HOME > ドラマチック!OH!能 > vol.66「半蔀」

ドラマチック!OH!能

源氏物語の「夕顔の巻」に描かれる光源氏と夕顔の恋物語を題材としています。「半蔀(はじとみ)」とは、上半分が釣り上げて開けられるようになった蔀戸(ししみど)のこと。光源氏は、夕顔の咲く質素な屋敷の半蔀が上がったところから見え隠れする女性に興味をそそられ、この物語が始まります。一番の見どころは、夕顔の霊の舞。源氏との出会いの時を思い出して、源氏をひたすら懐かしみ、恋心を語り舞います。幻のようなしっとりした優美さが際立つ能。夕顔の花が付いた、半蔀の作り物(舞台装置)にもご注目ください。


【物語】京都・北山の雲林院の僧が夏の修行で仏に捧げた花々の供養をしていると女がひとり現れ、一本の白い花を供えました。僧がその花の名を尋ねると、女は夕顔の花であると告げます。僧が女の名を尋ねると、女は名乗らず「五条あたりに住んでいた者」と言い残し、花の陰に姿を消してしまうのでした。花供養にやって来た男に先刻の女のことを語ると、それは『源氏物語』に登場する夕顔の霊であろうと教えられます。男から光源氏と夕顔の恋物語を聞いた僧は、五条あたりを訪ねます。そこには、半蔀に夕顔が咲く寂しげな茅屋がありました。僧が夕顔の生涯を思い菩提を弔おうとすると、半蔀を押し上げて夕顔の霊が姿を現します。夕顔の霊は、光源氏と出会った時、白い花を扇に載せて差し上げたこと、花の名を夕顔と教えたことが二人の契りになったことを語ります。そして、源氏の詠んだ歌「折りてこそそれかとも見めたそかれにほのぼの見えし花の夕顔」を思い出し、ゆったりと舞います。やがて夜が明け、夕顔の霊は僧に更なる回向を願い、再び半蔀の内へと姿を消すのでした。