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流れ星・ちゅうえい、SHY BOYプロデュース『Run for your Wife』で初舞台!

お笑いコンビの流れ星☆・ちゅうえいが、舞台『Run for your Wife』で俳優デビューを飾る。本作は、1983年に発表されたイギリスの劇作家、レイ・クーニーによるシチュエーション・コメディで、1980年代のイギリス・ロンドンを時代背景に、ごくごく普通に見せかけて、実は秘密裏に重婚生活を送るタクシードライバーのジョン・スミスが、嘘に嘘を重ねて悪戦苦闘し、幸せな生活を守り抜こうとする王道のドタバタ劇だ。主役のジョンを演じるのは今江大地(関西ジャニーズJr.)。二人の妻、メアリーを新垣里沙、バーバラを緒月遠麻が演じる他、ジョンに巻き込まれるドレスメーカーのボビー・フランクリンをちゅうえいが担う。本作で俳優業に初挑戦するちゅうえい、40歳を迎え、活動の幅を広げたいと考えていたところに飛び込んできた”朗報“にすぐさま快諾したというが、その1分後には不安が押し寄せたと笑い、稽古場での日々について教えてくれた。

演じるのはドレスメーカーのボビー・フランクリン。ボビーはどんな人物でしょうか?

ゲイの役です。テレビのバラエティー番組などで見るおネエとか、わりとキャラが強いじゃないですか。もちろん、ボビーも強いのですが、ボビーの周りにいる人たちの方がもっとキャラが強いんです。大胆な行動をとったり、奇想天外なことばっかりするので、ボビーはその中に埋もれちゃってますね。ボビーの周りの人間は、常軌を逸脱していて、やべえですよ(笑)。見終わった後、ちゅうえいが一番まともだって思われるのではないでしょうか。

他のインタビューでも舞台出演は「不安しかない」とおっしゃっていましたが、どういった点に不安を感じますか?

この作品はフリーゾーンがないんですよ。みんなでテンポよく、決まったセリフをぱっぱっぱっとキャッチボールして、積み重ねて、積み重ねて、笑いを生んでいくみたいな。全員で笑いを生むコメディなので、誰かが一つでも間違えたらもう、ガタガタガタ~って崩れちゃうんですよね。俺、「間違えるな」って言われちゃうと一番、緊張しちゃうんで。お笑いでは間違えてもアドリブでごまかして、のらりくらりやってきたので、そののらりくらりが使えないので緊張感がハンパないですね。

演出家の野坂実さんから、演じるにあたって何か具体的なアドバイスなどありましたか?

最初に読み合わせをした時からすごく不安で、野坂さんに「僕、本当に分かんないんで、何でも言ってください」って言っていたんです。「今のところ、合ってますか?」って聞いたら、「ちゅうえいさんは、今のままで頭に入れていってください。それで大丈夫だよ」って言われて。そこから毎回、稽古のたびに聞くんですけど、何か大きなことを言われることもなくて。……ちょっと俺、才能が開花したんじゃないのかなって思います! だから、いい感じで勘違いしてきているので、最近は家を出る時には「今日も俳優さんのお仕事をしてくるね!」って奥さんに言ってます! そういえば、野坂さんと子供に「臭い」って言われるとへこむよねっていう話で盛り上がりました。「子供に臭いって言われて、もうどうしようもできないんだよ」って野坂さんが言っていて、俺も「そうなんですよ」って。「朝、起きて2歳の娘に『おはよう』って言うと『おぇっ』ってやられます」って言ったら盛り上がりました! 演出家と芸人の枠を越えた、二人の初老の男性の話です(笑)。

そういったプライベートのちょっとしたことも分かると、より親密になりますよね。

そうですね、そこから野坂さんとも仲良くなりました!

共演者の今江さん、河下楽さんは、関西ジャニーズJr.でも活躍されています。関西ジャニーズJr.はコントなども舞台で披露されますが、お二人にお笑いの可能性を感じられることはありますか?

作品を観ていただくと分かると思うんですけども、今江君とか、河下君の台詞は僕の台詞の100倍ぐらいあるんですよ。パーっ!!て喋り続けるんですね。今、稽古していますが、これからどんどん速くなってくるので、これ以上テンポが速くなってきたら息継ぎするところがないんじゃないかっていうくらい。僕が言うのも生意気ですけど、二人は稽古の初日から全然違っていて、キャラがどんどんどんどん見えてきて、すでにもう生きていました。コメディで笑いをとるということがすごく上手いなと思って、感心して見ています。僕なんて、彼らの1/100のセリフ量で間違えます。あと、これは作品とは関係なく、ただ僕がいつも思っていることなのですが、稽古中もみんな感染対策で常にマスクをしているんですね。今江君に怒られるかもしれないですけど、今江君、マスクをしているとサンシャイン池崎に似てるな~と思ってます(笑)。

そのことをご本人にお伝えしたことは?

ないです。どっかの回のカーテンコールで言おうと思ってます。



『Run for your Wife』名古屋公演は、地元・岐阜の方も楽しみにされているのではないでしょうか。

皆さんに先に謝っておきたいのが、「ちゅうえいって本当はかっこよかったんだ…」と思わせちゃうかもしれないってことです。それはごめんなさい! ちゃんとしたらちゃんとかっこいいんだって思わせちゃうところは、先に謝っちゃいますね! すみませんでした! 

トラウトン警部役の清水順二さんは愛知県のご出身です。地元が近いがゆえの親近感などありますか?

清水さんが稽古中、ことあるごとに「カーテンコールのギャグ対決は負けませんよ」って言ってくるんですよ。何でかギャグ対決する気満々で。それは楽しみですね。ギャグの練習風景も見たことあるんですけど、「パカンちゅうえい」という俺のギャグをやってました。「清水さん、『パカンちゅうえい』っておかしいでしょう」って。それを我善導さんがずっとそれを見ているんですけど、清水さんが言うには「我さんもカーテンコールでギャグやりましょう」って。巻き込まれてました(笑)。

今はコロナ禍というのもあって、稽古場でもソーシャルディスタンスを取られていると思うのですが、特にちゅうえいさんは初舞台というのもあって、それゆえに苦戦していることなどありますか?

一番僕が困るのは、稽古中もマスクをしているので、表情でなかなか感情を伝えられなくて。だから、マスクを剥ぎ取った瞬間、野坂さんは立ち上がって拍手するんじゃないでしょうかね。「今までこういうことをやってたんだね」ってスタンディングオベーションをすると思います(笑)。出演者のみんながマスクを開放した時も、すごく楽しみですね。今はマスクをしている顔でしか皆さんのイメージがないので、マスクを取ったら一瞬、誰か分からない人もいるかもしれないです。

最後に、名古屋公演に向けての意気込みと、ファンの方にメッセージをお願いします。

『Run for your Wife』では、お笑いでは見せない一面が見られると思います。ただ、本編ではギャグはないので気をつけてくださいね。本編はアドリブ厳禁です。お笑いのちゅうえいは翼をもがれた状態で、翼が生えてくるのはカーテンコールの時のみです。カーテンコールで今までの鬱憤を晴らすかのような爆笑ギャグが見られるので、こうご期待です。絶対、爆笑ギャグです! 爆笑し過ぎなきゃいいけど! 要注意!!

最近は客席での会話を控えてくださいという劇場アナウンスもありますが、爆笑ギャグには心置きなく笑ってほしいですよね。

笑ってほしいですけど、皆さんの笑顔を見るだけでウケていたと分かるので、逆に言うと声が聞こえなかったとしても、みんな笑ってんだろうな~って思うので、声を出さなくていいです! やっぱり飛沫が一番ダメですからね! どうせ笑ってるんでしょ、みんな!って思ってますから。全部プラスに考えます(笑)。


4/23FRIDAY〜25SUNDAY
SHY BOY プロデュース公演
「ラン・フォー・ユア・ライフ」

【チケット発売中】
■会場/ウィンクあいち 大ホール
■開演/4月23日(金)18:30、4月24日(土)12:30、17:30、4月25日(日)13:00
■料金/全席指定¥8,900 当日¥9,200
■お問合せ/中京テレビ事業 TEL.052-586-4477
※未就学児入場不可
※東京公演は4/7(水)〜14(水)オルタナティブシアターにて開催中、大阪公演は4/27(火)・28(水)サンケイホールブリーゼにて開催



3人の名手による300%ピアノ尽くし!

