HOME > ドラマチック!OH!能 > vol.81「安達原(あだちがはら)」
安達原の鬼女伝説に材を取った演目で、「黒塚」としても知られる人気作。豊田市能楽堂では、8月に解説付きで上演します。能舞台を歩く体験などワークショップも開催。夏休みに親子で古典芸能に触れられる機会です。
野那智・東光坊の阿闍梨祐慶は、山伏らと共に諸国行脚の旅をしています。陸奥に辿り着いたある日、人里離れた安達原で日が暮れてしまいました。一軒だけあった荒屋を訪ねると、年を重ねた女がひとりで暮らしています。一夜の宿を乞う一行の頼みを一度は断りますが、哀れに思って招き入れました。家の中で見慣れない道具を見つけた祐慶が女に尋ねると、賤しい身分の者が扱う糸繰りの道具だと言います。そして糸繰りの様子を見せながら、人の世の虚しさを嘆くのでした。夜も更け、寒さをしのぐため薪を取りに出かけようとする女。留守中、決して寝室を覗かないよう念を押します。ところが、従者のひとりがこっそり部屋を覗いてしまいました。するとそこには、山のように積み上げられた死骸が…。女の正体は、安達原の黒塚に住む鬼だったのです。慌てて逃げ出す一行を追う鬼女。しかし祐慶たちに祈り伏せされ、姿を消すのでした。
