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「あべ静江」Web 限定インタビュー
取材日:2015.08.03


1973年にデビュー。「コーヒーショップで」「みずいろの手紙」などが大ヒットし、
清純派アイドルとして絶大な人気を誇った、あべ静江。
歌手、女優としてキャリアを重ねた今、
精力的に取り組んでいるのが「同窓会コンサート」です。
1960年代〜1970年代の歌謡曲、GS、フォークの
スターたちが一堂に集結するステージ。
名古屋公演を前に、コンサートの魅力、当時の楽曲への思いを語ってくれました。


同窓会コンサートは全国で人気を博していますね。

7年目に突入しました。昨年の5月からリニューアルされて、私は司会も務めさせていただくようになりました。とにかくツアーのペースが凄くて。1日2公演が基本で1年に90ヵ所以上回りますから、年間200公演近く開催しています。基本的にはみんな、自分のレパートリーは1曲しか歌いません。私の場合、例えば昼公演で「コーヒーショップで」を歌ったら、夜は「みずいろの手紙」。あとは、1960年代〜1970年代のヒット曲のカバーにチャレンジする形でやっています。これまでに、みんなでカバーアルバムを2枚出しているんですよ。私は、ペドロ&カプリシャスの「別れの朝」、中山千夏さんの「あなたの心に」、森山良子さんの「禁じられた恋」、そして梓みちよさんの「メランコリー」を歌わせていただいています。ステージの構成はあってないようなもので、毎回変わるんですよ。もちろん昼夜のプログラムも違いますし。案内役にとっては恐ろしいコンサートなんです(笑)。1970年代の頃は、みんな忙しくてめまぐるしい毎日を送っていたので、テレビ局なんかでお会いしても挨拶が出来ればまだよくて、すれ違いばかりでした。だから、40年の月日が流れた今、いろんなときを乗り越えながら一緒に時代を飾ってきた仲間としてみんなと深くて温かい関係を築けているのが、とっても嬉しいですね。


1960年代〜1970年代は、長く歌い継がれている名曲がたくさん生まれた時代だと思います。あべさんは、当時の楽曲の特徴、魅力についてどのように感じていらっしゃいますか?

メロディに乗せて詞が頭の中に入ってきたときに、絵が浮かんでくるところ。そこに物語が垣間見えたり…。当時の歌って、すんなりと細胞に染み込んでくるようなところがあったんじゃないかな。やっぱり名曲が多いですよね。同窓会コンサートには「EXIT」というバンドが出演しています。メンバーは20代と30代が中心ですが、ひとりはまだ10代という若いバンド。彼らはずいぶん前から1960年代〜1970年代の楽曲を研究していて、本当に大好きで頑張ってるんですよ。そういう若い人たちに「あの歌、いいですよね」なんて言われると、我々はなんていい時代に生まれ育ったんだろうと、ちょっと嬉しくなりますよね。同窓会コンサートの客席にも、親子連れの方々が多いんですよ。それも3代ぐらい。先日は4代という方がいました。もともとはお父さん、お母さんへの親孝行でチケットをプレゼントしたんだけど、せっかくだから一緒に行ってみようかと思ったら自分たちがハマっちゃったと言ってくれる若者たちもいるし。みんなで一緒に歌っています。このコンサートは、体感型・参加型コンサートだと思っているんですよ。気持ちも体も一緒に陶酔してもらいたいし、参加してもらいたい。ステージと客席はキャッチボールのような盛り上がり方をしていくものですが、このコンサートは圧倒的にそうですね。お客さんが「会場を盛り上げるぞ」という意気込みでいらしてくださるから、ステージの私たちもそれに負けずに盛り上がるという相乗効果が生まれるんです。


今回、名古屋公演は「名古屋スペシャル」と銘打たれています。三重県松阪市のご出身で、名古屋で芸能活動をスタートさせたあべさんにとって、名古屋は今も特別な場所ですか?

