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ワン・アース・ツアー「道」が名古屋初開催。自分たちの型と表現。

新潟県佐渡を拠点に、国際的に活躍する太鼓芸能集団・鼓童。世界50ヶ国以上での公演、坂東玉三郎を芸術監督に迎えて取り組んだ新たなクリエイション、石川さゆり、初音ミクら多彩なアーティストとのコラボなど、さまざまな取り組みで独自の舞台表現を追求しています。そんな彼らが今、力を入れているのが鼓童の原点である古典的な演目を中心とした公演「道」。30年間、ソロ活動、また演出家、リーダーなどとしてチームをリードし続けてきた見留知弘に、鼓童の「型」と表現について聞きました。


今回は、鼓童の古典ともいえる演目を中心にした公演です。演奏する上で大事になさるのは、どんなことですか?

例えば「三宅」は、太鼓3台でシンプルに打ち込んでいく曲ですから、やっぱり地打ちのニュアンスを大事にします。地打ちというのはベースですね。一定のリズムを乱さずに打ち続けるという。その技術を改めて突き詰めるため、泥臭い稽古をずっと繰り返して土台を上げるようにしています。

泥臭い稽古とは?

本当にひたすら太鼓を打ち続けます。やっぱり太鼓って体力がないとできないものなんです。本番1回もてばいいというものではなく、それが何回もできる体力をつけなければならない。そのため、ひたすら繰り返す稽古をします。その際、筋トレはあまりやらないんです。体は太鼓で作っていく。一番効率がいいのは、実際に太鼓を叩く筋肉を鍛えることですから。いわゆる“見せ筋”を作るのではなく、体を絞っていくことで、もともとある筋肉が出てくるという感じです。だから我々は、細マッチョですね(笑)。

「屋台囃子」では、体を斜めにして腹筋を使って太鼓を叩く姿が印象的です。あの型はどのようにして生まれたのですか?

もともとは埼玉県秩父市の秩父夜祭で、山車の中で叩かれている太鼓なんです。鼓童の舞台は3つの要素で成り立っています。ひとつは、日本に元来ある伝統的な民俗芸能を地元の方々に教えていただいて舞台に上げること、そして、私たちの活動に共鳴してくださった作曲家の方々に書いていただくオリジナル曲の演奏、もうひとつが、自分たちで曲を作って独自の表現を生み出すこと。「屋台囃子」は、秩父の伝統的な祭の太鼓をベースにしています。もともと、座って演奏されているんですよ。

伝統的な民俗芸能を取り入れながら、鼓童の型を自分たちで作っていったのですね。

「三宅」という曲も、三宅島の芸能をもとにしています。大事にしているのはリスペクトですよね。ただ、そのままお祭りを舞台に上げるわけにはいきませんから、地元の方に教えていただいて、ちゃんと許可を得て舞台用にアレンジします。皆さんが大事にされている部分を私たちも大切にしながら、自分たちの表現として昇華させていくわけです。

自分たちの表現としてこだわるのは、どんなことでしょうか?

音ですね。一発一発、大事に打っていくというところに一番こだわります。先ほどお話しした地打ちのニュアンスを揃えるとか。太鼓も最終的には言葉なんです。「ドン」とか「カ」とか、太鼓の言葉がちゃんと音として鳴らないと伝わりません。だから、滑舌を大事にします。私たちの舞台は、何千人規模の大きなホールでも基本的にすべて生音です。だから、太鼓の音を一粒ずつ叩いて客席に届けるようにしています。太鼓は誰が叩いても音が出るものですが、いい音というのはやっぱり深みが違います。太鼓のど真ん中を打たないと、胴自体が鳴ってくれないんです。太鼓は裏の革と表の革で出来ていて、両方が振動することによって胴の中に響きが起こるんです。片面だけでは、太鼓本来の“胴鳴り”といういい音は出ません。



近年は、芸術監督を務められた坂東玉三郎さんと共に作られた舞台も大きな話題になりました。玉三郎さんから学んだことはありますか?

「守破離」という言葉を教えていただきました。私たちが大事にしてきたものを守るのはもちろん、それを壊して離れることも必要だと。最初は島根の神楽や秋田のなまはげなど郷土の芸能を入れつつ、最終的にはドラムやティンパニを用いるところまで振り切ったんです。そして、その後に「幽玄」という超古典的な演目で共演させていただいて。そうした、自分たちでは絶対できないような経験をさせていただいたのは宝です。また、技術的な面でも大きな学びがありました。例えば音のタッチの細かさ。太鼓の表現では、先ほどお話しした「ドン」とか「カ」が多いのですが、玉三郎さんは「ザゾン」というような表現をなさるんです。そのニュアンスをとにかく出そうと自分たちで一生懸命努力して。本当にいろんなタッチを勉強しましたし、それがあったから、従来の型とは異なる違う視線で演目や演奏を捉えられるようになりました。そして、その感性を持ったまま「道」のステージに立っています。

ツアー前半が終わり、いよいよ後半戦。9月には愛知県芸術劇場に登場されます。

「道」という公演を名古屋で開催するのは初めてです。久しぶりに名古屋のお客さまに見ていただけますし、皆さんの期待度も高いと思います。見どころは、創成期のベテランから若いメンバーまで三世代の出演者が登場するところ。古典的な演目も、打ち手が新しくなることで、新しいものとして見ていただけるのではないでしょうか。ツアー前半とはキャストが少し変わります。後半のメンバーも、前半で追求したことを受け継ぎながら稽古を深めていますから、さらに熟成されたものになると思います。最終的にはプレイヤーの個性が必ず出てきますから、公演を重ねるごとに変化していくはずです。太鼓には打ち手の生き様が表れると思うんです。何もまとわず褌一丁で演奏しますから、本当にその人が出てしまう。そこでは、真っ白になってただひたすら一生懸命打つしかない。一発にかけて打つという思いが、お客様の心を打つことにつながると思います。だから、やっぱり生で見ていただきたい。劇場で、全身を通して聴いていただきたいですね。


9/20 FRIDAY
鼓童ワン・アース・ツアー2019「道」
チケット発売中
■会場/愛知県芸術劇場 大ホール
■開演/18:30
■料金(税込)/[一般] S¥6,800 A¥5,500 [学生] S¥5,800 A¥4,500
■お問合せ/中京テレビ事業 TEL.052-588-4477(平日10:00〜17:00)
※未就学児入場不可



チェーホフの「ワーニャ伯父さん」は、今こそ観るべき作品。

気鋭演出家・鳴海康平の率いる劇団、第七劇場が設立20周年の節目にあたりチェーホフ四大戯曲のひとつ「ワーニャ伯父さん」を上演する。
ワーニャ伯父さんを取り囲むのは、セレブリャコーフ教授と若き後妻エレーナ、教授と前妻の娘ソーニャ、前妻の母ヴォイニーツカヤ夫人、医師アーストロフ。
立場や考えの異なる6人が、時に恋愛感情を露わにし、時に激高する……!
誰もが、当たり前のように幸せを求めるけれど、互いの価値観は噛み合わない。
19世紀末目前、1899年にモスクワで初演された「ワーニャ伯父さん」が21世紀に生きる私たちを、哀しくも鮮やかに映し出す――。


節目の公演に「ワーニャ伯父さん」を選んだ経緯を教えてください。

もともとチェーホフの作品は好きで、第七劇場では過去「かもめ」「三人姉妹」を制作しています。そこで四大戯曲のうち残る2作品「桜の園」「ワーニャ伯父さん」を改めて読んだら、「ワーニャ伯父さん」の印象が若い頃と違ったんですよね。終幕、ワーニャが泣くシーンがあって、以前は姪のソーニャに慰められたせいだと思っていたんです。それが40歳を数える年になって読み返してみると、ワーニャは「人生は無為、無意味なのかもしれない」と悟って泣いたんじゃないかと……。自分が人生で費やしてきた時間、さらには若いソーニャがこれから過ごす人生を想って泣いたとすると、ソーニャの慰めの言葉がいっそう哀しく響きます。ソーニャはロシア正教的な信仰によって日々支えられていて、そんな信心深い彼女には自分のようになってほしくないけれど、結局なるかもしれないとワーニャは思ったのではないか。そういう解釈の変化や自分の年齢、また劇団の20周年を考え合わせた時、「ワーニャ伯父さん」を制作しようということになったんです。

