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「チリンとドロン」Web 限定インタビュー
取材日:2016.08.23


松本野々歩の歌と田中馨のコントラバスというシンプルな編成で、
子どもたちに上質な音楽を届けるユニット・チリンとドロン。
親子で楽しめるコンサートがこの秋、名古屋で開かれます。

野々歩さんが子どもに向けた音楽を始められたのは、ロバの音楽座のリーダーであるお父様(松本雅隆)の影響が大きいのでしょうか。

野々歩:そうですね。父から何か教わったりしたわけではありませんが。赤ちゃんのときから父のコンサートについていって、舞台袖や客席で見ていたことが影響しているかもしれません。バンド活動を始めた頃は、自分が子どもたちのために音楽をするということは考えていなかったんですけど。

おふたりの出会いは?

田中:高校が一緒なんです。SAKEROCKのメンバーやハナレグミもそうなんですけど。

野々歩:それぞれ違うバンドにいたのですが、一緒にやることもあったりして。レコーディングでベースを弾いてもらったのがきっかけです。

田中:それでショピンを一緒にやり始めたんです。

おふたりの世代のミュージシャンは、複数のバンドに所属していろいろな顔を持って活動なさる方が多いですね。

田中:声をかけてもらって一緒にやるタイミングがあるなら、それに自分も応えたいと思いますよね。自分にとっても全て挑戦というか。初めてやる人とは自分のどんな引き出しを開けてもうまくいかなくて、新しい引き出しを作るしかないんですよ。だから、呼んでいただける限り、僕が可能な限りは新しいことにチャレンジしたいなと思っています。



チリンとドロンは、おふたりにとってどんなユニットですか?

野々歩:ショピンで長く一緒に活動していく中で、それぞれの活動もしていました。馨君はお芝居の音楽もやらせてもらう機会が増えたり、私はソロで歌の仕事だったり、絵本作家で作曲家の中川ひろたかさんと一緒に活動させていただいたり。そんなそれぞれの引き出しをショピンに持ち寄ったら、チリンとドロンのスタイルになったという感じですね。これは一生やっていきたい活動だなと思っているんです。

田中:自分たちもこの年齢になってくると、例えばSAKEROCKで同じ時間を共有した人たちがお子さんを持つようになっています。ショピンも、子どもも楽しめる音楽みたいなところもあるんですけど、決して子ども向けではなくて、大人も楽しめる童謡という感じなんです。そこがチリンとドロンとは決定的に違う。

野々歩:子どもに聴かせたい音楽と、子どもも聴いていい音楽とは違うかもね。

田中:そやっぱり目の前にいる子どもたちに対してどうするか。どんなものを届けたいか、どういう時間になったらいいかというのを考えます。ちゃんと地に足つけないと説得力が生まれなしい、伝えたいものも伝わらないかもしれないと。だから、チリンとドロンには大きなウェイトを置いてやりたいなと思っているんです。

音楽に限らず舞台芸術全般において、子どもに向けた作品づくりは難しいのではないかと思うのですが。

野々歩:父の背中を見ていたせいか、小さい頃からやたらとこども扱いをするような世界が好きだと思えなかったし、自分が音楽活動する上でも、それは私の肌には合わない。心がけているのは、自分自身が遊んでいるように音楽をやろうということです。私はチリンとドロンの舞台に立っているときが一番自然でいられるような気がするんです。「そういえば私ってこんなだったな」って。発声や表情、仕草とかを作らず、自然体で自分自身が楽しんで遊んでいるようにできると、聴いてくれる子どもたちにもきっと伝わるだろうな感じています。子どもたちの反応は毎回違うし、教育論を勉強しているわけじゃないので、何が子どもたちにとって正解かはわかりませんが、目線を同じにするということはすごく心がけています。それと、子どもたちに向けたコンサートでこんなシンプルな編成のものは多分ないと思うんですね。こんなにシンプルで届いているかなと不安になるときもあるんですよ、静かな曲も気にせずやってしまうので。子どもたちのためにはハイテンションで元気な曲をやらなきゃいけないって、一見思われがちなんですけど、決してそうじゃないんだということに毎回気づかされるんですよね。子どもたちの方がよっぽど耳を澄ませているんだなと。特に赤ちゃんはびっくりするぐらい聴いてくれますね。日々、発見です。何より自分たちが好きな曲を好きなアレンジでやっているので、それはぜひ大人の方にもぜひ聴いてもらいたいと思います。


10/5 WEDNESDAY
チリンとドロンの赤ちゃんと聴くコンサート
チケット発売中
■会場/緑文化小劇場
■開演/10:30
■料金(税込)/全自由席
親子ペア ¥1,500(大人2名も可)
追加一名 ¥800
■お問合せ/緑文化小劇場 TEL.052-879-6006
※乳幼児もチケットが必要です