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「山本耕史」スペシャルインタビュー取材日:2025.06.02
ヴァイオリニストの古澤巖と俳優の山本耕史が、
百戦錬磨のミュージシャンたちと織りなす「ダンディズムバンケット」は、
コンサートとお芝居を融合させたエンターテインメント。
その神髄を山本耕史に訊いた。
「ダンディズムバンケット」とは、どのようなステージなのでしょうか?
いわゆる通常のコンサートではなく、ミュージカルでもなく、お芝居でもない。簡単に説明しますと、コンサートとお芝居を融合させたエンターテインメントです。例えばアミューズメントパークにはそれぞれにコンセプトがあって、その世界観の中でアトラクションを楽しみますよね。そのように、「ダンディズムバンケット」にもここでしか体感することのできない世界観があり、その中で音楽とお芝居とを融合させたものを楽しんでいただきます。冒頭、私はナビゲーターとして「ようこそ、ダンディズムバンケットへ!」とお客さまに語りかけ、その世界へと誘います。

各会場の扉の向こうに特別な世界が待っているのですね。あまり詳しくお聞きしてしまうと、ネタバレになってしまのではないかと…。
いやいや、どんなに詳細に書いただいたとしても、会場にお越しいただいて体感していただかなければ、この世界観、それから空気感は想像できないと思います。場面ごとに、コンサートやお芝居の要素が全面に出てくるのですが、ある瞬間ではお客さまと戯れるような場面があったりもするんです。それは言葉では伝えきれません。
今回、3シーズン目となりますが、そもそもどのような経緯でスタートしたのですか?
もう一人のメインキャストであるの古澤巖さんは、クラシックに留まらずさまざまなジャンルの楽曲を演奏する多彩なヴァイオリニストです。その古澤さんと一緒に何かやってみよう、というところから始まり、各々のアイディアが集約され今の形になっていきました。
演奏家と俳優と、表現の手段は異なりますが、古澤さんから影響を受けることも?
そうですね、古澤さんの演奏を聴かれたことのある方は皆さんご存知かもしれませんが、古澤さんは演奏しているときに特別な世界観をまとう方なんですね。そしてそれは、古澤さんがヴァイオリンを通して発する音色を聴いた瞬間にはっきりと伝わってくるんです。その世界観にいつも触発されています。私にとっての表現は台詞であり言葉ですが、古澤さんにとってのそれは音色なんですね。演奏家なので当然のことではあるのですが、そこには古澤さんならではの説得力があり、表現者として共通点が感じられます。
役作りはどのようにされているのでしょうか?
私はストーリーテラーという役割ですが、初回は音楽の中にスッと入り込み、楽器の一部のような雰囲気を目指していました。けれども2回目からはもっとはっきりと存在感を打ち出してみようと考えるようになり、回を重ねるごとにキャラクターのイメージが固まってきましたね。具体的にどのようなキャラクターかと言いますと、「何者なのかわからないような存在」をイメージしています。そして例えば、「そうだよね」とフレンドリーに語りかけて親しみを感じていただいたり、「そうですよね」とかしこまった台詞で距離感を生み出したりと、言葉のチョイスを大切にしています。

前回から演出もなさっていますが、演出する上で気をつけていることや心がけていることはありますか?
メンバーは、私と古澤さんの他に、音楽監督でもあるピアノストの塩谷哲さん、ギタリストの小沼ようすけさん、パーカッショニストの大儀見元さん、ベーシストの井上陽介さんと、プロデューサーによる選りすぐりの一流のミュージシャンなんですね。皆さん音を自由自在に操るのでリハーサルでは、「そんなことができちゃうの!?」という演奏がポンポン出てくるんです。音の魔術師のような存在ですね。一方でとても個性的な側面もあって、通常のコンサートのように演奏していただくだけではある意味もったいないと思っているんです。一人ひとりのオリジナリティを存分に活かしたくて、ちょっと遊ぶ瞬間を作るようにしています。かといって、あまりセリフをたくさん入れてしまうと全体的な世界観を維持することが難しくなるので、そのバランスを見極めながら創るようにしています。
「音楽の鍵・音楽の扉」と副題が付けられていますが今回のテーマの神髄は?
今回は音楽の起源について考え、音楽はもともとどこで生まれたのか、“音”が音楽になったのはどういうきっかけだったのかということをイメージしながら創り上げています。このテーマにたどりついたのは、今シーズンの方向性を決めるにあたりメンバーの皆さんとお話ししていた際に、「今、人々にとって音楽はどのような存在なのか?」ということが話題に挙がったんです。インターネットを通じていつでもどこでも気軽に音楽に触れることができるようになりましたが、その一方では音楽大学の進学率が下がっているという現実があるそうなのです。昔は音楽をやるにはそれなりの覚悟と情熱が必要でしたが、身近な存在になったが故にそこまで熱意を持って取り組む人が減ってきているのかもしれません。けれどもSNSなどを見てみると、それぞれのカタチで音楽を楽しんでいる人たちが大勢いて音楽そのものの可能性はむしろ拡がっているように感じます。つまりは、明らかに音楽への道筋が変わってきているのだと思います。そういうことを話し合ったことにより、「音楽とは何なのか?」という大きなテーマが見えてきたんです。とはいえ、難しいことを言っても音楽は考えるものではないと思いますので、最終的には「音楽って楽しくて良いよね」ということを再認識していただけたらうれしいですね。
◎Interview&Text/向後由美
◎Photo/安田慎一
◎Makeup&Hairstyling/佐藤友勝
◎衣装/[シャツ]Amiri, [パンツ]MARNI
9/14 SUNDAY
古澤巖×山本耕史「DANDYISMBANQUET3」
■会場/愛知県芸術劇場大ホール
■開演/16:00
■料金(税込)/全席指定¥9,000
■お問合せ/サンデーフォークプロモーション TEL.052-320-9100
