HOME > Web 限定インタビュー > 「川本真琴」インタビュー


「川本真琴」web限定インタビュー
取材日:2013.10.18


川本真琴 feat.TIGER FAKE FURでの活動や
写真家の佐内正史とのユニット・川本真琴 and 幽霊などでも活動する川本真琴。
他アーティストへの楽曲提供や絵本作家デビューなど、
多彩な活動を展開する彼女が、
ソロ名義による約3年ぶりの新作を携え名古屋に登場!

最新アルバム「願いがかわるまでに」は、mabanuaさんの共同プロデュースなさっていますね。

以前から、mabanuaさんがプロデュースされたほかのアーティストの方の作品を聴いていました。Charaさんの「Dark Candy」というアルバムがあって、その1曲目が凄いんです。それまでのCharaさんの曲とアレンジが凄く変わったんですね。それで「誰のアレンジなんだろうな」と気になって、mabanuaさんの存在を知りました。それ以来、ずっとカッコいいなと思っていて、うちのディレクターに聞いたら知ってたんですよ。それで、ダメもとでお願いしてもらったら、すんなりOKいただいて。それが昨年の10月ですね。そのときに、映像関係の音楽を作ってくださいというオーダーがあって作ったのが「fish」という曲です。今、その映像がホームページに立ち上がっています。1ヵ月ぐらいの間にトントン拍子で作ったんです。mabanuaさんがまずリズムトラックで「こういう雰囲気はどうですか?」というのを作ってきてくれて、その上に私がメロディをつけていきました。あまり話し合いなどはしなかったんですよ。本当に音楽上でアイデアを出していく、みたいな感じで。mabanuaさんも「またやりたいです」と言ってくださったし、私自身が彼と音楽を作るのは面白いなと強く思ったので、それから1曲ずつ作っていって、半年間ぐらいかけてミニアルバムとして完成させた感じですね。いつもはもっとスローペースなんですよ。1曲作ったらしばらく休んでまた作る、というペースだったのですが、今回は1曲終わったら次の曲、という感じで間を空けずにどんどん作っていっていました。

これまでの2作と比べると音の作り方がガラッと変わりましたが、抵抗感はありませんでしたか?

私は最初に「こういうものを作ろう」と決めないタイプなんですよ。割と行き当たりばったりで、出来上がったものが「あ、こういう風になる予定だったんだな」というぐらいで。最初は先が全然見えずに進んでいく感じなので、「フェアリー・チューンズ」も「川本真琴and幽霊」も今回も、けっこう行き当たりばったりで出来上がったものを出しているので、カラーは全然違いますね。

その中でもメロディなどには川本さんらしさという一本の筋が通っている気がします。ご自身ではどんなところを気に入っていらっしゃいますか?

mabanuaさんと私の共通点は、普段から割と自然体でいるところなんです。けっこうオーガニックな要素がふたりともあると思うんですよ。草木とか自然のものの中で生きているなという感じが、ふたりとも凄くあるんです。私たちの持っているそういう雰囲気が出ているのが、今回の作品のいいところかなと思うんですよね。パッと聴いた感じ、アコースティックサウンドではないけど。

エレクトロやディスコを取り入れた楽曲もありますね。

ふたりとも、けっこう新しいことも好きなんです。今、自分が好きなものは凄く取り入れていますね。今回の収録曲は5曲ですが、全部作った順に並べているんです。4曲目を作っているあたりからブラック・ミュージックのマイブームがきて、聴いていると「こんなに自分の気持ちに合った音楽ってあったんだな」と思って。自分に凄く合っていたんですよ。そういうところは曲に出ているかなと思います。mabanuaさんにしてみればもともと得意なジャンルだし。


ブラック・ミュージックはどんなものを聴かれたのですか?

チャカ・カーンはもともと好きでした。最近はアーチー・ベル&ザ・ドレルズとかベル・コモンズとか…「あ、こういう人がいるんだ」って、いろいろ楽しみましたね。プリンスとかスライ&ザ・ファミリーストーン、マービン・ゲイあたりは以前から聴いていたんですよ。アーチー・ベルズは「タイトゥン・アップ」という曲は知っていても、アルバムとしてちゃんと聴いていなかったりしたので。日本だと金子マリさん。ボーカル録りを始めたときから、「金子マリさん、カッコいい!」って。最近は、けっこう作りこんで歌うのが主流だったんですよ。割とキメキメというか、言葉によって「ここはこういう風に表現しよう」と先に決めておいてレコーディングをする感じだったのですが、今回、金子マリさんを聴いていてから「もう何も考えないで歌いたい」と思い始めて。エモーションを基準に歌おうと思って。だからちょっとボーカルも前と変わったかなという気もします。

同じ曲の中でも声のキャラクターがちょっと変わったりしていますよね。

そうですね。途中から変わったんですよ(笑)。タイトルチューンの「願いが変わるまでに」は、一度録り直したんですよね。最初に歌ってみたのがなんか凄く作り込まれた感じになっちゃって、ちょっと今の方向性や私の旬と違うなと思って。もっと心のままに歌ったものを残したいと思って録り直しました。

このタイトルにはどんな意味が込められているのですか?

自分の中でちょっとわからないこと、未定のことというか、計画できないようなことってあるじゃないですか。気持ちっていつどう変わるかわからないし、自分だけで生きていないので、誰かに会った瞬間に全然変わってしまうということがけっこうある。自分でも「え?」って驚くぐらい気持ちがすっかり変わってしまうこととかがあるので、変わってしまうまでに残しておきたいっていう。写真と同じですね。今を残しておきたいとか、そういう感覚に近いと思います。

刹那的であるようにも感じられますが。

その辺は長いスパンで思っているんです。映画で言うと「ガープの世界」とか、ああいう長いスパンの感じというか…。もうこのときはないから、というんじゃなくて、変わっていくかもしれないし、変わっていかないかもしれないし、それはわからないという。その辺の感じがタイトルに入っているかなと思うんですけど。

川本さんにとっての音楽との関わり方や生き方での転機というのは、やはりメジャーから離れられたことでしょうか?

実は、私はメジャーからインディーズに変わろうという覚悟みたいなものを持ってそうした訳でもないんです。どっちの方がうまくいくんだろうかとか、考えるのも得意じゃないし。だからそれはちょっと端の方に置いときつつ、自分でなるべくそういうことは考えないようにしています。音楽を作ったりすることの方が自分に向いていると思うので。割と流れに任せているところもあるんですよ。楽しいものを見つけたら、大体やってしまうんです。



11/2 SATURDAY
川本真琴 風流銀河 girl2
チケット発売中
■会場/名古屋クラブクアトロ
■開演/18:00
■料金/¥5,000(スタンディング・ドリンク別) 
■お問合せ/名古屋クラブクアトロ TEL.052-264-8211
※未就学児入場不可