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「TOMORROW」はじめ、多くの名曲を発表してきた岡本真夜が、2016年よりピアニストmayoとしても活動を開始。今回、2枚目のアルバム『Good Time』をリリース、ブルーノートでの公演が決定した。


改めてですが、ピアニストとして活動を始めた理由を教えてください。

実は小さい頃からの夢は、クラシックのピアニストだったんです。いつか音大に行って、ピアニストになりたいと思ってたんですが、高校生の時に急に歌の方が好きになってしまったこともあり、シンガーソングライターとしてデビューしたんです。ピアニストになりたいという思いは、ステージで弾き語りすることでいったん落ち着いてました。それが再燃したのは、2011年の東日本大震災のときです。被災地に『TOMORROW』を歌いに行ったんですが、頑張れという前向きな歌や言葉さえも受け入れられない人が、現地にはたくさんいらっしゃるというお話を聞き複雑な思いのまま東京に帰りました。


ある日、メロディが浮かんだんですが、それが歌ではなく、インスト曲だったんです。そのとき、東北の、歌がまだ受け入れられない人たちに対して、ピアノのインストだったら何か届けられるんじゃないかなと思ったんです。そこからピアニストへの思いがどんどん強くなっていきました。私は、やりたいと思うととことん真っ直ぐ突っ走ってしまうタイプなので、勝手にいつかデビューすると目標を立て、ピアノの先生についてレッスンしながら、曲作りをして、今の流れになっています。

回のアルバム『Good Time』に収録されている『KIZUNA』も東北の方に届けたいと作った曲だとのことですね。

この曲は昨年作りました。毎年、東北に足を運んで歌わせて頂いているなかで、いろんな現状を聞くんです。場所によってはまだまだ復興が進んでなかったり、風評被害に苦しんでいるところもあったりするんですよね。それでも皆さんが力を合わせて頑張ってる姿を見て、浮かんできたメロディです。

どういった思いを込めたのでしょう?

東北の方に「頑張れ」という言葉はとても複雑で……言いたくない言葉ではあるんです。ただ皆さんが、本当に一歩ずつ、力を合わせていろんなことを改善している姿を見て。そういうことが積み重なって、いつか穏やかな気持ちになったり、優しい光に出会えますようにという思いを込めて書きました。

ピアニストmayoさんについて、少し話しを戻させてください。岡本真夜さんとしても、弾き語りをしてピアノに触れてらっしゃったと思いますが、改めてピアノの先生について勉強されてるんですね。

私はピアノは高校1年までしか教室に通ってなく、もちろん音大にも行っていません。本当に中途半端なところで辞めてしまい、それ以降は自分が好きなポップスやクラシックを弾いてただけなので、技術的には知らないことがまだたくさんあるんです。本当は学校に通おうかと資料を取り寄せたりもしたんですけど、やはり歌の仕事をしながら通うには時間的なことなどもあり難しくて。今は先生について習ってます。

クラシックなどを弾きながら、技術的なことを習ってるのですか?

本当はクラシックも弾こうと思ってたんですが、先生が「mayoさんはmayoさんのオリジナルの曲を弾いて、その中で教えられる技術を私が教えていった方がいいと思う」と仰ってくれて。オリジナルを弾く中で、必要な技術を毎回教えてもらってるという形です。

歌の伴奏としてのピアノと、インストとしてのピアノでは曲作りからして全く違うかと思いますが、曲作りはスムーズでしたか?

実は作曲は得意なんです。作詞が苦手で。皆さん、逆のイメージらしく、そう話すとびっくりされるんですけどね(笑)。歌のためのメロディだと、自分の音域が限られているので、曲としてはこういう流れにしたいけど、声の域はここまでだからこっちの音にしようなどというのがあります。インストでは、88鍵、どこを使ってもいいので、歌のための曲作りよりも自由で楽しいです。ただ、まだ表現力が追いついてなくて…日々、匍匐前進です。本当に新人なんですよ(笑)。

『ノクターン』はショパンをイメージして作られたとのことですが、アルバムの全体を通してメロディが綺麗なものが多いですよね。やはりメロディアスなものの方がお好きなんですか?

そうですね。ショパンは小さい頃から好きでずっと弾いてました。切ないものが多いですけどね。実は逆にアップテンポな曲を作るのが苦手なんです(苦笑)。1曲目の『Good Time』は、選曲の際にアップテンポの曲が少なかったので、プロデューサーに作れと言われて作った曲なんです。でも作れと言われてもすぐには出来なくて、2ヵ月くらいかけて作ったんですよ、実は(笑)。

シンガーソングライターとしては、何度もステージに立っていますが、ピアニストとしてのコンサートを実際に行ってみていかがですか?

まずお客様は、私が歌を歌うイメージの方がやはり強いので、歌詞が聞こえてくる、や、景色が見える、など言ってくださる方も多くて、嬉しいですね。ただ、私としては、ピアノインストのみでのコンサートは緊張がすごくて、終始、指が震えて、逃げたくもなってました(笑)。だいぶ慣れましたけど、やはり歌とは別ものなので難しいですね。

名古屋ブルーノートはどんなライブになりそうですか?

今回のライブは、チェロとピアノの2人体制で行います。アルバムの曲はもちろん演奏しますし、ライブ用に盛り上がるアップテンポの曲もその日までに準備できたらと思っています。後は岡本真夜さん(笑)の曲も少しだけピアノインストで弾いたりもする予定です。私はチェロの音色もとっても大好きなのですが、2つの音の融合による癒しの力がすごくあると思うんです。ライブに来て、次の日から頑張ってもらえるような、日ごろの疲れを取ってもらえるような癒しの空間を作れたらいいなと思っています。


7/28 SATURDAY
「mayo Piano Concert Tour 2018『Good Time』」
チケット発売中
■会場/名古屋ブルーノート
■開演/[1st]18:30 [2nd]21:15
■料金(税込)/一般¥6,800円
■お問い合せ/名古屋ブルーノートTEL.052-961-6311(平日11:00~20:00)