HOME > 平賀マリカ 歌う生活 > 13「身も心もジャズに寄り添った人」

平賀マリカ 歌う生活

平賀マリカ 歌う生活

先日、大阪でのライブ後、ホテルに帰って、BS放送で「東京ジャズ2012」の再放送を見ていました。今年は、海外のミュージシャンと日本の有名ポップスシンガーがコラボする場面が多く出てきます。最近のジャズシーンはJポップ、演歌など、違うジャンルのシンガーがコラボする事が多く、ジャズに興味のなかった人も興味を持ってくれるともっとジャズが認知されるのでは、と淡い期待も抱きます。
そんな中、番組では突如素晴らしくジャズフィーリング溢れるピアノでアドリブをがんがん弾いている日本人男性ピアニストの映像が。ニューミュージック界で、大活躍したシンガーソングライター、大江千里さんではありませんか!噂には聞いていましたが、本当にジャズピアニストになられたのですね。
確かだいぶ前、私がヴォイストレーニングの為に渡米した頃、15年位前になりますかねえ…ニューヨーク、マンハッタンのイーストリバー側にある、ルーズベルト島まで、ある黒人の女性ヴォイストレーナーのレッスンを受けに行った時のことです。
私が先生に「他にあなたのレッスンを受けに来ている人はいますか?」の問いに、先生は「う~ん、名前は、確か…オエ!」と言ったのです。
オエ!という発音に凄く違和感、というか、なんか吐くわけではないのに変な発音、そんな名前の人いるかな?と思っていたのですが、その時に先生が「あ、そうそう、センリ・オエという名前よ。」と言ったので、びっくりした経験があります。
その時は、彼はジャズシンガーになるのかしら?とか、または、シンガーソングライターとして、歌の部分を強化するために?とか、考えていましたが、まさか、ピアニストになっていようとは!今になって、ようやくその疑問が解けました。
今回、テレビで聴いた彼の演奏は、本物のジャズそのもの。素晴らしいフレージング、リズム感、楽器を鳴らす音などに感動しました。
サイトを見てみると、ピアニストとして、修行する為に、4年半前に本格的に渡米したそうですが、その前に試行錯誤して、いろんなことにトライしていたのかもしれませんね。ある程度年齢を重ねてからのジャズアーティストへの転身は勇気がいるものではないでしょうか。しかも、日本で一世風靡をした方です。ジャズ界はJポップ界に比べたら、ビジネスとしてのマーケットも小さい、そして、スキルを身につけることはとても高いハードルも越えなければならないと思います。とにかく、一流のミュージシャンとして認められるには地味で地道な作業がとても多いジャンル。しかし、映像の中で言っていた言葉は、今、彼にとっては、最高に幸せな瞬間らしいです。とにかく、国内でアーティストとしての成功も手に入れた今、本当にやりたいことはジャズ、というところにたどり着いたのでしょうね。なんか、古い友達に再会した気持ちになったのは、私の勝手な妄想ですが、こんなにきらきらした姿を見て、ちょっと嬉しくなりました。
身も心もジャズに寄り添って、素敵な輝きを得た彼を心から応援したいと思っています。そして、これは私の夢ですが、いつか、私との共演もしてくれないかなあ。