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自らがライフワークだと語るベートーヴェンやショパンにおいて、前人未到のプロジェクトを数多く達成しているピアニスト横山幸雄。ベートーヴェン協奏曲ツィクルスを行う愛知室内オーケストラのステージで、指揮者として人気のシンフォニーを指揮する。今回は先日行われた取材会の模様をお届けする。
2023年10月から愛知室内オーケストラの特別演奏会として、横山さんの「ベートーヴェン・ピアノ協奏曲ツィクルス」が始まりました。
私のピアニストとしてのライフワークがベートーヴェン(1770~1827)とショパン(1810~1849)です。二人の作品を通して、人となりはもちろん、二人が生きた時代や使用した楽器などを皆様に知って頂こうと、これまで色々な企画を立案し、開催して来ました。ショパンのピアノ曲を全曲演奏する「入魂のショパン」や、ベートーヴェンのピアノ曲を中心に、色々な作曲家の作品と組み合わせて演奏する「ベートーヴェン・プラス」、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全32曲を2日間で連続演奏する企画なども評判となりましたが、今回、私と愛知室内オーケストラが皆様にお届けするのは、ベートーヴェンのピアノ協奏曲ツィクルスです。ベートーヴェンのピアノ協奏曲全5曲は、比較的若い時代の作品。1番と2番は、耳の病に冒される前の作品で、3番以降は病が発症しているものの、まだかろうじて聴覚があった時代の作品だと言われています。3番以降、耳の病が発症し、彼の作風は悲劇的かつドラマチックなモノへと変貌を遂げて行きます。
シリーズ2回目の聴きどころは。
後期のピアノ・ソナタや弦楽四重奏曲とは違う、比較的元気なベートーヴェンの魅力が味わえます。シリーズ2回目(2024年5月)には、ウェーバーの歌劇「オベロン」序曲や、メンデルスゾーンの交響曲第4番「イタリア」などの、若々しさが感じられる作品と組み合わせてお聴き頂きます。
このツィクルスは二刀流シリーズと銘打っています。協奏曲の弾き振りだけではなく、指揮者として指揮台に立たれるのですね。
ピアノを弾きながら指揮をする機会はこれまでもありましたが、完全にオーケストラと相対し、指揮をする機会はそう有るものではありません。シリーズVol.1でシューベルトの「ロザムンデ」序曲とハイドンの交響曲第104番「ロンドン」を指揮したことはかけがえのない経験でした。シンフォニーを指揮するとオーケストラの事が細部に至るまでわかります。これは今後の音楽活動に生かせる経験です。オーケストラやお客様の評判も上々だと伺っています。ならば、このシリーズでは指揮者 横山幸雄として、思い切った挑戦をさせて頂きます。ご期待ください。
ピアニストから指揮者に転向するケースは、バレンボイム、アシュケナージ、エッシェンバッハなど多く見受けられます。そのようなことを考えておられますか。
指揮台にはオーケストラ側の要望が無ければ立てません。そういう意味で今回のシリーズは貴重な機会で、とても勉強になります。ピアノを弾く機会を削って、指揮者としてやって行く発想は今のところはありません。もちろん先の事はわかりませんが(笑)。
愛知室内オーケストラの印象を教えてください。
若くて元気で、感じの良いオーケストラです。人数的に、これ以上少ないと音が薄く感じるでしょうし、これ以上多いと一体感は損なわれていくと思います。絶妙なアンサンブルの妙をお楽しみいただけると思います。
最後にメッセージをお願いします。
このシリーズを通して、ベートーヴェンのピアノ協奏曲の魅力をお伝えできればと思っています。ピアノから離れて指揮者として頑張っている横山幸雄にも会いに来てください。愛知県芸術劇場コンサートホールでお待ちしています。
◎Interview&Text/磯島浩彰
5/11 SATURDAY 【チケット発売中】
愛知室内オーケストラ 特別演奏会
横山幸雄×ACOベートーヴェン協奏曲ツィクルスVol.2
■会場/愛知県芸術劇場コンサートホール
■開演/14:00
■料金(税込)/SS¥8,000 S¥6,000 A¥4,500 B¥3,000
U25各席種半額 小中学生券¥500
■お問合せ/愛知室内オーケストラ TEL.052-211-9895(平日10:00〜17:00 土日祝休)