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「荒川裕介」Web 限定インタビュー
取材日:2016.08.18


平日の朝、気軽に音楽と親しめる「あつたモーニングコンサート」。
11月は、声楽デュオのコンサートに気鋭のテノール・荒川裕介が登場します。

荒川さんが歌唱を始められたのは、いつからですか?

大学に入ってからです。親がクラシックをやっていたので子どもの頃からピアノは習っていましたが、自分も同じ道を歩むのは嫌だと思ってビジュアル系のロックバンドを組んだりしていました。ボーカルとギターを担当していたので、バンドで成功するためにも、もっと歌がうまくなりたいと思っていたのですが、まず複式呼吸をどうやればいいのかもわからない。それで、どういうものなんだろうなと思って名古屋音楽大学で声楽を学ぶことにしたんです。そうしたら、やってもやっても全然できなくて…(笑)。それで、どんどんハマっていったという感じですね。

声楽曲や歌曲に惹かれた面も、もちろんあると思いますが。

そうですね。僕はオペラに惹かれました。歌は、ただ立って歌うものだと思っていましたが、オペラは違いますよね。観てみたら「面白いじゃん」と思って。そこからずっとオペラばかりです。

今年は名古屋で、ブロードウェイミュージカルの名作「ザ・ミュージックマン」のステージに立たれました。手応えはいかがでしたか?

大きなやりがいを感じました。オペラはどちらかというと、一人ひとりがその役をまっとうすることに重きを置く傾向があると思うんです。卓越した個の力が、ひとつのステージに集まってくるという。ミュージカルは、全員で作品を作ろうというみんなの意識がひとつに集まるという感じがしました。市民ミュージカルでしたから、そういう空気が一層濃かったのかもしれませんが。ひとつの作品を作るために、キャストがあんなにもひとつにまとまる。それを味わったので、これからはミュージカルもどんどんやっていこうと思っています。

ミュージカルは、オペラよりも演じる要素がより強いですよね。

僕は、あまりオペラと変わらないという印象を受けました。オペレッタの「こうもり」などセリフのある作品もたくさんあって、日本で僕たちが上演するときは日本語で演じますからね。両方経験してみて、歌手が歌唱力で演じるのがオペラなんだとわかりました。オペラだけをやっていたら、こういうことは絶対に感じられなかったと思います。

11月には熱田文化小劇場でデュオ・コンサートを開かれますね。

「朝」と「秋」をテーマに選曲しました。イタリアの作曲家トスティの「朝の歌」、R.シュトラウスの「モルゲン」など世界各国の朝の歌を歌います。共演するソプラノの趙知奈さんは、ずっとドイツ・リートを中心に歌っていらした方なんです。趙さんの歌で、ドイツ歌曲の魅力を知ってもらいたいですね。あとは、お客様になじみのある曲を聴いてもらおうと、日本の歌曲のメドレーを予定しています。

朝に声楽のコンサートを聴くというのは、とても贅沢ですね。

そうですね。今回、呼んでいただけてすごく嬉しいです。どうやったら楽しいものになるのか、いろいろと考えているところ。趙さんは、とても色気のあるいい歌い手なんですよ。まだ大学院を卒業して1年目なんですけど。1時間というコンパクトなコンサートですが、それぞれのソロあり、二重唱あり、ピアノの独奏ありの、濃いものにしたいと思っています。曲目解説もしますから、曲の世界観をイメージしながら聴いていただけたら。

荒川さんは現在、31歳。年齢や人生経験は表現力や歌に対する説得力に大きく影響すると思いますが、キャリアを重ねる中で、ご自身の歌の変化を感じられていますか?

始めた頃と今とでは、全然違うと思います。僕の初めてのオペラ出演は「魔笛」なんですけど、当時と今では作品の解釈が全く違うんじゃないかな。昔は、やっぱり考え方が若かったですから。でも、僕はテノールですから若い役を演じることが多いんです。だから、昔の気持ちは持っておかないといけないとも思っています。バリトンみたいに経験年数とともに実年齢と役柄が近づいていくのではなく、自分の年齢が役を追い越してどんどん離れていく方なので。


11/17 THURSDAY
あつたモーニングコンサート Op.68
テノール荒川裕介・ソプラノ趙知奈 デュオコンサート
〜名曲を中心に爽やかな秋を歌う〜

チケット発売中
■会場/熱田文化小劇場
■開演/10:30
■料金(税込)/全席自由 ¥1,000 
■お問合せ/熱田文化小劇場 TEL. 052-682-0222
※未就学児入場不可