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ミュージシャン、役者のみならず、文筆やライブプロデュースでも才能を発揮する
マキタスポーツが芸能生活20周年を迎え、ライブに原点回帰。
大瀧詠一や松任谷由実らにも認められた「オトネタ」を復活させています。
今年はにわかに事務所問題で揺れ、ワタナベエンターテインメントに移籍。
ますます活躍の場を広げることは間違いないものの、ご本人は極めて冷静。
いろいろあった芸能界を見渡しながら、今やるべきことを真剣に語ってくれました。

音楽で笑いを追求する「オトネタ」を20周年の節目に復活させた理由は?

2年ぐらい前から「気づいたら20周年になるね」という話はしていて、あまり迷わず「オトネタ」を久しぶりにやろうと考えていました。2009年に始めて2013年ぐらいまでかな? 会場は変えながらも毎年開催していた企画なので。


そもそも「オトネタ」はどのような経緯で生まれてきたのでしょうか。

活動当初1~2年は音楽、バンドをやっていたんですけどうまくいかず、そのうち漫才をやりたいなと思うんですが、結果、28歳でピン芸人デビューすることになるんです。それで30歳ぐらいまではいろんなことを試していたら、音楽ネタが評判良くて。作詞作曲モノマネだったり……。その後31歳の時に思い直してバンドをまた結成するんですけど、このバンドでは合間に音楽的なネタも入れていました。でも結局このバンドもままならないと感じて一旦お休みすることに。そして再びピンで始めた時に生まれたのが「オトネタ」なんです。2009年のことですね。そうしたら翌年には地下ライブシーンで話題になり、2011年には博品館劇場で公演を予定するほどになったんですけど、東日本大震災が起こって一旦中止に。それでも半年後には、あらためて公演することができました。2013年にはバンドを率いてやる形にも発展したんですが、一方で役者の仕事も増えてきて……。

お話を聞いていると、試行錯誤されたからこそマキタスポーツという表現者の能力や武器、個性が明確になり、現在の開花につながってるような印象を受けます。

どうなんでしょうね(苦笑)。だって、自分が50歳になるなんて想像していなかったのに、もう50は目の前だし、家族もあるし……。ただ、今ずっと続けられそうなことを考えてみると、苦しいけど、ライブだなと。もちろん、その重要性は肌で感じてはいたんですけどね。このネットの時代に、芸能界の雰囲気も変わってきて、オーバーグランドでの自分の需要を考え始めたら、このままじゃダメだと。仕事はあっても、それだけじゃ……。このところの疑問、例えば大きな芸能スキャンダルについて自分なりに答え合わせをすると「芸能界、怖いな」と思うんですよ。僕は芸能界をふたつに分けて考えていて、第一芸能界は広告まで含んだ収支構造の世界。もうひとつの第二芸能界は課金制の世界で、ライブをはじめ、もともとの芸能の在り様ですよね。ある不倫騒動を見ていて、女性タレントの方は大損害を被っているのに、男性ミュージシャンの方はそれほどでもなかった。それは男性の方がライブベースの活動をしているからなんですよね。スキームをこしらえている人、確固たる芸事を売っている人は負けないんです。

確かに。考察・分析、とても面白いです。

そんな芸能界という環境の中で「オトネタ」は地道にやり続けられると思うんですよ。実は、まだオフィス北野に所属していた2年ほど前「いずれ独立を」と考えて個人事務所を設立したんです。マキタ学級って言うんですけど。ところが今年1月、何も聞いていなかったところからどんどん事務所の問題が発覚して、かえって腹をくくれました(苦笑)。

しかも芸能界屈指の大手、ワタナベエンターテインメントにも移籍され、順風満帆ですね。

いやいや、とば口に立っただけですよ。ただ、渡辺プロダクショングループは近代芸能界を作った音楽エンタテインメントの老舗ですし、僕の大好きなハナ肇とクレイジーキャッツやザ・ドリフターズも所属されていたので、そこに入れたことは嬉しいです。

最後に「オトネタ¥7500」の内容について、ちょっとだけ教えてください。

構成としては、バンド演奏の中に弾き語りも交えていきます。「オトネタ¥7500」はラグジュアリーな空間で、ぜいたくな芸を楽しんでいただくのがコンセプト。笑いに特化しつつ、音楽的実験も同時にやりたい。まさにクレイジーキャッツやドリフのようなコミックバンドの世界を展開したいんです。僕の楽曲にはいろんなジャンル、タイプのものがありますけど、正直、今はシリアスな歌の気分が心の中になくて。だったら、嘘をついても仕方がないんですよね。その中には理解度の高い大人に向け、時世を斬ったりアイロニーをはらんだものもありますけど、僕がやるとユーモアとかペーソスの方が強く表れるみたいです。いずれにせよ、僕がステージ上でやることはすべて「オトネタ」とも言えるわけで、他のお笑いライブとはやることが違いますから、ぜひ名古屋ブルーノートにご来場ください。


8/23 THURSDAY
マキタスポーツ20周年LIVE
「オトネタ¥7500」

ご予約受付中
■会場/名古屋ブルーノート
■開演/18:30、21:15
■料金(税込)/ミュージックチャージ ¥7,500
■お問合せ/名古屋ブルーノート TEL052-961-6311
※小学生以下入場不可