HOME > TICKETPRESENT > 日英共同制作!舞台「野兎たち」チケットプレゼント&観劇レポート

TICKETPRESENT

岐阜県可児市の可児市文化創造センターと、イギリスのリーズ・プレイハウスが共同制作する『野兎たち』。日英のこの二つの地域劇場は2015年に業務提携契約を締結しており、今回の作品は、イギリス出身でハロルド・ピンター新作受託賞受賞作家であるブラッド・バーチが、日本の貧困などの現場もリサーチした上で書き下ろした新作戯曲を、イギリスのマーク・ローゼンブラットと文学座の西川信廣が共同演出したもの。キャストには日本とイギリス双方の役者がそろい、リーズで稽古を重ね、東京および可児で公演を行なった後、リーズ・プレイハウスでも作品上演の運びとなる。その東京公演を観た(2月14日19時の部、新国立劇場小劇場)。


シンプルな空間に、縦型2本、横型2本の可動式LEDパネル。パネルは適宜動かされ、そこに、字幕の他、景色や背景なども映し出されるという趣向だ。早紀子(スーザン・もも子・ヒングリー)は、イギリス人の婚約者ダン(サイモン・ダーウェン)と彼の母リンダ(アイシャ・ベニソン)と共に、ロンドンから可児市の実家に戻ってくる。父・勝(小田豊)と母・千代(七瀬なつみ)に、ダンとの結婚式について相談するためだが、その結婚の裏には少々思惑もあった。だが、名古屋で妻・康子(永川友里)と共に暮らしているはずの兄・弘樹を訪ねて、彼の会社の同僚である浩司がやってくるなど、4年ぶりに戻った実家の様子は何だかおかしい。そこには、勝と千代が隠す、ある秘密が――。


日本語タイトルこそ『野兎たち』だが、本作の英語のタイトルは『Missing People』であり、物語は、まさにその”missing”――見つからない、見当たらない――人物を一つの軸として展開していく。だが、行方探しではなく、”missing”の状態についてそれぞれの人々が抱く思いに焦点が当てられているのがポイントである。そして、勝と千代がとりつくろって見せるその反応には、少々不可思議でグロテスクにすら思えるところがあり、イギリス人作家が日本人たちをなぜこのように捉え、描き出そうとしたのか、日本人観客としては非常に興味深いものがある。そんな中で、自分にとって窮屈だった日本社会を抜け出し、ロンドンで暮らしている早紀子の反応は、人として多分に健全なものとして映る。そして、自身も心に傷を抱えながら、いかにもイギリス人らしさを感じさせる乾いたユーモア精神をもってこれをやり過ごして生きていこうとする、アイシャ・ベニソン演じるリンダの前向きさが救いとなる。リンダとダンの親子のシャープなやりとりもイギリス人気質を感じさせておもしろいだけに、公演を重ね、日本人のおもしろさも粒立つ舞台となっていくことを期待したい。

文=藤本真由(舞台評論家)

<公演情報>
2/22 SATURDAY~2/29 SATURDAY【チケット発売中】
可児市文化創造センター+リーズ・プレイハウス 日英共同制作公演
「野兎たち MISSING PEOPLE」

■会場/可児市文化創造センター・小劇場
■開演/2月22日(土)・23日(日)・26日(水)・27日(木)・29日(土)14:00、24日(月)・28日(金)18:30
※2月25日(火)は休演。
■料金(税込)/全席指定 一般¥4,000 18歳以下¥2,000
■お問合せ/可児市文化創造センター TEL0574-60-3311
※未就学児入場不可

<チケットプレゼント>
舞台「野兎たち」の下記の各回に、抽選で2組4名様をご招待いたします!
①2月22日(土)14:00
②2月23日(日)14:00
③2月24日(月)18:30
④2月26日(水)14:00
⑤2月27日(木)14:00
⑥2月28日(金)18:30
⑦2月29日(土)14:00
ご希望の方は住所・年齢・ご職業・ご連絡先と共に「野兎たち応募」とご希望の回を明記の上、当ホームページの「CONTACT」よりメールにてご応募ください。応募〆切は2/19(水)深夜24時メール到着分までです。当選者の方には別途ご連絡申し上げます。たくさんのご応募をお待ちしております!