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清水ミチコのシミズム

私の友人が、「実は自分は二枚目のお笑いのファン」だと告白しました。
(なんだそれは)とも思いましたが、
(お笑いは不細工でなければ)、
というのも逆に不平等な話であって、見た目もよく、
しかも笑えるのならば、こんな幸せなことはないのでした。
「もう中学生さんが可愛くて可愛くて」と、
もはや息子を愛でる母のような目線を送る友人。
「お客様は神様です」と、ステージからあがめられるのではなく、
客席をむしろ(あのヒトを応援してあげたい、支えてあげたい)、
という気持ちにさせるというのも、一つの大きなサービスだと聞きます。
「その点、モウチュウさんは(←そう呼んでいた)子供っぽいようで、
本当はお客の気持ちの、転がし上手なのかもしれない」
とのことでした。
だとしたら、なかなかすごいテクニックです。
心理と真理はつかんだもの勝ちですね。
ただ無垢なまま、なのかもしれませんが。
私も一度、原宿の交差点で大きなダンボールを持った人が
「すみません、すみません、」
と言いながら一生懸命横断歩道を渡っていて、
よく見たらもう中学生さんだったことがあり、
なんて腰の低い、いい青年なのだ、と
小さく感動した事を思い出しました。
ところで先日、SPITZのコンサートがあり、武道館へ行きました。
満杯の客席に座った私は、
(誰も知らないだろうけど、今年のお正月、私の武道館公演では
草野マサムネさんがこの辺に座ってたんだよ~)という気持ちでした。
武道館って、ステージから業界席がもの凄くよく見える構造なんですよね。
ライブの後半、草野さんが
「ボクはお正月に、あの辺の席で清水ミチコさんのライブを観てたな~。」
と言い、その時の私のネタもちょっと歌ってくれたので、仰天しました。
(やっぱりステージからも私が見えたんだ。
だから気を使ってくださったのでは)と、恐縮。
しかし、楽屋にご挨拶に行くと、草野さんはものすごく驚いた顔で、

「清水さんがいることちっとも知らなかったです」