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平賀マリカ 歌う生活

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海外生活をしている友人が、一時帰国しているからぜひ会いましょう、とメールをくれたので会うことに。友人とそのお子さんと久しぶりに会えるので楽しみにしていたのですが、『映画が観たい』とおねだりする娘さんと3人で「アナと雪の女王」を観ることになりました。この映画、アニメの世界とは思えないほど臨場感があり、氷のお城や、雪山の寒さは、こちらまで肌で感じるほどリアリティがありました。ミュージカル・ファンタジー映画ということで、歌はもちろん、ストーリーもアニメーションもどれをとっても、大人の私達でも楽しめる、素晴らしい映画でした。この映画の原題は「Frozen」原案はアンデルセンの童話「TheSnowQueen」。邦題である「アナと雪の女王」日本では日本人に解りやすい邦題で、というビジネスのセンスが感じられます。これは確かに解り易い。女王である姉と、アナという妹、どちらも前に出したいという制作者の意図が伝わります。もし、日本でも原題の「Frozen」のままだったら、いまいちピンとこなかったかもしれません。同様に「TheSnowQueen」を邦題にした「雪の女王」だったとしても、違うように私は思います。映画の邦題といえば、解り易いエピソードをもう一つ。過去、観に行った「氷の微笑」という作品。観た後は、映画の内容から、なんと解り易いタイトルと思っていたのですが、でも実際はきっと違うタイトルがあると思って調べたら案の定、「BasicInstinct」。やはりこれも解りにくかったです。
タイトルでいえば、私はライブで歌う前に原題と邦題の両方を紹介することがあります。例えば、「TheShadowofyour smile」は「いそしぎ」、「TheAutumnLeaves 」は「枯葉」など。海外の曲なのに、邦題にすると、すっとイメージできますね。それでも映画の原題・邦題のように疑問を持つこともあります。’60~’70年代のポップス、カーペンターズの曲はどうか。実は、トリビュートアルバムを制作した時に、ひっかかったタイトルがあります。「CloseToYou」は「遥かなる影」。歌詞の内容を考えても、このタイトルで合うのかなと。極めつけは、「INeedtoBeInLove/青春の輝き」。歌ってみると、私にはカレンの孤独な部分が見えてくる曲に感じます。なぜに、輝き?といつも思っていたのですが、ある時、そんな疑問をスタッフに投げかけたらこんな問いが返ってきました。「じゃあ、マリカさんだったら、どういうタイトルをつける?」と。うう~ん、それこそ、輝きではなく、「青春の影」のほうかな。でも、この時代はおしゃれなタイトルで洋楽を楽しむ、というのがトレンドだったのかも。そう思えばぴったりなような…。
私もアルバムを制作する時に、「テーマとタイトルはどうしますか?」とスタッフやディレクターから聞かれます。タイトルを決める時は、キャッチーなことはもちろんの事、内容が理解されやすいものを、と心がけています。今までの作品の殆どが苦しみぬいて、考えだしたタイトルなのでどれも愛着があります。
今回の「アナと雪の女王」を観てみると、いかにタイトルが重要か、ということを再認識すると同時に、私の次の作品もどうしようか、と心躍るのです。