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清水ミチコのシミズム

先週、「女王陛下のお気に入り」という映画を観に行きました。
女王をめぐって、侍女の二人が壮絶な憎みあい、
足の引っ張り合いをするというイジワルな映画。
男性陣は刺身のツマのようにパッとしませんでしたが、
絢爛豪華な宮殿や上品で美しいコスチュームとドロドロした心理が相まって、
ほど良い悪趣味が絶妙なスパイスとなっています。
映画館もとても混み合っていましたが、
女性同士のバトルというものは、
男と違ってドロドロネチネチするほどなぜか面白いものですね。
仕える一人は、女王に「お化粧が変です。
まるでアナグマですわ。」と注意する。
しかしやってきた新人は、陰でそっと「いいえ。
なんて美しいのかと、宮廷でも噂になっております。」
などと優しく声をかけます。
容姿にコンプレックスのある女王は、どっちを選ぶか。
というあたりも最後まで見ものですが、
どこかで(やはりどんなに口が悪くても、正直な言葉は貴重である)、
と見る側に思わせます。
私の知り合いにも、言葉がストレートな女子(30代)がいます。
話を聞くのが楽しみなほどいつも正直で独特です。
お正月に、夫婦で箱根駅伝を見に行ってきたというそのコ。
「どうだった?」と私が聞いたら、
「うん。なんか、テレビで見てるよりもずっと、」というので、
私はそのあとの言葉を「感動した」と言うのか、
「苦しそうだった」というのか、と予感しました。
しかし、違いました。「遅かった」と言うのです。
思わずもう一度聞き返してしまいました。
「遅い?そんなワケないでしょう。」と私。

「いや、もっと早く走れるはずだ、って思った。」
と、自信をもって言ってたのに笑いました。
なんて失礼な話でしょうか。
でも、私は思いました。
本音というものは、
正解か不正解か、なんてこと以上に、
真実を超えた面白味がひそんでいる、と。
でも現地でその感想を聞いた旦那さんは、
彼女にこう教えたそうです。
「自分の無知をもっとわかったほうがいいよ」。
ああ本音ってやっぱり面白い。