HOME > ドラマチック!OH!能 > vol.64「花軍」

ドラマチック!OH!能

明治以降廃絶していた能「花軍(はないくさ)」は、2011年に復曲上演されました。草花の精が華やかな戦いと優美な舞を見せる、金剛流らしい華麗な作品です。また、狂言「菓争(このみあらそい)」は1966年に復曲されましたが、もともと能「花軍」の中で替間(かえあい特殊な間狂言)として上演されていた作品です。大勢の登場人物に地謡や囃子も入る大掛かりな作品のため、上演は稀です。


【物語】都人が花を求めて伏見の深草山を訪れると、里女が現れ、花を持ち帰るなら一番に女郎花をと促します。しかし、都人が白菊を選んだため、女は夢の中で花軍のありさまを見せると言って消えます。女の正体は、女郎花の精でした。
その頃、橘の精が仲間たちと花を眺めていると、栗の精が現れ、和歌のことで言い争いになります。橘の精たちに追い返された栗の精は、仲間を集めて攻め寄せ、柑橘類の精と木の実の精の争いに発展します。
草花の精の争いは、女郎花の軍が牡丹の精を大将に据えて菊の精に攻め寄せ、華やかな花軍が繰り広げられます。すると、翁草の精が現れて重々しく仲裁し、両者は和睦となりました。翁草の精は仙人のように袖を翻して舞い、夜明けとともに消え失せました。