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「柴田理恵」web限定インタビュー
取材日:2013.02.27


常に新しい笑いを追求し、
エネルギッシュなステージで観客を沸かせるWAHAHA本舗。
その最新の全体公演は、なんと「ラスト」。その真意、そして舞台にかける思いを、
創立以来、看板女優として劇団を引っ張り続けてきた柴田理恵が語ります。

WAHAHA本舗の最新公演のタイトルが「ラスト」ということで、驚いています。

劇団設立30周年にして「ラスト」ですから、ちょっと驚かれたかもしれません。でも、WAHAHA本舗が解散したり活動を中止したり、ということではないんです。東京の方では相変わらず、それぞれのユニットや新たなチームを組んでいろいろやったりすると思います。ただ、劇団員全員で集まって全国ツアーをさせていただくのは今回で最後にしてみようかなということで、このようなタイトルになりました。全体公演のツアーが始まったのが10年以上前。特にこの5年間は、とにかく毎年これを全力でやり続けようと取り組んできました。それは凄く楽しくて、1年に1度、各地を回るたびに、皆さんが「ああ、今年も来てくれたね」とか、「すぐに予約して買ったよ」とかおっしゃって、本当に楽しみにしてくださって。震災の後も、東北の方たちが「よく来てくれた」と言ってくださったり。そんな風にいろんな方たちの思いがあって、本当に楽しい全国ツアーでした。でも、同じことをずっと続けるよりこの先何かひとつ区切りをポンとつけた方が、また次のステップに行けるんじゃないかと。今年の1月には久本とポカスカジャンで名古屋にも来させていただきましたけど、例えば私がほかの人と組んで全国を回ることもあるでしょうし、いろんな形でWAHAHA本舗は続いていくと思います。でも全体で皆さんの前にお伺いするのは一応ラストですから、ぜひいろんな方に観に来ていただきたいですね。大阪のお店が「もう辞めます、閉店セール、閉店セール」って、あれみたいなもんです(笑)。ついにその手に出たかと(笑)。本当にあと3年ぐらいはそうしようと言っているので…。もしも3年後に私たちが名古屋に来たら、もっと年寄りになっているんですよ。そしたら、お尻が出せるのかなって心配になって。20代の頃は「30代になってもお尻出そうね」と言ってたんです。30代の頃は「40代になっても…で、50になってもお尻出してるんだな」って。でも、そうやっていくのが楽しいのかなと思います。相変わらず大人の学芸会みたいにずっとバカやって…。そこが面白いんだと思うんです。立派になっていかないという(笑)。


これから3年ほどの間は、さまざまな形態で活動されるのですね。

そうです。3年後に全員が揃うかどうかはわかりませんが、とりあえずこの後の3年というのは、ポカスカジャンだったら自分たちの活動をしたり…。全体公演をやると、1年のうち5ヶ月を取られてしまうんですね。あと7ヶ月しか、ほかで動けなくなってしまう。ポカスカジャンにしろ3ガガヘッズにしろ、自分たちのものをもっともっと突き詰めてこれからやっていかないといけない。だから、若手が自分たちのことをまずきっちりやって、それからまた何年後かに集まってみんなでやろうかという思いも彼らに対してあります。それから主宰の喰始も、60歳を過ぎてもう少し個人としての活動…絵本を書いたり…そういうこともやってみたいという思いがある。それぞれが自身の活動をしながら、例えば久本とポカスカジャンがまたユニットで回ることもありますし、私もほかと回るかもしれませんし、違う芝居でまた名古屋にお邪魔する可能性もあります。そんな期間だと思ってください。

30年続けていらっしゃったというのは、凄いことですよね。オリジナルのスタイルを確立されましたし。

びっくりします。24歳だったのが、今、54歳ですからね(笑)。ただ唯一言えるのは、こういう感じのエンターテイメントを追求している劇団はほかにないなと。もちろん、もっと歌が素晴らしかったり、もっと踊りが素晴らしかったり、もっといろいろセットが凄かったり、いろいろ素晴らしい劇団がたくさんあります。でも、こういうおかしな分野と言いますか、どのジャンルにも当てはまりづらい、こんなのがよく30年も続きました。それもお客様がいらっしゃらなかったら、ここまでやって来られなかったはずです。やっぱり、観に来てくださったお客様が「面白いじゃん」って言ってくださるから続いていると思います。だからその辺は逆にお客様を信頼して、自信を持ってやっていきたいですね。

