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12/21に岐阜市文化センターで開催の「ぎふ文化センター寄席」に出演する講談師、神田昌味さんへのインタビューです。神田昌味さんは岐阜県恵那市山岡町在住。陶芸家のご主人とともにこの地に移り住みました。今年2月に自宅が火事になるという災難にも遭いましたが、ご家族一丸となって再建に励んでいらっしゃいます。今回の取材は、その再建中のご自宅でお話を伺いました。


講談師を志すきっかけは?

私は栃木県の宇都宮市の出身なんですが、高校の時に演劇をやっていて当初はお芝居の道に進みたかったんです。親にも高校を卒業したら東京に行って劇団に入るんだと伝えていたのですが、芝居で食べていくことの厳しさを諭されて、芝居以外の舞台芸術も観てみることにしたんです。そんな中で講談を勧めてくれる方がいて、高校3年生の夏休みに新宿の末廣亭で初めて聴いたんです。それが後に私が弟子入りする二代目神田山陽。後に姉弟子となる神田紅さんとの掛け合いで「牡丹灯籠」の立体講談でした。師匠が語りをしながら紅さんと二人で登場人物を演じる、という形の立体講談です。師匠の山陽は新しい試みにも積極的で、女流講談師も多く育てた方でした。

師匠の講談のどんなところに惹かれましたか?

鳥肌が立ちました。師匠の声の独特な張り。あとは一人で語りながら、何人もの人物を演じ分けること。そして動きもほとんどないじゃないですか?演劇をやっている身としては、それがとても新鮮で。師匠の声と雰囲気にやられてしまいました。「これだ!」って。4月を待たずして師匠の元に行って、もうすぐに稽古をつけてもらいました。より早く一人前にするっていうのがうちの師匠のやり方でした。

昌味さんの得意な噺はどんなものでしょうか?

二つ目の頃に勉強を重ねながら色々な噺を身につけ、真打の今に至るのですが、その中でも自分が演っていて気持ちいい噺というものがあります。私が好きなのは、男と男のひねたやり取りであったり、言わずとして心の中で語っていくというようなロマン。赤穂浪士などはその最たるものですね。今の時代だと、殺されたから殺しに行くなんておかしい道理ですよね。私も20代くらいまではそう思っていました。それが30代になって良さがやっと分かってきて、物語が巧みに作られていることにも感心しました。


思い入れのある噺などはありますか?

「正直車夫」という明治時代の噺も好きですね。私は今年2月に山岡町の自宅が火事に遭って、着物から自分が書いた台本まで全部失ってしまったんです。東京での仕事もキャンセルせざるを得ず、しばらく講談は二の次にして自宅の再建に専念しようと思っていたんです。火事から3日後くらいに寝泊まりさせて頂いていたお寺に応援してくれる方々が集まってきて、「昌味の講談会をやろうよ!」という話が出たんです。“こんな時にいいのかな?”という迷いもあったんですが、翌3月に山岡町で講談会を開いたんです。その時演ったのが「正直車夫」で。義理人情、助けてもらった恩を忘れないという噺です。

聴く人も優しい気持ちになるような噺ですね。

そういう話が自分に合っているような気がします。もともと声の質が明るいのですが、頑張ってドスの効いた声を出して、毒婦伝とか女泥棒の噺ももちろん演ることもあるんですよ(笑)。人によっては、そういう意外性も面白くていいんだと言ってくれることもあります、でも、まだまだ足りないことばかりです。男性ですと70歳、80歳、90歳と芸が熟していく世界だと言われているんです。女性はどうなんだろうと女流講談師同士で話すこともありますけど、終わりのない世界です。


12/21 SATURDAY
市民スタッフ企画 vol.17
「ぎふ文化センター寄席」

チケット発売中
◼️会場/岐阜市文化センター 催し広場
◼️開演/13:00
◼️料金(税込)/全自由席¥1,000(当日¥1,500)
◼️お問合せ/岐阜市文化センター TEL.058-262-6200