HOME > ドラマチック!OH!能 > vol.82「清経」
見どころのひとつは、清経の霊が妻の夢の中に現れる場面。清経と妻の謡の掛け合いも聞きどころです。10月の豊田市能楽堂の上演では、能楽師によるプレトークを開催。演目の理解も深まりそうです。
【物語】源平合戦のさなか、都を追われた平家一門は九州に逃げ延びていました。都に残ってひっそり暮らしていた平清経の妻のもとに、九州から家臣の淡津三郎が訪ねてきます。清経が豊前国柳ヶ浦で入水したという知らせを持ってきたのです。妻は悲嘆に暮れ、三郎が差し出した遺髪を宇佐八幡宮(現在の大分県)に返納してしまいます。その夜、妻の夢に清経の霊が現れました。再会の約束を果たさなかった夫を責める妻。形見を送り返してしまったことを咎める清経。夫婦はお互いに恨み言を述べ、涙します。やがて清経の霊は、自身が経験した平家の逃避行と戦いについて語ります。神仏にも見放され、敵の襲来に怯える日々。運命を悟った清経は船上で静かに笛を吹くと、念仏を唱えて海に身を投げたのです。さらに、戦で死ねば落ちていた修羅道の様子を描き出すと、最期に唱えた念仏の功徳によって救われたことを告げ、消えてゆくのでした。











