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「安倍なつみ」Web 限定インタビュー
取材日:2014.11.07


モーニング娘。を卒業し、ソロ活動10周年を迎えた安倍なつみ。
10月にリリースしたニューアルバム「光へ −classical & crossover−」
は、ミュージカルナンバー、ライト・クラシック、スタンダード、
そしてイギリス民謡まで、幅広い楽曲をオーケストラとの共演で歌った意欲作です。
アイドルからソロ・シンガーへ、そしてさらに次のステージへの
劇的な一歩を踏み出した彼女のロングインタビューが実現しました。

今年10月にリリースされたアルバム「光へ –classical & crossover–」は、ソロになられて10年の間に着実に積み上げられてきたキャリアの集大成とも言えますね。

私自身、こんなチャンスをいただけるなんて思っていなかったので、初めてお話を伺ったときは驚きでした。どんなコンセプト、どんなテーマ性を持ってアルバムを作るかということも、初めてのスタッフの皆さんと一緒に作り上げたという感じです。

ソロに転向なさってからの10年間は、ご自身にとってはどんな時間でしたか?

いざソロになった当初は全然地に足がついていない感じで、自分がどんな音楽をやりたくて、どうなっていきたいかというのが見えていなかったなって。そのときなりに一生懸命、全力で挑んではいるんですけど、目の前にあることを必死にやることだけで精一杯でした。そんな中で、ミュージカルやストレートプレイのお話をいただいて、音楽、それもポップスというジャンルの一角にいるだけでは学べないことが生の舞台の現場にはいっぱいあるんだと知りました。作品、役を通して成長出来ていることを自分自身で感じられましたね。ステージで教わることが栄養になってどんどん入ってきて、それを自分の中で循環させてお客さんに聴いてもらったり、届けられているという…。とても素晴らしいものに出会ったなと思って。それで、もっと幅広い作品に触れたり、いろいろな役を演じてみたいという気持ちがどんどん強くなっていきました。そういう舞台の作品を通してミュージカルの楽曲やソプラノの歌唱法を学んできたという感じ。だから、今振り返ると自分がやってきたこと、これをやりたいんだと思って続けてきたことが全てつながって、今作に至ったのかなという思いはあります。


初舞台は宮本亜門さん演出の音楽劇「トゥーランドット」でしたね。

はい。とても大きな作品で、しかも赤坂ACTシアターのこけら落とし公演でした。キャストもスタッフも本当に豪華で。あの中で私が作品に関われて演じられたというのは、自分にとってもかなり大きなことでしたね。亜門さんから教わったり演出の中でいただいた言葉は、未だに残っているものがあります。音楽の久石譲さんにかけていただいた言葉も大切にしています。共演させていただいた俳優さんも素晴らしい方たちばかりでしたし、とても楽しかったですね。初舞台の怖さよりも「この役を演じきりたい」という思いの方が凄く強くて。

翌年も宮本さんの「三文オペラ」に出演されました。

あの作品も亜門さんの演出でかなりブッ飛んだ作品になりまして。シアターコクーンの歴史を振り返っても「珍品だ」と言われるほど凄かったんですよ(笑)。キャスト全員が白塗りをして。私も凄かったですね。飛んで跳ねて、毎日怪我していたぐらい。それに、ただ私たちが舞台上で演じるのを見せるだけではなくて、お客さんも巻き込んで会場全体を使って「あなたたちは、どうなのよ?」と投げかけるという。映像の世界では出来ない、生だからこそ言えるセリフもあって、けっこう激しかったけどあの役は面白かったです。

生の舞台の醍醐味を体感して、歌に対する考え方なども変化しましたか?

そうですね。その後もいくつかやらせていただく中で、舞台上で自分をさらけ出す経験を重ねて、音楽に対する意識が自然と変わっていきました。グループでやっていたときは、みんなが求める「なっち」でいなくちゃいけないという意識に縛られていた気がします。でも、いろいろな作品や役に出会う中で「こうじゃなきゃいけない」なんてことはないんだなって。亜門さんや共演者の方々に、もっと自由に自分を解放して舞台に立っていいんだということを教わって、自分が変わって行きました。

アルバムについて伺います。レコーディングはどのように進められたのですか?

オーケストラバックで歌っている曲もありますし、オケは別で録音したものもあります。でも、オケ録りのときにも私が歌って、演奏家の皆さんはそれを聴きながら演奏してくださっているんですよ。そういう意味では、オーケストラの録音に全曲参加させていただいています。ミュージカルナンバーなどは、舞台ではマエストロがお芝居を見ながら指揮棒を振ってくださる。だけどレコーディングになると別々になってしまうのが嫌だったんです。やっぱりそこはお互いを感じ合いながら音を作っていきたかった。オケの録音には全て参加させてもらって、その後、オケが仕上がった段階で私の歌のレコーディングをしていきました。

歌のレコーディングにも、生のオーケストラと歌った空気感が頭の中にある状態で臨めた訳ですね。

そうですね。ひとつひとつの楽器がちゃんと自分の中に入って流れてきて、どんな風に音が出来上がっていくのかというのもちゃんと目で見て、生で感じて…そういう過程があって自分の歌入れに挑めたので、それはとても大きかったなと思います。こういう経験は初めてでした。


レコーディングで苦労なさったことなどはありますか?

