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ピアニスト松本和将がリストをテーマに、リサイタルを開催。

『松本和将の世界音楽遺産 シリーズ第6回 フランツ・リスト編』が、全国6都市で開催される。松本が得意とするリストを取り上げたという本シリーズの幕開けとなる名古屋・しらかわホールでの公演を前に、このリサイタルに向けた思いを聞いた。

シリーズ「世界音楽遺産」について教えてください。

2016年に始めたシリーズで、今回が第6回になります。シリーズは、毎回決まった国や作曲家の音楽を取上げて演奏するというコンセプトで開催しています。今回のリストは、ハンガリー人ですが、若い頃からフランスで育ち、その後はドイツで活動し、ローマにも住んだというコスモポリタンなので、ハンガリー編ではなく、フランツ・リスト編ということにしました。

なぜリストを選ばれたのですか?

ここ1、2年くらいリストを弾いていると、今まで見えなかった世界が見えてきて、久しぶりにリストを演奏してみたいと思いました。ピアニストにとってリストは、非常に大きな存在であり、楽器の魅力を存分に引き出してくれる作曲家です。

新しく見えたリストの世界とは?

リストの音楽は、時に華々しさや勢いで弾かれてしまうと思うんです。表面的とまでは言いませんが、そこに散りばめられてるテクニック通りに弾けば、曲として成り立つよう巧く作られているからです。だから指が赴くままに弾いているピアニストの演奏が多く、自分も若い頃は、そうやって演奏していたと思います。けれど今考えると、この場面はそうではないのではないかとか、ここでゆっくり演奏するのはおかしいのではないかということが、いろいろ見えてきました。それで、もう1度楽譜を読んで構成し直したら、新しい世界が見えてきたのです。

今回のプログラムでは、具体的にどのようなところですか?

ピアノ・ソナタですね。この曲は、長い単一楽章の作品です。これまでは、色々な場面が続く短編集のような作品だと思っていたのですが、実は同じメロディーが使われていたり、違う場面になると思っていたところが、前の物語の続きだったことが新しく見えてきました。今では1つの場所の1つのシーンだけで物語が進んでいくような長編映画のように思え、最後まで1つの緊張感で演奏できるような気がしています。

「リストの感覚があまりにも分かりすぎて怖い」と仰っていますが、具体的にはどのような部分ですか?

そんな風に思ったのは、10年あるいはもう少し前のことです。リストの音楽は、どこまで掘り下げても仮面なんじゃないかという感覚がありました。ただ、どこからどこまでが仮面で、どこからが素顔なのかよくわからない。もしかしたら、全部仮面かもしれないし、全部素顔なのかもしれない。おそらくそれはリスト自身もわからなかったのではないかと思うのですが、そのようなリストの感覚が、私には凄くわかる気がしていました。リストは、あまり充実した年の取り方をしてないと思います。世間的には大成功して、彼を慕う人が山ほどいて、幸せな人生だったはずなのに、晩年は魂が抜けて絞り粕みたいになった曲がたくさんあります。なんでこんな風になったのかという事も含めて、実は仮面なんじゃないかと感じたわけです。

プログラムの中で特に思い入れがある曲は?

ソナタもそうですが、《オーベルマンの谷》です。この曲は、ホロヴィッツが1966年のカーネギー・ホールのライブで弾いている録音があるのですが、その演奏が本当に素晴らしくて、特に美しい一部分があって、ああ、こんな音出せたらなあと、そこばかりリピートして聞いていました。この曲を弾くとリストが敬虔なクリスチャンだったことがわかります。例えば、バッハ作品の受難の場面のような、神の前で懺悔をしているような趣を感じさせるのです。リストの作品は、1つの曲の中に聖と俗の部分や悪魔の誘惑のようなキャラクターが混在していて、それが見事にドラマになっている。例えばピアノ・ソナタの最後は、浄化されて天に登っていく感じですが、本当は悪魔が隠れていて、最後は悪魔が勝つ話だと思っています。《オーベルマンの谷》とは逆ですね。ただ《オーベルマンの谷》の最後で、最初の嘆きのテーマが出てくる意味は、まだわからずにいます。

最後に、名古屋公演に向けメッセージをお願いします。

実は、今回のコンサート・シリーズ開催のきっかけになったのは、名古屋公演会場のしらかわホールなんです。今年の1月にヴァイオリンの前橋汀子さんと、しらかわホールで演奏をする機会があり、その時、このホールでリサイタルをしないと一生後悔すると思って今回の公演を打ち立てました。しらかわホールは、とにかく響きがいい。どんな音も受け止めてくれるホールだと思います。ぜひいろいろな方に聞いていただいて、リストの世界、ピアノの音色、このホールの音色、そういうものをたくさん受け取っていただきたいなと思ってます。




10/10 MONDAY・HOLIDAY【チケット発売中】
松本和将の世界音楽遺産 シリーズ第6回
フランツ・リスト編 ー悪魔の調べー

■会場/三井住友海上しらかわホール
■開演/13:30
■料金(税込)/全席指定 一般¥4,500 学生¥2,500
■お問合せ/クラシック名古屋 TEL.052-678-5310




誰かの人生のエピソードから立ち上げる特別な舞台。作為的にドラマを求めなくても、誰もが絶対に面白い話を持っている。

バックボーンの異なる4人の表現者が立ち上げた演劇ユニットさんぴんが、6年ぶりに三重にやって来ました。10日間の三重での滞在制作を経て、本番は目前。その土地で、そこに暮らす人たちから聞いた大切なエピソードをもとに、さまざまな表現スタイルで立ち上げる唯一無二の舞台は必見です。

ユニット結成の経緯を教えてください。

さんぴん2022_福原冠

福原:2015年、僕と北尾君が共演する作品を三重県文化会館で滞在制作していたんです。その時、劇場のプロデューサーに「地方の劇場で生まれた作品が全国を回る企画があったら面白いと思うんです」と話したら、「いいじゃないか、考えてみたら?」と言ってくださって。自分で考えることになっちゃったと思いながら東京に戻って、板橋君に相談したのが始まりです。そこで一緒に考えたのは、俳優に特化したものとは何かということ。世の中には俳優発信の企画はたくさんありますが、古典や既存の戯曲を上演したり、作家や演出家を招いて新作に取り組むのが一般的なスタイルです。作家など、ある人のメッセージを観客に届ける媒介者であることが俳優の役割なんですよね。そう考えると、家族や友人など自分の身近にいる人たちの中にも題材は無数にあるんじゃないかと思ったんです。アウトプットする手段を持たない彼らの代わりに、いろいろな考えや悩み、感情が揺れた瞬間などを僕らがカタチにしてみたいなと。もうひとつこだわったのは、各地に滞在して、その土地の人たちと作品をつくるということです。三重での滞在制作を通して、純粋にお芝居に向き合う時間の大切さを実感したので。

板橋:それで、いろんな土地でいろんな人にインタビューして物語をお借りして、その土地でしか生まれない作品を立ち上げていくというスタイルにしました。俺たちはみんな役者やダンサーですからストーリーを作ることは難しいけれど、人からお話を聞いて、その思い出をお借りすることならできるんじゃないかと思って。結成した当時は、ちょうどみんなが疲弊している時期だったんですね。頑張らなきゃいけないけどなかなか使ってもらえなかったり、やりたいことはあるんだけどうまくカタチにできないとか。そんな時に、この企画にたどり着いて「これなら俺らにできる!」という思いを強く持つことができました。

永島:僕はずっと役者をやってきましたが、脚本を書いてみたいと思っていた時期もありました。自分の中にふつふつと沸いていた“やりたかったこと”を、さんぴんで叶えているような気がしています。

北尾:メンバーはみんな所属する劇団も違うし、僕はカンパニーを持っています。表現方法も違えば興味があることもそれぞれです。いろんな方向にを向いているベクトルを、さんぴんに集わせている感じですね。

地域の“普通の人”のエピソードを、一人芝居や講談、落語、ダンス、ラップなどで表現する独自のスタイルはどのように生まれたのですか?

