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「TSUKEMEN」Web 限定インタビュー
取材日:2015.06.25


2 ヴァイオリンとピアノのインストゥルメンタル・ユニットTSUKEMEN。
楽器本来のもつ「生音」にこだわったライヴを
年間100 本に迫る勢いで開催しています。
そんな彼らが初のフル・オリジナル・アルバムを携えた全国ツアーをスタート。
名古屋公演も目前です!

今年は3月にウィーン楽友協会でのコンサートがありました。クラシックの殿堂といわれるホールで演奏された感想をお聞かせください。

KENTA:初めに足を踏み入れた瞬間、なんとも言えない感激がありました。何か温かいものに包まれているような気がして。そんな風に思える場所ってなかなかないので、恵まれていることだなと思います。普段、外国に行くと現地に住んでいらっしゃる日系の方が聴いてくださることが多いのですが、今回はたくさんのウィーンの方に聴いていただきました。もちろん緊張しましたけど、心から楽しみながら一生懸命演奏することが出来たので、とてもいい経験になったと思います。

SUGURU:ずっとクラシック音楽をやってきましたが、僕らは全員留学経験はないんですよ。だから音楽の都と言われる場所はどんな空気なのか、とても興味がありました。TSUKEMENでドイツには行ったことがありましたが、そことはまた違ったものがあるのかなと。街を歩いてウィーンの土地柄や風土を感じることが出来て良かったです。

TAIRIKU:ウィーン・フィルの本拠地ということもあって、想像以上に伝統の重みを感じました。テレビで見たりすると割と新しい感じに映っていたのですが、間近で見ると本当に木の質感とか造りが豪華だし、時を経て伝統となって、古いんだけどいい味が出ているようなホールになっていて。その響きも音の成分が見えてくるようものがありました。日本では感じることの出来ないウィーンの空気を吸うことが出来て、本当に良かったと思います。

この体験は、次の公演や曲作りに影響がありそうですね。4月にリリースされたアルバム「Op.1~FRONTIER~」はとても充実した内容ですね。

SUGURU:TSUKEMENはオリジナル曲だけで聴いてもらえるようなアーティストになろうという目標を持ちつつ、クラシック音楽の裾野を広げていくという役目も負っていると思っていたので、アルバムでもいろいろな音楽を取り入れてきました。今回のアルバムは、オリジナル曲だけでという目標が叶った第一歩という意味で、「Op.1=作品番号1番」という意味のタイトルにしたんです。

TAIRIKU:今回、渡辺俊幸さん、長生淳さん、轟千尋さん等6組のアーティストの方々に楽曲を依頼しました。TSUKEMENもひとり1曲ずつオリジナル曲を入れて計9曲。皆さんかなり気合を入れて作ってくださって、多種多様な曲が並びました。一曲一曲の世界観が凄く際立っているので、聴いていると物語をひとつずつ見ているような感じ。これ1枚でTSUKEMENのサウンドをガイドをしているようなアルバムになっているんじゃないかと感じています。

KENTA:オリジナルだけで初めてアルバムを作ってみて、自分たちのめざす音楽に向けて心をしっかりと決めて進んでいくきっかけになったなと思います。今回、いろいろな方に楽曲提供していただきましたが、自分たちで作る曲をもっと増やしていきたいなと強く思うようになりました。

SUGURU:最初から3人が「いつかは」とめざしていたものが初めてカタチになって、言ってみれば自分たちの中で「これがTSUKEMENらしさ」という原型みたいなものが出来たCDなんじゃないかな。


TSUKEMENらしさとはどのようなものでしょうか?

SUGURU:かなりパワーはあると思いますね。僕らの音楽を楽しんでくださっている方は、想像を膨らませながら聴いてくださっているんじゃないかな。ゆったりと聴けるけど内側に湧き上がるものがある。それがTSUKEMENらしさだと思います。

TAIRIKU:熱い曲もしっとりした曲も元気をチャージ出来るものがある。演奏も楽曲も3人それぞれのカラーがあって、それが交わったときに出るサウンドがTSUKEMENらしさかな。

KENTA:3人集まったときの強みは、真剣なことだと思うんですよ。お客さんはもちろん、周りで支えてくれるスタッフの方にも感謝の気持ちを絶対忘れないでいたいし、ステージに立ったらなおさら、お辞儀ひとつにも本当に心を込めたい。それは音にも出ると思うんですよ。音楽性以前に、そういうところで3人が同じ温度で同じ方向を向けているというのがTSUKEMENの一番の強さだと思います。お客さんの楽しい時間や幸せな時間を本当に願うために熱気を常に出し続ける。そういう姿勢がチームとしての強みかもしれません。

皆さんが作られたアルバムの楽曲について伺います。SUGURUさんの「GOEMON★ROCK」は石川五右衛門からとっているのですか?