斎藤雅広、三舩優子、實川風、日本が誇る3人の名ピアニストが豊田市コンサートホールに集結。同ホール所有のピアノ「スタインウェイ」「ベーゼンドルファー」「ヤマハ」を舞台上に並べ、ソロからデュオ、アンサンブルと3台6手を自在に駆使して名曲を弾き尽くす注目のコンサート、振替公演が決定! 出演者のひとりでこの企画の立役者でもある斎藤雅広さんにお話を伺った。

「コロナ禍」がなかなか終息しません。

先が見えないということは、やる気が失せますね。また芸術関係のことを政治家が全く知らず、この職業は本当に保証がないのだということがわかりました。だからといって、バタバタと動きたくはなかった。配信などにも抵抗があり…クラシックの演奏家は作品があって、その芸術の“しもべ”という立場だと思うので、自分の存在を第一にアピールするというのは違うぞ! と感じてしまうのです。つまりコロナのおかげで、自分は伝統厳守な、メチャ頑固な考えの“ど”クラシッック・アーティストだった! ということがよくわかりました(笑)。

3台ピアノの競演はこれまでにもたくさんやられてきた人気企画ですね。

ピアノの音色というのはもちろんメーカーにも特徴がありますが、そもそもは個体の差なのです。人間と同じで日本人らしさやフランス人らしさのような違いもありますが、もっと細かい個性がある。またホールでの状態によっても変わるし、湿度が大きく影響するので気候や風土などにも左右される。そして演奏家自身もそれぞれが音色を持っていて、その辺りの相性などもあるのが面白いのです。そんなふうに決して画一的ではない部分を今回の公演ではぜひ、じっくりとお楽しみ下さい。

斎藤さんから見た、三舩さん、實川さんの魅力は?

もちろん素晴らしい演奏家であるということは言うまでもないのですが、そんな中でもこの二人はとても弾ける! 演奏力が高いので共演はとても楽ですし、何より忖度無用でできるのがいいですね(笑)。そして3人とも大の仲良し。二人ともざっくばらんで人柄も素晴らしいから、旅行をしたりご飯を一緒に食べたりしても楽しいし、全く疲れない相手なのです。

3台のピアノ、個性的な3人のピアニスト、それぞれがどのピアノを弾くか、ソロもデュオもアンサンブルもあり得るし、可能性は無限に広がる企画だと思います。

誰が何をどういう風に…個性が強い方が楽しいので好きなようにやってもらうし、こちらも好きなように弾きます(笑)。クラシックは伝統芸術なので、どんなに癖があっても外してはいけない型があります。そこが何かの理由で万一壊れている相手だと大変面倒なことになりますが(笑)、大概は相手が巨匠であればあるほど、型をよく知っているのでリハーサルも要らない、合わせやすいのです。また私が考える3台ピアノのコンサートは、楽器は総当たり制でぐるぐる回し、前の曲で弾いた楽器は次の曲では弾かないようにしています。ただソロの時には、自分が一番弾きやすい楽器を選ぶことになりますけどね。

選曲も多彩で、特にオーケストラの曲を3台のピアノで演奏するのなども圧巻です。

曲の編曲はそのときに思いついた曲、リクエストのあった曲から選びます。自分で最高傑作だと思うのは〈マイ・フェア・レディ〉でしょうか。メドレーものもかなり手が込んでいて、とてもよく出来ていると思います。どうかご期待下さい!

今年2021年の抱負を教えて下さい。そういえば2022年にはデビュー45周年も控えていらっしゃいますね。

「コロナ禍」のために随分予定が狂ってしまいました。しかし自分のスケジュールというのは、あくまでも自分の勝手なわがままなので、世の中の移りを見ながら対応していきたいと思っています。自分でこの曲が!と考えて作りたいアルバムは4枚ぐらいあります。これをしっかりレコーディングできれば、かなり幸せです。

“食通”として知られる斎藤さん、全国各地の“美味しいもの”も公演の楽しみなのでは?

名物を探して食べることよりも、個人でやっている洋食屋さんみたいなお店に惹かれます。今回のように何人かで行くときは焼肉になることが多いですね。三舩さんがピザ好きなので、そちらもチェックしてあります(笑)。

取材・文:東端哲也


2/23 TUESDAY
か~るくラシック♪スペシャル版
「3台!!ピアノ★パラダイス」

【チケット発売中】
■会場/豊田市コンサートホール
■開演/14:00
■料金(税込)全席指定 一般¥1,000 4歳以上中学生以下¥500
■お問合せ/豊田市コンサートホール・能楽堂事務室 TEL:0565-35-8200



8年ぶりの監督作品「無頼」に込めた思い

「ガキ帝国」「岸和田少年愚連隊」「パッチギ」など話題作を連発してきた井筒和幸監督。2012年公開の「黄金を抱いて飛べ」から8年。ついに監督最新作「無頼」が公開された。主演にはEXILEの松本利夫、相手役としてドラマや映画で注目を集める柳ゆり菜というフレッシュなキャスティングの周囲を固めるのはラサール石井、木下ほうかといった井筒組のベテラン陣。戦後の貧しい時代を生き抜き、任侠の世界を昇りつめていく主人公を取り巻く群像劇だ。関西での公開を前に井筒監督にこの作品に込めたメッセージを語ってもらった。

この作品は、まさに昭和史そのものですが、監督ご自身が見て来られた風景なのですか?

主人公の井藤正治が子供の頃、1956年から物語は始まっています。「もはや戦後ではない」と好景気だったと言われますが、朝鮮戦争特需なんてひと握りの企業家が潤っただけでね、まだまだ国じゅうが貧しかった。僕らより、ひと世代上の設定なんだけど、実際に子供の頃に見ていた風景ではあるね。その中でも、あの頃食べていたモノが今でも強烈に心の奥底に残っている世代でもあるんです。本編にも登場する魚肉ソーセージは、僕ら世代にとって象徴的な食べ物なんです。あれはね、ビキニ環礁の水爆実験の風評被害で、南太平洋の魚介類が全滅だという噂が世界中に駆け巡った。日本人は値崩れした魚を何とか利用しようとして魚肉ソーセージを発明したんです。最初に食べたときは革命的に旨かった。そういう世代だから無理やりに作品にも登場させてみました。あの頃の日本人はどんな家庭でも貧しかった。あの時代に貧しかった子供は、もうヤクザになるしかなかったんだよ。リアルな戦後とはそういう時代だった。


この令和の時代に“ヤクザもの”を撮ろうと思われたきっかけは何だったんですか?

二十歳の頃に見た「仁義なき戦い」とか「ゴッドファーザー」という壮大なやくざ映画への大いなるオマージュのつもりで撮りました。あの頃のヤクザ映画は僕ら世代にとっての反面教師でもあったんです。平気で仁義を守らないような、でたらめな人間になってはいけない。しっかりして生きないと死んでしまうと本気で思ったね。映画の中で繰り広げられる、任侠なんていう難しい思想とは関係なく、リアルな男たちの生き様の描写がたまらずに、どんどん嵌っていったんだよ。映画を始めた時から、いつかあんな映画を撮ってみたいと思っていて、この「無頼」で思いが叶いました。

主演の松本利夫さん(EXILE)を起用した経緯を教えてください。

一度お誘いを受けて、EXILEのライブを見に行ったんだよ。ダンスとか歌とかまったくわからなかったけど、松本さんは演技も出来るダンスの上手い人やと頭の片隅にはあったんです。この脚本が出来上がって知人を通して声をかけて快諾して頂きました。この作品でキャスティングに求めたのは、あの頃の時代性を表現するために“昭和顔”が必須でした。今流行りの平成顔や令和顔の役者ではダメなんですよ。井筒組の演出部が3,000人のオーディションから選びに選んだ“昭和顔”が並んでますよ。東南アジア某所の貧民窟で松本さんだけで撮ったロケシーンがあるんですが、現代であってもそういう街(現実)が世界には存在するんだという事実を、この作品に撮し込んでおきたかった。戦後の日本の風景と似たものがまだ世界には普通にあるということを。


ヤクザ映画というより、優しさに溢れた群像劇だと思ったのですが、この時代にヤクザ、いわゆる反社会的勢力をテーマにするということで何か思われたことはありますか?

