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清水ミチコのシミズム

オリンピックに向け、さあ、勢いをつけよう!
というこの時期ですが
「いかに世界広しと言えど、東京ほど変わっている街はない。」
と、外国の方から聞いた事があります。
聞けば、おおよその都市というものは、同じひとつの顔を持つものなのだとか。
どういう意味かわかります?
つまり、たくさんの個性に分かれた街が一つになって成り立っている、
という東京みたいな街は、なかなかありえないそうです。
ニューヨークもパリもロンドンも、ひとつの顔に集約されているのだそうです。
そう言われてみれば、その通りで、面白いですね。
原宿にはギャルたちが集まり、新宿はエロスと欲望の街、
目白は高級住宅街、渋谷はチャラい若者が集まりやすく、
巣鴨に行けばおじいちゃんおばあちゃんたちが元気に歩いている。
山手線内だけでも、一駅ごとに違う個性を持っていながら、
一つにうまくまとまって毎日活動している。
人間の個性も、外から見て言われて初めて気がつくなんてことがありますよね。

ところで、私のマネージャー、タナカさんはまだ若い女性。
彼女は真面目な性格ながらも、フットワークの軽い女性です。
休日なのに、私の買い物にふつうにつきあってくれます。
さてこないだ、彼女の高校時代の友人から
「秋葉原で、ドイツのビール祭りを開催するらしいから、行ってみない?」
と、誘われたそうです。
さっそく出かけたまではよかったのですが、秋葉原は思うより広かった。
数分で道に迷ってしまったそうです。
二人して地図を片手に困っていると、
何かのチラシを配っている若い女の子の姿が目に入りました。
そこで、さっそく道を尋ねることにしたタナカさん。
「すみません」と、声をかけてふと顔を見ると、
頭にはピンクの猫耳のカチューシャがついてたそうでした。
「あのう、この道へ出るにはどう行ったらいいでしょうか?」
と地図を指さしながら聞くと、瞬時にこう答えられたのだそうでした。

「わかんないにゃん!」

さっそく街での洗礼を受けた気がしたそうです。