WAHAHA本舗は、ファンとの関係がとても濃い劇団だと感じます。

本当にお客様と一緒に歩んできたなと思います。本当に小さな小劇場から始めて、その後、新宿コマ劇場の下のシアターアプルという700席の劇場にいきなり行ったんです。そのときは私たち、指定券ということもよくわかっていなくて、自由席にしちゃったんですよ。そしたら、新宿コマの周りをお客さんがズルズルズルズル並んじゃって、「北島三郎でもないのに人が並んでる!」って大騒ぎになっちゃって(笑)。そういう馬鹿なこともやったし…。初めてミラーボールを使ったら、お客さんたちが「おおー!」と言って、そこで拍手がきたんですよ。そうやってお客さんも私たちと共にやってきてくださっているので、「お前たちここまで来たか」って、そんな目で見ていてくださっていますね。それは、名古屋のお客さんも本当にそうだと思うんです。ことに名古屋は、本当に初めて地方公演をさせていただいた土地で、この30年ずっとお世話になり続けているので、そうやって温かい目で見てくださるお客様がたくさんいらっしゃいます。昨年は、全国ツアーの最後の公演を名古屋にしたんですよ。で、私たちの中で、「やっぱり名古屋にして正解だったね」というのがありました。名古屋は本当に、出る前からお互いドキドキしているのがわかるんですよ。緞帳のこちらから、向こう側が「うわーっ」というのがわかって…お客さんの声を聞いていると何かわかるんです。オープニングが始まると「ブワーッ」という凄い反応が名古屋はいつもあって。相性がいいというのか…。名古屋は、ずっと私たちの歴史を見続けてくださっているところだと思います。だから、やっぱり名古屋は盛り上がりたいですね。私たちも名古屋公演というと、気持ちがちょっと変わります。

全体公演としてはひと区切りということで、最後に仲間と舞台に立たれますが、柴田さんご自身はどんな舞台を見せたいと思われていますか?

私はいつも独り芝居をよくやっているので、それはやりたいです。あれは、自分が好きでやっているんですよ。あとは、「WAHAHAってやっぱり変なところだったな」っていうのを見せたいな。「この人たちは50過ぎてまだこんなことをしてるのか」というか、「こんな変なこと、やっぱりこの人たちじゃなきゃ考えないよな」みたいなことをやりたいなと思います。それは絶対やるはずです。あとは、お客さんたちが参加するコーナー。そのときのお客さんたちの顔が凄く面白いんですよ。楽しんでやっていたり、ちょっと照れたり、「こんなことやらないよ」って言っているのに隣の奥さんにつつかれてやったりとか、そうしてるうちに、お客さんたちの顔がどんどん変わってくるんです。「えー、こんなことするの?」とか、「馬鹿だな、こいつら」って笑っているうちに、どんどん顔が変わってきて最後は凄く楽しそうにしていらっしゃる。そういう顔を見ると、本当に勝手ですけど、こっちが逆に凄く元気をいただく。「お客さんたち、こんなに顔が変わってる。喜んでくださったんだな」といつも思うので、そういう顔がまた見たいですね。

WAHAHA本舗という劇団は、一貫して笑いに対してとても真面目に取り組んでいる集団だと感じます。人を笑わせるために大切なことは、どんなことだと思われますか?

何が面白いかを一生懸命考えるアイデア会議が本当にとにかく大変です。アイデアをいっぱい出して、これとこれを合わせたら面白そう、「いけるな」となったら、まず形を決めて…というように作っていきます。でも根本的には、自分たちの面白がれることを追求していますね。何を面白がるかというのはセンスだと思います。お客さんにおもねって笑ってもらおうと思っても、それでは笑ってくださらない。とは言え、あまり自分たちだけの趣味に走っても笑ってくださらない。「こういうセンスのこういう点って絶対面白いよね」というところを凄く突き詰めて考えます。で、最終的には「これは絶対面白い。まず自分たちがこんなに楽しいもん」というところに持っていくと思います。やっぱり自分たちがやりながら楽しんでいないとお客様も楽しめないと思うし、迷いがあると楽しめないんです。こっちが「これが面白いんです。どうでしょうか、面白くないですか?」とやっていって、それでお客さんが「ああ、そういうことね」と笑ってくださるか。それは本当にいつもギリギリの勝負で、本当にドキドキです。この何十年やってきて、本当にいつも最後の最後までわからない。蓋を開けてがっくりのときも、「やった!」というときも、開けて慌てて変えていくときも…いろいろあります。毎回、そこが一番緊張しますね。


6/27 THURSDAY
6/28 FRIDAY

WAHAHA本舗2013年 全体公演
「ラスト」~全国ツアー~
愛知公演

チケット発売中
◎構成・演出/喰始 
◎出演/大久保ノブオ、佐藤正宏、柴田理恵、久本雅美、梅垣義明、
すずまさ、なんきん、てるやひろし、元氣安、飯塚俊太郎、タマ伸也、省吾 ほか
■会場/日本特殊陶業市民会館フォレストホール
■開演/各日18:30
■料金/S¥7,800 A¥6,800 
■お問合せ/中京テレビ放送 TEL.052-971-2500