原作から構成をアレンジなさっているそうですね。

ソーニャが死んだ後の時間を創作して、台本に織り交ぜています。今回のメンバーと作品についてディスカッションしたら、セレブリャコーフ教授の領地を売却しようという提案は真っ当じゃないかという意見が多くて。ソーニャやヴォイニーツカヤ夫人は伝統や家族、血といったものに縛られ、また、ワーニャが反対した理由は、自分を守るためだと思うんですよね。彼は領地を長年守ってきたこと、自分の為してきたことが意味あるものだと思いたくて、激しく怒って反対したのではないかと。教授は悪者のように扱われがちですが、よく考えてみれば、土地を売って利益を得たほうが、教授の娘ソーニャも将来もっと楽に暮らせるはず。そうなると、いちばんの犠牲者はソーニャなんですよね。仮に、領地を一生懸命守ってきたソーニャが死んでしまったら、報われるべき人が報われることなく人生を終えたら、周囲の人たちはどんな反応をするのか。そこでソーニャの死後を想像、創作してみたんです。

稽古を拝見して、原作には感じない死の影が鮮やかでした。

日本でも、世界を見渡しても、人間は大きな出来事がないと変わりませんよね。しかも残念ながら、大きな出来事を繰り返すことで修正・変更はするけれど、人間そのものは大きく変わることはない。学ばず、繰り返すばかりです。人間の業とも言えますが、それを自覚すること、確認することで、何か未来につなげられるかもしれない。今回はソーニャの死ぬ前の時間と死んだ後の時間、その比較を明確に表したいと考えています。

「ワーニャ伯父さん」は上演機会の少ない作品という印象があります。それは、なぜだと思われますか。

絶望しているアラフィフ(50歳前後)のオッサンが、10代の若い娘に慰められる姿が、あまりかっこよくないからですかね。「ワーニャ伯父さん」は結末がどっちつかずで、前にも進めないし、後ろも振り返れない。しかもワーニャは自分を選んで、他人を犠牲にしてしまいます。それは共感を得にくいものの、人間らしい振る舞いだと見れば、面白いと思うんですけどね。

「ワーニャ伯父さん」を取材してみると、自分をちょっと大切にしたい気持ちになります。ワーニャと同世代の40~50代はもちろんですが、若い世代にも染みるのではないかと。

社会ではいろんな出来事が起き過ぎて、人間は対処できなくなり、何事にもおざなりになっています。オリンピックで盛り上がるのもいいですけど。日常から目をそらしてばかりいても仕方がないし、報われなければならないことが報われないと、社会は成り立たなくなってしまう。この先もっと何かを失ってしまう前に、少しでも多くの人が考え、行動しなければいけない時だと思います。チラシのコピーに引用した「かわいそうに、伯父さん、幸せがどんなものかわからなかったんだよね」という台詞、これが僕は辛いけど好きなんですよ。「ワーニャ伯父さん」は、その世界に自分を投影しながら、これからの人生について自問する機会を与えてくれます。ギリシャ悲劇と同じように、悲しみとともに人間の存在を見つめ直す好機なので、ぜひ観ていただきたいですね。

◎Interview&Text/小島祐未子


7/14 SUNDAY・7/15 MONDAY・HOLIDAY
第七劇場 設立20周年 ツアー2019
「ワーニャ伯父さん」

チケット発売中
■会場/三重県文化会館小ホール
■開演/7月14日(日)14:00/18:00、15日(月・祝)14:00
■料金(税込)/整理番号付自由席 前売一般¥2,500 当日一般¥3,000 前売25歳以下¥1,000 高校生以下¥500
■お問合せ/三重県文化会館チケットカウンター TEL059-233-1122



佐藤大樹主演の “逆2.5次元舞台”で演劇界に新風を吹き込んだ「錆色のアーマ」。待望の第二弾!

舞台を原作にメディアミックス展開していく“逆2.5次元プロジェクト”として話題になった「錆色のアーマ」。戦乱の世を舞台に、織田信長と雑賀衆(さいかしゅう)たちが繰り広げるドラマチックなストーリー、“アーマ”という武器を操る迫力のアクションやダンスシーンなど、見応えたっぷりの新エンターテインメントです。待望の続編を前に、主要キャストが思いを語ってくれました。

雑賀衆のメンバーを演じられる皆さんが再集結し、新作に取り組まれます。改めて作品の魅力とご自身の役柄についてお話しいただけますか。

佐藤:僕が演じる孫一(まごいち)は雑賀衆の頭領で、みんなから“お頭”と呼ばれています。前作では、演出の元吉庸泰さんから「カリスマをふたり作って欲しい」と言われました。「増田俊樹さんが演じる圧倒的な存在感を持つ信長に対して、孫一はどことなく放っておけないけど、ついて行きたくなるような存在でいて欲しい」と。だから、観てくれた人が「自分も雑賀衆に入りたいな」と思えるようなお頭を目指して、孫一というキャラクターを作っています。

神里: “逆2.5次元舞台”という取り組みは、やはり大きな魅力のひとつですよね。自分たちが演じたシーンが実際にコミカライズされたのを見て、すごく感動しました。僕が演じるアゲハは、体は男で心が女の子という人物。男である瞬間と女である瞬間の演じ分けが難しいなと思いながら演じています。新作では、なぜ女性の魂がアゲハに宿ったのかという理由が明かされるシーンがあり、見どころのひとつになると思います。

平田:僕が演じる黒氷(くろひょう)は、自分の体に銃を組み込んで半分機械仕掛けになった、奇人と呼ばれている人物です。また守銭奴でもあって、今回も何かというと「お金、お金」と言ってます。黒氷と章平君が演じる木偶(でく)は、おもしろ担当なんですよ(笑)。ふざけつつ締める役割というか。雑賀衆各々のキャラクターは新作でもはっきり出ているので、そこを見て欲しいですね。

章平:木偶は、雑賀衆の中で唯一の妻子持ち。外から流れてきたところをお頭である孫一に拾ってもらったんです。だから、お頭への愛は人一倍強い。そういう熱い部分と笑わせるところのメリハリをつけられたら、作品のスパイスになるんじゃないかなと思って稽古に取り組んでいます。とにかく、この作品の世界観が魅力的ですよね。キャラクターが持っているアーマもそれぞれ個性的で、小さい頃に見た特撮ヒーローもののようなカッコ良さがあると思います。だから僕自身、この世界観や登場人物たちに憧れを抱いています。

荒木:僕が演じるのは、雑賀衆のまとめ役を担う鶴首(つるくび)という人物。孫一についていくために全員をどうしたらまとめられるか、どう動いたらうまくいくのかということを常に考えている人だと捉えています。普段は、あまり意識しませんけどね。それぞれのシーンで大樹がやりたいことを、その意図を汲みながらカタチにしていけば、面白くなると思っています。

佐藤:今回は、雑賀衆一人ひとりのバックボーンを描いている部分が前作よりかなり多いし、新たなキャラクターも登場します。彼らと雑賀衆との繋がりも描かれているし、今、稽古していてもすごく面白いですよ。新キャストも、皆さん魅力的な芝居をされる方ばかりですし。


前作では、舞台がコミカライズされることを意識して演じられましたか?

佐藤:めちゃくちゃ意識しました。例えばアーマの持ち方や必殺技の使い方など、コミカライズしやすい要素にはこだわりました。また、目の仕草なども細かいところまで気を配って全員が取り組んでいたと思います。

神里:普段、僕が出演している2.5次元ミュージカルなどは原作があるので、例えば役づくりや演じる上で迷ったときも、漫画やアニメを見返せばそこに答えがあるんです。でもこの作品では、答えがないものを自分たちで作っていかなければならない。だから、いろいろな設定を雑賀衆のメンバーで考えたりして、たくさん話し合いました。

章平:それぞれのキャラクターのバックボーンやお互いの関係性とかね。そこを話し合って作り込むことに、一番時間をかけたんじゃないかな。

平田:本当にみんなで作り上げた作品だよね。それをコミカライズしていただいて…。

神里:自分が演じた役や場面が絵になっているのを見たときは、本当に感動しました。

荒木:それに責任感が強まったよね。自分たちが役を魅力的に見せないと作家さんが困るだろうとか、いろいろなことを感じました。


そうやって丁寧に作品づくりに取り組んだ経験は、俳優としてのご自身にどんな影響をもたらしましたか?また、今後のビジョンを教えてください。

佐藤: 0から1にするという作業を通して、自分で考える力がついたように感じています。また、歌や殺陣に取り組んだことで、表現の幅が広がったという実感がありますね。この経験を糧に、いつか世界で活躍できるパフォーマーになりたいです。

神里:確かに自分で考えることが多くなりました。それに、コミュニケーションの大切さを改めて実感した現場でもありました。この経験を糧にして僕も世界に…違うか(笑)。これからもいろんなジャンルのお芝居に挑戦して、成長したいです。

平田:僕はこの作品で、「黒氷は俺が作る!」みたいな意識が強くなりました。それが、すごく楽しくて。

章平:それ、わかる!作品の枠の中でいかに自由に表現するかという作業はすごく面白いし、役者として目指すべきことですよね。今後、自分が役者を続けていく上で、とても大きな経験になったと思います。