福原:せっかく4人が集うんだから、得意技を惜しみなく出していこう思って。

板橋:「俺ら、いっぱいやれることあんだ!」っていうギラギラ感が集約されちゃったのかも(笑)。

北尾:でも、「俺が、俺が」という主張はないですよね。4人がお互いを信頼し合って、晒し合って語り合って作っていくので。例えば、駿谷さんが得意なラップを僕と敬三に受け渡すとか、「ダンスをやってみたいから」と冠さんが言えば、僕は踊らずに振り付けを担当するとか…。得意なことをシェアし合って作品づくりができるというのは、発見でした。


2016年仙台公演より

インタビューはどのようになさっているのですか?例えば、もし私が皆さんの取材を受けても、演劇の題材になるようなドラマチックなエピソードを披露できません。

さんぴん2022_永島敬三

永島:皆さん、同じことをおっしゃいますよ。

板橋:作為的にドラマを求めるようなインタビューの仕方はしないようにしています。自分では気づかないかもしれないけど、誰でも絶対に面白い話を持ってるんです。例えば、以前80歳の男性にインタビューした時、人生で楽しかったのは「すべての乗り物を見られたこと」と答えてくださいました。大八車から始まって、自転車、バイク、自動車、新幹線、そしてスペースシャトルまで見られた、って。「僕は乗り物が好きだから本当に幸せだ」とおっしゃって、すごく素敵だなと思いました。それで、「乗り物歴史」といって、乗り物の名前を朗読するだけの作品を作ったんです。

自分の話したエピソードが作品になったものを見て、皆さんはどんな反応をなさいますか?

さんぴん2022_板橋駿谷

福原:「過去の自分に励まされた」と言ってくださった方がいらして、やってよかったなと思いました。人を癒す効果があるんだなと思って。

板橋:演劇療法なんだよね。過去の失敗談などを誰かに話して、それを客観的に捉えることでトラウマ解消につなげるような。

北尾:それを狙っていたわけじゃなく、その方の人生の断片をお届けしたいという思いで夢中になってやっていたら、そういうことが自然に起きていた感じですね。

三重公演は6年ぶり。2016年に三重大学の教室で上演して以来ですね。

さんぴん2022_北尾亘

福原:“オールタイム・ベスト盤”として、これまでに上演したものを中心に、新たに三重でインタビューもおこなってエピソードを追加します。6年前に三重大学で一緒に作品づくりをした当時の学生さんなどにもお話をうかがいます。

北尾:今回は、上演前に劇場ロビーで「さんぴん presents★夏祭り」も開催します。物産展のようなコーナーがあったり、一般の方が特技を披露するショータイムがあったり、お祭り気分で楽しんでいただけるイベントです。参加無料で出入り自由ですから、ぜひ遊びに来てください。僕らも、ずっといますから。そのあと劇場に飛び込んでいただくと、演劇のお祭りが待っています!



8/27 SATURDAY 8/28 SUNDAY
ドリーム夢街道★夏祭り巡業2022
「ALL TIME HERO’S 〜東西南北プチョヘンザッ!!」

<チケット完売>
■ 会場/三重県文化会館 小ホール
■ 開演/各日 15:00
ロビー開場12:00 <さんぴんpresents★夏祭り>開催(参加無料)

■料金(税込)/全席自由・整理番号付 一般 ¥2,500 22歳以下¥1,500 小学生以下 無料
■お問合せ/三重県文化会館 TEL.059-233-1122
※未就学児入場可
※22歳以下要身分証提示



“一五一会”の広くて自由な音の響きを感じてもらいたい。

ブルースから島唄まで、多彩な音楽性でファンを魅了し続けてきたBEGINが、9年ぶりに可児に登場。世界に名だたるギターメーカー“ヤイリギター”と共同開発した楽器をフィーチャーした「一五一会なコンサート」で、名曲の数々を聴かせます。

一五一会という楽器の魅力は、どんなところにありますか?

比嘉:日本の三味線や三線には3度の音が指定されていません。だから、明るいも暗いも弾いている人が決めるんです。楽器じゃなくて。そういうところが日本人の気質に合っているような気がします。シンプルだけど逆に奥深くなっていくのは必然ですよね。一五一会は19年前に生まれた新しい楽器ですから、弾き方や音の可能性はこれから育てていくものなんだと思っています。ボーカルとしては、従来の西洋の音楽理論に当てはまらないところに可能性があると思っているし、指1本で歌っていると、とっても自由でメロディがどこにでも行けるような感じがします。曲の作り方も変わりましたよ。「三線の花」をはじめ、一五一会で作った曲もたくさんあります。

上地:和音の性格を決定づけるのは3度の音ですが、一五一会にはそれがない。なのに、耳では聴こえるんです。それと、ボディはギターより小さくて音のボリューム感も少ないけど、鳴ったときの音の広がりは大きい。不思議でしたね。「狭いコード」「広いコード」という言い方があって、ヴァイオリンの音色は広いんです。その感じが一五一会には出ているんじゃないかな。だから音色が心地いいんだと思います。

アーラのステージに立たれるのは9年ぶりだそうですね。

島袋:そんなに経ちますか?その間も、一男さん(ヤイリギター前社長・矢入一男さん)のお孫さんの結婚式に呼んでいただいたり、名古屋でのライヴにヤイリの職人さんが来てくれたり、可児の人たちとは毎年のように会ってたから。

上地:可児はもうひとつのホームタウンだからね。

比嘉:完全に親戚気分(笑)。ちゃんと顔出して挨拶しないと、みたいな感じです。10月のコンサートでは、一五一会じゃないと成り立たない楽曲を中心に披露しながら、ほかの楽器の音色と混ざり合いながら楽器としてどう響くかを聴いていただきたいと思っています。また前日には、一般の一五一会プレイヤーが参加する「一五一会世界大会」が予定されていますから、みんなで楽しめるといいですね。

