可