HOME > ドラマチック!OH!能 > vol.11「頼政」

ドラマチック!OH!能

文武に長けた武将、源頼政の最期を描いた修羅物。保元・平治の乱で勝者の側に属した頼政は、清盛からの信頼も厚く、従三位という源氏としては破格の地位まで上りつめます。その聡明な頼政が、平氏打倒の戦いで武運尽きて自害するのでした。舞台で頼政は専用の面と頭巾をつけます。


能「頼政」 Ⓒ前島写真店

【物語】旅の僧が奈良に向かう途中、宇治の里に立ち寄ります。僧が景色を眺めていると、老人が僧を呼び止め、名所を次々に案内しさらに平等院へと案内します。そこで僧が扇の形に残されている芝の事を聞くと、源三位頼政が宇治平等院の戦いで武運尽き、自害した場所だと伝えます。そして今日は丁度頼政の命日にあたり、自分こそが頼政の幽霊であると名乗り消えます。僧はその後来た里人に頼政のことを詳しく聞き、哀れに思い霊を弔うため読経していると、甲冑姿の老武者(頼政)が現れ、戦いの顛末を見せます。高倉の宮を擁しての挙兵。宇治川を挟んでの激しい決戦、源氏方の筒井浄明、一来法師の奮戦振りや敵方である平氏の坂東武者、田原忠綱の指揮で三百騎が宇治川を渡る様子。遂には敗れ、最後は平等院の芝の上に扇を敷き、辞世の句を詠み自害したこと。やがて老武者は僧に回向を頼み草の陰に消え失せるのでした。