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清水ミチコのシミズム

1月2日に行った武道館公演用に、
どうせならば、今年の干支の羊にかけて、
何か羊とタッグを組んだ面白い映像はできないものであろうか、
と撮影チームと話し合いました。
もともと私は動物が好き。
個人的趣味も兼ねさせていただいたわけです。
12月のはじめ頃、撮影の許可をいただき、
マザー牧場でたくさんの羊たちとたわむれることができました。
WOWOWでもこの公演の模様が放送されますので、
ぜひ結末を観てみてくださいませ。
さて、編集もうまく行き、翌週私は、感謝の気持ちを兼ね、
たまにはフレンチでもしゃれこんでみよう、とスタッフを誘いました。
近所においしいと評判のフレンチレストランができたのです。
サーモントラウトのマリネ、蝦夷鹿のロースト、
ブルーチーズのブラマンジェと帆立のサラダ、鴨肉のコンフィ、
なかなか口にしないメニューをオーダーしてみました。
「こんなの食べたことないわ~」
とカンゲキしてしまった私の一言から、子供時代に何に感激したか、
という話題になりました。そしたら、Aくん(34歳)が言いました。
「僕は小学生の頃、友達んチに遊びに行ったら遅くなって、
『Aちゃん、いっそ今日はごはん食べてく?』と誘われて、
ごちそうになったんですよね。
そしたら、スキヤキで。しかも食べたらものすごくビックリして。
僕、思わず口に出したんですよね、友達に。
『これ、牛肉じゃないのか?オマエんチ、
いつも牛肉がスキヤキに入ってるの?』って。」
その友達のお母さんはそれを聞いて、
涙をそっとぬぐうほど、笑いをこらえてたそうです。
私もそれを聞いて笑いました。可愛いすぎる話ではないですか。
「じゃあ、Aくんチでは何の肉をスキヤキに入れてたの?あ、豚肉でしょ?」
と私が聞いたら。

なんと、「色んな種類の肉。」

だったそうです。
色んな肉の煮込みって何だよ!
新しいフレンチかよ。でした。
自慢話の多くなる大人社会。
子供の頃の恥ずかしかった話って、おかしくも愛される珍味なのでした。