島袋:前回は、alaの庭で演奏を楽しんでいる人もいました。笑い声がいたるところに響いて、幸せな空間でしたね。

今年は沖縄本土復帰50年という節目の年。BEGINはデビュー32年目を迎えました。故郷への思いや今後のビジョンについてお聞かせください。

島袋:音楽的には、沖縄って本当に特別なところだと思います。日本各地に民謡はありますが、島の唄がこんなに生活に入り込んでいる県はほかにない。例えば、結婚式に行ったら座びらきがあって、民謡からエイサーからいろんな出し物が繰り広げられる…という経験を、沖縄出身のアーティストはみんなしてきているはずです。音楽の垣根が低いんですよね。そんな沖縄という特別な場所に甘えちゃいけないという思いと、感謝の思いを強く持っています。

上地:僕たちは最初、ブルースが好きで音楽を始めましたが、そのうち三線の魅力に気づいて沖縄民謡をやったり、ブラジルのマルシャというリズムを知って取り入れたり、いろいろな音楽と出会ってきました。これから何に出会うかわからないし楽しみですが、ひとつ言えるのは、これからもBEGINの音楽は生の音が基本だということ。だからライヴは大切にしていきたいですね。

比嘉:僕は今、石垣に住んでいるので、特別な思いがなくなってきています。「石垣の海はきれいでいいですね」とよく言われますが、僕にとっては、湘南の海もブラジルの海も石垣の海も同じように愛おしさを感じます。土地じゃなくて人なんだと思います。BEGINもデビュー当時は、まさかこんなにたくさんの仲間ができるとは思ってなかったし、今もこうして全国ツアーを回ってるなんて想像もできませんでした。これからも皆さんに少しでも喜んでもらいたいし、もっと言えばウケたい。これやったら笑ってくれるかなとか、そんなことを思いながらこれからも活動していきたいです。

◎Interview & Text/稲葉敦子


10/2 SUNDAY
BEGIN「ビギンの一五一会なコンサート」
<チケット完売>
■会場/可児市文化創造センターala 主劇場
■開演/14:00
■料金(税込)/全席指定 一般¥6,000 25歳以下¥3,000
未就学児入場無料(お席に座られる場合はチケットが必要)
■お問合せ/可児市文化創造センター インフォメーション
TEL.0574-60-3050(9:00〜19:00 火曜休館)

10/1 SATURDAY
「第三回一五一会 世界大会」開催!
<チケット発売中>
■会場/可児市文化創造センターala
■開演/16:00
■料金(税込)/全席指定 ¥2,500
■お問い合わせ/可児市文化創造センターala インフォメーション
Tel.0574-60-3050 (9:00~19:00 / 火曜休館)
※未就学児入場無料(お席に座られる場合はチケットが必要)
詳細はこちら

【2日間ご来場のお客様へのキャッシュバックについて】
■10月1日(土)開催「第三回一五一会世界大会」、10月2日(日)開催「ビギンの一五一会なコンサート」のチケットを両方、ご購入の方を対象に当日会場にて500円キャッシュバックいたします。
<キャッシュバック注意事項>
※10/1(土)開催「第三回一五一会世界大会」、10/2(日)開催「ビギンの一五一会なコンサート」のチケット両方を会場にてご提示ください。
※当日、ご来場いただけなかった場合、チケットをご提示いただけない場合、キャッシュバックの対応は致しかねます。



セントラル愛知響メンバー等による弦楽アンサンブルにコンマスとして再び登場!

デュラーレ・チェンバー・ストリング・アンサンブル(DCSE)シリーズ3「バロックの世界」。素晴らしいメンバーと、こだわり抜いた本気の音楽を追求したいという思いで、セントラル愛知交響楽団のヴィオラ奏者 井野公実とコントラバス奏者 高柳安佐子を中心に結成された弦楽アンサンブルに、豊嶋泰嗣がゲストコンサートマスターとして再びやって来る。

デュラーレ・チェンバー・ストリング・アンサンブル(DCSE)にコンサートマスターとして迎えられるのは2度目という事です。

豊嶋泰嗣:主宰者の井野公実さんは、門下生の中でも教え始めた頃の生徒で、先生と生徒と云うよりも、先輩と後輩のような関係です。時間の経過とともに、このような形で一緒にアンサンブルが出来ることは本当に嬉しいです。

DCSEの印象は?

豊嶋:皆さん一人一人が積極的に音楽作りに参加していて、とても気持ちのいい楽団です。リハーサル中は、私が気付いたことを色々話していくのですが、みるみる音楽が変わっていき、非常に手応えを感じます。それだけに再びお声がけ頂いて光栄に思っています。

今回のプログラムを、どのようにご覧になられていますか。

豊嶋:バッハでまとめられていて、取り組みやすいと思います。個人の技量が活かされる華やかなブランデンブルク協奏曲第3番と、これは私にヴィオラを弾いて欲しいというリクエストだと思われるブランデンブルクの第6番(笑)。そしてヴァイオリン協奏曲第2番に、中野振一郎さんを迎えてチェンバロ協奏曲第4番。更には、弦楽合奏版のシャコンヌ。非常にバラエティとボリュームに富み、お客様には嬉しいプログラムであると同時に、勉強し甲斐のある素敵なプログラムです。中野振一郎さんの存在は、チェンバロ協奏曲に限らず、とても心強いです。

ブランデンブルクの6番にはヴァイオリンは出て来ません。井野さん、これは豊嶋さんにヴィオラを弾いて欲しいという事でしょうか。

井野公実:豊嶋先生はヴァイオリンだけでなくヴィオラも素晴らしい。6番で一緒にヴィオラを弾かせて頂けるならこれほど幸せなことは無いと思い、リクエストしました(笑)。

高柳安佐子:今回、豊嶋先生からしっかりバッハを学びたいと思い、井野さんと相談してこのプログラムを考えました。豊嶋先生とメンバーで、シャコンヌが演奏出来るのは、特別な事です。

豊嶋さんは2019年にバッハの無伴奏全6曲を録音されています。今回のような弦楽合奏版は同じシャコンヌでも違うものですか。

豊嶋:バッハはどの曲も素晴らしいのですが、特にシャコンヌは音楽として完成されていて、特別感はあります。もちろん一人で弾くのと、グループとして弾くのでは当然違います。色んな楽器編成で演奏できるように様々な編曲版が出ていて、オーケストラの皆さんも弾く機会が多いでしょうから、この機会にしっかりと勉強出来たらいいですね。

「MEG」読者の皆さんにメッセージをお願いします。

豊嶋:音楽の仕事は経験が財産です。私は大変恵まれて来ましたが、若く有能な人にも、数多く経験の場を作ってあげたいと思っています。アンサンブル力はコミュニケーション力であり、人間力です。一人に一台スマホ時代に加え、コロナの影響でコミュニケーションの在り方が問われる時代ですが、厳しいリハーサルを経て、本番の演奏で感動し、仲間と終演後に語らう時間はいつの時代も格別なひと時。まだ、難しいのかもしれませんが、そんな平時に早く戻って欲しいですね。DCSEの演奏で素敵な寛ぎのひと時をお過ごしください。

◎Interview&Text/磯島浩彰


8/31 WEDNESDAY
Durare Chamber String Ensemble 2022
シリーズ3 バロックの世界

チケット発売中
■会場/電気文化会館 ザ・コンサートホール
■開演/18:45
■料金(税込)/全席自由 一般¥3,500 高校生以下¥2,000
*9/30シリーズ4「拘りのピアノ5重奏」、10/20シリーズ5「二つの四季」
との3公演セット券あり 一般¥9,000 高校生以下¥5,000




