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清水ミチコのシミズム

私は高校時代から矢野顕子さんの大ファン。
コンサートがあれば、必ず観に行きます。
もちろんモノマネもしているのですが、
(いま私、矢野顕子になってるのだ)
という錯覚以上の快感はほかにありません。
脳内物質ドバ!です。
ピアノはなかなかおいつかないけど、
高校から精神的にはちょくちょく「なって」きたわけですから、
自分のライブなんかで彼女を歌う事は、
自分へのご褒美であり、お楽しみのひとつです。
最近は矢野顕子さんのコンサートに一緒に出させてもらったり、
ついには全国ツアーにも参加できました。
先月はウチにいらしていただき、
気軽にピアノを弾いてくださいました。
気さくな方なんですね。
さて、先週、矢野顕子コンサートに行ったとき。
会場の中央あたりの業界席で、
矢野さんの娘さんである坂本美雨さんと隣同士だったので、
開演前、一緒におしゃべりをしていました。
そうしたら、女性のお客さんが、
私を見てとても驚いた顔をなさっていました。なんだか、
ガッカリ、という一瞬の表情が顔に出ています。
「あの…清水ミチコさんですよね?」
「あ、はい。」どうしたんであろうか。
「え、矢野顕子さんの大ファンなんですよね?」
「はい!」
「え。なのにこんな席なんですか?」
「…え?」

「一番前じゃないんですか?」

「一番前じゃなくて、いいんですか?」
「はい。」
私はちょっと笑ってしまいました。
なんと、おそらくその方は、
一番前こそが良い席だと思い込んでおられた風なのでした。
かわいい。
でもさ、知り合いがかぶりつきで見てるて。
私はともかく、なによりご本人がやりづらそうです。
近い。近すぎる。圧が。
私なら絶対ご遠慮願いたい。
それにしても「一番前じゃなくて、いいんですか?」
の語呂はまるで、国会で詰め寄った蓮舫さんの有名なフレーズ
「一番じゃなきゃダメなんですか?」みたいでした。
あ、こっちからそのまんま彼女にそう言えばよかったのか。