平田:自分で役を生んで育てていけるって、なかなか経験できることじゃないですよね。僕も、自分で枠を決めないで、これからもいろんなことにチャレンジしていきたいです。今回2年ぶりにみんなに会って、それぞれの活躍にいい刺激を受けましたし。

章平:僕の目標は“水”になることなんです。気体にも固体にも液体にもなれるし、色にも染まれるという。どの現場に行っても、そんな役者でありたいなと思っています。それが実現できるのがいつになるのかわからないし、最後までできないかもしれないけれど、それを求め続ける役者でありたいなと。

荒木:芸事は水面に字を書くようなものだって聞いたことない?書き続けないと文字が見えないって。だから、ずっとやり続けることが大事なんだよね。僕も翻訳劇に魅せられて芝居を始めましたが、メイド・イン・ジャパンを世界に発信できるようになったらいいなと思っているんです。「錆色のアーマ」も、世界初のプロジェクトですよね。

章平:確かに、ブロードウェイでアメコミの逆2.5ってないですもんね。

荒木:初演のときのアンサンブルの皆さんは、数々のミュージカル作品に出ている人たちなんです。彼らがこの作品を選んだということは、僕と同じことをきっと思っているんだと思います。海外作品ばかりじゃなく日本発のものを作りたいって。だから僕も「錆色のアーマ」を選んだし、自分自身がワクワクする作品と出会えれば、きっと未来に繋がっていくと信じています。

◎Interview&Text/稲葉敦子


6/22 SATURDAY 23 SUNDAY
錆色のアーマ -繋ぐ-
チケット発売中
◎ 原案「錆色のアーマ」プロジェクト
◎ 脚本/高殿 円
◎ 演出・上演台本/元吉庸泰
◎ 音楽/田口囁一
◎ 振付/當間里美
◎ 出演:佐藤大樹(EXILE/FANTASTICS from EXILE TRIBE)、増田俊樹
荒木健太朗、永田崇人、平田裕一郎、章平、神里優希
佐藤永典、石渡真修、田中しげ美/丘山晴己/玉城裕規 ほか
■ 会場/岡崎市民会館 あおいホール
■ 開演/6月22日(土)13:00 、18:00 6月23日(日)13:00
■料金(税込)/全席指定¥8,500
■お問合せ/岡崎市民会館 TEL.0564-21-9121(9:00~21:00 休館日第一・三月曜)
※未就学児入場不可



フランスでのピアノソロ初体験から40年。加古隆がピアノ、そして “今の自分”と対峙するソロコンサート。

クラシック、ジャズ、現代音楽のジャンルを包含しつつ独自の音楽スタイルで世界の聴衆を魅了し続ける加古隆。フランスでのピアノソロ初体験からちょうど40年、新たな時代を迎える今取り組むのが、「ピアノと私」と題したソロ・コンサートです。

40年前、フランスの音楽フェスに急遽代役で出演なさったのが、ピアノソロとして初めてのコンサートだったそうですね。

当時のフランスでジャズの大プロデューサーと言われた人から頼まれて。僕はそれまでソロでコンサートをしたことがなかったので、最初は少し躊躇しました。でも挑戦してみようとOKしたら、「用意してすぐに汽車に乗れ」と。それでとにかく列車に飛び乗って、パリからノルマンディーに向かいました。列車に揺られている3時間ぐらいの間に、ステージで何ができるかを頭の中で考えて紙切れにメモしながら…。駅に着くともう暗くなっていて、辺りは雪に埋もれていました。そんな中、「KAKO」と書かれたプレートを掲げた人が待っていて、すぐに車で会場に連れて行かれたんです。そして、1枚のメモだけを持ってステージに上がり、それをピアノの前に置いてとにかく始めました。演奏している間は、空中に僕だけ浮いているような、特別な空間にいて音を出しているような…今までに経験したことのない感覚があったんです。うまくやれたかどうかとか、そんなことは何もわかりませんでした。それがちょうど40年前です。


そのときにお感じになった特別な感覚は、ピアノとの対峙を強く意識されたということでしょうか?

そうですね。ピアノと僕しかいないという感覚。介在しているものが何もないんです。それまではグループでやっていましたから、当然ほかのミュージシャンとのいろいろなやりとりがありましたが、そういうものが何もない。ピアノと自分が出す音しかないんです。クラシックのコンサートだったら、例えばベートーヴェンの曲を弾けば彼の存在が一番中心にあって音楽が成立します。でも当時の僕はフリージャズをやっていましたから、即興でさらに全くひとりきりという…。そのときの印象はとても強く自分の記憶に残りました。ただ、すぐに「これからはソロだ」と思ったわけではないんですよ。実際にソロ・コンサートにきちんと準備をして取り掛かったのは、日本に帰ってきた後の1982年頃だったと思います。

本格的にピアノソロを始めたことが、作曲活動にもつながったのですか?

当初は、まだ即興主体だったんです。ただ、グループのときと一番変わったことは、アンプやPAを使う必要がなくなったこと。そういう環境で演奏していると当然、ピアノの音の響きや音色に敏感になってくるんです。その魅力に目覚めていったし、自分なりに学んでいくということが始まりました。もうひとつ、ほかのミュージシャンとのやりとりを通して音楽を作らなくなったことで、僕と交流してくれる何かが欲しくなりました。それで作ったのが、パウル・クレーの絵の印象による組曲「クレー」です。ほかにも宮沢賢治やダンスなど、他の芸術分野とのコラボレーションに取り組むようになりました。そんなとき、ある音楽評論家の方が「誰でも知っている曲を加古さん流に料理してみたら?」とおっしゃったんです。そして選んだ曲が「グリーンスリーブス」でした。最初は、まずオリジナルのメロディを弾いて、その後は即興しようと考えていたのですが、家でずっと練習していると何か物足りない。気がついたら、オリジナルのメロディの後を一小節、一小節、自分で音をひとつずつ探しながら書いていました。譜面として出来上がっちゃったんです。それをコンサートで弾くのは、僕にとってものすごく大きな変化であり挑戦でした。即興音楽家といわれている僕らしくないんじゃないかと。でも実際にコンサートで弾いてみると、全くそんなことはありませんでした。前もって音が決まっていたら加古隆の音楽にならないなんていうことはなくて、僕自身をそこに表現することもできたし、何よりも聴いていらっしゃる方たちの反応に親密さが増しました。音楽的にも芸術的にも何ひとつ失うものはなかった。それどころか、さらに広がりを持っているということに気づいたんです。そしてもうひとつの大きな発見は、「グリーンスリーブス」のような曲のシンプルなメロディが持つ強さ。これが今の僕の音楽につながるひとつキーワードですね。徐々に新しい曲を書くようになって、オリジナル曲を中心にしつつ思い切り即興する時間を作るなど、コンサートのプログラムの組み方も変わっていきましたから。これはやはり、ピアノソロを始めたおかげだと思っています。


今回のソロ・コンサートのタイトル「ピアノと私」は、40年前のステージで加古さんが体感されたピアノソロの醍醐味を象徴していますね。どんなコンサートになりますか?

近年はカルテットに力を入れていたので、久しぶりのソロ・コンサートです。だから、ピアノのソロに一番ふさわしい曲の中から、今の僕が弾きたいと思う曲を優先的に選んでいます。僕が今あの曲を弾いたらどんな演奏をするだろうと、自分が聴いてみたいなという気持ちがあるんです。それから、大好きな曲なのについほかの曲に席を譲り続けて時間が経ってしまった曲も選んでプログラムを組みました。もちろん「パリは燃えているか」や「黄昏のワルツ」などの代表曲もラインナップしています。そうやってプログラムを考えているときに中心になったのが、アルバム「水の前奏曲」でした。1993年にウィーンで録音して、発表後は何回か全曲弾くなどしていましたが、気がつくと最後の演奏からとても長い時間が経っていたんです。だから、ピアニストとしての今の僕がこの曲をどう弾くのか、また作曲家である今の僕がどう変化させるだろうかと。改作するところもあってもいいと思って、そういう部分も取り込みながら完成させていきました。だから今回、演奏がCDとは少し違うんですよ。

音楽を進化させていく上で、演奏家・加古隆と作曲家・加古隆はお互いをつねに冷静に見ているのでしょうか?

冷静に判断することは必要なことですが、そこに導いてくれるのは、音楽の中に熱中して入り込むことです。目いっぱい弾きながら一方で冷静にという、その両方。その作業として、演奏を録音して聴き直すということをします。そうすると、いろいろ気づくことがあるんです。文章の推敲作業と同じですね。僕は時々、下手な文章を書かされますけど(笑)、そのときもやっぱり声に出して読みますよ。そうすると、ここはこの表現の方がいいとか気づきますから。


創作や表現において、まず熱中するということはとても大事なことなんですね。

そう思います。だって、ステージの上でそれを失ったらやはり人を惹きつけることはできませんから。音楽の一番の魅力はやっぱりそこにあると僕は思っています。思わず夢中になる、理屈を超えたところに音楽の醍醐味はある。だから、それをいつも出しながら検証していかないと、頭でっかちになるかもしれない。コンサートで熱く演奏したものを聴き直して推敲する。そしてまた、ステージで熱く演奏する。その繰り返しは面白い作業ですね。

先ほど新元号が発表になり(取材が始まったのは4月1日の13:00)、新たな時代がいよいよ幕を開けます。音楽家は、時代とどのように向き合って作曲や演奏活動を行うのでしょうか?