地域を舞台にした群像劇で、線引きのバカバカしさをあぶり出す。

2017年に宮崎で制作・上演された「板子乗降臨」を四日市バージョンにリクリエーションする「でたらめな神話」。8月の上演に向け、原作者で劇団MONO主宰の土田英生が四日市に滞在し、東海や関西の俳優たちと作品づくりに取り組んでいます。

四日市での公演は2年ぶりですね。劇団MONOの本公演として「その鉄塔に男たちはいるという」が四日市市文化会館で上演されたのが2020年3月1日、新型コロナウイルスの感染拡大が本格化し始めた頃でした。

四日市でもキャンセルがずいぶんあって、客席はガラガラでした。でも、来てくれた人たちがその分、余計に拍手してくれて。僕、カーテンコールで感極まって喋れなくなったんです。30年やってきて初めての経験でした。エンターテインメントをやってるわけですから、どんなに出来が悪い時も、お客さんが入らなくても、カーテンコールだけは笑顔で頭を下げるのが信条だったのですが。あの時は、観客一人ひとりに支えられて活動しているという、当たり前のことを非常に強く思いましたね。

今回の「でたらめな神話」は三重を舞台にした群像喜劇。この作品で描こうとするのはどんなことですか?

僕がもともと興味を持っているのは、人と人の間には線があるということです。誰もが自分の中にたくさん線を持っていて、そのことに感情的に従っているだけでは対立はなくならないと思うんですね。人が知性と理性でその線を消し去る努力をしなければ平和は訪れない、というのが基本的な考え方で、劇作ではずっと同じことを書いてきた気がします。賛成派と反対派とか、外からやって来た人とその土地の人とか。今回は、ひとりの男が四日市近郊のある町に移住してきたのをきっかけに、地元の人間関係に変化が起こって…という話で、線引きのバカバカしさみたいなものをあぶり出したいと思っています。四日市近郊を舞台にしたストレートプレイって、そんなにたくさんありませんよね。この作品が、普段は意識することない地元に対する自分の視点みたいなものに気づくきっかけになるんじゃないかとも思います。

四日市市から車で30分ほどの場所にある「樅ノ町」という架空の町で展開されるドラマ。シナリオハンティングなどはなさいましたか?

もともとは宮崎が舞台でしたから、自分なりにいろいろ調べて三重に当てはまるものを見つけていったという感じです。イメージしているのは菰野町みたいな場所。シナリオハンティングというほどではありませんが、以前、打ち合わせで四日市に来た時に菰野町に連れていっていただいて、ハマるなと思いながら町の様子を見ていました。樅ノ町は、無農薬野菜を売りにしている町という設定で、自然豊かなイメージなので。

7月初旬から四日市に滞在し、作品づくりに取り組んでいらっしゃいます。こうしたアーティスト・イン・レジデンス事業が各地の劇場で増えていますね。

僕たち作り手にとっては、地方で落ち着いて作品をつくるという経験はとても幸せなことです。一番、理想的なのは、各地域の劇場が劇団を持つことだと思います。アメリカではリージョナルシアターといって、地域の劇場が自主制作に取り組んでいます。面白い作品はアメリカ中を回り、ブロードウェイに行って大ヒットすることもある。「あの人気作は、あの劇場から生まれた」というようなことが起こるんです。今回は四日市公演だけですが、「四日市で制作した作品」として全国を回れると、もっといいなと思います。

四日市市文化会館も、2015年に演劇プロジェクト「Yonbun Drama Collection(よんドラ)」をスタートさせ、さまざまな劇団とタッグを組んで作品づくりやワークショップなどをおこなっています。

東京の演劇人たちも四日市のことは知っていますよ。いろんな劇団が呼ばれるようになると、若い劇団が「四日市に行きたい」と思うようになるんです。憧れの先輩がやってる劇場だったら、自分たちも出てみたいじゃないですか。そういうことで演劇界での認知度が高まってくると、地域の演劇ファンからもさらに注目されるようになると思います。

◎Interview&TEXT/稲葉敦子


8/6 SATURDAY,8/7 SUNDAY
Yonbun-Mihama演劇コレクション 三浜文化会館演劇制作公演
「でたらめな神話」(原題:板子乗降臨)

チケット発売中
■会場/四日市市文化会館 第2ホール
■開演/14:00
■料金(税込)/全席指定 一般 ¥2,750 U22席 ¥1,100
■お問合せ/四日市市文化会館 TEL.059-354-4501
※未就学児入場不可
※U22席は当日引き換えとなります。座席の指定はできません。
※車いす席、おもいやり席(階段の昇降が困難なお客様に設定した席)は、文化会館窓口のみで取り扱い。席数に限りがあります。




30分の物語が3回繰り返される演劇作品「再生」は、観る者に何かが起こる⁉︎

同じ物語を3回繰り返す特異な構造の演劇「再生」。東京デスロックのメンバーを中心にした5年ぶりの再演に加え、北九州、三重、長久手で各地域バージョンを新たにつくり同時上演する画期的な試みがスタートしました。三重公演は、7月23日(土)、24日(日)。本番を間近に控え現地でクリエーション真っ只中の多田淳之介に、作品について訊ねました。


舞台は、民家の一室でおこなわれている飲み会。その都度かかる音楽に合わせて、次第にボルテージが上がっていって…という30分ほどのドラマが3回繰り返されます。このユニークな構造の作品で目指したのは、どんなことですか?

東京デスロックという劇団名には「死」と「鍵」という意味が込められています。「人は絶対に死ぬのに、なぜ頑張って生きたり幸せになろうとするんだろう?」ということを考えたくて、初期には死にまつわる戯曲を書いていました。「再生」を初演した2006年頃は、集団自殺が社会問題になっていた時期です。自殺を肯定するわけではありませんが、どんな死だったら自分は納得できるかと考えたら、できるだけ幸せな状態で死ねたらいいんじゃないかと。例えば、お酒を飲んでみんなで盛り上がって、ちょっと多幸感がある中で…とか。と同時に、演劇として新しい手法で何かできないかと考えていて、まったく同じことを繰り返したらどうだろうと思いつきました。人が死ぬ話を繰り返すことで、生き返るように見える。そんな構造にすることで、生と死を描けるんじゃないかと思ってつくった作品です。

俳優さんたちは、3回ともセリフはもちろん動きも一挙手一投足まったく同じことを繰り返すのですか?

基本的にはそういうミッションを背負っています。映像に録ったものを見比べてみると、かなり正確に繰り返していますよ。でも運動量が多いので、俳優たちの体がどんどん変わっていくんです。汗もかくし、完全に同じようには繰り返せないことも回を重ねるごとに増えていきます。でも、それは生身の体だからこそだということが見えてくる。人が死ぬ話なのに、演じている人の体がどんどん躍動して輝いていくんです。一方、だんだんと疲れて汗だくになってくると、お客さんからはつらそうに見えますよね。「彼らは苦しくて逃げ出したいんじゃないか」と思ったりするかもしれない。でも、すごく楽しそうな瞬間があったりして。ネガティブとポジティブが同居するところに惹きつけられる何かがあるんだと思います。舞台上で、生きることと死ぬことが同時進行しているのかもしれません。繰り返すという手法が、生と死を描くこととうまくマッチしたと思っています。


「再生」2017©bozzo


2回ではなく、やはり3回必要ですか?

