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「清塚信也」web限定インタビュー
取材日:2013.09.09


クラシック・ピアニストとしてのみならず、
さまざまな分野のクリエイターとのコラボ、
テレビ、映画、舞台への出演、エッセイ執筆など、
多岐に渡る活動で才能を発揮するマルチアーティスト、清塚信也。
11月のトーク&コンサートでは、その本領を発揮してくれそうです。

今回のリサイタルでは、各作曲家の個性がとてもよく表れている曲がラインナップされています。選曲の意図はどのようなものでしたか?

プログラムはまだ完全には確定していないんです。現在、フライヤーなどに載せている曲は弾きますが、ほかにプラスして「何を弾こうかな」とまだ考えている途中で。当日ツイッターでリクエストがあったらそれを弾くかもしれないし。基本的には「どこかで聴いたことがあるな」というクラシックの曲を選びます。その曲や作曲家にまつわるエピソードも交え「この曲、実はそうだったんだ」という発見をしていただけたら、さらに面白いかなと思っています。

公演当日、本当にSNSなどでファンの方がリクエストしても大丈夫なのですか?

全然OKです。実際にやっていますよ。以前のコンサートで「マゼッパ」とか「熊蜂の飛行」とか、映画で弾いた曲を弾こうと思ったのもツイッターで言われたからなので。よく公演終了後のサイン会で「あの曲が聴きたかった」と言ってくれる人がいますが、終わってからでは応えられませんからね。コンサートが決まると、プログラムを作るために割と早い段階で曲目を決めなきゃいけないんですが、僕にとってはそれがストレスで…。最初に宣言しちゃったら、それは絶対弾かなきゃダメじゃないですか。それが辛い。クラシックの人は逆だそうですね。当日に「この曲を弾け」とか、あり得ないって。


今回は、トークも目玉のひとつですね。作曲家のエピソード、曲の音楽的な解説などさまざまあると思いますが、トークで工夫されることは?

基本的には、話す内容というよりも話し方に気をつけますね。授業みたいに説明がましくならないように。5分に1回ぐらいは笑っていただけるようにと思います。ショパンやベートーヴェンは、音楽家にとっては神様みたいな存在で、彼らを語るときには誰もが、とても神がかったものとか天才的なところがどんなに凄いかをアピールするんです。でも彼らも普通の人だし、場合によっては普通の人以下のところもあると僕は思っているんですよね。例えばベートーヴェンは全然モテなかったとか…。そんな人間的なエピソード、近く感じられるエピソードを忘れずに話していけたらと思っています。モーツァルトはもう、ステージでは言えないことばかりですしね(笑)。

「笑得るクラシック」というサブタイトルが付いていますが、観客をトークで笑わせることの自信のほどは?

演奏よりはありますね(笑)。人って基本的に「静かにしなきゃ」という緊張感ある場面では笑いやすくなるんです。そういう意味で、笑う要素とコンサートというのは割と近づけやすいと僕は思っています。だから、ちょうどいいんじゃないかと。演奏は静かに聴いていただくことになると思いますが、「あんな硬派な感じの曲を作るショパンが実はこんな人だったんだよ」いう話をすると、やっぱりちょっと緊張感が和らぐところがあるというのか、それによって曲もすーっと心に入ってきやすいところがあるんですよね。だから、そういう作用もひとつの狙いだと思っています。

そもそもこのような企画を始めようと思われたきっかけを教えてください。

日本各地で演奏させていただいていますが、自分で企画することってあまりないんです。でもこうやって自分で企画すると、全部自分で責任を負わなきゃいけない。そういう中で、今年1年間の集大成のコンサートとして必要だなと思ったし、自由度があればこそできることも今後も増えていくと思うので、挑戦することにしました。日本ではインストゥルメンタルのコンサートはまだ馴染みが薄いと思います。もっともっと間口の広い、いろんな要素を持ったコンサートをしたいんですよね。例えばコントが入っているものとか、ちょっと芝居が入っているとか、いろんなことをこれからやっていきたい。でもあまり急にやると逆に離れていく人が多くなるかもしれないので(笑)。徐々にやっていければなということで、今回こういった形のリサイタルが実現しました。



今回はクラシックの伝道師という役に徹する感じですね。

「伝道師」にしては、ちょっとチャラすぎるな(笑)。「エンターテイナー」ですね。結果はどうあれ、「楽しかった」と言っていただけるものがやりたいというのがひとつで、「僕はこういうことが伝えたい」ということが実はあまりないんです。人が楽しがるものをあげたいという、そこが一番ですかね。やっぱりどこか「モテたいだけ」みたいなところがあるんですね(笑)。一回のコンサートでどうやったらお客さんを楽しませられるか。僕のことを好きにさせられるか…。そのためだったら踊ってもいい、何をやってもいいんじゃないかと思っています。

今年公開された映画「さよならドビュッシー」では俳優に初挑戦されました。今後も異分野でのチャレンジをしたいという思いはありますか?

ありますね。俳優とか芝居に関しては特にやりたいと思っていますし、やれそうだなと思うことはどんどんやっていきたい。表現する手段はピアノでなくてもいいと思っているんです。もちろんピアノもやりたいですけど。文章を書きたいとも思うし、いろんなことがしたいです。それには自分自身が欠落しているところも多いので、できないことはできないと、きちんと判断しながら少しずつ…。



11/13 WEDNESDAY
清塚信也ピアノリサイタル
K’z Piano Show 2013 笑得るクラシック

チケット発売中
◎曲目/ショパン:英雄ポロネーズ、ベートーヴェン:月光ソナタ、
ドビュッシー:月の光、ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー ほか(予定)
■会場/愛知県芸術劇場コンサートホール
■開演/18:45
■料金/全席指定 ¥4,800
■お問合せ/中京テレビ事業 TEL.052-957-3333(平日10:00〜17:00)
※未就学児入場不可