今回の収録曲は、一曲ずつ凄くストーリー性があったり、世界観が凄くスケールの大きなものだったり、メッセージ性の強いものを選びました。その中で、一曲一曲と向き合ったときにどう表現しようか、どんな風に歌おうかというのは、私自身もいろいろ考えたり、音楽チームのプロデューサーの方と話したりとかする中で試行錯誤していきましたね。ひとつひとつの言葉のフレーズを大切にしたり、自分のこれまでの経験も重ね合わせて歌ってみたり。ミュージカルナンバーは、その物語の主人公のような感覚の中で、より自分に近づけるという感じですね。お芝居だと成立するものが、歌入れになるとどれぐらい感情をむき出しにしていいものか…そんなこともいろいろ話し合いながら、探りながら、という感じでした。感情のコントロールという意味では大変でしたね。「エリザベート」からのナンバー「私だけに」は、凄く大きな決断と迷いの中にいたけど、やっぱり自分は自由を愛して自分らしく生きたいんだという曲ですし、「レ・ミゼラブル」からは、感情がかき乱されたり、苦しい、悲しい思いを歌う歌「オン・マイ・オウン」と「夢やぶれて」を選曲したので、大変でしたけどね。今回は、選曲にも私の意見を入れさせていただいています。レコーディングしたけど今回収録しなかった曲もあるんです。本当に最後の最後まで収録曲や曲順も考え抜きました。

ラストの「光へ」はオリジナル曲です。とても優しさに溢れた歌ですね。

「光へ」は唯一のオリジナルナンバーで、今の自分自身と重なるというか、まるで今立っているとことを代弁してくれているような曲だなと思っています。夢とか希望に向かう力強さ、生きるということ、愛とはこういうものだ、ということを、この曲を通して教わっているような感覚にもなります。2コーラス目ではより世界観が広がって、身近にいる人を大切にすることの重要さ、自分の心の目で物事を見極めることの大切さを真っすぐなメッセージとして届けています。私自身、とても好きな曲ですね。聴いてくださる人に何か届くものがあればいいなと思います。

このアルバムは、これからの安倍さんにとってひとつのターニングポイントになりそうですね。

今回、このアルバムを通して、本当にいろんな方が「なっち、こんなことに挑戦しているんだ!」って応援してくださる声が届くんですね。自分の歌が皆さんの心に届いているんだって、とても励みになります。これからより深めていきたいですね。

今後、思い描いていらっしゃることは?

今、チャレンジさせていただいているのは、10代、20代の頃にはいただくことのなかった作品の世界観だと思います。この先、自分が歳を重ねていく上で、見えてくるものや感じるものがさらに変わっていくと思うんですね。歌は自分にとってもなくてはならないものですから、「素敵だね」と言われる音楽を届けることは続けていきたい。そして、年齢とともに「素敵だね」ってみんなに言われる人にもなっていきたいと思います。成長し続けるということは向上心や好奇心を持って前に進んでいくことだと思うんです。なおかつそれを楽しみながら出来たらいいなと。けっこう体当たりで行くタイプなので(笑)。いろいろ計算して迷うよりも、まずやって自分で感じることが大切だと思う。新しい挑戦にはもちろん怖さもあるし、いろいろ言われることもありますけど、私はそこを信じてやってみたい。「経験しなくちゃわからなことだらけじゃん」と思って、今までチャレンジを重ねながら進んで来ました。何が正解かも、どこに辿り着くかもわからないけど、自分では「これをやりたいんだ!」ということをちゃんと感じながら進んでいけたらなと思っていますね。だから、とんでもない役をやることもあるかもしれないし…。でもそういうことをやっている自分も好きだし、ファンの皆さんも「なっち、こんなことにチャレンジしてれるんだ」と思ってくれたら嬉しいですね。今回、ファンの方も「なっちを通じてミュージカルの世界が好きになった」とか、「こういう音楽があったんだと、なっちを通して知りました」と言ってくださる方が多くて。とても嬉しいことですよね。

12月にはブルーノートでクリスマスライヴを行いますね。

「Shiny smile」というタイトルをつけさせていただきました。今年「smile」と「光へ」という2枚のアルバムをリリースしたので、それにかけて。いつも、コンサートのタイトルも自分たちで考えるんですよ。今年はふたつの大きな作品をリリースさせてもらったので、一年の締めくくりとして「ありがとう」の気持ちも込めて。クリスマスにふさわしいメニューでお届けしたいと思っています。




12/20 SATURDAY
安倍なつみ Xmas Special Time 〜Shiny Smile〜
チケット発売中
■会場/名古屋ブルーノート
■開演/16:00、19:00
■料金/¥12,500(クリスマスプレート付) 
■お問合せ/名古屋ブルーノート TEL.052-961-6311(平日11:00〜20:00) 
※未就学児入場不可