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「市川海老蔵」Web 限定インタビュー
取材日:2014.09.29


今年4月、京都南座で初演された市川海老蔵特別公演「源氏物語」
歌舞伎、オペラ、能の融合により生まれた新たな表現で大好評を博しました
来春には、早くも再演が決定
海老蔵が作り上げる新たな源氏物語の世界を、名古屋でも楽しめます

「源氏物語」再演にあたっての意気込みをお聞かせください。

初演では、メトロポリタン・オペラのアンソニー・ロス・コンタンツォさんをお招きして、オペラ、お能、華道、洋楽、邦楽それぞれの音楽家…そういった方々のお力添えを得て作らせていただきました。今回は、オペラ界から彌勒忠史さんをお招きして歌っていただいて、歌舞伎、お能、お華を中心に源氏物語を作っていこうと。場面としては、4月に上演させていただいた「藤壺の巻」を中心にします。そこから先の物語は、今後、作っていこうと思っています。歌舞伎の「源氏物語」は、祖父である十一代目市川團十郎が光君で非常に人気を博した作品です。それを父が受け継ぎ、私も二十歳そこそこのときに勤めさせていただきました。今、37歳ですが、新しい形で改めて上演させていただくにあたり、普段、歌舞伎の本公演を行う劇場になかなか足をお運びいただけない方のところに、こちらから出かけて行ってご覧に入れたいと思っています。名古屋も含め全国18都市43公演になります。意気込みとしては、まず体調管理からですね。


海老蔵さんの初お目見得は、歌舞伎の「源氏物語」の春宮役でした。市川家にゆかりの深い「源氏物語」という作品への思い入れを教えてください。

5歳でしたが、当時のことを鮮明に覚えています。舞台では音羽屋のおじさま、今の菊五郎のお兄さんが非常にかわいがってくださったこと、また父が一生懸命仕事をしている姿をよく覚えています。子どもながら「不思議な世界にいたな」と感じたのが「源氏物語」でした。そして、光君も若くして勤めさせていただきました。東儀秀樹さんに音楽を担当していただくなど、さまざまな方にお力添えをいただいた思い出があります。自分の原点とも言える「源氏物語」を、新しいニュアンスの中で、オペラ、お能、お華、日本舞踊という各ジャンルの方々と上演出来ること、これは5歳のときからは想像出来ないような変化ですし、非常に縁のある演目なんだなと感じます。やはり、祖父からの恩恵を受けているんだとも思いますし、もっと吟味してどんどん進んでいきたいですね。

光源氏を演じるにあたって気をつけていることはありますか。

父に言われたことは多々ありまして、それを守って勤めています。ただ、舞台の上の人ですからね。紫式部が書いた小説上の人物である、そういうことを重点的に考えて演じます。光君というのは空気なんですよね。ですからあまり何を演じるということではなく、空間認識がどれだけ出来るかということだと思います。

今回は藤壺に焦点を当てていますが、今後の公演で物語をさらに進めていくという構想もお持ちですか?

それは考えていますね。もっと多くの人に歌舞伎をもっと知ってもらう、そして古典というものをもっとわかっていただく。そのためには、いろいろなわかりやすいものを提供することが必要だと思っています。それをきっかけに観てくださった方それぞれがレベルアップして探究心を持つことによって、難しいものもわかっていく。そのためにいろいろ試行錯誤している訳です。それは僕にとっては日常なんですよ。新しいことを考えるのも日常だし、それをやっちゃうのも日常。持って生まれた性なんでしょうね。だから、今回のような歌舞伎以外の公演に取り組むと「その原動力は?」なんて聞かれますが、答えに困っちゃうんだよね(笑)。


私も海老蔵さんの公演をきっかけに古典の文学や芸能にまつわる本を読むようになりました。最近は「風姿花伝」を読み進めています。

「風姿花伝」はいいですよ。面白いんじゃないですか? 本当は外に出すべきものじゃないと思いますけどね。芸の継承のために書かれたものだから。我々にとっては、いわば当たり前のことが書かれているんです。でも、現代の我々がそれを当たり前のこととしてちゃんと出来るかというと、それが一番難しいことです。言われればわかるけど言われないと忘れている、もしくは言われないと出来ない。そういうことですよね。例えば、朝早く起きなさいとか、三食ちゃんと食べて野菜を中心にとか、みんなわかっているけど出来るかというとそうじゃないでしょ?僕は今ランニングに凝っていて、南座に出ていた9月の1ヵ月間は京都でランニングしていました。あと禁酒。京都の街で酒を飲まずに過ごすというのは初めてでした。やっぱり体調も変わるし、冴えますよね。




2/28 SATURDAY
3/1 SUNDAY

市川海老蔵特別公演「源氏物語」
10/11(土)〜チケット発売
◎出演/市川海老蔵、彌勒忠史(カウンターテナー歌手)、市川ぼたん ほか
■会場/愛知県芸術劇場 大ホール
■開演/2月28日(土)13:00、16:30
3月1日(日)13:00
■料金(税込)/S¥10,000 A¥8,000
■お問合せ/中京テレビ事業 TEL.052-957-3333(平日10:00〜17:00)
※未就学児入場不可