1回目は、よくわらからないんですよね。騒いでるだけだし。2回目になると、いろいろと事情がわかった上で検証しながら観ることができます。そして3回目には、観る人が能動的に何かを見つけ出すんです。「この人、疲れ始めてる」とか「あれ?さっきと違って見える」とか。それは、お客さん自身も俳優たちと共有してきた時間の蓄積があるからだと思います。普通、演劇で同じシーンを何回も観ることはありませんよね、巻き戻せませんから。だから、けっこう見逃してる部分もあるんです。演劇は自分でフォーカスを選んで観るものですから、かなり個人的な体験。この作品では同じ話を3回観る中で、それぞれ視点を変えることもできます。今回のツアーのスタートとなった北九州バージョンでは、「3回観ると全員のことが把握できる」と言ってくれた人もいました。

三重バージョンのキャストは全員女性ですね。

オーディションで面白そうな方を選んだら、まさかの女性ばかり…という感じで。三重在住の人、三重出身で今は東京で活躍する人、愛知や関西を拠点にする人など、なかなか面白い8人のメンバーが揃いました。昨日から三重県文化会館で稽古が始まったのですが、ちょっとびっくりしてます(笑)。男性がいないと、こんなにも印象が違うのかと。女性しかいないと、女性の特性が強調されて見えてくるようなところがあって、今回それをどう利用するかで、劇団バージョンとかなり違った作品になるんじゃないかと思っています。


この作品では、音楽も重要な役割を担っていると思います。選曲はどのように?

音楽的に優れた楽曲でありながら、出演者の人生に流れていたものを選んでいます。世代を代表するような曲があるとお客さんの想像のフックにもなるだろうし、知名度と時代性を気にしつつ、ヒットメドレーになり過ぎないようにしています。今回は出演者にアンケートを取って「子どもの頃に聴いていた曲」「青春の曲」「今の自分を盛り上げる曲」などを挙げてもらい、選曲の参考にしています。三重バージョンの稽古では、「おジャ魔女」は誰世代で「セーラームーン」はいつ頃で、みたいな話も出ていましたね。「再生」は台詞が少ない作品なので、かける曲の歌詞が戯曲みたいなところもあるんです。登場人物のことを歌っているように感じたり、歌詞の聴こえ方が変わるのも面白いと思います。

劇団バージョンは5年ぶりの上演です。

5年前はデスロックのメンバーだけでしたが、今回は60代の岡田智代さんが入ってくださったので、かなり年齢の幅が出ました。自分たちが生まれる前のことも考えますし、ドラマが動くと思います。できれば三重バージョンとセットで観ていただきたいですね。どちらかを観ると、別バージョンも気になるんじゃないかと思うので。2日に分けてゆっくり観るのもいいけれど、1日で2バージョンまとめて観ると、結構すごい体験になると思います。

◎Interview&Text/稲葉敦子


7/23 SATURDAY , 7/24 SUNDAY
北九州芸術劇場×三重県文化会館×長久手市文化の家
東京デスロック「再生」 劇団+三重バージョン

チケット発売中
■会場/三重県文化会館 小ホール
■■ 開演/各日 三重Ver.13:00/劇団Ver.17:00
※7/23三重Ver.は前売完売/当日券あり
■料金(税込)/全席自由・整理番号付
〔三重ver.〕一般 ¥1,000 22歳以下 ¥500
〔劇団ver.〕一般 ¥3,000 22歳以下 ¥1,500
〔セット券〕一般 ¥3,500 22歳以下 ¥1,800

■お問合せ/三重県文化会館 TEL.059-233-1122
※未就学児入場不可
※22歳以下要身分証提示




最新アルバム「リリコ・カンタービレ」も話題に!7/9(土)のリサイタルを目前に緊急インタビュー。

国内外のコンクールで数々の受賞に輝き、近年活躍めざましい期待の若手。Instagramのフォロワー数2万人、YouTubeのチャンネル登録者数が3.33万人とSNSでも絶大な人気を集めるヴァイオリニストが、昨年8月に続き、7月の名古屋・電気文化会館(ザ・コンサートホール)に再登場。

最新アルバムの『リリコ・カンタービレ』が好調ですね…音楽専門誌でも高く評価されていましたし。特に楽曲の内面に深く迫った〈ショーソン:詩曲〉が素晴らしかったです。

ありがとうございます。〈詩曲〉はずっとレコーディングしたかった曲なんです! 今回のアルバムでは特に繊細で美しい“弱音”の魅力にこだわり、すべての演奏に愛を込めて、タイトルの“カンタービレ(歌うように)”さながらに“歌心”を皆さんにお伝えしたかったのですが、うまく表現できていたでしょうか?

はい、バッチリでした! さて、7月9日名古屋でのリサイタルは、CDのような小品名曲集とはまたがらりと違う内容です。昨年の8月に同ホールでフランクのヴァイオリン・ソナタやベートーヴェンの第2番ソナタなどを演奏されたのも記憶に新しいですが、今回もピアニストと一緒に作り上げる、聴き応えのある大曲が揃っていますね。

テーマは“激アツ”な名曲たち(笑)。ピアニストの五十嵐薫子さんの存在が大きい…彼女がいたからこそ挑戦できたプログラムです。去年初めて共演してまだ1年もたってないのに、お互いに言葉ではなく音だけで会話ができる仲。最高のパートナーなのです。


お二人での6月18日東京文化会館のリサイタルも大成功でした。

ありがたいことに満席で、とても嬉しかったです。7月のリサイタルも沢山の方が聴きに来ていただけますように…五十嵐さんは名古屋で演奏するのは初めてらしいので、一緒に盛り上げたい!

東京文化会館ともまたひと味違うプログラムになっていますね。オープニングがモーツアルト:ヴァイオリン・ソナタ 第22番 イ長調K.305 というのも鮮烈な幕開けです。

モーツァルトのソナタの中で特に一番人気という作品ではありませんが、とにかく華やか。弾むような明るい雰囲気で五十嵐さんの名古屋デビューにもぴったりで、皆さんに「これが私たちの音です」って示すような曲。きっと気に入っていただけると信じています。

映画音楽の巨匠ジョン・ウィリアムズの〈悪魔のダンス〉(映画《イーストウィックの魔女たち》より)は近年、ヴァイオリンの女王アンネ=ゾフィー・ムターも、ウィリアムズ本人の指揮でウイーン・フィルと共演した時に演奏して話題を集めましたが、髙木さんはそれ以前からとりあげていましたね。

はい。2016年あたりからリサイタルでよく演奏していますが、今では最初の頃よりもかなりダークに“悪魔的”に弾けるようになったかと思います。今回、モーツァルトの第22番ソナタがピュアでポジティヴな印象を与える曲なので、それとは対照的な作品として楽しんでいただけたらと思います。

ヴィエニャフスキー:華麗なるポロネーズ 第2番 イ長調作品21 にも期待しています!