名古屋は、私のもうひとつのふるさとですね。母が、東海ラジオの前身であるラジオ三重の専属歌手で、父が専属バンドのメンバーだったんです。当時、小さかった私もついて行って一緒にステージに上がったりしていました。その後、東海テレビにも初ドラマの頃から子役として出演したり、私の全てのスタートが名古屋にあるんです。だから忘れちゃいけない場所。デビュー40周年の記念アルバム「あべ静江アンソロジー 〜Memories for 40years〜」の発表も、名古屋でさせていただきました。現在、全国のCDショップで発売中です…謙虚でしょ?(笑) もちろん、生まれ育った松阪にも強い思い入れがあります。2012年に「松阪市ブランド大使」に任命していただき、地元のアピールに力を入れているんです。ちなみに、今日着ているのは松坂木綿の浴衣です。2013年、40周年の年からは毎年、私の芸能界デビューの日である5月25日に松阪でワンコインコンサートを開いています。きっかけは、母が亡くなったことでした。ブランド大使のお話をいただいたのも父が亡くなってすぐのこと。親に引っ張ってもらっているように感じます。父はずっと「故郷のことを忘れるなよ。松阪を忘れるなよ」と口を酸っぱくして言っていましたから。今の姿を父に見せたかったなと思います。


そうした幅広い活動も含め、デビューから40年余りのさまざまな経験を経て、歌への思いや歌い方は変わってきましたか?

うちの父の遺言みたいな言葉があるんです。「レコードに近いように歌え」と。お客さんは「あのとき聴いた歌」を聴きに来るんだから、って。アレンジを変えることも父は大反対していました。「歌は奏でろ、楽器は歌え」と、耳にタコができるぐらいに言われ続けていました。

ファンが聴いたときに、曲と一緒に当時の思い出を甦らせることが出来るように…。

そう、そこにつなげるようにと。例えば「みずいろの手紙」。実は私、当時はこの歌が嫌いだったんですよ。男性に媚びたような、私が嫌いなタイプの女性の思いを綴った詞だと思ってしまって。歌うのを封印していた時期もありました。でも、あるとき久しぶりにステージで歌ったら、目の前の人がハラハラと泣いたんですね。それを見て、自分はとんでもない間違いをしていたんだと反省しました。一度歌って世に出したものなんだから、自分のものとして扱っちゃダメなんですよね。聴いてくれる人の思い出とつながっているんだから、もう私の歌ではない。そのことに気づいてから、ひとつの作品として素直に歌の世界に入り込めるようになりました。最新作「いちばん、好きだから」を収録したミニアルバムでも、「みずいろの手紙」と「コーヒーショップで」を新たに歌い直しています。私、50歳になったときに「さぁ、次はいよいよ還暦の大台だ!」と、凄く意識してワクワクしていたんです。還暦を過ぎてからが人生の勝負だと思っていたのね。そうしたら、50歳代が不思議なぐらいとてもゆっくり流れて。だから今、凄く勝負している感じが自分の中にあります。若い頃の勝負の仕方とは全然違うんだけどね。経験値が必要になる勝負。60歳になって年齢をリセットして、また1歳から始めた感じ。子どもの1歳~3歳って、成長がとても早いじゃないですか。それぐらいの勢いが二回転目の今もなきゃいけないんじゃないかなって。子どもの頃のあの成長ぶりは自分で記憶がないですよね。だけど周りの大人たちを喜ばせることが出来た急成長。今度は、自分が喜ぶための急成長かなと思って。楽観的でしょ?(笑)。




9/4 FRIDAY
同窓会コンサート
名古屋スペシャル

チケット発売中
◎出演/あべ静江、今陽子(ピンキーとキラーズ)、加橋かつみ(ザ・タイカース)、
タケカワユキヒデ(ゴダイゴ)、リリーズ、あいざき進也、
西口久美子(青い三角定規)、伊藤咲子、尾藤イサオ、辺見マリ、
三原綱木(ブルーコメッツ)、大野真澄(ガロ)、山田パンダ(かぐや姫)、小川知子 
◎スペシャルゲスト/西城秀樹
※出演者が変更になる場合があります
■会場/日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
■開演/13:30 18:00
■料金/プラチナ席¥8,000(完売) S¥7,000 A¥5,000 B¥3,000 C¥2,000 
昼夜通し券(Sのみ)¥12,000
■お問合せ/東海テレビ放送 事業部 TEL.052-954-1107(平日10:00~18:00)
※未就学児入場不可