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「EGO-WRAPPIN'」スペシャルインタビュー
取材日:2019.04.26

6年ぶり、久々のオリジナルアルバム「DreamBabyDream」を
5月にリリースしたEGO-WRAPPIN’の二人。
本作には様々なリズムやコード進行、音楽ジャンルを駆使した、
まさに彼ららしい楽曲が11曲収められています。
リズムボックスと印象的なギターリフが絡み合う「Arabnoyuki」、
美しいメロディと歌詞に、時より現れる
サイケデリックなサウンドも耳に残る「timeless tree」、
そして名曲「alovesong」にも通じる新たなスウィートソング「心象風景」など、
細部に渡る音作りに絶妙なセンスが入り混ったナンバーの数々は、
聴きどころにいとまが無い。
今回はこの「DreamBabyDream」のリリースツアーを控えた彼らに、
今二人が考える音楽や音楽作りのあり方を話して頂きました。

EGO-WRAPPIN’の特徴のひとつに、二人のユニットだということがあります。これはメリットだと感じていらっしゃいますか?

中納良恵:そうですね。バンド編成の自由度もそうですが、メンバーもその都度色んなミュージシャンにお願いするし。例えば「THE GOSSIP OF JAXX」は、もう長いこと一緒にやってるバンドだから曲も理解してくれてるし、ライブでもお客さんは安心して観てくれる。でも、自分たちがスリルや刺激を受けることも必要で。そこから引っ張られて新しい発想に繋がることって結構あるし、リズムが変わっただけで歌詞の印象も私の中では変わってきたりするし。あとは古い曲をライブでやる時も、その時の自分達に合った形にアレンジして聴いてもらうこともできるから。

森雅樹:音楽感というか音楽的に何か頼りたい時がやはりあって、それを話せる人っていうのが、例えば先日の「HALLLOTTALOVE」のバンドメンバーだったりするんですが。演奏だけではなくて創造のところで僕が何か欲しい時に、同じ引き出しを持ってるからすぐ理解してくれたり、自分にない考えを持っていたりというのは刺激になる。僕らはセルフプロデュースだから、その時に関わったミュージシャンやスタッフがそういう役割を担ってくれることは多いかな。

中納:「HALLLOTTALOVE」の時に感じたことだと、例えばトウヤマタケオさんのピアノ。そんなに弾かないフレーズというか、間をすごく上手く作ってくれるから気持ちよく泳げるんです。上手い人って弾きがちになるけど、もっとすごい人って手数が少なくなるんやと思うんです。


ところで森さんは中納さんに出会う前までは、自分で自分の音楽をやろうと思わなかったとお聞きしましたが。

森:自分から何かやろうという気はなかったですね、呼ばれたら行く、みたいな。でも誘われたら嬉しい、みたいな(笑)。さっきよっちゃんが言った刺激みたいなものを感じたんかな。やっぱりよっちゃんも色々音楽を聴いてるから、教えられることが多いっていうか。僕はもう音楽を聴くのが大好きで、好きな曲を人に伝えることも大好きやから。結構他力本願なんですよ。それで今までようやってきな、みたいな(笑)。音楽のことでも知らんことが多いし。でも、よっちゃんとならやる気になるというか。僕にとっては、エゴやから音楽ができてるところがあって、そういう場所を作ってもらえてるのが有難いと思う。

中納:私がソロで音楽をやる時に思うのは、私には発想はあってもそれを整理整頓するのができないんですよ。そういうのは本当、森くんがまとめてくれるから。私が勢いだけでやってしまおうとすると「そこはよっちゃん、ちょっと抑えようや」とか、俯瞰して見てくれる。バンド編成もアルバムの曲順もそうやし、森くんがプロデュースしてくれてる。あとは審美眼を持ってて、それが昔から変わらへんしブレることもない。だから委ねれてるし、ちょっと憧れてもいますね。


二人の音楽には様々なジャンルが織り込まれていますが、お二人共に音楽を聴くことは日常となっているんですよね?

中納:外国の曲でも日本の曲でも色々聴きたいと思って聴くこと自体、実はすごい恵まれているんじゃないかなと思う。その、聴きたいと思える感性を持ててるということ。この前テレビで誰かが「感性を養うのは努力して色んな音楽を聴くことだ」って言ってたんです。でも私、あんまそういうこと考えたことなくて、森くんとかも、努力して聴いてるとかじゃないと思いますよ。

森:ないな。

中納:いい音楽を聴くと心が軽くなるし、自分の居場所があるって思う(笑)。いい音楽を聴いたりいいライブを観ると安心する。安心するってことは、そこに自分と通じるものがあるということじゃないですか。自分のこと認められる瞬間っていうか、何ていうのかな。これをいいって思えて、心が軽くなってて、よかったーって思えたりとか。で、自分の創作意欲がわいたり、こんな音で録りたいとか思ったり、次はこんなふうに作ろうとか思えたり、そう思えてることがまた刺激になる。

森:最近は特に、僕らが作っている音楽は僕ら自身が聴きたい音楽といってもいいと思う。


ライブでの演奏とCDなどのレコーディング音源、この2つの音楽をどう捉えていらっしゃいますか?

森:スタジオ録音やけど、ライブのように一発録りする曲もあるし、今回のアルバムの「onthisbridge」だとスタジオワークを重ねて実験的なことができるっていうこともある。だからレコーディングには、またその音楽の楽しみ方がある。ライブで再現できるかどうかを気にせずに作り上げる曲もあるし、それは録音のひとつの醍醐味でもある。

中納:以前は、ライブで演りながら膨らんでいった曲をレコーディングするっていうのが理想やなと思ってたんですよ。でも、どっちにしてもレコーディングしたらそこで止まっちゃうから、もうあとは聴く人たちの側の熟成度だって思うんですよね。だからその時のハーモニーを信じて構築していく。普段聴かないですけど、たまに昔の自分たちのアルバムの曲を聴くと、いいなって思うんですよ。その時の思いとか、時間が止まってることが、逆に自分の中で、ちょっと臭いかもしれんけど、永遠になるっていうか。それが面白いなと思って。あの瞬間はあの瞬間しかなかったなって思うし、こういう歌い方したかってんな、とか、恥ずかしいですけど、愛おしいっていうか。片やライブはライブで、私らは特にどんどん変わっていくから。聴く人にはワクワクしてもらいたいし、今の私らの形を見せていきたいから。

◎Interview&Text/福村明弘
◎Photo/安田慎一



9/2 MONDAY
「Dream Baby Dream」リリースツアー 名古屋公演
チケット発売中
■会場/名古屋・ダイアモンドホール
■開演/19:30
■料金(税込)/オールスタンディング・整理番号付
前売¥6,000(ドリンク代別途¥500要)
■お問合せ/ジェイルハウス TEL.052-936-6041