ありがとうございます。1番の方が有名で、2番を弾くのは名古屋では初めてになります。母(※読売日本交響楽団のヴァイオリニスト、井上雅美)が好きな曲でよく演奏していたので、いつか私も…と思っていたのですがなかなかチャンスに恵まれなくて、今回やっと実現します。2番は音も高いところから始まるので気持ちが“上がる”し、自由に遊べる。技巧的な部分も多い難曲ですが、ぜひ名古屋で成功させて自信に繋げて、自分の定番レパートリーに加えてたいのです。

ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第9番 イ短調 作品47「クロイツェル」もヴァイオリニストにとっては試金石となる重要な曲です。

3月のリサイタルでも五十嵐さんと一緒に挑戦したばかり。前回に比べると少し余裕も出てくるはずなので、私らしい“遊び心”も盛り込みたいですね。もちろん天才ベートーヴェンの素晴らしさもしっかりと表現したい。

1702年生まれの名器ストラディヴァリウスとの関係は深まりましたか?

コロナ禍でおうち時間が増え、じっくりと向き合うことができたので、かなり仲良くなれたと思います。最初の頃は全然言うことを聞いてくれなかったのが、3年目にしてやっと「こう思うんだけどどう?」って語りかけたらちゃんと応えてくれるようになった気がします。更に関係を深めて、楽器の持つ個性も発揮できるように頑張ります!

凜々子&薫子のお二人で名古屋にも旋風を巻き起こしそうですね。

盛り沢山なプログラムなので、それぞれの作曲家の“顔”がよく見えるステージにすると共に、私たちのフレッシュな魅力もお伝えしたい。地元名古屋の人に加えて、各地から足を運んで下さいますように。

InstagramやYouTubeも楽しみにしています。パソコンでヴァイオリンの曲を検索すると、いつも髙木さんの演奏がお薦めの上位に来るの、本当に凄いと思います。

友達には「まるでヴァイオリンの図鑑みたいだね」って言われています(笑)。以前にも申しましたが、私がSNSに力を注ぐのも、やはり興味を持ってくれた方に生の演奏を聴きに来て欲しいから。会場で皆さんをお待ちしています!

◎Interview&Text/東端哲也


7/9 SATURDAY
髙木凜々子 ヴァイオリン・リサイタル
〜華麗なるクロイツェル〜

チケット発売中
■会場/電気文化会館 ザ・コンサートホール
■開演/14:00
■料金(税込)/全席指定 ¥4,000 サイン入りCD付き ¥7,000
*CDは会場でお渡しします
■お問合せ/クラシック名古屋 TEL.052-678-5310
※未就学児入場不可

<学生ハピネスシート>
★4,000円のところ2,000円でご鑑賞いただけます。
★お一人様1枚まで。
★社会人学生を除く公演日当日に25歳以下の学生が対象です。
★公演当日、学生証を入場時にご提示ください。尚、証明書をご提示いただけない場合、
一般料金との差額を頂戴いたします。
★学生ハピネスシートは、アイ・チケットWebのみ取扱い。お電話ではご予約いただけません。




笑いを狙わず、畳み掛けるような展開で笑いを生む。イギリスコメディの真骨頂を体感できる舞台。

清水順二×松本慈子×吉原雅斗 スペシャルインタビュー
 

清水順二が世界で愛される翻訳劇に取り組むユニット「SHY BOYプロデュース」による名作コメディプロジェクト第4弾は、「キャッシュ・オン・デリバリー」。イギリスの喜劇・笑劇作家、マイケル・クーニーの代表作に、注目の若手俳優たちが挑みます。

笑いを狙わず、畳み掛けるような展開で笑いを生む。
イギリスコメディの真骨頂を体感できる舞台。


清水順二(30-DELUX)

清水さんが翻訳劇に特化した演劇プロジェクトを立ち上げたのは、どんな理由からですか?

清水:日本の演劇は、役者のキャラクターに本や演出を寄せていくように作られることも多いのですが、翻訳劇では役者が役に寄っていくしかありません。セリフ量も多いですし、役者としての技量がすごく上がるんです。自分自身も90年代から翻訳劇に多く出演したりイギリスで演劇の勉強をしたりする中で、それを経験しました。だから、若い役者たちに翻訳劇を通してステップアップしてもらいたい。そんな思いから始めました。今回、松本さんと吉原さんが、このカンパニーで翻訳劇しかもイギリスの最高峰のコメディを体感するのは、きっと大きな経験になるんじゃないかと思っています。

松本:海外のコメディ作品に出演するのは初めてです。自分がどうやって観客の皆さんを笑顔にできるんだろうというワクワク感がすごくあります。

吉原:SHY BOYプロデュースで2018年に上演されたときの映像を拝見すると、笑いの文化が異なる海外作品を日本人が笑えるように昇華させた、とても観やすい舞台でした。僕も、その一員になれるように頑張りたいです。

原語の戯曲を日本人に響く言葉に置き換えることで生まれる面白さもありますね。

清水:ですから翻訳者の存在が大切だと思います。僕にとっては小田島恒志先生との出会いがとても大きいです。例えば同じ戯曲でも、小田島版の翻訳は日本人がわかりやすく笑えるようになっています。2019年に上演した「ザ・フォーリナー」では、僕が演じる人物のセリフに「ハエは怖いです」というものがありました。でも英語版では「bee」と書かれているんです。小田島先生は「蜂だと面白くないからハエにしたんだよ」とおっしゃって。確かに、すごい強面の悪いヤツが最終的にハエを怖がるから面白い。お客さんも笑っていましたよ。「キャッシュ・オン・デリバリー」にも、小田島先生のウィットに富んだ表現が随所に散りばめられています。


松本慈子(SKE48)

「キャッシュ・オン・デリバリー」は、ある事情を抱えた男が嘘に嘘を重ねて大騒動を引き起こすノンストップ・コメディ。皆さんが演じる役について教えてください。

松本:私は、主人公エリックの妻リンダを演じます。リンダは、エリックが社会保障手当を不正受給していたことや、それをやめるためにさらに嘘を重ねて事態をこじらせていることを知らぬまま、彼や周囲の人と関わります。泣いたり怒ったり感情の振り幅が大きく私とは正反対の女性なので、新しい自分になれると思って楽しみにしています。

吉原:僕が演じる葬儀屋のミスター・フォーブライトは、ドタバタ劇の中で重要な役割を担っています。愚直に自分の仕事をしている様子が異質に見えるところに面白さがあると思うので、ちゃんと異質になれるように務めたいです。

清水:僕が演じるのは社会保障省の調査員。彼がエリックを訪ねたことから、一連の騒動が始まります。堅く厳しく、妥協は一切許さないような人物像を作りたいと思っています。そういう人が騒動に巻き込まれて振り回されるのが面白いわけですから。これは、イギリスのコメディの中でもファルス(笑劇)といわれるジャンルの作品。畳み掛けるように物語が展開されていきます。そこで笑いを狙いにいっちゃダメなんですよ。

