HOME > ドラマチック!OH!能 > Vol.83「船弁慶」

ドラマチック!OH!能

前半の優美さと後半の勇壮さの対照が際立つ、劇的な構成が魅力の人気曲です。豊田市能楽堂「冬月能」では、小書「後之出留之伝」で上演。ドラマ性とスケール感が一層増す、特別な演出に期待が膨らみます。


Ⓒ工房円

【物語】平家討伐の功績をあげたものの、兄・頼朝と対立し追われる身となった源義経。弁慶はじめわずかな従者とともに西国へ逃れようと、摂津国大物浦にやってきます。義経の愛妾・静御前も一緒でしたが、流浪の旅にこれ以上同行させるのは望ましくないという弁慶の進言を受け、彼女を都に戻すことを決意。静は弁慶の独断を疑いますが、止むに止まれぬ義経の判断だと知って受け入れます。別れの宴の席で静は舞い、義経の前途を祈りながら見送るのでした。船頭が用意した船に乗り込んだ義経一行。海に漕ぎ出すと、にわかに嵐が吹き荒れます。すると、壇ノ浦で滅亡した平家一門の亡霊が姿を現しました。さらに、総大将だった平知盛の霊が薙刀(長刀)を手に襲いかかります。応戦する義経、数珠を揉み懸命に呪文を唱えて祈祷する弁慶。その祈りの力によって怨霊は沖の彼方へと退散し、あとには白波だけが残っているのでした。