今の時代は、ヤクザ映画というレッテルだけで忌み嫌われてしまう。そこに今の映画産業全体の閉塞感を感じています。大きな会社も個人の俳優も、コンプライアンスに敏感にならざるをえない時代になりました。でも、この作品で扱った昭和の時代性を思い出してほしい。現代では同調圧力や承認欲求との関係に人々が汲々としていますよね。社会が分断されてしまって、ネットで人を攻撃したり逆に致命的なリスクを負ってしまうことさえある。まったく寛容な社会ではなくなってしまった。今を生きる若い子が本当にかわいそうになる時があります。そんなキリキリした社会では、生きていくのに必死で、ぼんやりした夢すら持てないんじゃないかな。この作品の時代の若者は確実に純粋な夢を持っていたんです。旨いもんを腹いっぱい食いたいとか、高級な服を着て女の子にモテたいとかね。そういう時代があったということを映画にしておくのが重要だと思います。


「無頼」
12月12日より新宿K’sCinemaを皮切りに全国順次ロードショー
関西地方は12/18〜出町座、京都みなみ会館、12/19〜第七藝術劇場、1/15〜豊岡劇場、4月神戸アートビレッジセンター 

「無頼」公式サイト www.buraimovie.jp
公式twitter @buraimovie
©2020「無頼」製作委員会/チッチオフィルム



代表作「かもめ」を三重県で10年ぶりに上演。

三重県に拠点を置く第七劇場が2007年初演の代表作「かもめ」を上演する。ロシアの劇作家チェーホフの四大戯曲に挙げられる「かもめ」は、代表の鳴海康平と同劇団のターニングポイントとなった思い入れの深い作品だ。作家志望のプレートレフ(通称コースチャ)と女優志望のニーナ。愛し合う二人を襲った運命に焦点を絞り、ニーナの後日譚として大胆に演出した舞台は国内外で高い評価を受けている。東海地方では10年ぶりの公演を前に、現在の心境も踏まえて鳴海に演出意図など尋ねた。

今回の公演の経緯を教えてください。

私たちの「かもめ」は2007年初演ですが、2010年にリクリエイションした際、初めて三重県文化会館で公演を行ったんです。それで松浦茂之副館長と「もうすぐあれから10年だね」と話すうち、節目に再び上演しようということになりました。演出はほぼ変えませんが、キャスト8人中4人が「かもめ」初参加で、ニーナとコースチャの俳優も交代していますから、雰囲気や味わいは変わってくると思います。

第七劇場の「かもめ」はかなりアレンジされていますね。

「かもめ」は普通に上演すると2時間半ぐらいかかりますが、私たちの上演は70分ぐらい。原作から登場するのはニーナ、コースチャ、アルカージナ、トリゴーリン、ドールンだけで、あとは原作にはない病院の患者という役です。コースチャの死を相対化する狙いがあり、幕間にはチェーホフの小説「6号室」「わびしい話」「ともしび」などからも言葉を引用しています。「かもめ」ではコースチャが最後に自殺しますが、それをニーナが知った時に抱えきれるのか?という疑問が創作の出発点にあったんですね。そこでコースチャを死を知って心身を崩し入院してしまったニーナのもとに医者のドールンが来て、一緒に「かもめ」という劇を回想する構造にしたんです。記憶がフラッシュバックする中、ニーナはその都度どう思っていたのか、コースチャの死をどう受け止めたのか。結末はわかった状態で展開していきますから、ブレヒトのアプローチに似た感じもありますね。

日本ではコースチャに比重を置いた演出が多く感じるので、ますます新鮮です。


いつのまにか、ニーナとドールンの物語になってきたんですよ。人間が自身を保ち続けるためには、外側の協力や責任も必要だという気持ちが強くなってきたからかもしれません。ドールンはニーナに何もできず、横にいて話を聞いてあげることしかできない。フラッシュバックにつきあって互いに傷つき、同じ苦しみを抱え続ける。助けられない苦しみを延々と背負わなければいけないんです。ある種の弱者を目の前にした時、私たちは何ができるのか。それを意識しながらリハーサルをしています。今の世の中は何でも自己責任と言われる風潮にありますが、頑張りたくても、努力していても、うまくいかない人はいます。でもドールンのように「一緒に傷つくよ」という人が増えれば、少しは社会が変わるんじゃないかとも感じます。そうでなければ弱者は切り捨てられていくばかりです。

SNSを中心に社会のネットワークはここ10年で激変しました。

右左、上下をはっきりさせないと気が済まない傾向が強まって、弱者には息苦しいですよね。みんなで少しずつ補完し合える社会が望ましいと思うんですけど……。この舞台では、ニーナが元気だった「かもめ」という劇の時間と、心身を崩してしまった後の時間が交互に浮かび上がります。それに応じて観客も、交互に考えることになるんです。

劇中の雪のイメージには、北海道出身の鳴海さん個人の記憶もうかがえますが……。

4幕のニーナのせりふは北海道の原風景と呼応しているところはありますね。北国の人間からすると、雪に閉じ込められる世界は“我慢”という言葉と結びつきやすい(苦笑)。行き場がない感覚というか。ニーナは華やかな劇場の世界に憧れつつ、どさ回りでもいいから演劇を続けようとします。そこにいくつもの我慢がある。私はSCOTの演出家・鈴木忠志さんの影響を強く受けたんですが、初演やリクリエイションの頃はその影響との距離感に葛藤もあって。自分たちのオリジナリティを獲得したいという想いが無意識にあったのかもしれません。それがプライベートな記憶や体験を掘り下げることにつながったようにも思います。それと、まだ東京にいた当時の共同アトリエが白い空間だったので、それも雪のイメージとつながったのかもしれませんね。演出家やカンパニーにとって、自分たちのマスターピースを作れるのはとても幸福なことですが、「かもめ」はまさに私たちのマスターピース。「かもめ」を通じて私もカンパニーも転換期を迎えたんです。


10/30 FRIDAY~11/1 SUNDAY
第七劇場
「かもめ」

チケット発売中
■会場/三重県文化会館小ホール
■開演/10月30日(金)19:00、31日(土)14:00/18:00、11月1日(日)14:00
※10/31(土)14:00・11/1(日)14:00完売。
※各回アフタートークあり。10/31 18:00回のみアフタートークゲスト田辺剛さんをお迎えします。
■料金(税込)/整理番号付自由席 前売一般¥2,500 当日一般¥3,000 25歳以下¥1,000 18歳以下¥500
■お問合せ/三重県文化会館チケットカウンター TEL059-233-1122
※未就学児入場不可

※三重県のガイドラインにおける「主催イベントの開催基準」に則り開催します。
※感染症対策についてはご来場前に当館ホームページをご覧ください。



スギテツプロデュースのスペシャルコンサート「鉄道物語 in 稲沢」が帰ってくる!