僕自身は、その時々の自分がふと感じたものや、ある偶然が与えてくれるきっかけ…例えばピアノソロを始めたのも大変な偶然がきっかけですよね。そういうものを前向きに捉えて取り組んでみると、新しい自分を見つけることができました。そうやって、時間の経過の中で運命が準備してくれた機会に乗ってきた結果は、やはり時代の流れの中にあると思うんです。どんな天才であれ超越することができないのは、その人が生きた時代と風土だと思います。例えばモーツァルトは史上最高の天才音楽家といわれますが、彼に今の音楽は書けません。やはり、あの時代の音楽なんです。ヨーロッパの自然とか宮廷の生活とか、そういうものがいろいろ見えてきますよね。一方、今を生きている僕らには今の時代の音楽というのが当然あるはずで、僕もその真っ只中で音楽を作っていると思っています。僕は、平成に入って映像との出会いから生まれる音楽づくりを始めました。それも元気に続けていたから叶ったこと。だから新しい時代の抱負を挙げるとしたら、自分がやりたいと思うことを元気で長く続けていくことでしょうか。そうすれば、後から見たときに何か残るんじゃないかな。

◎Interview&Text/稲葉敦子


5/6 MONDAY・HOLIDAY
加古隆ソロ・コンサート2019「ピアノと私」
チケット発売中
◎曲目/「水の前奏曲」より Ⅰ 水の教会 Ⅱ 夜に Ⅲ パッシオン Ⅳ 子供の砂浜 Ⅴ 古代より星は 
「ジブラルタルの風」「黄昏のワルツ」「散り椿」「ナイルの源流にて」「ノスタルジックなワルツ」「パリは燃えているか」「ポエジー」ほか(予定)
■会場/名古屋市芸術創造センター
■開演/14:00
■料金(税込)/全席指定¥6,500
■お問合せ/中京テレビ事業 TEL.052-588-4477(平日10:00〜17:00)
※未就学児入場不可



「東芝グランドコンサート2019」直前!
ピアノ協奏曲「皇帝」の極みを語る。

「東芝グランドコンサート」38回目となる今年は、1925年の創立以来、欧州のオーケストラを牽引する名門楽団として、世界の名だたるトップアーティストたちと共演を重ねてきたデンマーク国立交響楽団が、2016年シーズンより首席指揮者を務めるファビオ・ルイージに率いられて初来日。3/14の名古屋公演では、同国の国民的作曲家ニールセンのオペラ作品《仮面舞踏会》の序曲とメイン・プログラムであるチャイコフスキーの交響曲第5番が先ず目を惹くが、日本のクラシック・シーンをリードするピアニスト、横山幸雄を迎えたベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番《皇帝》も今回の目玉だ。

横山は2011年のデビュー20周年記念コンサートで、チャイコフスキー、ラヴェル、ラフマニノフの協奏曲を一晩で演奏し、満場の喝采を博して高評価を確立。その後、2013年から生誕250周年(2020年)に向けて《ベートーヴェン・プラス》というシリーズを自ら立ち上げ、“楽聖”の作品に取り込んでいるところである。

《皇帝》は数々の傑作を生み出していた中期に書かれた、ベートーヴェン最後のピアノ協奏曲。恐らくこれ以降は耳の具合が悪化して、オーケストラと渡り合うような曲を書くのは難しかったのだと思います。でも、4番までアンサンブルの要素が強かったピアノが、ここでは完全にソロ楽器として前面に出てきていることからも、このジャンルにとってひとつの到達点であることは間違いない。後世のロマン派の作曲家によるピアノ協奏曲に与えた影響はとても大きいのではないでしょうか


2010年にポーランド政府より、世界で100名の芸術家に贈られる「ショパン・パスポート」を授与され、同年には「ショパン・ピアノ・ソロ全166曲コンサート」を行いギネス世界記録に認定。今年の5月には、ピアノ作品以外も含めた全240曲を3日間で一気に演奏する公演を企画するなど、ショパンのスペシャリストとしても知られるが…

1990年のショパン国際コンクール入賞で本格的にデビューして以来、ピアニストとしてショパンの比重が高かったけれど、ある時期から自分の中でベートーヴェン熱が目覚めて、今では二人を軸足に活動を考えるようになった。20代の終わりに短期集中型で取り組んだ後に少しブランクがあったが、40代になって改めて長い期間をかけてじっくりと向き合っているところです。以前は現代的なショパンと違って古い時代に生きた人だというイメージだったが、最近ではとても彼を身近に感じる。特に《皇帝》は小学生の頃に、家のLPレコードで何度も聴いていた想い入れのある作品。ルイージ氏もデンマーク国立交響楽団とも共演するのは今回が初めてですが、ワクワクしますね。実は日本公演の前にコペンハーゲンでショパンの協奏曲をご一緒することになっていて、それも楽しみです

TOKYO FM「横山幸雄のピアノでめぐり逢い」のパーソナリティを務め、東京と京都でレストランを経営し音楽と旬の食をプロデュースするなどその活動は多岐にわたる。今年からは名古屋を訪れる頻度も増えるとか…

4月から名古屋芸術大学の客員教授を務めることになりました。今まで東京から京都に直行していましたが、これからは名古屋も大きな拠点になりそうです。先ずは3月のコンサートでお会いしましょう!様々な要素を持ちあわせた非の打ち所のないトップクラスのワインにも例えられる《皇帝》をご堪能下さい

取材・文:東端哲也


3/14 THURSDAY
東芝グランドコンサート2019
ファビオ・ルイージ指揮 デンマーク国立交響楽団
横山幸雄(ピアノ)

チケット発売中
■会場/愛知県芸術劇場 コンサートホール
■開演/18:45
■料金(税込)/全席指定S¥14,000 A¥11,000 B¥9,000 C¥7,000 D¥5,000
■お問合せ/東海テレビ放送 事業部 TEL.052-954-1107(平日10:00〜18:00)
※未就学児入場不可



NEWアルバム「nuage〜ニュアージュ〜」をひっさげてのリリースライブ!

1995年の世界デビューは名門レーベルGRP、2015年にはデビュー20周年を迎えた木住野佳子。彼女が今想いを馳せるのはヨーロッパです。それは彼の地の音楽的土壌に深く関わっているようです。人々はどのように音楽を楽しみ、どんなこだわりを持ちながら音楽を作り出しているのか。旅をしてそれを肌で感じ、それを形にしたのが最新アルバム「nuage〜ニュアージュ〜」。彼女が改めてこれから進むべき道を、確信したとも感じられる快作です。1月にはこのアルバムのリリース・ライブが名古屋ブルーノートで予定されております。

最新アルバム『nuage ~ニュアージュ~』は、ヨーロッパへの想いを馳せて。

2015年にCDデビュー20周年を迎えたんですが、これから自分がどうしたいかということを自分でも考えてみたんです。まず思ったのが、海外の演奏を増やしたいということ。特にヨーロッパで演奏したいなと。よく皆さんに私の音楽は「ヨーロッパっぽいね」なんて言われることが多くて。自分でもヨーロッパを魅力的に感じていて、去年は様々な場所にひとりで行ってきました。そこでコンサートをやったり、曲を作ったりしてきたんですが、また今回改めてヨーロッパに行って、そうやって書き溜めた曲がアルバムになったんです。

特に印象に残った場所などはありますか?

