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ピアニスト小菅優が神戸市室内管弦楽団を相手に繰り広げる、圧巻の弾き振りの世界。第2弾は藤倉大とモーツァルトで、休憩無しの1時間2本勝負!世界的に活躍し、ピアニストとして日本を代表する彼女が、東灘区文化センター うはらホールに見参。
2022年8月の「小菅優 弾き振りの魅力」は、大変好評を博しました。今回はそれに続く第2弾ということですね。
前回の神戸市室内管弦楽団との共演は本当に楽しかったです。皆さん明るく、音楽に対する情熱が伝わってきました。私がやりたいことを理解なさろうという姿勢が嬉しく、結果として非常に満足のいく演奏が出来ました。終演後、次の機会をと画策したのですが、結果的に3年の歳月がかかってしまいました。弾き振りというと何か特別なことのようですが、モーツァルト自身、当たり前にやっていました。私は許されるならばコンサートにはテーマを決めて、誰と何をやりたいか、自分でプロデュースするのが好きです。練習でもオーケストラスコアの細部まで読み込んで、できればこういうバランスで楽器を鳴らしたいなどと考えてしまいます。もちろん普段のコンサートは、指揮者の役割を考慮して、ピアニストの立場で演奏しますが、今回のように弾き振りの機会を頂ける時は「団員の方々と共にアンサンブル」という意識で、まとめていこうと思います。その際、神戸市室内管のようにメンバーの皆さんが協力的です本当にありがたいです。
今回演奏される藤倉大のピアノ協奏曲第3番「インパルス」アンサンブル版の世界初演と、モーツァルトのピアノ協奏曲第25番の組み合わせは、どのように決まったのでしょうか。曲の魅力も併せて教えてください。
この演奏会のために藤倉大さんが書かれた、ご自身のピアノ協奏曲第3番「インパルス」のアンサンブル版を、神戸市室内管弦楽団と長谷川綾子さんが共同委嘱してくださいました。まず「インパルス」があって、それに合わせて何を演奏するか考えましたが、大さんの作品にはモーツァルトのような全く異なる世界が合うんです。「インパルス」には調性はありませんが、最後”ド”に辿り着く、その流れで大好きなモーツァルトの25番のハ長調の世界に入れたら、と思いました。 “インパルス” とは衝動、刺激、信号という意味。「インパルス」は曲の冒頭から浮遊感を漂わせ、ピアノに対しオーケストラが呼応し、投げた石が水面に描く波紋のよう。難解なイメージでは無く、ハーモニーや響きが美しいまさに藤倉大の世界です。モーツァルトは、後期の作品になるにつれ影があり、特にこの25番の協奏曲はハ長調とハ短調が交互に出てくることで情緒がゆれ動きます。ピアノとオーケストラは対等に会話をし、室内楽の延長でオペラのように歌う。 前回は弦楽器だけのアンサンブルでしたが、今回は木管楽器も加わります。人間の声に近いクラリネットやオーボエ、金管にティンパニーが加わることで、華やかな色彩感を纏い…。藤倉の放つ宇宙空間からモーツァルトの天国的な調べへ、皆さまを誘います。

関西では色々な会場で小菅さんの演奏を楽しむことが出来、ラッキーです。
神戸市室内管弦楽団との弾き振り以外では、住友生命いずみホールの「室内楽シリーズ」第2弾は6月に終了。兵庫県立芸術文化センターでは2026年3月に、ピアノソナタのシリーズ最終回を。シャルル・デュトワ指揮、大阪フィル「11月定期演奏会」では、モーツァルトのピアノ協奏曲第22番をフェスティバルホールで。秋には赤穂と姫路で樫本大進さんの「ル・ポン国際音楽祭2025」。関西の色々な会場で演奏させていただけて幸せです。
メッセージをお願いします。
藤倉大とモーツァルトという大変興味深い組み合わせで、神戸市室内管弦楽団と弾き振りをさせていただきます。ぜひ会場にお越しください。お待ちしています。
◎Interview&Text 磯島浩彰
会場はJRと六甲ライナー「住吉駅」直結!
8/23 SATURDAY
神戸市室内管弦楽団 Selection Vol.7
「小菅優・最前線 in KOBE」
【チケット発売中】
■会場/東灘区文化センター うはらホール
■開演/14:00
■料金(税込)/全席指定 一般 ¥2,500 U25 ¥1,000
■お問合せ/神戸文化ホールプレイガイド TEL.078-351-3349
