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「竹内涼真」スペシャルインタビュー
取材日:2025.11.12


竹内涼真が5年ぶりに舞台へと帰ってくる。
1992年公開の映画をもとにしたブロードウェイ・ミュージカル『奇跡を呼ぶ男』は
ゴスペル調のナンバーがあふれるソウルフルな作品。
竹内が演じるのは、神の教えを説く伝導集会で
「奇跡」をうたって金儲けする詐欺師ジョナスだ。
ミュージカル界の歌姫・昆夏美とBiSH解散後ミュージカル初出演の
セントチヒロ・チッチがWキャストで妹役を務め、バイリンガルシンガーのナノと
「ゲスの極み乙女」ほかの川谷絵音が訳詞を手掛けるなど、
話題の尽きない同作の魅力を竹内に尋ねた。


初舞台から5年も過ぎました。

前回は初めて触れるものばかりで戸惑いもあったんですけど、やっていくうちに楽しさとか、意外と僕は稽古が好きなんだとかわかってきて。稽古を積み重ね、信頼関係もできたところで本番を迎えてみると、その瞬間に生まれるものをぶつけ合う作業はすごく楽しかった。毎日何か収穫があり、収穫を蓄えて大千秋楽を迎えるという過程も僕は楽しかったです。ただ、全40公演の舞台はやりきったという達成感があったので、いつかまた自分に合う作品に出会えたら挑戦したいと思っていました。


今回やりたいと思った理由は?

スリルとライブ感と充実感を再びほしくなったからかもしれないです。舞台は自分たちが作ってきたものを本番で一度手放してお客さんの前で演じないといけないので、映像とはライブ感やリスクって全然違うと思うんですよ。生で観てもらって、リアクションをもらえる舞台は、どうしても客席と一体になるというか、同じ空間にいるからこその熱量がわかるんです。5年経ってリニューアルした自分で臨めると思ったのも動機かもしれません。『奇跡を呼ぶ男』はブロードウェイの映像を見たり音楽を聴いてカッコイイと思いました。ゴスペル調の音楽のグルーブ感は日本だとなかなかないですよね。僕はR&Bやソウルも好きで、小さい時から聴いていたんですけど、歴史、文化、宗教、音楽性などを学んでいく作業が必要ですし、最後まで続けていくべきで、それがきっと成功へのカギになると思っています。

自分がやるべきだとも直感したそうですね。

もし奇跡が起きて成功するなら僕がやるべきなのかもしれないと思ったんです。この公演への先入観をガラッとひっくり返したいというか、嘘から始まった中でどうにか本当の奇跡を作ろうとする物語にすごく共感しました。見栄を張ったり認められたいという想いは少なからず僕にもあります。二十歳の頃「俳優で成功します」と親に言ってスポーツを辞めましたが、それは結果が伴わなければ嘘になるわけで。今までひとつひとつの作品を積み重ねて歩んでいるから、本当だったと思ってもらえるだけで。世の中そんなことだらけで、ジョナスもその一人だと思うんです。「自分がやるべき」というのは、可能性に賭けて奇跡を起こせたらいいなという意味ですね。

他に惹かれた点は?

主人公が正義ではないところです。彼の抱え隠しているものや詐欺師という役柄に惹かれました。道徳から外れている人でも心の奥底には何かしらの光や真実みたいなものがあると思うんです。でも、その光を真正面から向き合うのは、自分をさらけ出さないといけないからとても怖いことでもあります。ジョナスは自分の嘘が少しずつ本当になっていってしまう過程で、隠している自分や嘘をつく自分と向き合わなきゃいけなくなる。そんな彼の人生を自分らしく演じてみたかったんです。劇中のショーは華やかですし、グルーブ感を持ってゴスペルをやれたら会場全体が一つになるとも思います。エンタテインメント性がすごくあるので、キャストだけで盛り上がるのではなく、オーケストラもスタッフも、端から端まで観客の気持ちを盛り立てていけるような熱量を放てる作品になるのではないかと。あとは、ずっと若い俳優さんとお芝居がしてみたかったので、今回ジェイク役の二人との共演でそれが叶います。僕はピュアなエネルギーに刺激をもらいたいんですかね。大人になるといろんな雑念が入ってきて、嘘をついたり見栄を張ったりラクをしたりする。もっと可能性を秘めた自由なエネルギーや、少年とぶつかることで生まれる奇跡みたいな何かを感じたくて…。この物語では、足の不自由な少年と嘘をついている男が出会って化学反応が起きる。自分の嘘から解放されて自由になりたいジョナスと、物理的に不自由なことがあって心身ともに自由になりたい少年、この二人を掛け算したらすごく素敵なことが生まれるんじゃないかと想像しています。


文化的差異を克服する秘策はありますか。

ものまねみたいなそのままコピーを目指すようなアプローチはしないようにと思っています。僕にとって、リメイクの概念で大切なのは嘘をなくすこと。嘘をなくすというのは身体の中で鳴っているものを信じられるかどうか、自分の心の中が充実してるかどうかが大事になってきます。ただ根本的には同じ人間だと思っているので、まずはジョナスの感情の流れと自分を結びつけて、だんだんと物語やキャラクターを自分とリンクさせて、そこから沸々と湧き上がってくるエネルギーを音楽に乗せてだしていくだけなのではと思っています。その結果ゴスペルの音楽性と僕らが持つ熱量や正確性、真面目さ、チームワークなどをうまく結び付けられたら、見たことのないような新しい面白い舞台になる、と信じてこの作品を作り上げていきたいと思います。

◎Interview/福村明弘
◎Text/小島祐未子
◎Photo/安田慎一



ミュージカル『奇跡を呼ぶ男』

[大阪公演] 5/1FRYDAY~3SUNDAY
■会場/フェニーチェ堺 大ホール
■開演/5月1日(金)15:00 5月2日(土)・3日(日)13:00
■料金(税込)/全席指定 S¥14,500 S(ペンライト付)¥15,500 A¥9,800 U22¥6,500
■お問合せ/キョードーインフォメーション TEL.0570-200-888(12:00~17:00)

[名古屋公演] 5/15FRIDAY~17SUNDAY
■会場/名古屋文理大学文化フォーラム(稲沢市民会館)大ホール
■開演/5月15日(金)17:30〈アフタートークあり〉
5月16日(土)12:30、17:30 5月17日(日)12:30
■料金(税込)/全席指定 ¥14,500 ペンライト付¥15,500 U22¥6,500
■お問合せ/中京テレビクリエイション TEL.052-588-4477 (平日11:00~17:00土日祝休業)