HOME > ドラマチック!OH!能 > Vol.84「隅田川」
さらわれた我が子を探す母の悲しみを描く「隅田川」。亡き子との束の間の再会がさらなる悲しみを誘う、能屈指の名曲です。豊田市能楽堂「やよい能」では、子方が登場する演出で上演します。
【物語】春の隅田川。渡し場で舟頭が旅人らを舟に乗せていると、都から我が子を探しにやってきた女の物狂が現れます。船頭が「面白い芸を見せれば乗せてやろう」と言うと、女は『伊勢物語』から「都鳥」の歌を引き合いに出し、自分と在原業平とを巧みに比べて船頭を感心させました。川を渡しながら舟頭は、かつてここで起こった出来事を語り始めます。一年前の今日、三月十五日、ある子どもが対岸下総の川岸で亡くなったというのです。舟が対岸に着いても、ひとり泣き続ける物狂。理由を尋ねると、先ほどの話は我が子梅若丸のことだと泣き崩れました。同情した船頭は梅若丸の塚に案内します。日が暮れて大念仏が始まると、物狂は鉦鼓を鳴らし念仏を唱えました。すると塚の内から現れた梅若丸の亡霊。抱きしめようと近寄るも、袂をすり抜け消えてしまいます。やがて東の空が白む頃、母は、草の生えた物悲しい塚で涙にむせぶのでした。