質の高い翻訳劇を若いキャストによって上演することは、シーンの活性化にもつながりそうです。

清水:昔は、名古屋の演劇がもう少し盛り上がっていた時期があったんですよね。翻訳劇も今は本当に数が少なくなってしまって。アクションエンターテインメントやミュージカルもの、2.5次元も制作されていないと思います。演劇はコミュニケーションの基礎にもなります。欧米やアジアの先進国では小学校で演劇の授業がありますが日本にはない。だから大人になっても人見知りの方が多くなる傾向があると思うんですね。僕は昨年から、生まれ育った名古屋で制作を始めましたが、いずれは教育にも携われたらいいなと思っているんです。地域にもっと演劇エンターテインメントを根付かせたいという気持ちがあります。俳優の仕事が少ないですからね。名古屋だとBOYS AND MENやSKE48の皆さんがめちゃくちゃ頑張ってくれていますが、アイドルを卒業して俳優をやりたいと思ったら東京に行くしかない、みたいな現象が起こるんですよ。名古屋で商業演劇や映画、ドラマがもっとたくさん制作されていたら、アイドル卒業後に「演劇で食べてます」「映画の俳優になりました」という人が増えると思うんです。吉原さんや松本さんみたいにアイドル活動をしながら俳優としても名古屋ですごい実績を作れるように、僕が仕掛けられたらいいなと。ついでに、清水っていうプロデューサーもなんか出演してる。「出たがりだね」みたいな(笑)。


吉原雅斗(BOYS AND MEN)

松本:清水さんのお話を聞いて、まずはSKE48の拠点である名古屋、愛知を私たちももっと盛り上げたいなとすごく思いました。やっぱり愛知県の人たちは一番の味方ですし、ここからもっと羽ばたけたらいいですね。

吉原:僕らのグループも、名古屋にエンタメを根付かせたい、夢を見られる環境を作りたいという思いで活動しています。だから、志は清水さんと同じです。お笑いやるなら大阪、演劇や歌手、モデルをめざすなら東京という中で、第三の都市と呼ばれる名古屋にそういうものがないのは、やっぱり悲しいですよね。清水さんがおっしゃるような状況が本当に実現したら嬉しいし、僕らの後輩たちも、もっと夢を見てもらえたらなと思います。

◎Interview&Text/稲葉敦子


5/20 FRYDAY〜22 SUNDAY
キャッシュ・オン・デリバリー

チケット発売中
■会場/ウインクあいち 大ホール
■開演/5月20日(金)18:30 21日(土)12:30、17:30 22日(日)13:00
■料金/全席指定(税込) 前売¥8,900 当日¥9,200
■お問合せ/中京テレビ事業 TEL.052-588-4477(平日11:00〜17:00)
※未就学児入場不可




次世代を担う女方が名古屋能楽堂に初お目見え!

歌舞伎界の次世代を担う女方、中村児太郎が名古屋能楽堂に初登場。
立役の中村隼人さんとともに「いぶき、特別公演」を開催する。
同じ歳の隼人さんと切磋琢磨しながらチャレンジするこの公演では
それぞれが踊る『雨の五郎』『藤娘』に加え、二人で共演する『二人椀久』と、
舞踊3題を披露。能楽堂にふさわしく、夢、幻の世界を出現させる。
児太郎が全国公演にかける想いや、鑑賞のコツなどを語ってくれた。

能楽堂での公演経験は?

能楽堂では昨年10月と今年3月の公演、2回だけです。凄く緊張しましたよ。能楽堂は客席がL字型になっていて、正面・中正面・脇正面の3つがあり、表現の仕方が難しい。歌舞伎は通常、正面にしかお客様がいないので、真横にお客様がいるのはものすごく神経を遣いました。振付が変わるというより、どこに向かってどう表現するかが問題なので、やってみないとわからないこともあります。名古屋能楽堂は初めて立ちますが、稽古場にお邪魔したことはあって、能楽堂そのものなのか歴史的な土地のせいなのかはわかりませんが、強いエネルギーを感じた思い出があります。

演目はどのように選びましたか。

お互いに一人で踊るものは、今の年齢でやっておいたほうが良い演目を選びました。
『雨の五郎』について言えば、立役の一人踊りの中では基礎中の基礎でありながら、いちばん難しいとも言える。だから、この時期の隼人さんがやっておいたほうが良いという話でした。私が踊らせていただく『藤娘』は一人でも二人でも6、7回は踊ってきました。その上で現状の自分がどう勤められるのか、チャレンジの意味で選ばせていただきました。『二人椀久』は二人で踊れるものの中から、ゆくゆくを考えて決めた演目です。


©️宣伝写真:LESLIE KEE(SIGNO)

何度も向き合ってきた『藤娘』を今どう捉えていますか。

『藤娘』は祖父・芝翫から直接習った数少ない演目の一つなんですよ。12~3歳の頃で、言われたとおりやるしかなく、固くていかにも男の子が踊っている感じでした。それから7年後くらいに一人で踊る機会をいただいて、よくわからないという心境からちょっとわかったような感覚を得たと記憶しています。その後、玉三郎さんとご一緒させていただいり、梅枝さんとご一緒したり……。何度も舞台を重ねる中、玉三郎さんには「一つひとつの踊りの意味を大事にしなさい」と教えていただきました。そして祖父からの「幼稚園、小学校、中学校、高校というレベルにつれ、上がっていくんだよ」という教えも少しはわかったのかなと。ただ、今のレベルがどこなのか問われたら、わかりません。最初に踊った時と今とでは感性が違うので、見えてきたことがいっぱいある半面、考えることも多い。振付、意味、感情を踏まえ、風情やシルエットで舞踊として表現する……。極論ですね。

舞踊の楽しみ方を教えてください。

舞踊はセリフがない分、唄の歌詞や踊りの意味に意識がいきますが、最初はわからなくてもいいと思うんです。たとえばタップダンスやジャズダンスを初めて観た時、何を踊っているのかわからなくても心奪われる瞬間はありますよね。日本舞踊も、踊っている様子をただ観てもらえばいいんです。難しいことは後回しにして、目の前の幻想的な世界に何か感じていただくのが大事じゃないかと。初めての方は単純に「素敵だな」と思ってもらえたらいいですし、そう思っていただけるよう心で伝えることが重要だと考えています。

レスリー・キーさんがスチール撮影で参加されていますね。

©️宣伝写真:LESLIE KEE(SIGNO)

今回の企画・制作に関わる方々のご尽力で世界的写真家のレスリーさんとお引き合わせいただいたんですが、撮影風景が非常に面白くて。彼は頭の中にあるイメージに被写体をはめていくんですけど、いい時は「Good! Okay,okay! Stay,stay,stay!」とか、良くない時は「こっち向いて」とか、とにかく仕事が早い。レスリーのスタッフには中国語や英語、私たちには日本語で話しかける状況も面白かったです。あと、彼は私たちの伝統芸能にすごく興味を持ってくれていたんですよ。扮装した女方を撮るのは初めてだったそうですが、衣装や鬘が示す意味やその背景を知って、そうとは見せないで置いていることが洒落ている、歌舞伎の文化はレベルが高いと言っていました。本当に柔和でセンスがある人。俳優人生に影響するほど刺激を受けましたね。