どこも思い出深いですが、イタリアのミラノで5月に「ピアノ シティ ミラノ」というイベントがあったんです。ミラノの街中に3日間、ピアノが様々な場所に置かれているんですね。バスの中とかトラムの中とか、水上バスの中にも。どこかのプールサイドにはスタインウェイのフルコンを置いてありました。世界中から300人ぐらいアーティストが来ていろんな場所で演奏するんです。私はお城の中で演奏しました。ジャンルはクラシックが7割ぐらいかな?でも、ヨーロッパの人たちは自分の曲を演りたがることが多くて、3割くらいはオリジナル曲。しかも入場無料なんですよね。ミラノ市が主催しているんですが、ヨーロッパは文化に対する国の考え方が全然違うなと感じました。

音楽をする環境がとても成熟しているんですね。

そう思います。リスナーの方たちも、ものすごく成熟していると感じました。スウェーデンではフリージャズだけの店やライブハウスがあったんですが、結構お客さんが入っているんですよ。ミラノでは、お客さんが演奏が面白くないなと思ったら途中で立って帰っちゃうんですって。でも良かったら最後まで聴いて、すごく盛り上がるという。お客さんが自分の好みや趣味をちゃんと認識していて、その上でジャッジをしているんでしょうね。


歴史もありますが、自由に楽しむというところも好感が持てますね。

人間が作る音楽というのを、そのまま受け止めてくれるというスタンスをすごく感じました。スタンダードや知っている曲は確かに安心して聴けると思うんですが、かたやオリジナル曲というのは、より心を開いて感じてもらう必要がありますから。私はデビューからずっとオリジナル曲にこだわってきましたが、欧米の方が受け入れる姿勢に寛容さを感じることはあります。

今回のアルバムもオリジナルが中心。カバーのアレンジもご自身で全部手掛けていらっしゃいますね。

ある時から、ストリングスのアレンジとかも全部自分でやるようにしています。音楽って自分の言葉なんです。私は元々器用じゃないので、真似をしても自分の中で違和感を感じてしまって、だから誰かの曲をコピーをしても、そのまま演奏するということはあまりしてこなかったんです。でも、自分の言葉で語ることの苦悩はもちろんありますし、今もそれはすごく感じいています。繰り返し同じことを練習しながら自分の言葉を探していくような、そういう音楽の作り方をずっとしています。

自作にこだわり続けること、あとカバーに対する考え方をお聞かせください。

私にとってピアノは言葉の代わりだと思っているので、誰かが作った曲を弾く時も、メロディは絶対に崩したくないというポリシーがあるんです。それはその人が作った言葉だし、それをやっぱりすごく大事にしたいと思う。でも自分のしゃべりたい言葉は自分で作りたいと思っているので、やっぱり私の音楽は自分が作ったものかなって思っています。でも演奏を重ねるうちにカバー曲の中でもアレンジの仕方で、すごく楽しく演奏できるようになってきた曲もたくさんあります。例えば、ビル・エヴァンスの『ワルツ・フォー・デビー』はライブの定番で演奏していますが、自分の中で曲を消化している感覚はあります。もちろん非常に美しい名曲なので、ビル・エヴァンスへの経緯を払いつつ。カバーでも長年かかって自分の中で再構築してきたものが何曲もあります。今回のアルバムでも「New Cinema Paradise」は大好きで、カバー曲を弾いているというような感覚を超える美しい曲です。そう考えると、スタンダード、オリジナルはもちろん、ジャズの概念もどう考えればいいのか。素敵な音楽であればいんじゃないかという思いもあります。

メジャーデビューが名門GRPレーベル。このスタートが今の木住野さんの音楽観を作り上げたんでしょうか?

GRPは大好きなレーベルでしたし、その中心のデイヴ・グルーシンの音楽が自分の原点だと思います。GRPの音楽にはいろんなエッセンスが入っています。ジャズと一言で言ってしまうと難しそうみたいなイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれない。だけど音楽をやっている私たちにとってはジャンルはあまり関係ない。クラシックの演奏者の皆さんも、最近はそう思っていらっしゃる方も多いと思います。多分私自身は、自分が一番聴きたい音楽を自分で作っているんだと思うんですよ。口ずさめるような分かりやすいメロディや美しいメロディが好きなんです。だから聴いている方の心にも、そんな私の気持ちが響いてくれたらうれしいなと思います。


1/18 FRIDAY
木住野佳子New Year & New Release Live
ご予約受付中
■会場/名古屋ブルーノート
■開演/[1st]18:30 [2nd]21:15
■ミュージックチャージ(税込)/¥6,500
■お問い合せ/名古屋ブルーノートTEL.052-961-6311(平日11:00~20:00)


◎最新アルバム Now on sale
「nuage 〜ニュアージュ〜」
¥3,000(tax in)
POCS-1752



野宮真貴が渋谷系の名曲を歌い継ぐ。

シンガーとしてだけでなく、ファッションやヘルス&ビューティーのプロデュース、エッセイストとしても活動する野宮真貴。それら多岐にわたる活動のなかでも、“渋谷系”アーティストの代表格として主に90年代にポピュラリティあふれる活動を展開した、ピチカート・ファイヴの3代目ボーカリストとしてご記憶の方も多いのではないだろうか。ここ数年は“渋谷系”をテーマに歌い続けてきた彼女だが、それらを総括したベストアルバムを発売。そしてツアーも決定している。シンガーとしての使命を見つけたかのような印象もある彼女に、近年の活動、そしてツアーについて聞いた。

今回のアルバムは、これまでの渋谷系シリーズのベスト盤です。取り組み始めて5年になりましたが、どんな実感でしょうか?

90年代に渋谷系って言われた私が、5年前にあえて自分で渋谷系を歌うって宣言しちゃったわけです。初めて渋谷系に触れる方もいらっしゃるかもしれないし、ずっと好きだった人たちが懐かしく聞くのかもしれない。渋谷系の良さを再認識したことでやろうと思ったので、シンガーとして歌い継いでいくことで本当にいい曲を伝えていきたいなって、そういう思いでやってきました。

当時は自分から渋谷系と言っていたわけではなかったと思いますが。明言して歌う今は全く違う心境なのではないですか?

当時は「渋谷系って言われてるらしいよ」というぐらいの認識で、本人たちは特に意識してなかったんですけど。渋谷系のカテゴライズのなかに入ってるアーティストの中には、渋谷系と言われることを否定する人もいましたよね。ピチカート・ファイヴは否定も肯定もしていないという感じでしたね(笑)。私が、また新たに渋谷系を歌うと宣言した理由のひとつは、デビュー30周年のときにセルフカバーのアルバム『30〜The Greatest Self Covers & More!!!』 を出しまして。そのときにデビュー当時の曲も収録したんですけど、やはりピチカート・ファイヴの10年間が1番たくさんの曲を歌ってきので、必然的にピチカートの楽曲が多くなりました。そのセルフカバーのアルバムでは、様々なアーティストの方にアレンジ、プロデュースしてもらいましたが、久しぶりにピチカートの曲を新たなアレンジで歌ってみたら、逆に曲の良さがはっきりとわかったというか。本当に良い曲が多かったなぁと再認識しました。プロデューサーは高橋幸宏さんやコーネリアス、若手だとヒャダインやMIYAVIなど。楽しいレコーディングでした。
私はシンガーとして歌うべき良い楽曲というのを常に探してるわけなんですけど、名曲揃いの渋谷系をスタンダード・ナンバーとして歌い継いでいくのが私の使命だと思ったんです。
同時期にもうひとつきっかけがあって、ファッションデザイナーのケイタ マルヤマさんから、その年のコレクション・テーマの小沢健二くんの「僕らが旅に出る理由」を歌ってほしいとオファーされて。ショートムービーを制作してコレクションを発表という新しい試みで、私も歌姫役で出演もしています。この時にリアレンジして歌って、小沢くんの楽曲の良さにあらためて気づかされました。
さらに同じ頃、渋谷系のアーティストが大リスペクトする作曲家のバート・バカラックが来日して、コンサートを観にいって感動して、バート・バカラックのカバーアルバムも作ってみたいと思ったり。
渋谷系のアーティストの多くは、バート・バカラックやロジャー・ニコルス、ミッシェル・ル・グラン、ゲンズブールなど、60年代や70年代の音楽家を愛し、リスペクトの気持ちを込めて再構築して自分たちの音楽を作っていたと思うんですね。なので私は、90年代の渋谷系のヒット曲も歌うけれど、そのルーツも全部渋谷系という風に解釈してカバーをして、スタンダードナンバーとして歌い継いでいこうと考えました。渋谷系の名曲は掘り起こすとまだまだ無尽蔵にあるわけで、この先もずっと歌っていけるわけです。そんなことからはじまって5年たって、今まで出したアルバムから究極の選曲をしてベストアルバムというかたちにしました。
「渋谷系って何ですか?」という質問をすごくされるので、今までカバーしてきた曲の中でもより渋谷系としてわかりやすい楽曲を選んでいるので、このアルバムを聴けば“渋谷系”がわかります(笑)

ちなみに渋谷系を歌っていこうプロジェクトは、これだけ長くやる予定だったのですか?