SUGURU:はい。ちょっと和風な感じをイメージして。ちょっと発散出来るようなファッとした曲にしたくて書いた曲です。そんなに深い曲ではないんですけど、もっとラフに音楽を聴こうよという思いを込めて書いた曲です。

KENTAさんの「雪原を越えて」はタイトルもそうですが、非常に情景が浮かぶ曲です。何か具体的なモチーフはあったのですか?

KENTA:北海道ツアー中に長距離で車移動があったんですけど、ちょうど辺り一面が雪で真っ白な時期で。山を見ているとキラキラ光って金色に見えるんだけど少し陰に行くとブルーに見えたりして、凄く綺麗だなと。美しいもの、知らなかったものを見たり感じることは、僕にとってとても幸福なことなんです。そのときの景色と自分が感じた気持ちをどうにか聴く人に伝えられたらなと思って、クルマの中で浮かんでくるメロディを書き留めて作った曲です。

TAIRIKUさんの「クリスマスベル〜祈り〜」は、いろいろな思いが込められているような曲ですね。

TAIRIKU:日本では震災があって、世界でもいつもどこかで紛争が起こっていたりいろいろありますけど、自分の気持ちを凄く込めたというよりは、誰もが持っている平和に対する願いとか、普遍的な心みたいなものを出せたらいいなと思って書いた曲です。例えば時間の流れのように…時間って流れていくだけで押し付けがましさがないですよね。そんな、誰にでも共通しているものに近いものが出来ないかなと。

作られたのはクリスマスの頃ですか?

TAIRIKU:夏でした。ちょうど昨年の今頃。アフリカのサンダーソニアという花の別名がクリスマスベルというんです。花言葉は祈り。いいなぁと思って曲のタイトルにしました。

リリースツアーの名古屋公演が目前です。

SUGURU:今までの曲に、新しい9曲を混ぜたときにいい流れで構成出来るようにいろいろ考えています。凄くいいバランスになるんじゃないかなと思っています。

これまでにも名古屋で公演をなさっていますが、どんな印象をお持ちですか?

KENTA:けっこう来させてもらっています。名古屋に来るとみんなでよくひつまぶしを食べに行くんです。それが結構楽しみなんですよ。街中を歩いていても、オシャレに対する意識の高い人が多いと感じます。それは個性がある上での美意識の高さだと思うんです。そういう人はいろんなことにこだわりを持つから、いい音楽を聴いたときも好きになってくれるはず。だから、僕らが一生懸命やったら応えてくれるに違いないと信じています。

SUGURU:ライブに来るお客さんで言うと、東京ってけっこう静かなんです。名古屋も静か目だと思うんですけど、それをいかにして沸かすか。それが目標です。名古屋の方を「ワーッ」と言わせたら本当だろうなと。毒舌な人が褒めてくれたときみたいな感じ(笑)。

TAIRIKU:音大もありますし、凄くクラシックの文化が根付いている街だなと思っているんです。オーケストラもいくつかありますよね。同じ桐朋学園大学の同窓生にも愛知の人は多かったですよ。話を聞いていると、クラシックのコンサートを聴きに行く人も多いみたいですし、来ているアーティストも凄く多かったりして、生音に対して耳が肥えている印象があります。その分やっぱり厳しいなというイメージはありますね。音楽が好きだからこそ、そうやってコンサートホールに聴きに来てくれるんですよね。




7/10 FRIDAY
TSUKEMEN LIVE 2015 〜FRONTIER〜
チケット発売中
■会場/日本特殊陶業市民ホール ビレッジホール
■開演/18:30
■料金/全席指定 ¥4,800
■お問合せ/中京テレビ事業 TEL.052-957-3333(平日10:00~17:00)
※3歳未満入場不可