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「高畑充希」スペシャルインタビュー
取材日:2022.10.01

舞台『宝飾時計』で描かれるのは、子どもの頃から女優として生き、
30歳を迎えて自分の人生を見つめ直す女性の姿。
14歳のときに舞台の主演でデビューした高畑充希の人生とも重なる物語である。
自身が「いつか自分に芝居を書いてほしい」と願った
根本宗子が作・演出を手がけるとあって思いもひとしお。
東海市芸術劇場での上演も、
「新しい劇場でできるのが楽しみ」と笑顔を見せる高畑が、
この新作の魅力や今の自分を語ってくれた。

この『宝飾時計』は、5年ほど前、作・演出の根本宗子さんと出会われたところから始まっているそうですね。

私はずっと根本さんの作品が好きで、公演を観に行って、楽屋でご挨拶をする機会をいただいたときに言ったんです。「いつかご一緒したいです」と。その作品もすごく面白くて、観た直後で興奮していたのもあって、思っていることは言っておこうと思い切ったと思うんですけど(笑)。それで、叶うと嬉しいなと思いながら何年か経って、ダメ元で言ってみたことだしなと思っていた頃に動き始めて、そこから上演するまでにまた2年ほどかかりましたけど。でも、私が30歳というドラマチックな年代になったので(笑)、いいタイミングでできて、良かったなと思っています。

根本さんの作品は、人間のダメな部分、面倒くさい部分を、細やかにコミカルに積み重ねていかれることが多いですが、どういうところがお好きだったのでしょうか。

拝見したときに、それまであまり感じたことのない気持ちになったんです。爽快感があるけれども、共感してしまった自分に後ろめたさも感じるような不思議な感覚に。見ないほうがいいと思っていた自分の感情と自ずと向き合わざるを得ないところがあるので、きっと、観る側でなく演じる側になると、もっと自分と向き合うことになると思います。自分のことを好きになるのか嫌いになるのか。どうなるのか楽しみです(笑)。



今回の主人公のゆりかは、子役から活躍しているものの、30歳を迎えて、「私は何のためにこんなことをやっているのだろう」と自分の存在の意味を見つけられずにいる女優です。高畑さんに当て書きされているそうですが、重なるところを感じられますか。

私の場合は14歳でデビューしたので、スタートがゆりかより遅いんですが、でもやっぱり、「あるある!」と思う部分はあって。私の人生と密接したところにある言葉がいっぱい散りばめられていました。観る方にとっても、そこで起こっている出来事は特殊に見えるかもしれないですけど、たぶん、感情の部分では共感するところがあると思うんです。私自身も、演劇や映画を観るときは、自分とは遠い話でも、自分から能動的に共感を探しにいって、この感覚は私も覚えがあるなと、自分の人生を振り返ったりしている気がします。だから、皆さんもそれぞれに、何かを見つけてもらえたら嬉しいですね。

ちなみに高畑さんは、14歳で舞台の主演でデビューされてこの仕事を始めた頃、何を考えておられましたか。

楽しいしかありませんでした。そういえば今年は、その原点に戻れた瞬間がけっこうあったんです。例えば『ミス・サイゴン』は、主役ではなく、しかもトリプルキャストで、自分が全部背負わなきゃという気負いがなかったこともあって、のびのびと、ただ稽古して舞台に立ってお芝居して歌って、楽しい以外何もないとい気持ちになれました。今回も、ゆりか以外のキャラクターも爆発力があって、皆さんとのキャッチボールでできていくお芝居のような気がしますし。みんなが急に子役時代に戻るという(笑)、舞台の上でそれが起ると楽しそうな、とても演劇的な場面もあるので。きっと、皆さんに身を委ねながら楽しくやれるのではないかと思っています。

ゆりかと同じく30歳になった今は、どんなことを思っていらっしゃいますか。今だから表現したいことなどはありますか。

先ほどの『ミス・サイゴン』のキムという役は、何も知らない17歳から怒涛の人生を送った20歳までが描かれるんですけど、自分が歳を重ねたからこそ、人生を遡って、純粋なものもそれが失われてしまうことも演じられたと思うんです。純粋さに限らず、きっと経験を重ねないと表現できないことってまだまだいっぱいあるんだろうなと思います。だから、好奇心たっぷりにいろいろとちゃんと経験したいと思っています。


こんな30歳になると、デビューした頃に想像しておられましたか。

30歳になった自分なんて、想像もしていなかったです。ミュージカルに出演しながら、何となく生きていけたらいいなと思っていたくらいで(笑)、映像に出演したり、舞台で主演させていただくようになるとは、まったく思っていませんでした。人生って何一つ想像通りにはいかないものですよね。良くも悪くも。だから、今を楽しもうと思っています。

その今を楽しもうという精神があるから、やりたいことをちゃんと口にできているのかもしれませんね。しかも、それが叶っているのが素晴らしい!

誰にでも何でも言ってるわけではないんですよ(笑)。心の底からやりたい、叶えたいと思っていることだけで。だからこそ、こうやって叶うのは、本当に嬉しいです。

◎Interview&text/大内弓子
◎Photo/安田慎一(スタジオシン)
◎Stylist/番場直美
◎Hairmake/笹本恭平
◎衣装/ニットワンピース¥46,200(TAN)
ニットスリーブ¥33,000(TAN)
《お問合せ》TAN contact@tanteam.jp



2/17 FRIDAY〜19 SUNDAY
舞台「宝飾時計」
◎出演/高畑充希、成田凌、小池栄子、伊藤万理華
池津祥子、後藤剛範、小日向星一、八十田勇一
◎作・演出/根本宗子
◎衣裳/神田恵介(keisuke kanda)
■会場/東海市芸術劇場 大ホール
■開演/2月17日(金)19:00 2月18日(土)13:00、17:30 2月19日(日)13:00
■料金(税込)/S席¥11,000 A席¥9,000
■お問合せ/中京テレビクリエイション TEL.052-588-4477(平日11:00〜17:00)
※未就学児入場不可