スギテツの音楽と鉄道にまつわるトークコーナーなどバラエティ豊かな構成で展開する「鉄道物語 in 稲沢」。日本貨物鉄道(JR貨物)全面協力のもと、鉄道貨物の拠点・稲沢を舞台に続いてきたスペシャルコンサートです。10月の公演を前に、当日登壇予定のJR貨物・吉田氏と杉浦哲郎が対談。鉄道ファンもそうでない人も楽しめるユニークな音楽フェスの魅力を語りました。


スギテツプロデュース「鉄道物語 in 稲沢」は特別編も含めて4度目。杉浦さんは3度目の登場です。これまでもスギテツならではのユニークな音楽世界が繰り広げられました。

杉浦:例えば、「ワム」「タキ」など貨物列車の記号を強引に音楽と結びつけるネタ「名曲連結貨車の旅」とかですね。イギリスのポップデュオ、ワム!の「ラストクリスマス」や滝廉太郎の曲を僕らが演奏しながら車両の写真をスライドでお見せして、東海ラジオの源石和輝アナウンサーが解説のナレーションをおこなうという。この企画は定番になっていて、10月の公演でもおこなう予定です。強引にダジャレをひねり出せばネタは無限に広がりますからね(笑)。

JR貨物は、初回からこの公演に深く関わっているんですよね。

吉田:そうですね。ステージで投影する車両写真のご提供、イベント会場での鉄道模型や鉄道写真の展示など、さまざまなカタチでご協力させていただいています。

杉浦:僕も鉄道ファンとして毎回ワクワクしています。コンサートでもトークコーナーにJR貨物さんの方にご登壇いただいていますよね。ご提供いただいた写真をスライドショーで見ながら、みんなで根掘り葉掘りお話をうかがって。出演者もみんな鉄道好きですから興味津々で、ついつい長引いてしまうというコーナーなんです。観客の皆さんの中にも、楽しみにしている方がたくさんいらっしゃるようです。今回は吉田副支社長にご登壇いただく予定ですから、本番でもいろいろ聞いちゃうと思います(笑)。

吉田さんは過去の公演をご覧になって、いかがでしたか?

吉田:スギテツのお二人の音楽を初めて聴いたときは衝撃を受けました。「こんなことができるんだ!」と。ピアノやヴァイオリンで列車の踏切の音を出したり、いろいろな曲を鉄道ネタにうまく絡めてパロディにしたり。鉄道と音楽が結びつくなんていう発想がなかったので驚きました。クラシック音楽もたくさん取り上げられますが、堅苦しくなくてすごく面白いんですよね。

コロナ禍で世の中が一変してしまいましたが、そうした状況はネタづくりに影響しますか?


杉浦:そうですね。自粛期間中には、この情勢の中で少しでも楽しめるような、苦境を笑いに変えられるような曲ができたらなと考えていました。それで作ったのが「ステイホーム組曲」。お風呂が沸いた音など家の中のいろいろな音を素材にした曲です。それに、マスカーニの歌曲「アヴェ・マリア」をもじった「マスクーニのアヴェ・マリア」。マスクに関する曲をいろいろ集めてみました(笑)。また、ステージの演出についても考えました。今は客席からの声援も控えていただくような状況ですから、「ブラボー」と書いた紙を皆さんにお配りして、声がけのタイミングでひらひらと掲げてもらったらどうだろうと。先日、コロナ禍で初めてのホールコンサートがあったので取り入れてみたら、皆さんすごく楽しんで参加してくださいました。そうした、現状をちょっと逆手に取った演出はこれからもやっていこうかなと思っています。

今回はどんなステージになりますか?共演はサックスの上野耕平さん、アコーディオンの田ノ岡三郎さん、セントラル愛知交響楽団弦楽メンバーですね。

杉浦:上野さんはクラシックのサックスプレイヤーです。サックスってジャズのイメージが強いと思いますが、彼はものすごく澄んだ音色を奏でる人なんです。そして好青年。だけど鉄道が大好きで喋り出すと止まらないし、サックスでVVVF(電車の制御装置)のモーター音を再現したりする。もう、すごい技術の無駄遣い(笑)。これまでにも2~3回ご一緒しているんですけど、そういうネタをいきいきとやるんですよ。今回、東海地方でご一緒するのが初めてなので、彼のサックス本来の素晴らしい音色はもちろん、こうした企画でしか見られない一面も楽しんでいただけたらと思います。

吉田:トークコーナーにも参加していただけるそうなので、質問攻めに合うかもしれませんね(笑)。

杉浦:アコーディオンの田ノ岡さんは10年来の仕事仲間です。彼はソリストとしてもセッションミュージシャンとしても幅広く活躍しています。最近では、大竹しのぶさんの主演舞台「ピアフ」や朝ドラの「エール」にも演奏者の役で出演していました。彼にもアコーディオンと鉄道を絡めたネタを披露してもらいつつ、いろいろな鉄道系の曲でコラボして、また新しいステージができたらなと思います。セントラル愛知交響楽団は、もともと名古屋文理大学文化フォーラムと深いつながりがあるということで共演が実現しました。クラシック音楽での音遊びにお付き合いいただいたり、上野さん、田ノ岡さんとのコラボにも混ざっていただいたりして、豪華なステージにできたらいいなと考えています。

ところで、お二人は何鉄ですか?

杉浦:僕は乗り鉄です。鉄道好きになったきっかけは、小学生のときのブルートレインブーム。列車の写真を撮って切符を集めてということから始めて、未だに続いているのが乗って楽しむことですね。音楽の仕事を始めてから少し離れていたのですが、演奏旅行で全国に出かける機会が増えて復活しました。前後にお休みがあると北海道から青春18切符で帰ってきたり。列車の旅って流れる時間がやっぱり違うんですね。単なる移動じゃなく、風景や車内での過ごし方も含めて楽しめるから。

吉田:僕も小さい頃から鉄道が好きでJR貨物に入りました。僕の場合は模型鉄ですね。今、会社の受付に飾ってある模型は僕が作ったものです。コロナ禍で外出もままならないので、休日には家でずっと模型づくりをしていました。

杉浦:すごい!僕はピアニストなのに手先が不器用だから、子どもの頃からプラモデルとかすごく苦手だったんです。水で貼るシールが絶対に曲がっちゃって。それで、模型には一切手を出さなかったんです。で、時刻表を見て旅のプランを考えて遊んでいました。ミュージシャンにならなかったら、旅行代理店でツアープランを作る仕事がしたかったですね。


10/18 SUNDAY 【チケット発売中】
スギテツ ファミリーコンサート「鉄道物語 in 稲沢」vol.3
◎出演/スギテツ、上野耕平、田ノ岡三郎、セントラル愛知交響楽団弦楽メンバー
◎司会/源石和輝(東海ラジオアナウンサー)
◎ゲスト/木村裕子(鉄道タレント)
■会場/名古屋文理大学文化フォーラム(稲沢市民会館)大ホール
■開演/15:00(開場14:15)
■料金(税込)/全席指定¥2,000
■お問合せ/名古屋文理大学文化フォーラム(稲沢市民会館) TEL.0587-24-5111
※3歳以下は保護者1名につき1名膝上に限り無料(席が必要な方は有料)
※本公演は収容人数の50%以内で実施します

小ホールにて鉄道模型・写真コーナー開催(入場無料/11:00〜15:00)



人気エレクトーン奏者827askaが初めてのVRライヴを開催!VR×マルチアングル×立体音響で魅せる新たな音楽の世界とは。

エレクトーンの演奏動画を9歳の頃からYouTubeで公開し、「スター・ウォーズ」メドレーのカバーでブレイク。メジャーデビューも果たし、ライヴツアーなど精力的に活動の幅を広げている826askaが、10代最後の今年、新たな領域に挑戦します。中京テレビとタッグを組み、最新テクノロジーノVR技術や立体音響システムを駆使したVR配信ライヴ「VR LIVE〜Last Teenage」を開催。自宅にいながら臨場感たっぷりの演奏を楽しめる機会を見逃す手はありません。

360°のマルチアングルで撮影された映像を、視聴者はスマホやタブレットをタップしてさまざまなアングルで観たり、VRゴーグルをかけてリアルな没入感を体験できるVR配信ライヴ。収録ではどんなことを意識して演奏されましたか?