長くやる予定でした、ライフワークとしてずっと続けていこうと思っています。

シンガーだからできたことですよね。それこそジャズシンガーのようなスタンスですよね。

そうなんです。スタンダードナンバーと言われる楽曲というのは、オリジナルは誰が歌っているのかわからなくなってしまうぐらい、いろんな歌手が歌い継いで残っていくもの。渋谷系の名曲の数々もそういう風に残っていったら嬉しいですね。

渋谷系は比較的定義が曖昧だけに、選曲の自由度は逆に高くなりましたよね。

そうですね。意外な曲もじっくり調べてみると渋谷系に繋がっていたりしますからね。

あとこれはいろんな方に聞かれてると思いますが、今回はピチカート・ファイヴを解散して以来、久々にメンバーの小西康陽さんとご一緒にレコーディングされていますね。

そう!これは今回の1番ニュースかもしれないです。ピチカート・ファイヴが解散して以来、初めてのレコーディングでしたから。今までは“渋谷系を歌う”シリーズのなかで、バート・バカラックの「世界は愛を求めてる」や、「男と女」の日本語詞を書いてもらったり、そういう形での共演はあったんですけど、一緒にレコーディングというのは解散後初めてでした。一緒にスタジオに入るのも17年ぶり。そして、マニュピレーターやエンジニアも当時一緒にお仕事していた方達だったので、なんだか時間を超えて昔に戻ったような感覚もありましたよ。

曲についてはどんな話をしましたか?

「東京は夜の七時」は93年リリースの作品なんですが、今年で25周年ということもあって、オリジナル作詞作曲家である小西康陽さんにリミックスをお願いしたんです。そうしたら、もっといいアイディアがあるって言われて。最近、彼が気に入ってる少林兄弟というバンドと私のコラボレーションをしてみたいと。小西さんはその少林兄弟のライブではいつもDJをやっているんですけど、なかなか面白いロックバンドなんですね。小西さんがすごく気に入っていて、『ぼくが21世紀になって最初に好きになったバンドです。』なんて彼らのCDの帯にコメントを書いているくらいですから。
アレンジは小西さんですけど、少林兄弟の演奏も素晴らしくて、ご機嫌な「東京は夜の七時」のロカビリー・バージョンが出来上がりました!


かなり攻めたアレンジだなと、何も知らずに聴いた最初は思いました(笑)。

ですよね(笑)。小西さんはいろんな方のプロデュースをしたり作曲したりしてますが、それと同時にDJとしても活躍しているので、「東京は夜の七時」の7インチのアナログ・シングルがほしいわけです(笑)。DJでかけたら盛り上がるというのも計算済みのアレンジですよね。オリジナルは6分ぐらいある楽曲なんですけど、DJ仕様で3分代にもこだわっていたし(笑)。アナログはA面があればB面もあるわけですから、「東京は夜の七時」をお願いしたら、B面も新録でいこうということになりまして。ロカビリーでやるんだったら、「ハッピー・サッド」もできるなって言い出して(笑)。瓢箪から駒じゃないけど、そんなわけで2曲新録になりました。


そろそろライブの話と思いますが、今回は3カ所を回るわけですが、当然、渋谷系リアルタイムの頃とはだいぶ雰囲気は違いますよね。

そうですね、当時聞いてくれていた方々から、今は若い20代の方も来てくださるし、年齢層は広がりましたね。ライブ後のサイン会で、ファンの方と言葉を交わすのですが、「両親が渋谷系がが好きで子どもの頃から聴いてました」とか、実際に親子で来てくれたり、すごく嬉しいです。渋谷系のルーツとしてトワ・エ・モワやユーミン、フランシス・レイの「男と女」など、60年代70年代の楽曲も歌うので、渋谷系を知らなくても様々な世代に楽しんでいただけると思います。

楽曲の解説なんかもされるんですか?

楽曲の解説文を各テーブルに置いていたこともあります。なぜこの曲が渋谷系なのかが、それを読むとわかるんです。開場してから開演までの時間に目を通すと、より深く曲が理解できます。でもセットリストも書いてあるので、本番をサプライズで楽しみたい方はあえて見ないで、家に帰ってからじっくり読んだり、それはそれぞれの楽しみ方。でも解説は渋谷系の研究みたいで結構面白いと思います。

いろんな音楽をたどっていける広がりも渋谷系の面白さですよね。ネタバレになったらどうしよう、という葛藤はありませんでしたか?

ネタバレは全然OKなんですよ。逆にネタを積極的にお伝えしたいというか(笑)。渋谷系のアーティストは、過去の隠れた名盤を発掘しても、いいものはみんなと分かち合いたいと思うから、ひとりじめできないんです。だから当時は過去の名盤がたくさん再発されましたよね。それにも、渋谷系のアーティストが一役買っていると思いますね。

今回のライブに関してはベスト盤からの選曲になりますか?

そうですね、ベスト盤を中心に組み立てようと思っています。でも、ライヴならではのちょっと面白いコーナーも考えています。まだお楽しみです(笑)。

今回のアルバムはライブ盤も入っているので、まだライブを見たことがない人も雰囲気はなんとなく伝わりますね。

ディスク2は、今年2月のバレンタインライブの模様がMCごと丸ごと入っています。バレンタインライブなので、渋谷系のラヴソングを中心に選曲しています。あとはバレンタインデーにちなんで、チョコレートのCMソングと、会場が横浜だったので横浜のご当地CMを歌ってみたり。そしてゲストも豪華で、クレイジー・ケン・バンドの横山剣さんが1日目出てくれて、2日目は高野寛くんが出てくれて、一緒にデュエットをして盛り上がりました。ライブの臨場感が伝わってくるので、ライブに来てくれた方はもちろん、まだ観たことがない方にも楽しんで頂けると思います。

5年間渋谷系をテーマに歌ってきたわけですが、ご自身で渋谷系っていうものに対してのイメージは変化ありましたか?

90年代当時は、渋谷系=おしゃれとかカッコいいというイメージだったと思うんですけど、この5年間、渋谷系とそのルーツを探っていくうちに、初めて出会う曲もたくさんありましたし、新しい発見もあって、渋谷系の奥深さをあらためて感じています。今では、「渋谷系を歌う」とは、「世界の名曲を歌う」と自負しています。歌ってみたいと思う隠れた名曲もまだまだあるので、『渋谷系スタンダード計画』はこれからも続いていきそうです。

取材・文:阿部慎一郎


11/2 FRIDAY
野宮真貴「野宮真貴、渋谷系を歌う -2018-」
ご予約受付中
■会場/名古屋ブルーノート
■開演/[1st]18:30 [2nd]21:15
■ミュージックチャージ(税込)/¥8,500
■お問い合せ/名古屋ブルーノートTEL.052-961-6311(平日11:00~20:00)

◎最新アルバム 10/31WED ON SALE
「野宮真貴 渋谷系ソングブック」
¥3,500(tax in)UICZ-4432/3
元祖渋谷系の女王、野宮真貴による
“野宮真貴、渋谷系 を歌う。”シリーズから
究極ベスト盤が新録&ニュー・ミックスで登場!

 

◎7インチ・アナログ盤 11/3SAT ON SALE “2018年「レコードの日」アイテム”
小西康陽編曲/プロデュース(両面共)
「東京は夜の七時 c/wハッピー・サッド」

野宮真貴と小林少年
¥2,160(tax in)UPKY-9017

 

◎電子書籍
「おしゃれかるた」
野宮真貴
希望小売価格/¥800(税抜) (幻冬舎plus+)
野宮真貴の金言が詰まったSNS人気コンテンツが電子書籍に!



中村祥子がジュリエットとして名古屋に!Kバレエ カンパニー「ロミオとジュリエット」に期待。

ウィーン国立歌劇場バレエ団、ベルリン国立バレエ団、ハンガリー国立バレエ団など、ヨーロッパの名立たるバレエ団で活躍した世界的プリンシパル・中村祥子。現在はKバレエ カンパニーのゲスト・プリンシパルとして、卓越した技術としなやかな表現で日本のファンを魅了しています。この秋、熊川哲也版「ロミオとジュリエット」で名古屋に登場。ドラマティック・バレエの最高傑作で、今の彼女が体現するヒロインに期待が高まります。

ジュリエットはこれまで何度も踊っていらっしゃるかと思いますが。

そんなことないんです。ウィーン国立歌劇場バレエ団にいた頃、ジョン・クランコ版を踊るはずだったのですが、公演前日に怪我をして踊れなくなったということがあって。その後、改めてチャンスをいただけたのが、9年前のKバレエ カンパニーの熊川版「ロミオとジュリエット」の再演です。そのとき初めてジュリエットを踊りました。


初役のときはどのように準備をされましたか?

