HOME > Web 限定インタビュー > 「城田優」インタビュー

真っ黒なスーツがよく似合う、長身の紳士。
かと思えば、突然重低音が効いた声を大音量で響かせ、人をお茶目に驚かせる一面も。サービス精神が旺盛で、まるで無垢な少年のような城田優。クリエイターとして、エンターテイナーとして、腕が立つ彼が手掛けるコンサートは、全曲“恋の歌”で彩られます。

昨年はデビュー20周年を迎えられましたね。

そうですね。芸能活動を始めたのは13歳からです。でも最初からドラマやミュージカルに出ていたということではなくて、お仕事として人前で歌を歌うようになったのは、16歳のときの初舞台です。「美少女戦士セーラームーン」が、初ミュージカルでした。


歌うことについて、ご自身で大事にされていることはありますか。

歌詞が一番大事だと思っています。僕が歌う曲や作る曲、選ぶ曲は曲の中に物語がちゃんとあるものが多いので、その曲のメッセージを届けられるように目指しています。ちゃんとしたヴォーカルレッスンは、実は受けたことがないんです。ミュージカルのレッスンはしますし基礎的なものは今までやってきましたので、ある程度経験の中で培ってきたものもありますが、今でも全然足りないものがたくさんあると思いながら活動しています。ただ、練習することだけがうまくなることではないと思うところもあります。真面目に向き合いすぎると、違う方向性に行ってしまうというか、凝り固まってしまうというか。歌い方は変化していいと思っているので、あまり型にはめすぎない方がいいかなと。やりすぎると、毎回それをすることが正解のようになってしまって、あまり面白くなくなるんじゃないかと。歌うその時々によって、歌い方が違っていいところもあると思っています。

シンシアさんと共演されて、学んだことはありますか。
※シンシア…第92回アカデミー賞で主演女優賞と歌曲賞にノミネートされた、女優で歌手のシンシア・エリヴォ

もともとのスタンスの違いというか。シンシアに限らず、今までご一緒した海外のスーパースターたちは、みんな自信を持っています。我々は普通パフォーマンスの際に、自分のスイッチを切り替えることが多い。でもそれが結果的に気負いとなって喉を閉めたり負担をかけてしまって、いいパフォーマンスにつながらないこともあるんです。シンシアたちは、本番とリハがいい意味であまり切り替わらない。圧倒的な歌声ですけど、それは過度に緊張しないことが大事なんだろうなと思います。メンタルコントロールが上手なんですね。僕なんて、カラオケ歌っている時が、一番うまいと思いますよ(笑) 誰にも迷惑をかけず、責任をとらなくてもいいですし、失敗しようが成功しようが、楽に歌えて、単純に楽しいですよね。カラオケで歌っているときの自然なマインドで舞台に立てると、よりリラックスした状態で喉もよく開いた状態で声が出るのだと思うのですが。

では、緊張しないために行っているルーティンワークはありますか。

深呼吸。あと、「人」って3回書いて飲む(笑) 本当にやりますよ。20歳でミュージカルに出演した頃は、ルーティンワークをたくさんやっていました。体幹トレーニング、ストレッチ、発声、音楽を聴いてからステージに出る、みたいな。でも、あるとき音楽の再生機器が壊れて、本番直前に聴けなくなって。そうすると今までおまじないのようにやっていたルーティンワークが崩れたことで、「今日できないかもしれない」「声が出ないかもしれない」とか思い始めて、勝手に失敗するかもしれないというマインドになっちゃったんですよ。そういうのを経験してからは、必要の無いものをやめようと全部取り払って。直前の発声も最低限で十分だと海外のスターたちと共演して気づいたし、いろんなものを排除した結果、残ったものは「深呼吸」と「人って3回書いて飲むこと」。いつでもどこでもできるし、吊られていてもできますし。すべての作品で緊張しているときにやっていますね。あとは人に背中をたたいてもらうとか。公演ごとにキャストにやってもらっていましたね、シンプルです。海外のスターたちは楽屋に戻るかのようにステージに行くから、それがいいんだろうなって思います。気持ちをオンにしなければいけないときに、オフにするっていう。僕は外国人でもあり日本人でもあるので、マインドはその中間。どちらかというとマイナス思考が強くて、すごく複雑な性格なんですよ。


今回のツアーサブタイトル「Mariage(マリアージュ)」について、コンセプトをお聞かせください。

文字通り「結婚」を意味しますが、「食事」と「お酒」のMariage(組み合わせ)と同じように「城田優の歌」と「楽曲」のMariageを楽しんでもらうことをテーマにしています。ひとつのショーの中で一生分の恋愛と言いますか。片思いをして、ふられて、つらい思いをして、立ち直って、また恋をして、そして結ばれる、みたいなストーリーが2時間のショーの中にギュッと詰め込まれていると思います。すべての曲が恋の歌で形成されているショーにする予定です。こんなにラブソング歌う!?っていうくらい歌いますので、最終的には、お客さま1人1人が結婚することを想像できるくらいの表現力をもって歌うつもりでいます。皆さん是非、おめかしして来て頂きたいですね。

ツアーの4公演(東京・大阪・福岡・名古屋)ともゲストが違い、名古屋公演のゲストは、加藤和樹さんですね。

同じ楽曲を歌うことがあったとしても、ゲストによって感じることが変わってくると思いますが、それも“Mariage”の1つとして、楽しんで頂けたら。和樹とは、10代、20代、30代と、必ず節目で共演しています。仕事とプライベートのバランスが一番とれている、付き合いの長い人なので、僕のすべてを知っていると言っても過言ではないです。エンターテイナーとしての僕、クリエイターとしての僕も、彼はよく知っていますし、先日「ファントム」というミュージカル作品でも一緒だったので、そのときの熱量が高いままの彼との化学反応が楽しみです。今まで、距離を縮めて一緒に歌うことがあまりなかったですし。

最後に、東海エリアのみなさんへメッセージをお願いします。

なかなか東海エリアに足を運ぶ機会がなくて、名古屋公演は久しぶりです。ミュージカル以外ではおそらく8、9年ぶり。ただ10代の頃、岐阜市の長良川の近くの旅館に1か月間泊まって生活しながら、岐阜のメモリアルセンターで撮影していたことがあり思い出もある場所です。まだ僕のミュージカルやコンサートに行ったことがなくて興味のある方、一期一会でご縁を大切にしたいのでぜひこの機会に。もしお時間がありご縁だと思って来てくだされば、みなさんにとってプラスになるようなエネルギーにして、確実に素敵なものをお届けできる自信はあるので是非足を運んで頂きたいです。

◎Interview&TEXT/LeeSa


3/15 SUNDAY
「城田優 Concert Tour 2020~Mariage~」
チケット発売中
■会場/日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
■日時/3月15日(日) 17:00開場、18:00開演
■料金(税抜)/全席指定 S席¥9,500、A席¥6,300
※小学生以上有料、未就学児童は入場不可
■ゲスト/加藤和樹