正面や真横など定点カメラがいくつかある中で演奏したのは新感覚でした。演奏中は表情に気をつけましたし、指の動きも、より強調しました。普段、演奏中の手元を俯瞰で撮影するということはありませんから。それに、やっぱりエレクトーンは足が活発に動くので、そこにも気を配りました。演奏中の私の真横の視点を感じられるポイントを「助手席」と呼んでいるのですが、そこから観ると足の動きがよくわかると思います。また、エレクトーンの装置がどのように動いているのかも観てもらえます。モニターやパネルがどんな動きをしているのか上から覗けるので。観ていると、「このスイッチは何?」とか「ここでカウントしてるんだ」とか、いろんな疑問や発見が出てくると思います。そこも楽しんで欲しいですね。実際どんな映像になっているのか、配信当日に私も楽しみたいと思っています。


音響にもこだわっているとか。

HPLという技術を使って立体音響を再現します。ヘッドホンやイヤホンをつけて聴いていただくと、本当にライブ会場にいるように立体的な音を楽しめると思います。

当日のセットリストはファン投票で決められたそうですが、askaさんのカバー曲のレパートリーは「ルパン三世のテーマ」や「宇宙戦艦ヤマト」など渋いですよね。

両親の影響ですね。映画音楽も好きで「ジュラシックパーク」や「パイレーツ・オブ・カリビアン」のテーマ曲などをカバーしていますが、それも小さい頃に両親と一緒に観てハマったのがきっかけです。「宇宙戦艦ヤマト」も最初は父にリクエストされて弾きました。音楽に関しては、同級生と話していてジェネレーションギャップを感じますよ(笑)

さまざまな曲をエレクトーンで演奏する醍醐味とはどんなものでしょうか?

私は、原曲に近い演奏をすることにこだわっています。エレクトーンは、ひとりオーケストラなんですよ。例えば、フルートの音をもう少し小さくしたいと思ったとき、吹奏楽だったら奏者に指示しないといけませんが、エレクトーンの場合は自分のさじ加減で自由に音色を調整できます。好きな曲を好きなように表現できるところがエレクトーンの楽しいところですね。最近、アニメ「鬼滅の刃」のサウンドトラックから「鬼殺隊」という曲をカバーするために、一から音づくりをしたんです。原曲はオーケストラの演奏なのですが、エレクトーンには鍵盤が3つしかありません。右手・左手・左足の3つにしかパート分けができない中で、オーケストラの多彩な音を再現しなきゃいけない。だから、大事なところ、聴こえてくるところを大きく3つに絞っていきました。その作業では、やはり原曲を聴き込むことが大切ですね。

譜面からではなく、耳で聴くだけで音を拾っていくのですか?

はい。まずは耳コピです。それから譜面を自分で起こして音色をプログラミングしていきました。まずメロディラインが一番で、そして左手で伴奏を弾くところとベース。それぞれのパートにコントラバス、トロンボーン、ストリングスなど、音を聴き分けながらどんどん重ねていって…なかなか大変です。「鬼殺隊」は音づくりだけで2週間、微調整と演奏の練習まで含めると1ヶ月以上かけて完成させました。

ライヴで「鬼殺隊」が聴けるかどうか、楽しみです。配信当日は演奏の合間にオリジナル企画もあるそうですね。

すごく面白いことを企画しています。その部分は生配信ですから、皆さんのコメントなども拾いながら楽しい時間を共有したいですね。リアルタイムならではの緩さもあっていいんじゃないかと思っています。

自粛期間中も自宅からエレクトーン演奏の生配信をなさっていましたね。

自分にできることは何だろうと考えて、やっぱり音楽を届けることだと思ったので。この状況はまだ続きそうですが、今回の配信ライヴのような機会を作って音楽を伝えていけたらいいなと思いますし、リアルのステージのための準備期間としても有効なものにしたいです。より進化したものを見せられるように。

今後、挑戦したい曲はありますか?

いっぱいあります!先日、誕生日の生配信で普段やらないようなポップスを演奏したら好評だったので、また弾いてみたいですね。あと、アニメのサントラで今ちょっと挑戦している曲があるので、それを早く作り上げたいと思っています。いろんな曲を演奏して幅広い世代の方にエレクトーンの魅力を知ってもらいたいです。


826aska VR LIVE 〜Last Teenage〜
■配信日時/9月20日(日)20:00〜
■料金(税込)/視聴チケット¥1,000 グッズ付チケット¥5,500(視聴チケット+Tシャツ&マフラータオル)
■お問合せ/視聴方法に関するお問い合わせはBlinkyお問い合わせフォームよりお願いいたします。
https://blinky.jp/support/mail.html

詳細はこちら



TSUKEMENの名古屋公演、間もなく名古屋にて開催!!

今年デビュー12年目を迎えた「TSUKEMEN」は、今やアジアや欧米でもコンサートを開催し40万人以上の観客を動員するWヴァイオリンとピアノの人気ユニット。最新アルバムは、クラシックの“時短”アレンジ・カバー!TSUKEMENならではの音作りで彼ららしい世界観を創出しました。さらに今回は“絆”をテーマに、世界中を音楽で人と人をつなぐようなコンサートになるようです。コンサートが間近に迫った中、3人に今の心境やコンサートにかける思いをききました。

コロナ禍でこれまで経験したことのないような自粛生活を強いられた時間を、皆さんはどのように過ごされていましたか?

TAIRIK:ツアーが続々キャンセルになり、準備に気持ちが入りませんでした。いかにステージでお客さんからパワーをもらっていたかを思い知りました。音楽家という行動時間がとても不規則な仕事をしてきましたが、この自粛期間中は人生で1番規則正しい生活をしたように思います。魚をさばけるようになったのが人としての1番の収穫です。

6月からオンラインライブも始まってたくさんの方に観ていただいていますが、手応えはいかがですか?

SUGURU:大前提として生で体験するライブに勝るものは絶対にないと思います。しかし考え方を少し変えると、視聴者全員が最前列から至近距離で観ているかのような環境で視聴出来ることや、生のライブではお見せする事のできない角度から観ることができるはメリットだと思います。例えばTSUKEMENの場合はピアノの左斜め後ろ、肩越しからのアングルだと演奏の手元が全員にしっかり見せられます。そして何よりこれは絶対にやって良かったと思った点は、様々な事情で会場に来ることのできないファンの方々にも音楽をお届けできることです。

今年はベートーヴェンの生誕250周年ですが、〈DANCE!ベートーヴェン・ シンフォニー〉などが詰まった最新作『JITAN CLASSIC』はとても素敵なアルバムですね。今回のコンセプトである「クラシックを“時短”する」という発想についてお聞かせください。

KENTA:僕たちはデビュー当時からジャンルにこだわらずに様々な曲をカバーしたり、オリジナル曲も演奏してきました。そのなかでこれまでもクラシックを短くアレンジした楽曲は弾いてきましたが、今年はより自分たちのルーツである、クラシックに注目してCD製作にとりかかりました。クラシック音楽には敷居が高いと感じたり、一曲が長いという印象を持つ方も多いと思います。そこで交響曲のような大曲を思い切って時短したり、楽曲と楽曲を組み合わせて新しい楽しみ方を提示したり僕たちにしかできないアプローチでさらに音楽を身近に感じてもらいたいという思いでこのアルバムを制作しました。「このメロディー知ってる!」「こんな曲に変化するんだ!」「もともとこれがオリジナルアレンジなんじゃないか!」など、たくさんのワクワクをお届けしたいです。

『JITAN CLASSIC』収録曲から薦めの曲とその聴き所を教えて下さい。

TAIRIK
「The Nights」
EDMが最近とても好きでよく聴くのですが、一見合わなそうなEDMとクラシックの楽器がこんなにマッチしたという所が興奮ポイントです。冒頭のメロディの裏で、特殊なカッティング奏法をしていたり、歌のパート以外にも耳を済ますと色んな音が聴こえてきます。
それぞれのソロのアドリブも聴きどころです!