ウィーンで踊っていたときにも感じていたことですが、私は身長が高いこともあって、どうしてもジュリエットという少女になり切れないという思いがあって。Kバレエ カンパニーで踊ることになったとき、そのことを熊川ディレクターに相談したことがあるんです。そうしたら、「それは祥子が決めることじゃない。観客が決めることだ」とスパッと言われました。私のジュリエットを見て、お客様が「あ、ジュリエットだ」と思うかどうかが大切で、「祥子自身が今、ここで決めてしまったら、もうそこで終わる」と。その言葉をいただいてからは、なるべく鏡の自分を意識するのではなく、展開ごとに自分がどう感じたかとか、ロミオから受けたことをどう表現するかに重点を置くようになりました。自分の感情をそのまま受け入れ、自分がどう見えているかというのは考えなくなりましたね。

前回、Kバレエ カンパニーでタイトルロールを踊られた「クレオパトラ」とは全く異なる役柄ですね。

クレオパトラを踊ってからは、観てくださった皆さんにその印象が強く残っているみたいです。自分自身もそのイメージを捨て切れない部分があるのですが、そこを崩すことが必要ですね。クレオパトラでピッと線が入ったものを緩める必要があるのかなと思います。ジュリエットは14歳の少女ですから幼さも出さなくてはなりませんし。それから大事なのは目線ですね。ロミオと恋に落ちるなど、各場面でいろいろなことが瞬時に起こってしまうので、目で語ることが重要になってくると思います。

例えば歌舞伎などでは、娘役を大ベテランの名優が演じます。年齢を重ねたからこそ若い役をより巧みに演じられるということがあるのでしょうか。

そう思います。ジュリエットも、ウィーンで最初にチャンスをもらったときが年齢的には一番近かったんです。私自身、ダンサーとしてまだそれほど経験がないという若さでした。稽古の間もいろんなことを悩みましたし、最終的に怪我をして「自分にはまだ早かったんだな」と、後から思いました。その後、Kバレエ カンパニーからお話を頂いて熊川ディレクターといろいろお話ししながら挑戦させてもらって。でも、そのときもまだちょっと何かがやり切れていない感じがしていたんです。その後、出産を経験してから踊ったときに、一番ジュリエットを感じられた気がしました。不思議ですよね。自分と役柄の年齢が一番離れているときに踊ったのに。若い頃、最初に役をもらったときにはジュリエットになり切れずあれだけ悩んでいたのに、なぜだろうと思いますけど。表現においては、やっぱり経験って大事なんだと思います。それは役柄と同じような経験ということではなくて、人として多くのことを経験した上で出てくる表現というものがあって、それを自然に表せるようになったのかもしれません。形として出すのではなくて、ジュリエットの気持ちが自然にわかるようになったというか。ベルリンでは観てくださった方たちからも「また祥子のジュリエットが見たい」と言っていただけました。

ロミオ役の遅沢佑介さんとは前回もコンビを組んでいらっしゃいます。

遅沢君には、本当に安心感があります。多くの作品を一緒に踊ってきたこともありますが、私がどんな表現をしたいかとか、どう動きたいかというのを瞬時にキャッチしてくれます。言葉で伝えなくても、サッと体を動かしてくれたり…。だから、私自身もとても自由に動けます。今回、9年という時間を経て一緒に踊るわけですが、彼もまた9年分のいろいろな経験をしてきていると思うので、とても楽しみですね。リハーサルでも、いざ「ロミジュリ」の世界に入ったら、「けっこうスッと入れるね!」っていう感じはありました(笑)。彼は普段はもの静かな人ですが、ロミオの若さをいきいきと表現しています。やっぱり好きなんじゃないかな。ロミオのような役は、ダンサーにとって魅力的なんだと思います。

「ロミオとジュリエット」というバレエ作品の魅力は、どこにありますか?

音楽といいドラマといい、見どころがあり過ぎて…。加えて、熊川版の魅力は、やはり踊りにあると思います。しかも、ここまで踊りを入れても自然と感情につながるという。バレエダンサーの力も見せつつ、役柄の感情や物語をしっかりつかんで感動を作り上げているんですよね。観る人にとっては、もう目がいくつあっても足りないような満足感のある作品になっていると思います。

物語の世界に観客を引き込むために大切なのは、どんなことでしょうか。

どの作品もそうですが、バレエを踊っていることを感じさせないようにすることを心がけています。より自然に、その舞台の上で生きるみたいな感じで。バレエのポーズにとらわれてしまうと、世界が違って見えてしまいます。「あ、バレエを踊っているんだ」と思われてしまうんですね。でも、人の自然な動きを意識することで、その物語がその場で本当に起きているように見えるんじゃないかなって。だから、自然体で自分がどう感じてどう動くかということに気をつけながら…もちろんポジションを決めるのは大事ですが、それをいかに自然につなげられるかを気にしています。

今回の全国ツアーでは、名古屋と広島で中村さんのジュリエットを観ることができます。東海エリアのファンにとっては嬉しいことです。

クレオパトラを踊った後ですから、皆さんには、ダンサーというのはこんな風にいろいろな感情や表現を日々、追求しているんだという面白さを感じていただきたいですね。今シーズンは、私にとって新しいレパートリーが続いているんです。毎年毎年、挑戦ですね。この数年は毎年「ダンサーとして、今が一番いいときですね」と言われるんですよ(笑)、なぜか…。でも、自分ではわからない。その時々で来たことに挑戦して、そこで自分のベストを出して、それに対する意見をいただく。それだけです。「ここが私のベストです」と言い切ったときが、終わりのときかもしれません。

新しい挑戦が、ダンサーとしての一番のモチベーションになるのですね。

それに、舞台を踏めば踏むほどモチベーションは上がりますね。これだけの人が喜んでくれるって、やっぱり人生の中でないんじゃないかと思ってしまう。それだけ特別な場所に立てているんだという気持ちが、自分をさらに押し上げてくれるというか…。ここから離れられないというか、もっとできるんじゃないかなと思っちゃう。そんな自分が恐ろしいですね(笑)。


10/18 THURSDAY
熊川哲也 Kバレエ カンパニー
「ロミオとジュリエット」

チケット発売中
◎芸術監督/熊川哲也
◎出演/ジュリエット:中村祥子、ロミオ:遅沢佑介、マキューシオ:石橋奨也、
ベンヴォーリオ:益子 倭、ティボルト:杉野 慧、ロザライン:戸田梨紗子、パリス:宮尾俊太郎
■会場/日本特殊陶業市民会館フォレストホール
■開演/18:30
■料金(税込)/S¥16,000 A¥13,000 B¥10,000
■お問合せ/CBCテレビ事業部 TEL.052-241-8118(平日10:00〜18:00)
※未就学児入場不可



宮崎発、劇団こふく劇場が三重県文化会館に登場!

宮崎県都城市を拠点に30年近くにわたり活動している、劇団こふく劇場。2015年の初演時に大絶賛された作品「ただいま」をたずさえ、三重県文化会館に登場します。待望の再演を前に、主宰で劇作家・演出家の永山智行が、自身の死生観や作風について、作品づくりへのこだわりぶり、演劇ファンへの思いなど、たっぷり語ってくれました。

劇団こふく劇場は結成以来、都城市を拠点にしていますが、永山さんは東京で演劇活動をなさっていたこともあるんですね。

1986年に大学進学と同時に上京しました。当時は、いろんな芝居を観ましたね。鴻上尚史さんの第三舞台、野田秀樹さんの夢の遊眠社が小劇場ブームを巻き起こしていましたし、アングラ系の劇団も元気でしたから。ただ私はひねくれてて、そのブームに乗るのが嫌だなと思う部分もあって。だから、井上ひさしさんのこまつ座とか佐藤B作さんの東京ヴォードビルショー、善人会議(のちの扉座)、など、オーソドックスな芝居を作っている劇団の芝居に、より惹かれていきました。ちょうどバブルが始まって、みんながちょっと浮かれている時代でしたから逆に…。


永山さんは大学の演劇部で活動していらしたのですか?

通っていた東京学芸大学には、演劇部以外にも自主的に公演を打つグループがたくさんあって、そっちで活動していました。学生がグループに分かれて芝居を作る「演劇鑑賞」という授業を通して、学科を超えて仲間になったりするんですよ。で、授業が終わっても「じゃあ、またやろうぜ」みたいな打ち上げのノリで、自主的に芝居を上演するのがすごく盛んでした。みんなが集まって「今度これやろう」とか「テントを立てて芝居をやろうぜ」とか…。そういうグループを渡り歩いていた感じです。そんな形で、4年間ずっといろんな作品に役者で出たり、演出をしたりしていました。

劇作もその頃始められたのですか?

夏休みとかになると、みんな実家に帰っていなくなっちゃって暇なんですよ。それで何か書いてみようかなと思って書き始めました。でも、それは大学で上演したことはないです。というか、誰にも見せたことがない(笑)。自分で書いたものを上演するようになったのは劇団を作ってからですね。

大学卒業後、すぐ地元の都城に戻られて、劇団こふく劇場を立ち上げられたのですか?

