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「高橋一生」スペシャルインタビュー
取材日:2023.03.29


2021年『フェイクスピア』でNODA・MAPに初参加した
高橋一生が二年ぶりに野田作品に帰還。
さらに松たか子との舞台初共演にも期待が高まる。
また今回がNODA・MAP初参加となる多部未華子のほか、
秋山菜津子、大倉孝二、大鶴佐助、山崎一など実力派が顔を揃える。
「兎」役を演じる高橋一生が、本作と野田ワールドについて語った。


『フェイクスピア』に続いて2度目の野田作品へのご参加となりますが、今回オファーされた時のご感想は?

とても嬉しかったので即答でオファーをお受けしました。タイトルがタイトルですし、役が兎だということなので、とにかく走り回るのは今から覚悟しています。野田(秀樹)さんとしては、僕に対して、ある程度の運動量を期待されているんだろうなと思っています。

演出家としての野田さんは、俳優、高橋さんとしてはどんな存在なのですか?

野田さんは、とても言葉が通りやすい方だなと感じています。僕の考えている事なども素直に受け取ってくださって、とてもやりやすい環境を創ってくださっています。前回の『フェイクスピア』でも、演出家であると同時に共演者でもあったので、俳優としての言語がお互いに通じるので、演出家の方というより、同じ舞台に立つ同志という親近感を感じました。今回もそういう環境づくりをしてくださるんだと思います。

高橋さんにとって、野田秀樹の戯曲の魅力はどこにありますか?

野田さんの戯曲は演劇的な娯楽性の中に、リアルとリアリティーがくっきり明示されています。舞台に立つ俳優としては、リアルよりもリアリティーを追求したいのですが、そんなリアルとリアリティーの境界線を縫うように作劇されているような気がしています。野田さん自身に、リアリティーや虚実といったテーマに対して、大きな変化が起こっているんじゃないかと思います。俳優は消費され忘れ去られる存在だと思うんですが、作品はずっと後世に残るわけで、だとすれば俳優はその作品に、ある意味帰依していくことしかないと思うんです。野田さんの作品は、観客に対して“忘れられない作品”となるものですから、そこにかかわらせていただけるのは光栄だと思っていますし、楽しみでもあります。

もう何度かワークショップに参加されたと聞いていますが、今回の共演者さんとの雰囲気はどんな感じですか?

『フェイクスピア』の座組の相性がとても良かったので、今回はあれを超えられるだろうか?という思いでいますし、初めての共演者の方との芝居作りも楽しみです。

野田さんの演出はどんな感じで進んでいくのでしょうか?

野田さんは、頑なに戯曲に忠実にというスタイルではまったくなくて、共演者みんなで創り上げていくというスタイルです。そういう意味ではすべてアドリブが織り交ぜられて完成していくともいえますし、それを想定した上での野田さんの企みなのかもしれません。


高橋さんにとって、そのアドリブという言葉にどんな意味を持たれていますか?

どこからどこまでが芝居で、どこからが素なのかということは、実はとても曖昧で、俳優は演出家の持つ方向性にどうアプローチしていくかが求められていると思います。たぶん演出家側もそれを待ってるような気がします。演出も俳優も想像しなかった予想外のものが表出するから面白いわけで、俳優自身も常にそういったアプローチを意識的にやっているということです。作品全体の世界観の提示は演出家の方の仕事で、その役を深く掘り下げていくのが役者の仕事だと思っています。

さて、野田作品では身体的な表現部分も期待されていますが、それに対応する身体作りはそろそろ始められているんですか?

身体作りは日々、常にやっていますから、特にこの芝居のためにスタートするということではないです。息切れするのがとても嫌なので、持続力の強化に関しては意識的にやっています。

関西のお客さんに対して、他の地域と比べてどんな印象を持たれていますか??

関西のお客さんは、とにかく集中して観てくださるし、作品に対してフランクに反応してくださるのが印象的です。それは役者にとってはとても気持ちがいいところですし、ありがたい存在でもあります。

◎Interview&Text/石原 卓
◎Photo/安田慎一
◎Stylist/秋山貴紀(A Inc.)
◎Hairstyling/田中真維(MARVEE)



8/3 THURSDAY〜13 SUNDAY
NODA・MAP第26回公演
「兎、波を走る」

■会場/新歌舞伎座
■料金(税込)/全席指定 S¥12,000 A¥8,000 サイドシート¥5,700
■お問合せ/キョードーインフォメーション TEL.0570-200-888(11:00〜18:00日・祝休業)