SUGURU
「トルコ天国地獄行進曲」
クラシックカバーの中から1曲選ぶとすればこの曲です。上手く説明できませんが、この曲は、言葉では言い表せない何かがTSUKEMENにジャストフィットしています。まだ聴いてない方は是非聴いてみてください。

KENTA
「ララカノン」
「カノン」と「Another day of sun」の融合、化学変化を楽しんで頂きたいです。ピアノのリズムに乗ってバイオリンがカノンになったり戻ったり。ドキドキワクワク、最後にはなんとも爽快な余韻が残ります。

オリジナル曲についてもお聞かせください。

TAIRIK
「All For One」「小さな奇跡」
2曲とも、曲のイメージに素直に沿ったタイトルをつけてあります。そして僕は、基本的にメロディを重視して曲を書きます。インストゥルメンタルなので、想像に無限の可能性があります。僕なりの想いを込めて作りました。自分なりの解釈でいいので、楽しんでみてください。想像して自分なりのイメージを膨らます過程にファンタジーがあると思っています。

SUGURU
「Starlight Ocean」
小さな命が懸命に生きる姿からは、夜空の星のような、またそれ以上の輝きを感じます。
曲中に「きらきら星」のメロディを交えつつ、一つ一つの生命の輝く光が溢れて交わり海のように広がって行く様を表しています。

KENTA
「5 red chateau」
これまでのオリジナル曲にはなかった大人の色気や味わいを表現した曲です。独特な5拍子に乗って漂うメロディーを感じながら、その世界に浸っていただけると思います。お洒落で大人な時間のお酒にもぴったりです。

"絆"をテーマにした今回のコンサート、楽しみにしているファンの皆さんにそれぞれメッセージをお願いします。

TAIRIK:今はどんなに徹底予防をしようとしても、リスクが付き纏います。こんな状況で来てくださるみなさんの為に、今なにを感じ、なにを届けたいのか、今一度自分たちに問うてステージを作りました。一緒に最高の時間を過ごしましょう!

SUGURU:毎年名古屋では素晴らしい声援を頂くことが大変有難く、音楽活動を続けて行く上で大きなモチベーションを頂いております。今年は大変なご時世ではありますが、コンサート関係者の皆様のご尽力、ファンの皆様の応援のおかげで年に1度の名古屋公演が開催できることを嬉しく思っております。演奏する側、参加する側、双方が同じ空間で音楽の波を感じられる事、また皆様の前で演奏ができる喜びを噛みしめながら、限られた時間をただただ皆様と楽しみたいと思います。今年も名古屋公演よろしくお願い申し上げます!

KENTA:今年は世界中のみんなが精神的にも経済的にもストレスや辛い思いを抱えていると思います。最新アルバムの魅力を伝えたいという思いも込めておりますが、演者、スタッフ、お客様のみんなで泣いたり笑ったり癒されたり、音楽を通して心で繋がり、寄り添うことが出来るステージを作ることが今僕たちの出来ること、役割だと思っています。あたたかくて優しい朝日を浴び、また今日も明日も頑張ろう。そう思えるメッセージ、コンサートをお届けします。


9/12 SATURDAY
TSUKEMEN CONCERT つなぐおと 
with JITAN CLASSIC

【チケット発売中】
■会場/日本特殊陶業市民会館ビレッジホール
■開演/①15:00 ②18:30
■料金(税込)/全席指定¥5,500
■お問合せ/中京テレビ事業 TEL 052-588-4477(平日11:00~17:00 / 土・日・祝休業)



岐阜市出身、ザルツブルグで学ぶ俊英が岐阜県多治見市でリサイタル!

宇野由樹子は2019年5月のエリザベート王妃国際コンクール・ヴァイオリン部門でファイナリストに選ばれた、岐阜市出身の俊英。9月に多治見市・バロー文化ホールで同市出身の古田友哉(ピアノ)とのデュオ・リサイタルが決定した。ザルツブルク・モーツァルテウム音楽大学で共に学んだ、注目の二人です。

コロナ禍という未曾有の事態に欧州の地で遭遇されました。

入試と卒業試験をちょうど控えていたため、ヨーロッパで過ごしました。当時は日に日に情勢が変わり、国境閉鎖が次々と決まっていく中、早くも2〜3月頃からアジア人やマスクをつけている人が理不尽に差別的な言動を受けることが増えるなど、非常事態だからこそ浮かび上がる人間の弱さも目の当たりにしました。街が全て警察の監視下におかれ、国境が閉鎖されたりして、今まで感じたことのないホームシックや不安を感じましたが、ネットで家族や友人と繋がれることの有難さを身にしみて感じました。
結局、入試は録音審査に早々に切り替わり、オーストリアで予定のコンサートも延期となってしまいましたが、自粛中は幸いにも教授の計らいで毎週2回ほどオンラインのクラス会合があったため、楽曲分析をしたり、クラス内で共有されていた記事や本を読んだりして忙しく過ごしました。息抜きで散歩をしたりケーキを焼いたりしつつ、普段の個人レッスンとはまた違う指導を受けられ、多岐にわたって学べた有意義な時間だったと思います。


ザルツブルクの音楽シーンの現状はいかがですか?

オーストリアは5月から制限緩和が始まり、6月中旬には国境も再開されました。いまだに行動制限は段階的解除の最中ではありますが、すでに従来の生活と変わらない日常が戻りつつあります。今年100周年を迎えるザルツブルク音楽祭もプログラムを再編して、感染対策を伴った上で8月に開催されることになりました。芸術が非常時には不必要なものと捉えられかねない中で、緊急事態下のドイツの文化相による「アーティストは必要不可欠であるだけでなく、生命維持に必要なのだ」という発言は、先行きが見えず不安な当事者達に多くの勇気を与えてくれましたね。また個人的には、コロナ禍のような特殊な事態にこそ、音楽をはじめ芸術が最終的に常に拠り所になってくれる力強さも感じていました。演奏者として、今まで培ってきた知識や経験、発見をどう社会に還元できるのかを模索しながら、作品のもつ素晴らしさを多くの必要とする人に伝えていきたいです。

モーツァルテウム芸術大学を6月に卒業されたとか?

モーツァルテウム芸術大学も今年の6月に無事に卒業し、今秋からは、引き続きライナー・シュミット教授の下で場所を移り、スイスのバーゼル音楽院にてソリスト・マスターとして勉強を続ける予定です。留学を始めた5年前は物事全般を白か黒かで捉えがちでしたが、多様性に溢れる環境で、どんなところにもグレーの可能性や“あそび”があることを受け入れられるようになり、音楽自体へのアプローチも変わりましたね。そして、素晴らしい室内楽奏者でもあるライナー先生のおかげで、ドイツ系作曲家の作品に多く触れることができ、ドイツ語の韻やアクセントと音楽との関係性の深さに毎回気づかされました。アカデミックな側面からも技術面からも、また細かな表現上のニュアンスまで、作品を理解する過程で色々と自由に試させてもらい、視野が広がりました。まだ道のりの半ばですが、多くのアイデアや方向性を見出せたので、時間をかけてこれからもより深く追求していきたいと思っています。

今一番興味を持って取り組んでいる作曲家や作品について教えて下さい。

今は特に前述したように、ベートーベンやシューベルト、シューマンなどのドイツ系作曲家の作品について、掘り下げて取り組んでいます。最近は主にヴァイオリン・ソナタが多いのですが、作品を分析するにつれて、和声や形式面を初めとして細かいところに独自の革新的なアイデアが散りばめられていることに改めて気づかされ、様々な要因が類稀なる作品を生み出していることにいちいち感動させられます。

