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「キュリオス」スペシャルインタビュー
取材日:2018.08.08

世界が賞賛し、その公演を熱望するエンターテインメント集団、
シルク・ドゥ・ソレイユ。
肉体の限界に迫るかようなアクロバティックなパフォーマンスと
しなやかでアーティスティックな表現の融合。
美術、衣装、音楽などすべてにおいて細部にまでこだわり作り上げる、
ファンタジックな世界観。
高いクオリティとオンリーワンの芸術性をアップデートし続け、
1984年の設立以来、世界450都市以上、1億8千万人以上の観客を魅了してきました。
そんな世界的エンターテインメント集団が、最高傑作との呼び声も高い
「キュリオス」をたずさえて日本公演を決行中です。
いよいよ11月から開幕する名古屋公演に向け、
主要キャラクター3人に話を聞きました。
シルク創設30周年を記念する特別な作品として、
作り手たちの意気込みも一層強くなっているようです。

皆さんそれぞれのキャラクターと、物語における役割について教えてください。

クララ(池田一葉、以下K):登場人物は全員、主人公のシーカーの発明の世界から生まれたキャラクターです。私は体の半分が生身の女性で、半分は機械。輪っか状のスカートがアンテナになってアルファ波を受信できるようになっています。そうすることで人間の気持ちを理解しようとするんです。そして物語の中で起こるいろんな出来事やさまざまな人の反応から、感情というものを学んでいきます。

ニコ(ニコラス・バイシャス・カラフェル、以下N):ニコはとても繊細で子どもっぽくて、驚きを心のままに表現するようなキャラクターです。衣装がアコーディオン状になっていて、伸び縮みして目線を誰にでも合わせることができるので、誰よりも早く人と仲良くなる術を持っています。

ミスター・マイクロコスモス(マチュー・ウーベナー、以下M):ミスター・マイクロコスモスは、その名の通り小さな世界すべてを表すような衣装が特徴的です。お腹に突き出した丸くて頑丈そうな装置は、蒸気機関車や巨大な建物、エッフェル塔やグラン・パレなどをイメージさせます。中には、自身の無意識の心を表す女性ミニリリーが住んでいるんです。ミニリリーは趣くまま自由に外に出て、動き回ったりしています。ミスター・マイクロコスモスはすごく無愛想なキャラクターですが、電報配達人に恋をするという一面もあります。さらに二幕目には、衣装を全部脱いで魚たちと一緒に自由に動き回るんですよ。



それぞれのキャラクターについて、脚本・演出のミシェル・ラプリーズさんからはどんなお話がありましたか?

K:クララは、ひとりの女性でありながら人間としての感情をうまく理解したり表現できないという、とても複雑なキャラクターです。ミシェルさんは、機械的になったり人間的になったりという複雑さを、不思議な雰囲気と一緒にうまく表現するようにして欲しいと話してくださいました。一瞬で表情を機械に戻したり、人間的で女性らしい温かさを出したり…。緩急をつけながら、それぞれを交互に出すように工夫しています。


N:ニコはとても魅力的なキャラクターですが、どうやって目立つようにするか、「キュリオス」のたくさんの登場人物の中でどんな存在にするかを一緒に考えて、ゆっくり動くということを決めました。

M:僕がミシェルに言われたのは、ミスター・マイクロコスモスの大きさを表現するようにということ。重々しく歩くなど、特徴的な動作を心がけています。

平原:日本で起こっている出来事は知っていても実感がないという、そのギャップが面白かったり。

シルク・ドゥ・ソレイユでの作品づくりは、どのように進められていくのでしょうか?

K:クリエイションの初期段階から携わる、ショーの形態が出来上がって稽古の段階から参加するなど、アーティストによって関わり方は異なります。ニコラスとマチューはクリエイションから携わっていますよね。

N:ミシェルと話をしながら、いろいろアイデアを出しました。演出家が描くキャラクターイメージはありますが、それを発展させていくのはアーティストの責任。お互いにアイデアや刺激を与え合い受け取り合うということを繰り返しながら作っていきます。


ショーとしての完成度、出演者一人ひとりのパフォーマンスなど、シルク・ドゥ・ソレイユの高いクオリティをアップデートし続けていくために、相当な準備をされていると思います。アーティストとしてステージに立たれる中で、“シルク・クオリティ”をどんなところに感じますか?

