HOME > ドラマチック!OH!能 > Vol.85「忠度」
和歌の名手で勅撰和歌集に選ばれるも、朝敵となり自作の歌を「詠み人知らず」とされた平忠度。能「忠度」では、歌人として名を残せなかった哀しみを抒情豊かに描き出します。
【物語】鎌倉初期。かつて藤原俊成卿に仕えていた人物が、俊成亡き後、出家し、西国行脚の旅に出ます。ある日、須磨浦に立ち寄ったところ、一本の桜の木に花を供えて祈りを捧げる老人に出会いました。声をかけてしばらく語り合うと日が暮れたため、一夜の宿を頼む一行。老人は、平忠度が詠んだ歌を引き合いに出し、「この桜の蔭に勝る宿はない」と告げます。そして、忠度の弔いをしてほしいと頼むのでした。旅僧が回向すると老人は喜び、夢での再会を約束して姿を消します。実は、この老人こそ忠度の霊。その夜、旅僧が桜の蔭で寝入っていると、夢の中に忠度の亡霊が現れました。自分の歌が「詠み人知らず」とされていることを嘆き、作者の名を載せるよう、歌集の選者に伝えてほしいと頼むのです。そして、合戦で討ち死にした我が身の最期の様子を語ると、さらなる回向を頼み、桜の木の下へと帰っていくのでした。











