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「前橋汀子」Web 限定インタビュー
取材日:2017.07.03


今年で演奏活動55周年を迎え、
日本クラシック界の第一線で活躍し続けているヴァイオリニスト、前橋汀子。
多くの人にヴァイオリンの音色を聴いて頂きたいと
自身が企画したシリーズが今年も名古屋で開催される。

今年の春に旭日小綬章受章しましたね。2011年には紫綬褒章を受章されましたが、ご自分が行ってきたことがこのような形で表彰されることをどう思いますか?

連絡を受けたときはびっくりしましたが、今までずっと弾いてきたことを評価してくださったんだと光栄に思いました。

今年で演奏活動55周年目です。振り返っていかがですか?

これほど長く弾き続けてこられるとは、自分でも思っていませんでした。今までの道のりを思い返してみると、節目節目で先生方はじめいろんな方との出会いがあり、それが今の私に繋がっています。やはり本格的にヴァイオリンを習いたいと、当時国交が回復したばかりのソビエトに行ったときが原点になるかと思いますが、そもそもヴァイオリンに出会ったのは5歳の頃でした。通ってた幼稚園で情操教育としてヴァイオリンを選んだことがきっかけでした。それがまさかプロとしてこれほど長く弾き続けることになるとは母も思っていなかったと思います。

長いキャリアの中でご自分の音は変わっていっていると実感されますか?

年とともに体力が衰えていくように、若いときのような音は出ないかもしれません。ただ長く生きてきたということは、それだけいろんなことを経てきてるわけだから、それは当然音にも現れると思います。最終的にはその人が音になるというか。私に限らず、ある年齢に達した音楽家たちの演奏を聴いているとそんな風に思います。私からヴァイオリンを取ったら、目的がない位、本当にそれぐらい全部ヴァイオリンに捧げてきました。捧げてきましたって言うと、重たく聞こえてしまいますが、すべてヴァイオリンが優先。それぐらい一筋だったのは間違いないです。だからそういう人生は音になって返ってくると思うんです。音符を再現してるだけですが、最終的にはその人の理解力というか、人格が音に現れると思うんです。

長年続けているシリーズでのコンサートですが、今年のプログラムも大半の方が聴いたことがあり、ヴァイオリンの良さが伝わる曲が並んでいますね。

55年間という長い間弾き続けていますが、まだまだ日本では演奏会に足を運ぶ人が少ないですよね。だから基本コンセプトとしてはホールで“ヴァイオリンを聴いてほしい”ということなんです。いろんな角度から、いろんな作曲家のヴァイオリンの名曲を聴いてほしい。フィギュアスケートの人が曲を使っていたりと、意外と聴いたことがある曲もたくさんあると思います。「モスクワの思い出」という曲は「赤いサラファン」というロシア民謡のメロディなので、年配の方には聞き覚えがあると思います。あとは何気なく聴いてるBGMの原曲がこのクラシックの曲だったんだというのもあると思います。またベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタの30分ほどある曲も演奏しますが、こういう曲も聴いてほしいですね。それぞれ個性を持った曲ばかりだと思います。今に至るまで長く親しまれているってことは、やはり人を惹きつけるものなんですよね。何度弾いても飽きない、作品に込められた魅力というものがあります。私も弾き続けていきたい、大好きな曲ばかりです。

このシリーズはお値打ちな料金設定も特徴ですよね。

コンサート会場に足を運んでほしいと考えたときに、3つの柱を考えたんです。それが料金と場所と時間帯です。足を運んで頂くって大変なことだと思うんですけど、そこからさらに来てよかった、聴いてよかったという思いで帰って頂きたいんです。そういう意味で、皆さんが足を運びやすい条件は揃えていると思いますので、ぜひひとりでも多くの方に聞きにいこうかと思ってもらえたらと思います。


9/24 SUNDAY
前橋汀子 ヴァイオリン・デイライト・コンサート
チケット発売中
■会場/日本特殊陶業市民会館フォレストホール
■開演/13:30
■料金(税込)/全席指定 ¥3,000
■お問合せ/@FM業務推進・事業部 TEL.052-263-5141
※未就学児入場不可