4年生になってもずっと芝居ばっかりで就職活動もしていなかったので、卒業と同時に無職になっちゃったんです。親は怒りますよね、大学まで出したのに就職もしないんだから。「とにかく一度帰ってこい」と言われて、帰りたくないなと思いつつ、鈍行列車で旅をしながら10日ぐらいかけて帰りました。各地で途中下車して、公園や市民球場のベンチで寝たりしながら(笑)。で、都城に帰ってみると、芝居を観る機会が全然ないんですよ。東京にはそういう環境がいくらでもあるのに、こっちには芝居のしの字もない。それは大学の時にも、行ったり来たりしながらずっと考えていました。じゃあ、一回やってみようと思って、高校時代の演劇部の先輩や後輩に声をかけて芝居を始めました。最初は続けるつもりは全くなかったんですよ。隙を見てまた東京に行こうと思っていたので。ただ、公演を打つために劇団名も必要だったので劇団という形にして、メンバーを集めて、上演する…ということを始めて、結果的に28年ぐらい続いちゃったという感じです。

立ち上げ時には、劇団での作品づくりにどんなビジョンを描いていたのですか?

こんなものを作りたいとかいうことよりも、とにかく上演をすること自体が目的だったので、作品の指向性などはあまりなかったですね。もう手当たり次第というか、思いついたものをとにかくやってみようみたいな感じで。

目に見えない存在を通して人の生活や人生を見つめるような作風になっていったきっかけはあったのでしょうか。

一番大きいのは、20年ほど前に父親が亡くなったことですね。ちょうど私が30歳ぐらいで、子どもが育っていったり、自分の生活のことを考えるようになってきた頃に亡くなってしまって。それをきっかけに、自分の暮らしとか人生とか、家族とか…そんなものへの思いが作品の中に自然に入ってきたのかなと思います。親がそばにいて、水道をひねれば水が出たりとか…生まれてからそれまで当たり前だったものが、父親が亡くなったことで当たり前じゃないものだと気づいたんですね。そこから、ものの見方が変わった感じもします。死の側から生を受けるという視点は、父がくれたものですね。向こうからこっちがどう見えるかという。それは、人間が人間である証拠だと思うんです。もういないはずの死者を「いる」と言える。そういう概念を持っていることは、人間が人間であることの一番大きな理由なのかなと思います。

今回、再演される「ただいま」にも、主人公だけに見えるニーナさんという“あちら側”の登場人物がいますね。

そうです。死者の霊なのかどうか、そこは明確に設定していませんが。3年前の初演時には、三重でも津あけぼの座という小劇場で上演しました。この時、三重は熱かったんですよ。カーテンコールが3回もあったのは、全国6ヵ所、全19ステージの中で三重だけでしたね。
役者が戸惑ったぐらいですから。「え?もう一回行くの?」みたいな感じで(笑)。

観客の皆さんは、どんな感想を持ったのでしょうか?

皆さんそれぞれ、想像を膨らませたりしながらとても深く見てくださっているように感じました。単純に「よかったよ」というだけでなく「こんな風に感じた」「こう解釈した」と、お客さん一人ひとりがすごく熱く語ってくださって。今回上演させていただく三重県文化会館もそうですが、劇場が観客を育てているという空気を感じました。「ただいま」は、普通の人の普通の暮らしを描いて、その中にあるドラマを見つけるということを大事にしている作品です。誰だって、誰かの子どもとして生まれてそれぞれの家族の中で育ち、仕事をしたり学校に通ったりする中で、いろんな関係性を築いたり、その中で大事な人を失うような経験をしたりしていると思います。そうした誰にでもある出来事をできるだけ丁寧に描きました。そういう意味では、どんな立場の人にも観ていただきたいと思います。

歌もたくさん出てくるそうですね。

“歌うホームドラマ”です。音楽は、うちの作品の大事な要素のひとつ。私自身、音楽が大好きですし、メンバーの中にはシンガーソングライターもいます。だから音楽は、なるべく生演奏で入れるようにしています。音楽って、論理を飛び越えて感情をシュッと引き出してくれるんですよね。そういう音楽の力を借りています。また、もっと大きくとらえると、セリフや足音、仕草も全部音楽だと思って作品づくりをしているんです。俳優が語るテンポや音の高さも全部決めて、動きもある種のリズムの中で起こるように…そこはかなりこだわって作っています。論理を超えて、言葉にならないものまで届くといいなと思いながら。だから全体を通すとひとつの交響曲として見てもらえると思います。音楽を聴くときに意味とか考えないでしょ?そんな風に、この作品に流れるリズムやメロディに身を委ねていただければ嬉しいですね。


9/15 SATURDAY 9/16 SUNDAY
Mゲキ!!!!!セレクション
劇団こふく劇場第15回公演「ただいま」

チケット発売中

◎作・演出/ 永山智行
◎出演/ あべゆう、かみもと千春、濵砂崇浩、大迫紗佑里(以上、劇団こふく劇場)
中村 幸(劇団ヒロシ軍)
■会場/ 三重県文化会館 小ホール
■開演/ 9月15日(土)14:00 ※アフタートークあり ゲスト:本坊由華子(世界劇団)
9月16日(日)13:00
■料金(税込)/ 整理番号付自由席 一般 前売¥2,500 当日¥3,000 25歳以下¥1,000
やさい割(前売のみ)¥2,000 ペア割(前売のみ)¥4,000
■お問合せ/ 三重県文化会館 TEL.059-233-1122
※未就学児入場不可



自らプロデュースしたシネマ・ミュージックのコンサートを開催!

豪州出身、語学など様々な分野に長けた才媛として知られ、A.ボチェッリやD.フォスターも認めた圧倒的な歌唱力で現代を代表するアーティストとして活躍中。そんな彼女が「シネマ・ミュージック」と共に東海市芸術劇場に登場!

昨年10月発売のアルバム『シネマ・ミュージック』が好評で、同名のコンサート・ツアーを各地で展開。今年3月に東京・オペラシティで行われた同公演を収録した初の映像商品(DVD/Blu-ray)もまもなく発売されますね。

自分でプロデュースした公演なので、たくさんの人に観ていただけるのが本当に嬉しい。選曲はもちろんのこと、背後に投影する映像からコスチュームまで、トータルで演出を考えてストーリーを作り上げるのは映画製作に似ている。もともと映画監督になりたいという夢もあるので、作業は楽しかったです。いつか映画を撮る夢も叶えたい!


名画のヒロインたちを音楽で演じ切る、まさに「歌う女優」を彷彿とさせるステージでした。今回のコンサートもこの映像商品と同じプログラムですか?

重なる部分もあります。例えばオープニングは定番で映画《ロミオとジュリエット》のバルコニー・シーンの再現。それをイメージした映像を先ず流して、皆さんにロミオになっていただいて、私はジュリエットとして〈A Time For Us ~永遠(とわ)の愛〉の歌と共に高いところから登場します。他にもボンド・ガールになったり、〈ムーン・リヴァー〉は《ティファニーで朝食を》でヘプバーンが演じたホリーになってギターの弾き語りをしたり。歌唱だけでなくヴァイオリンで演奏する〈ポル・ウナ・カベサ〉も《セント・オブ・ウーマン/夢の香り》を思わせるパフォーマンスを披露します。

ミュージカル《レ・ミゼラブル》でエポニーヌによって歌われる〈オン・マイ・オウン〉はCDで聴いても舞台が目に浮かぶようでした。

主役よりもエポニーヌのような個性的な役柄に惹かれます。そういえば子どもの頃、みんなでごっこ遊びをした時も、女の子たちはみんなお姫様役をやりたがったけれど、私は魔法使いとか、男の子たちと一緒にプリンセスを捕らえるような役がやりたかった(笑)。ミュージカルは主人公以外にも名曲が与えられて、スポットライトを浴びることができるので大好きです。

ステージではサラさんのコスチューム・プレイもお楽しみですね。

《ラ・ラ・ランド》のメドレーでは、男装してライアン・ゴズリングが演じたピアニストに…ちょっぴりチャップリンも意識しています。また、今回のDVD/Blu-ray『シネマ・ミュージック with サラ・オレイン』のジャケット写真にも使用されているメーテルも好評を頂いております(笑)。映画《さよなら銀河鉄道999 ~アンドロメダ終着駅~》を再現したようなステージも披露しますのでどうかご期待下さい!

映像商品にはない新曲もありますか?

はい、アレンジを変えた曲もあります。例えば〈虹の彼方に〉は《オズの魔法使》のジュリー・ガーランド風ではなく(ハワイの伝説的なシンガー、イズリアル・カマカヴィヴォオレが歌った)ハワイアン・ヴァージョンに…そのためにウクレレも練習しました。ハリウッド超大作から欧州映画、日本のアニメまで、新しいものから往年の名画まで、様々な映画音楽を取り揃えています。昨年の名古屋公演に来ていただいた方にも、きっと楽しんでいただける内容だと思います。いろんなサプライズをご用意してコンサート会場でお待ちしています!

取材・文:東端哲也 撮影/中野建太


9/24 MONDAY・HOLIDAY
「シネマ・ミュージック with サラ・オレイン」
■会場/東海市芸術劇場 大ホール
■開演/15:00
■料金/SS¥8,500 S¥7,500 A¥6,500
■お問合せ/中京テレビ事業TEL.052-588-4477(平日10:00〜17:00)