K:アーティストのアクトの技術だけではなくて、衣装や照明などを担当するスタッフ、私たちの食事を作ってくださる方、広報の方など、関わる全員がその道の超一流の人たちです。それぞれの仕事に誇りを持っていて、作品を本当に愛しています。そういう人たちの中にいると、自ずと自分の意識やモチベーションも上がっていくんですよ。ショーのクオリティを非常に高いレベルで実現・維持できるのは、すべてのスタッフの意識の高さが大きく影響しているからだと思います。

N:コスチュームも照明も、装飾のすべてが素晴らしくてオンリーワンのものばかりです。すべてがベスト。それがシルク・ドゥ・ソレイユで、僕たちはそういうとても大きなもののひとつを彩っている存在なんです。

M:アクロバットなどをするアーティストのリストがたくさんあって、その中でも特に優秀な人をピックアップして毎回集めていますよね。そうした優秀な集団が“シルク・クオリティ”を維持しているんだと思います。

N:妥協がないよね。すごくユニークなアーティストのデータベースを独自に持っていて、作品のクオリティを満たす実力がある人を見つけるまで探し続けるし、常に見つかるような体制を作っている。ほかのカンパニーにはないことだと思います。選ばれたアーティストは唯一無二で誰にもできないようなパフォーマンスのスキルを持っていて、どのアクトもすごく特徴的。それぞれが非常にハイスペックで、ほかにはないものですよね。

皆さんが一番好きなシーンやアクトを教えていただけますか?

K:私は、「ローラ・ボーラ」※1の前に飛行機が出てくるシーン。最初に見たときに涙が出ました。自転車のリールを使ったとてもアナログな演出で、人間の好奇心がすごくポジティブに生かされていた時代を象徴しているシーンです。アーティストのアクトはないのですが、とてもパワフルに心に響いてきました。

M:演じる立場でいうと、自分がやっている「アクロネット」※2はすごく楽しいし、それが一番(笑)。観客の立場でいうなら、ニコラスがアクトする「シアター・オブ・ハンズ」※3かな。特に、最後に指のゆくえを観客の皆さんが見守るところ。「どこに行くんだ?どこ行くんだ?」というように動きを追っていくのは、すごく面白いですよ。

N:「シアター・オブ・ハンズ」はもちろんですが、僕はもうひとつ「カオス・シンクロ1900(オープニング)」※4というオープニングの演目が好きです。全員が一堂に会して、お互いに働きかけ助け合いながら一緒に演じているのがすごく魅力的で、このショーを象徴していると思います。

「キュリオス」というタイトルは、“好奇心”“骨董品”という意味を持つそうですが、皆さんご自身が好奇心を刺激されるモノやコトを教えてください。

K:シルク・ドゥ・ソレイユでショーをさせていただいていることそのものが、私の好奇心をかきたててくれます。これまでの固定概念もガラッと変えられたし、世界中の人が集まってひとつのショーを作ることが本当に刺激的です。毎日、仕事に来るのがこんなに楽しいことってないんじゃないかと思っています。

N:僕にとっては、音楽とか映画とかマルチメディアとか、すべてのものが自分を一歩前に進ませてくれる原動力です。それらすべてに興味があるし、好奇心を刺激してくれます。

M:僕は旅することですね。常に新しいところに行って、新しい場所でショーをすることが刺激的。この秋、名古屋に行くことを、とても楽しみにしています。



11/22THURSDAY〜’19 1/27SUNDAY
「ダイハツ キュリオス」名古屋公演

チケット発売中
※休演日あり全93公演
■会場/名古屋ビッグトップ(ナゴヤドーム北)
■開演/公式サイトでご確認ください http://booktickets.pia.jp/kurios-nagoya/
■料金(税込)/
〈平日公演〉 SS席¥12,500 S席¥10,000 A席・車イス席¥6,500
SS席(オリジナル特典付)¥20,000
グループチケットSS席(4席)¥42,000
グループチケットS席(4席)¥33,000
〈土日祝公演〉 SS席¥13,500 S席¥11,000 A席・車イス席¥7,500
SS席(オリジナル特典付)¥21,000
グループチケットSS席(4席)¥46,000
グループチケットS席(4席)¥37,000
■お問合せ/ ダイハツ キュリオス 名古屋公演事務局
TEL.0570-02-0099(10:00〜18:0012月31日・19年1月1日は除く)

※3歳以上有料、3歳未満は保護者1名につき1名まで膝上に限り無料(席が必要な場合は有料)
※演出機材により舞台の一部が見づらい席がございます
※都合により公演の内容を変更する場合がございます
※車イス席は、ダイハツ キュリオス名古屋公演事務局 TEL.0570-02-0099(10:00〜18:00)
(12月31日、2019年1月1日除く)のみでの販売となります
※車イスでご来場のお客様はダイハツ キュリオス名古屋公演事務局に事前にご連絡ください