コロナ禍での活動にはご心労も多いかと……。

まだまだ胸を張って「お越しください」と言える時期ではなく、ましてや歌舞伎は必ずしも生活に必要なものではありません。ただ、自ら諦めたら本当に歌舞伎がなくなってしまうので、熱い想い、魂を持って取り組むことが大切になります。今回は二人の責任公演なので、千穐楽まで感染者を出さないという緊張感の中、対策を徹底して無事に千穐楽を迎える。並行して、高いレベルの舞台を目指し、お客様に来て良かったと思っていただけるよう努めるだけです。それが「また来たい」につながる第一歩となることも願っています。


6/18 SATURDAY
中村児太郎 中村隼人
「いぶき、特別公演」


チケット発売中
■会場/名古屋能楽堂
■開演/12:00/15:00
■料金(税込)/全席指定 ¥7,500円
■お問合せ/CBCテレビ事業部 TEL052-241-8118 Zen-A(ゼンエイ) TEL03-3538-2300
■協力/松竹株式会社




あの拍手喝采から2年。菊之助が御園座にお目見え!

御園座の恒例、陽春花形歌舞伎が4月15日(金)から開幕。
座頭をつとめるのはテレビドラマでも存在感を放つ尾上菊之助だ。
菊之助は、地唄の名曲「雪」にのって女性の過去の恋を回想したかと思えば
「身替座禅」では浮気の後の男心を、ほろ酔いのまま舞い踊る……!!
いつの時代も変わらぬ男と女の情を、舞踊・舞踊劇で表現するプログラム。
間には解説「歌舞伎のみかた」も入るので、初心者にも親しみやすい。
コロナ禍において、歌舞伎を、エンタテインメントを
深く考え続けた菊之助が、名古屋・御園座興行への想いを語る――


コロナ禍のご苦労は続いていますか。

エンタテインメントの持つ力について、あらためて考える時間をいただいた想いです。歌舞伎が生活に必要かどうかは疑問ですが、心の栄養、心の必需品ではあるのかなと。お客様が不自由な生活の中で、ほんの数時間でも日常を忘れ、何かを持って帰っていただけたらうれしいですね。

公演の前半は舞踊2題です。見どころをお聞かせください。

「相生獅子」には、若い女形の華やかさがあります。恋の悩みを表す場面から手踊りになり、石橋物らしく毛振りで終わる。女性の獅子の狂いなので、光り輝くようなんです。一方「雪」はお座敷舞いから発展した地唄舞いで、人間国宝である富山清琴先生の歌に合わせて私が踊ります。「相生獅子」に対して「雪」は影を楽しんでいただく感覚。「相生獅子」が現在の恋であるのに対し、「雪」は過去の恋を振り返っているのも面白いですよね。

「雪」の稽古はいかがでしたか。

今回は尾上菊之丞さんに振付していただき、菊之丞さんのお祖父様と菊之丞さんの振付が反映された形です。地唄舞いというのは一瞬たりとも止まることがないんですよ。静止しているようでも、どこかがジワーッと動いている。それが地唄舞いの見どころでもあるんです。そして富山清琴先生が語っていても、自分の身体があたかも先生の言葉を発しているように動き続けるというのか……。動きが非常に抑制された「雪」の中で、過去の恋人を思う女性の心情をどれだけ表せるのか、挑戦ですね。

舞踊の楽しみ方のコツは?

「身替座禅」はポピュラーになりましたね。私は、身分の高い女性と結婚したゆえに窮屈さを感じ、遊女のもとへ出掛けてしまう山蔭右京をつとめます。身の丈に合わない結婚や、その心情は、海外でも通じるほど普遍的な問題。逆に言えば、夫は妻を、妻は夫を大切にしたいという想いが込められているのかもしれませんし、考えさせられることは多いです。ご夫婦でご覧になったら、どんな反応になるんだろう? もっと仲睦まじくなって帰っていただけたらいいですね。


座組の方々の魅力を教えてください。

彦三郎さんは幼なじみと言っていいほど、ずっと一緒に舞台をやってきて気心も知れています。前回「身替座禅」の右京をつとめた時、彦三郎さんは太郎冠者だったんですけど、今回は奥方の玉の井をやっていただきます。また新しく二人でこの演目を続けていきたいという想いの第一歩ですね。続いて梅枝さんですが、父(菊五郎)が時蔵さんと共演することが多いように、私は梅枝さん(時蔵の長男)と共演することが多いんですよ。今回ご一緒の演目はありませんが、彼が作り上げる女形の心理描写や技は素晴らしく、信頼できる仲間です。また、萬太郎さん(時蔵の次男)も同じく気心の知れた存在。口跡が良くて話も上手なので、彼の解説によって歌舞伎の垣根が乗り越えやすくなるのではないかと。それで今回もお願いしました。莟玉(かんぎょく)さんは若手の中でもきれいで、女形の支度をすると本当に光り輝いている。今回ご一緒するのが楽しみですよ。

ところで、朝ドラ「カムカムエヴリバディ」の反響はいかがですか。

番組HPや私のインスタグラムでも非常に多くのコメント、励ましの言葉をいただきました。そういう作品に出られた、ご縁をいただいたということをありがたく思っているのが正直なところです。もちろんテレビからの興味でお越しいただくのは大歓迎。歌舞伎や舞台は、知っている人を生で観るのがいちばんの動機ですから。テレビで知って、観に来ていただけたらとてもうれしいです。


2021年6月の博多座公演・松竹提供

御園座が休館から再開したばかりの2020年10月、菊之助さんが出演なさった歌舞伎公演は拍手が鳴りやみませんでした。

御園座さんには若い頃から来させてもらい、挑戦的なお役も勉強させていただきました。東京と関西の中間にあたる名古屋は、昔から芸どころとしての基盤があり、御園座さんにも名古屋の方々にも歌舞伎を受け入れていただいた。その歴史が2年前の公演につながったんです。名古屋での歌舞伎は絶対なくなってほしくないと思っていた中、公演が再開できて、たくさんのお客様にたくさんの拍手をいただきました。歌舞伎役者が御園座さんと名古屋の方々に恩返しをしていく意味でも、その時の喜びを忘れず大事につとめていきたい。名古屋での歌舞伎を栄えさせたいと強く思っています。


4/15 FRIDAY~4/24 SUNDAY
陽春花形歌舞伎
一、上「相生獅子」
  下「雪」
二、解説「歌舞伎のみかた」
三、新古演劇十種の内「身替座禅」


チケット発売中
■会場/御園座
■開演/12:00/16:00 ※18日(月)16:00・24日(日)16:00は休演。
■料金(税込)/S席 ¥12,000 A席 ¥8,000 B席 ¥5,000円 C席 ¥2,000円 D席 ¥1,000円
※C席D席は売り切れ
■お問合せ/御園座 TEL052-308-8899(10時〜16時)