9月の多治見市文化会館でのコンサートで演奏予定のシューマン: ヴァイオリン・ソナタ 第1番とラヴェル: ツィガーヌについて、それぞれ聴き所を教えて下さい。

シューマンのソナタは、ドレスデンからデュッセルドルフに移り住み、作品の制作でも多忙を極めていた1851年にわずか16日の短期間で作曲されました。シューマンは結婚後しばらくして、過労や経済上の苦労、妻であり優れたピアニストであるクララへの劣等感など様々な要因から精神を崩し、長年にわたって精神障害による幻聴や妄想に悩まされていました。この作品を作曲した前後からその症状が酷くなり、その影響がこの作品にも見られ、全体を通して悲劇的で苦痛に満ち、常に何かに追われているかのような強迫観念に苛まれている印象を受けます。その中で、もの懐かしさを彷彿とさせる第2楽章は、前後楽章の焦燥感から対照的に、繰り返し現れるテーマは不完全なメロディーながらその純真さに聴くものの心を打ちます。
一方、フランスの印象派を代表するラヴェルは、民族性に憧れを抱き、ハンガリー系ロマの音楽としてツィガーヌを構想しました。チャルダッシュの形式をもち、前半のテンポの緩やかな「ラッサン」と後半の速く情熱的な「フリスカ」から構成されます。ジプシーの情感のこもった独白のようなカデンツァ、そしてピアノのアルペジオと共に展開される情熱的で早い舞曲のヴァリエーションは息つく間もつかせず、華々しくクライマックスを迎えます。作曲にあたり、パガニーニのカプリスに触発されたというラヴェルのヴァイオリン技巧への純粋な探究心が随所で見られ、ピアノとの響きと相まって魅力的な音響効果を発揮しているところも聴きどころの一つだと思います。

共演の古田友哉さんも同じモーツァルテウム芸術大学で学ばれています。

古田さんは多くのことに造詣が深く、音楽も多様で繊細な音色を持ちあわせたピアニストだという印象がありました。在学中からソロでも各地をまわって忙しくされていたのに加え、様々な演奏家と室内楽も多く意欲的に活動されているのを見て、いつも刺激をいただいておりました。地元の大先輩で、同じ出身の縁でいつか岐阜で共演できればと願っていたものが早くも実現することになりとても嬉しく思っています。
今年は、直接ホールで演奏を聴く機会が減った方も多いかと思いますが、久しぶりの音楽は、日々に活力を与えてくれ、生活に彩りを添えてくれることと確信しています。今回プログラムに組んだ素晴らしい作品たちの魅力をお届けできるよう全力で準備しております。バロー文化ホールで皆さんをお迎えできるのが、今からとても楽しみです!

取材・文:東端哲也


9/4 FRIDAY 【チケット発売中】
岐阜の若きヴィルトゥオーゼン
宇野由樹子・古田友哉 デュオリサイタル

◼︎会場/バロー文化ホール(多治見市文化会館)小ホール
◼︎開演/19:00
◼︎料金/全席自由 一般¥2,000 高校生以下¥1,000
◼︎お問合せ/バロー文化ホール(多治見市文化会館)TEL.0572-23-2600
※未就学児入場不可(託児有・要申込)

8/21 FRIDAY 【受付終了 ライブ配信あり】
100人de名演(全6回)
第4回 宇野由樹子(ヴァイオリン)

◼︎会場/サラマンカホール
◼︎開演/12:00
◼︎料金/お申込み先着100名様無料ご招待(受付終了)
◼︎お問合せ/サラマンカホールチケットセンター 058-277-1110
※同日同時刻にYouTubeよりライブ配信いたします。以下のリンクよりご覧ください。
https://www.youtube.com/channel/UCOTVt9wDpBfz7tXlDe9jhPA



庭劇団ペニノが三重に初登場。舞台と客席が同化し独特な世界が生まれる<一体・没入型>音楽劇とは?

庭劇団ペニノが三重に初登場。劇場内に建てられた“お堂”で繰り広げられる不思議な儀式に観客も参加しているうちに、いつしかその世界に取り込まれ、没入していく。そんな異次元の参加型音楽劇「蛸入道 忘却ノ儀」を体感する日が、いよいよ迫ってきました。まったく新しい劇体験で、主宰のタニノクロウがめざすこととはー。

「蛸入道 忘却ノ儀」での劇体験は、実際に参加してみないと想像しづらいものですね。

そうかもしれません。ストーリーもなく決められた台詞もない中で、俳優たちはキャラクターを演じることなく、自分自身としてその空間にいます。そして、念仏を唱えながら “儀式”を執りおこなうんです。観客の皆さんにも、あらかじめ置いておいた楽器を自由に手に取って奏でながら、儀式に参加してもらいます。どんな音が鳴るのか俳優たちはもちろんわかりませんし、観客がお堂を囲むように居並び全方位から見られている状態でパフォーマンスを続けなければならない。そこで彼らが何をどう体感するのか。それを求めて作ったのが、この作品です。例えば、台詞を間違えないようにとか、音がズレないようにとか、パフォーマンスをする上で守るべき優先順位がありますよね。それを全部なくして、その先に行く…俳優たちが自意識から脱却するための儀式を見せたいんです。

初演、再演でその経験をして、俳優さんたちに変化はありましたか?

「変わった」という人は何人かいますよ。舞台上での俳優の理想的な状態は、物事を自在に見ながら想像力豊かでいられることだと思います。どういうことかを説明するのは難しいのですが…。以前、舞台上に赤ん坊が出てくる作品を観たときに、どうしても赤ちゃんに目が行ってしまうということがありました。別の作品で演出家が役者として出てきたときも、なぜかその人のことを目で追ってしまった。一方は、それが演劇なのかさえわかっていない人、つまり作品に対する情報が圧倒的に少ない人。もう一方は、膨大な情報を持っている人です。両極端ですが、舞台上で観客の目を引き付けるのは、そういう存在なんだと思います。では、俳優はどうするか。当然ですが情報量ゼロというのはあり得ません。そのプロダクション、関わっている人、稽古中の昼飯…なんでもいいのですが、自分を取り巻くあらゆるものに対して好奇心と想像力を発揮して世界を作っていく。一見、自分にはまったく関係ないことでも、「あるんだろう」と仮説を立てるという作業を、俳優は稽古の段階でおこないます。それを踏まえ、情報をできるだけたくさん持った状態で舞台にいたほうがいいと僕は思っているんです。そういう状態が、決められた台詞や動きを超え自在に物事を見られる、舞台上での理想的な俳優のあり方なのではないかと。ゼロと無限が同居するという、仏教思想の「空」に通ずる状態かもしれません。


撮影:井上嘉和 提供:KYOTO EXPERIMENT事務局

そういう状態に観客も取り込まれていくのですね。昨年、「KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭2019」で上演された際には、一緒にお経を唱える人もいたそうですが。

上演する場所によってムードがまったく変わる作品だと思います。何が起こるかわかりませんし。京都の場合は国際演劇祭でしたから、お客さんの空気も独特でした。すごくノリノリの人もいたし…。今回も、お客さんの反応がとても楽しみです。俳優と観客が影響し合ってできる作品、しかも、そのことを観客が感じながらその場にいられる作品ですから、面白いんじゃないかな。とても音楽的に作られている作品ですし、聴き応え、見応えもあると思います。単純に楽しんでもらいたいです。

庭劇団ペニノは、三重県初登場です。

三重県文化会館のことは、東京の演劇人の間でも話題になっていますよ。各地の小劇場やフリーシーンの作品をこんなに頻繁に上演している公共ホールは、あまりないと思います。
やっぱり、そういう土壌のあるところでやりたいですよね。土地柄や箱の環境というよりも、そこで働いている人や観に来てくれる人が醸し出すものだと思うのですが。今回は良い機会をいただきました。

ペニノもそうですが、今の演劇シーンでは所属の俳優を持たずユニットスタイルで作品を作る劇団が多いですね。

ほとんどそうじゃないですか?好きなときに好きな人たちを集めてやればいいと思っています。今は、人が集まるのも情報を集めるのも簡単ですし。家を買うか賃貸を続けるか、みたいな差だと思います。演劇なんて、いつ転覆するかわからないことをやっているわけですから、賃貸にしておいたほうがいいんじゃないかな、と(笑)。


3/7 SATURDAY 3/8 SUNDAY
庭劇団ペニノ「蛸入道 忘却ノ儀」
チケット発売中
◎ 作・演出/タニノクロウ
◎ 出演/木下 出、島田桃依、永濱佑子、西田夏奈子、日高ボブ美、森 準人、森山冬子、山田伊玖磨
■ 会場/三重県文化会館 小ホール
■ 開演/3月7日(土)14:00、19:00 3月8日(日)14:00
■料金(税込)/
全席指定(整理番号付)前売 一般 ¥2,800 高校生以下(要証明)¥1,000
当日 一般 ¥3,100 高校生以下(要証明)¥1,300
■お問合せ/三重県文化会館 TEL.059-233-1100
※未就学児入場不可



城田優がコンサートツアーで名古屋に登場!

