HOME > 平賀マリカ 歌う生活 > 09「エイジレス・ジャンルレスな時代」

平賀マリカ 歌う生活

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3月9日、東京渋谷のオーチャードホールで行われた「シンディ・ローパー」のコンサートに行ってきました。 シンディのヒット曲を数曲知っている程度でしたが、最近「メンフィス」というブルース系のアルバムをリリースしたので、興味がありコンサートへ。 会場は満席。幅広い年代の人たちが観に来ていました。程なくして、ぱっと会場が暗くなり、バーン!という派手なイントロとともにステージに現れたシンディに、会場中がいきなりオールスタンディング。あああ、この瞬間好きだけど最後まで、立っていられるか不安~(泣)。後半の体力保持を考えて、少し不安がよぎったのですが、まずはシンディのパワフルなボーカルに興奮して、こちらも疲れ知らず。体を揺らして一緒にそのテンションの中へ。バンドをぐいぐい引っ張り、パフォーマンスをレベルアップさせていくことは、こんなにフロントが重要なんだ、と私も刺激になります。彼女は、決して若いとは言えませんが、今ここにいる彼女はとにかくエイジレスです。 実は、この時期にシンディが来たのには訳があります。昨年の3月11日の東日本大震災発生の午後三時前頃、彼女は来日公演の為の移動中で、成田空港上空の着陸態勢に入った飛行機の中にいたそうです。 同乗のスタッフがいたのかどうかは定かではないのですが、地震が発生してパイロットからの機内アナウンスで、成田にはおりられず「伊丹に緊急着陸」と告げ、その後、「名古屋セントレアに予定変更」、最後に「羽田に着陸決定」と、2転3転の中、やっと、夜中に羽田に着き、道路も混雑する中、ホテルに着いたのが、夜中三時過ぎだったそうです。そんな経験をしたからなのでしょうか、シンディはとにかく、被災したわが国を思う気持が強く、ボランティアにも積極的です。あれから1年たった日本に元気を届けにきたのです。曲間のトークも震災に触れて、「ガンバッテ!」と片言の日本語でエールを投げてくれます。日本語で歌った昭和の流行歌「忘れないわ」を、シンディがかっこ良くロック調で歌い、びっくり。歌い手の解釈で、曲はこんなにも変化する、その面白さを感じ、日本の皆に楽しんでもらいたい、という愛情が伝わりました。 アンコールを歌いきるまで、パワーを出し切ったシンディに皆、「ありがとう~!」を呼びかけ、目頭を押さえる人も…。音楽、というよりも、この人が好きだ。あれ?苦手だったスタンディングは、足が痛くなることもなく、心身ともに元気はつらつになっていたのでした。 音楽はジャンルレス、エイジレスの時代に来ている。コンサートでは、アーティストの個性が観に来る人に直に届く。私も私自身というジャンルに早くなりたい、と思った夜でした。