真っ黒なスーツがよく似合う、長身の紳士。
かと思えば、突然重低音が効いた声を大音量で響かせ、人をお茶目に驚かせる一面も。サービス精神が旺盛で、まるで無垢な少年のような城田優。クリエイターとして、エンターテイナーとして、腕が立つ彼が手掛けるコンサートは、全曲“恋の歌”で彩られます。

昨年はデビュー20周年を迎えられましたね。

そうですね。芸能活動を始めたのは13歳からです。でも最初からドラマやミュージカルに出ていたということではなくて、お仕事として人前で歌を歌うようになったのは、16歳のときの初舞台です。「美少女戦士セーラームーン」が、初ミュージカルでした。


歌うことについて、ご自身で大事にされていることはありますか。

歌詞が一番大事だと思っています。僕が歌う曲や作る曲、選ぶ曲は曲の中に物語がちゃんとあるものが多いので、その曲のメッセージを届けられるように目指しています。ちゃんとしたヴォーカルレッスンは、実は受けたことがないんです。ミュージカルのレッスンはしますし基礎的なものは今までやってきましたので、ある程度経験の中で培ってきたものもありますが、今でも全然足りないものがたくさんあると思いながら活動しています。ただ、練習することだけがうまくなることではないと思うところもあります。真面目に向き合いすぎると、違う方向性に行ってしまうというか、凝り固まってしまうというか。歌い方は変化していいと思っているので、あまり型にはめすぎない方がいいかなと。やりすぎると、毎回それをすることが正解のようになってしまって、あまり面白くなくなるんじゃないかと。歌うその時々によって、歌い方が違っていいところもあると思っています。

シンシアさんと共演されて、学んだことはありますか。
※シンシア…第92回アカデミー賞で主演女優賞と歌曲賞にノミネートされた、女優で歌手のシンシア・エリヴォ

もともとのスタンスの違いというか。シンシアに限らず、今までご一緒した海外のスーパースターたちは、みんな自信を持っています。我々は普通パフォーマンスの際に、自分のスイッチを切り替えることが多い。でもそれが結果的に気負いとなって喉を閉めたり負担をかけてしまって、いいパフォーマンスにつながらないこともあるんです。シンシアたちは、本番とリハがいい意味であまり切り替わらない。圧倒的な歌声ですけど、それは過度に緊張しないことが大事なんだろうなと思います。メンタルコントロールが上手なんですね。僕なんて、カラオケ歌っている時が、一番うまいと思いますよ(笑) 誰にも迷惑をかけず、責任をとらなくてもいいですし、失敗しようが成功しようが、楽に歌えて、単純に楽しいですよね。カラオケで歌っているときの自然なマインドで舞台に立てると、よりリラックスした状態で喉もよく開いた状態で声が出るのだと思うのですが。

では、緊張しないために行っているルーティンワークはありますか。

深呼吸。あと、「人」って3回書いて飲む(笑) 本当にやりますよ。20歳でミュージカルに出演した頃は、ルーティンワークをたくさんやっていました。体幹トレーニング、ストレッチ、発声、音楽を聴いてからステージに出る、みたいな。でも、あるとき音楽の再生機器が壊れて、本番直前に聴けなくなって。そうすると今までおまじないのようにやっていたルーティンワークが崩れたことで、「今日できないかもしれない」「声が出ないかもしれない」とか思い始めて、勝手に失敗するかもしれないというマインドになっちゃったんですよ。そういうのを経験してからは、必要の無いものをやめようと全部取り払って。直前の発声も最低限で十分だと海外のスターたちと共演して気づいたし、いろんなものを排除した結果、残ったものは「深呼吸」と「人って3回書いて飲むこと」。いつでもどこでもできるし、吊られていてもできますし。すべての作品で緊張しているときにやっていますね。あとは人に背中をたたいてもらうとか。公演ごとにキャストにやってもらっていましたね、シンプルです。海外のスターたちは楽屋に戻るかのようにステージに行くから、それがいいんだろうなって思います。気持ちをオンにしなければいけないときに、オフにするっていう。僕は外国人でもあり日本人でもあるので、マインドはその中間。どちらかというとマイナス思考が強くて、すごく複雑な性格なんですよ。


今回のツアーサブタイトル「Mariage(マリアージュ)」について、コンセプトをお聞かせください。

文字通り「結婚」を意味しますが、「食事」と「お酒」のMariage(組み合わせ)と同じように「城田優の歌」と「楽曲」のMariageを楽しんでもらうことをテーマにしています。ひとつのショーの中で一生分の恋愛と言いますか。片思いをして、ふられて、つらい思いをして、立ち直って、また恋をして、そして結ばれる、みたいなストーリーが2時間のショーの中にギュッと詰め込まれていると思います。すべての曲が恋の歌で形成されているショーにする予定です。こんなにラブソング歌う!?っていうくらい歌いますので、最終的には、お客さま1人1人が結婚することを想像できるくらいの表現力をもって歌うつもりでいます。皆さん是非、おめかしして来て頂きたいですね。

ツアーの4公演(東京・大阪・福岡・名古屋)ともゲストが違い、名古屋公演のゲストは、加藤和樹さんですね。

同じ楽曲を歌うことがあったとしても、ゲストによって感じることが変わってくると思いますが、それも“Mariage”の1つとして、楽しんで頂けたら。和樹とは、10代、20代、30代と、必ず節目で共演しています。仕事とプライベートのバランスが一番とれている、付き合いの長い人なので、僕のすべてを知っていると言っても過言ではないです。エンターテイナーとしての僕、クリエイターとしての僕も、彼はよく知っていますし、先日「ファントム」というミュージカル作品でも一緒だったので、そのときの熱量が高いままの彼との化学反応が楽しみです。今まで、距離を縮めて一緒に歌うことがあまりなかったですし。

最後に、東海エリアのみなさんへメッセージをお願いします。

なかなか東海エリアに足を運ぶ機会がなくて、名古屋公演は久しぶりです。ミュージカル以外ではおそらく8、9年ぶり。ただ10代の頃、岐阜市の長良川の近くの旅館に1か月間泊まって生活しながら、岐阜のメモリアルセンターで撮影していたことがあり思い出もある場所です。まだ僕のミュージカルやコンサートに行ったことがなくて興味のある方、一期一会でご縁を大切にしたいのでぜひこの機会に。もしお時間がありご縁だと思って来てくだされば、みなさんにとってプラスになるようなエネルギーにして、確実に素敵なものをお届けできる自信はあるので是非足を運んで頂きたいです。

◎Interview&TEXT/LeeSa


3/15 SUNDAY
「城田優 Concert Tour 2020~Mariage~」
チケット発売中
■会場/日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
■日時/3月15日(日) 17:00開場、18:00開演
■料金(税抜)/全席指定 S席¥9,500、A席¥6,300
※小学生以上有料、未就学児童は入場不可
■ゲスト/加藤和樹